「河川産ユスリカ類の生息環境」

井上栄壮（滋賀県立琵琶湖環境科学研究センター）

河川、湖沼から温泉、海域まで、あらゆる水域に生息する昆虫「ユスリカ」。双翅（ハエ）目ユスリカ科の総称で、日本産だけでも1,000種以上が記録されている。生態的にも多様であり、陸水域の底生動物群集において種数、個体密度ともに卓越することが多い。とりわけ陸水域の食物網では重要な地位を占めるユスリカであるが、種の同定が困難なこともあり、しばしば「ユスリカ科」の一言でまとめられてしまう。演者は、こうした現状を打破したいと願い、ユスリカたちの生き様に迫ろうとする一人である。本講演では、演者がこれまで採って飼って種レベルで行ってきた研究のうち、河川をフィールドとしたものを中心に紹介する。ようこそ、ユスリカの世界へ。