汽水域に生育する塩性湿地植物と海草(オオクグ、シオクグ、コアマモ)の遺伝的多様性と保全策の検討

 

大林 夏湖

 

海岸や河川干潮域に発達する塩性湿地植物群落は、沿岸開発、埋め立て、港湾建設などの人為的な改変による直接・間接的な影響を受け、生育地の縮小化や分断化が顕著な場の一つである。そのため、環境省のレッドデータリストで希少種や絶滅危惧種として指定される構成種も多い。演者らは汽水域に生育するスゲ属2種(準絶滅危惧種オオクグとシオクグ)の遺伝的多様性把握のため、SSRマーカーの開発及び日本国内の分布状況と遺伝的多様性の把握を行った。また、海草藻場再生の対象種としてクローズアップされている島根県斐伊川水系中海・宍道湖に分布するコアマモについても、遺伝的多様性の評価を行った。これらの結果について報告する。