「水域生態系におけるウイルスとその多様性」
本庄三恵
ウイルスは水域生態系で最も数が多く、バクテリアや植物プランクトンに感染し、その個体群動態や群集構造、さらには物質循環に影響を与えるなど、重要な役割を果たしている。近年のPCR-DGGE法、PFGE法、メタゲノム解析など分子生物学的手法の発達により、これまで培養できなかったウイルスの検出が可能となり、多様なウイルスの存在が明らかになってきている。ウイルスの多様性研究は始まったばかりで、その多くが記載的研究ではあるが、その現状を紹介する。さらに、宿主ーウイルスの培養系を用いたウイルスの動態と環境要因との関係など実験的研究の成果も交え、水域生態系でのウイルスの多様性および群集構造の変化についての現在の知見を紹介する。