「ダム湖で増えた植物プランクトンがダム下流域に及ぼす影響」

 

野崎健太郎(椙山女学園)

 

流水環境である河川には、一部の例外を除き浮遊生活を送る植物プランクトンが増殖することはない。ただしダムが建設された場合には、ダム湖という新しい止水環境が発生し、そこでは植物プランクトンが増殖する。増殖した植物プランクトンは、湖水を着色させ景観を悪化させたり、異臭味の原因になるため、ダム湖では常にその発生状況を監視している。

 これまでダム湖の植物プランクトンの研究はダム湖内の問題として扱われ、増殖した植物プランクトンが下流域に及ぼす影響についてはあまりわかっていないのが現状である。そこで本セミナーでは、ダム湖で増えた植物プランクトンが下流域に及ぼしている影響について、講演者がこれまでに行ってきた研究を中心に紹介する。主な論点は1) 植物プランクトンがダム湖内で栄養塩を消費し、ダム下流域の底生藻が栄養塩低下によって増殖を阻害される。2) 植物プランクトンがダム下流域の濁りつまり濁質成分になっている。この2点である。