「温暖化が大型淡水湖の循環と生態系に及ぼす影響評価に関する研究」

 

地球温暖化に伴う温度分布の全球的変化が生物の絶滅リスクを高める可能性は多くの生態学者によって指摘されていますが、生物自身の持つ移動能力を考慮すると、絶滅のカウントダウンには若干の猶予が残されているとも言えます。一方、陸上移動の困難な湖沼生物にとって、温暖化は致命的な影響を与えかねません。温帯湖沼には、冬季の湖面冷却によって湖水が鉛直混合し、湖底に酸素が供給されるという循環機構が存在します。しかし、昨年の暖冬時、琵琶湖では鉛直循環が不完全となり、底生生物が大量死滅するという異常事態が発生しました。世界有数の古代湖・琵琶湖には多数の固有種が生息しており、温暖化による生態系の循環不全がこれらの生物を一斉絶滅に追いやる蓋然性が現実味を帯びてきました。生物多様性国家戦略を唱える我が国にとって、琵琶湖固有種の温暖化影響評価は可及的速やかに取り組むべき課題であると言えます。本研究は、琵琶湖に長期収集・保管された環境資料・生物標本を解析することによって、温暖化による湖沼生物の生態影響および絶滅リスク評価を実施することを目的とします。

 

共同研究者

永田俊@東京大学

宮島利宏@東京大学

北澤大輔@東京大学

陀安一郎@京大生態研

熊谷道夫@琵琶湖環境科学研究センター

石川俊之@琵琶湖環境科学研究センター

伴修平@滋賀県立大学

後藤直成@滋賀県立大学

長谷川直子@滋賀県立大学

山崎秀勝@東京海洋大学

長井健容@東京海洋大学

 

 

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