「寄生虫を生物指標として活用した海産栽培漁業種の生態解明」

 

 水界寄生虫の多くは、「食う・食われる」の関係を通じて高次消費者へと宿主転換を行う複雑な寄生ネットワークを形成します。寄生虫のこのユニークな生活史特性を利用することによって、宿主魚の寄生虫感染状況から食性履歴を推定できるかもしれません。宿主特異的な寄生虫の存在は、ある特定種間に「食う・食われる」の関係が成立していたことを意味するからです。食性解析のツールとして安定同位体比分析は非常に有用ですが、少数の元素に還元することによって、生物学的な情報が欠失するという点で諸刃の剣です。寄生虫は、特定種間の生物間相互作用を紐解くことができるという意味で、安定同位体比にはない長所を持つ生物指標と言えるでしょう。本プロジェクトでは、解像度の高い食物網解析ツールとしての寄生虫の有効性について検討します。

 

<共同研究者>

山岡耕作@高知大学

豊原正典@高知大学

福森香代子@京都大学

長澤和也@広島大学

 

 

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