水域生態系実験施設

 

 現在、私たちは、湖沼食物網に主眼を置いた研究を展開しています。食物網は生態系内の物質循環を駆動する主要な生物プロセスであり、湖沼の生態系機能を理解するための重要な概念です。私たちは、過去の生物試料を用いて100年間のスケールで琵琶湖食物網の動態を解析することに成功しました。近年の人為撹乱によって生物多様性が減少し、食物網構造が不安定化することを明らかにしましたが、そのメカニズムは未だ解明されていません。大型湖沼であるが故に環境の空間異質性が高いことも変動機構の解明を困難にしている一因です。食物網の基点をなす微生物間相互作用をミクロコスム(小規模な人工生態系)で再現する研究は数多く行われてきましたが、食物網の全体像を捉えるには、微生物から魚類までを包括した適切な時空間スケールが必要となります。そこで、私たちは、従来の研究に欠落していたミクロとマクロのギャップを埋める世界最先端の中規模スケール人工生態系(CER-Super MES:右図)を駆使して、生物多様性が湖沼生態系の機能・安定性に及ぼす影響を実験的に検証するというプロジェクトに取り組んでいます。

 

生態研の所有する主な水域生態系実験施設

 

 

アクアトロン:コンテナ内に設置された16基の円筒形70ℓタンク型培養装置。水温、照度、栄養塩供給量を調節可能。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水域モジュール:シンバイオトロン実験棟内に設置された12基の角型2,000ℓ水槽。水温、日照変化を自動調節可能。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野外実験湖沼:屋外に整備された8基の8m×8m実験池。自然環境を直接反映するメソコスム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらの実験施設を用いて共同研究を希望される方は奥田(nokudaecology.kyoto-u.ac.jp)までご連絡ください。

 

 

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