日台共同研究事業

「人為撹乱による魚類資源崩壊が水界生態系に及ぼす影響の理論的・実験的検証」

 

本研究は、アジアを代表する大型湖沼である琵琶湖をモデルシステムとして、さまざまな人間活動が魚類資源の長期変動に与える影響を解析するとともに、魚類資源の枯渇が栄養波及効果を通じて水界生態系の構造と機能に与える影響を評価・予測することを目的とする。本研究は、日台の異分野研究者(生態学者・数理生物学者・水産資源学者・湖沼物理学者)が連携して取り組む学際的な国際共同研究プロジェクトである。

 

日本側分担

琵琶湖固有種であるイサザの過去40年以上に亘る漁獲量データおよび保存試料の安定同位体分析データを用いて、沖合生態系の長期動態を解析し、人為撹乱による魚類資源の枯渇が水界生態系の構造と機能に及ぼす影響を評価・予測する理論モデルを作成する。また、琵琶湖を再現した中規模人工湖沼生態系実験施設を用いて、魚類の生息密度を人為的に操作し、生態系の構造と機能の変化を定量的に観測する実験を実施する。

 

台湾側分担

 琵琶湖における過去100年間の漁獲統計データを用いて、魚類資源変動に及ぼす人為撹乱とカタストロフィックな撹乱の影響を相対的に評価する数理解析を実施する。さらに、琵琶湖のプランクトン種組成・密度および物理・化学環境の長期観測データを用いて、プランクトン群集の変動機構を解析する。

 

日台合同調査

 琵琶湖と室内人工湖沼生態系の2つの空間スケールをつなぐ実証研究として、台湾の主要水源池である翡翠水庫において、生物群集の構造と生態系機能(水質・物質循環)に関する野外調査および安定同位体分析を日台合同で実施する。

 

謝 志豪@国立台湾大学

ケ 瑋萱@国立台湾大学

仲澤 剛史@国立台湾大学(海外学振特別研究員)

Rey Rey Donne S. Papa @ サント・トーマス・マニラ大

福森 香代子@京大生態研

酒井 陽一郎@京大生態研

熊谷 道夫@琵琶湖環境研究センター

 

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