沿岸生態系長期観測調査
1)
目的
本プラグラムは、地球温暖化、富栄養化、外来生物移入などの人為撹乱が湖沼生態系の在来生物群集に及ぼす影響を把握することを目的とした長期生態系観測およびデータベース作成を行う若手研究者のためのワークショップとして隔年実施します。琵琶湖で実施されている環境観測調査は数多あるが、沿岸生態系を対象として、特に生物相の変動過程を長期・高頻度にモニタリングする調査は実施されていない。そこで、沖島の礫湖岸に調査定点を設置し、底質環境の計測と魚類・ベントス相の調査を2011年より開始した。
2)調査定点の概要
沖島は、琵琶湖最大にして人間が暮らす唯一の離島です。一般に、沿岸生態系は隣接する河川集水域の人間活動の影響を色濃く反映します。したがって、どこに調査定点を設けるかによって、生物相やその長期変動パターンの観測結果が大きく左右されます。そこで、現時点で人為の影響が小さく、自然環境が豊富に残されている沖島の礫湖岸を重点的に保全すべき生物多様性ホットスポットと位置付け、調査定点とすることに決めました。調査地のマップはこちら。
3) 物理・化学環境
沖島の調査定点の底生無脊椎動物採集地点直上の物理・化学環境を計測。
pH:多項目プロファイラーを用いて計測
電気伝導動(Electric conductivity)(mS/m):多項目プロファイラーを用いて計測。
溶存酸素濃度(Dissolved oxygen)(O2mg/L):多項目プロファイラーを用いて計測。
水温(Water temperature)(˚C):多項目プロファイラーを用いて計測。
礫付着藻類現存量:底生無脊椎動物採集地点の礫を採取し、クロロフィルa濃度から現存量を測定。ユネスコ法とロレンツェン法の測定値を併記。
*(−)は欠損データを表わす。
4) 底生無脊椎動物
群集組成:サーバネット(口径30cm×30cm、目合0.475mm)を用いて底生無脊椎動物の定量採集を実施。実体顕微鏡下で科レベルまで同定し、各科の個体群密度(個体数/m2)を記録。
アーカイブ標本:サーバネット(口径30cm×30cm、目合0.475mm)を用いて定量採集した沿岸底生無脊椎動物群集の液浸標本および同定後の証拠標本を長期所蔵標本として保管。標本の利用については、共同利用運営委員会に利用申請することが可能。
5) 魚類相
沖島の調査定点付近において投網・たも網採集および素潜りによる目視観察を行い、個体群密度を3段階(+++:多い、++:普通、+:少ない)で評価。
6) 調査実施者
上記調査に従事した参加者の氏名および所属を掲載。
年 |
底生無脊椎動物群集組成 |
アーカイブ標本 |
魚類相 |
調査実施者 |
2011 |
||||
2013 |