「食物網理論に基づく湖沼生態系の健全性評価」

 

 湖沼は様々な生態系サービスを提供してくれます。中でも、飲料水と食料資源の供給は人類の生存にとって欠かすことのできない重要なサービスです。私たち人間が湖を汚したり、生物の生息地を破壊したり、外来の生物を持ち込んだりすることによって、世界中の多くの湖沼で生態系サービスが著しく低下しています。しかし、どのような人間活動がどのように生態系サービスを低下させるのかはっきりと分かっていません。そこで我々の研究グループは食物網の理論から湖沼生態系の健全性を評価する新しい方法論を確立するために、琵琶湖周辺に点在する内湖群(琵琶湖岸の一部が水位低下によって隔離された小水塊)の生物群集構造と生態系機能に関する調査を開始しました。食物網とは、生態系を構成する生物間の「食う・食われる」関係の総体であり、生態系内の物質循環を司る主要な生物プロセスです。湖沼内で生産された有機物が食物網を介して高次栄養段階の生物に効率よく運搬されれば、水が澄み、沢山の魚が群れ泳ぐ健全な湖沼生態系を取り戻せるはずです。私たちは、まず、湖沼の食物網動態を調べることによって、科学的に測定可能な生態系サービスの高い湖沼、すなわち、水が澄み、生物が豊富な湖沼の特性を理解することを試みます。どのような生息環境を与えれば生物の多様性は維持されるのか、また、多様な生物が生息することによって湖沼の生態系機能は高く維持されるのか、これらの問いに答えることを究極的な目標としています。

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<共同研究者>

柴田淳也@京大生態研

山口真奈@京大生態研

大石麻美子@京大生態研

合田幸子@京大生態研

 

 

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