MBLの環境 (というか、来て5日間で分かったこと、感じたこと、徒然です) Marine Biological LaboratoryはPrivate Laboratoryで、多くの優れた研究者を排出している歴史の大変古い研究所です。私はその中のThe Ecosystems Centerというところで働くことになっています。Jerry MelliloとJohn Hobbieが責任者です。Dr. Melliloは森林の物質循環で、もっとも優れた仕事をしている人の1人です。4回生から研究を始めてこの方8年間、彼の名前を論文でずっとみているのです。また、Dr. Hobbieは海洋の方で大変優れた仕事をしています。この二人をFirst nameで呼ぶのはちょっと気がひけますので、、。
僕がお世話になるのは、(というか留学したいとお願いしたのは)Associate ScientistのDr. Knute Nadelohofferです。彼は細根の仕事や、酸性雨の仕事や、同位体を使った仕事や、もう様々な仕事をしているのですが、それぞれが教科書に載るような立派な仕事なのです。どうして彼のところを選んだのか、また初めてメイルを出してから(初めて会ってからではない)、いったいどうやってここまで来てしまったのか、は別の機会に書くことにします。
まず、8月に来たときに狂喜乱舞したのは充実した図書館です。
これが新着雑誌の部屋です。ほとんどみるべき雑誌のずべてがありました(私の必要なのは生態学、地球科学、植物学、分析化学、土壌学、環境経済学のような分野ですが、必要だと思われる雑誌で見付からなかったのは約60雑誌の中の1つだけでした)。5階建てです。Natureの第1巻まであります。本当に大したものです。カードがあれば24時間入れます。
僕のはMBLご自慢の カブトガニ カードでしたが、ほかにも4種類あるそうです(Knuteは僕と一緒に新しく作りましたが、サメでした)。ライブラリーのおねいさんに「つくって」といって、身分が明らかであれば、いきなりカメラの前にたたされて、いつの間にか写真が印刷されて出てきます。あまりのスムーズさにびっくりしてしまいました。4種類あるという遊び心も大好きです。全部ほしいくらいですが。カードにはお金をチャージすることができて、そのお金の範囲内でコピーなどが可能となります。
2日にWoods Holeに到着して、まずつれて行かれたのはSWOPEという総合案内所です。大きな会議などが開かれたり、宿泊施設もあります。月曜日から金曜日までは食堂もやっていて、それなりに安く食べられます(金曜日はビュッフェスタイルでした)。そこで、木庭というものが来た、ということと、1週間住むところの鍵をもらいました。住むところ、車、銀行、その他諸々のことをして'getting settled'するまでの1週間の為にDr. Knute NadelhofferがMBLのアパートメントを借りていてくれたのです。
(簡単なキッチン(コンロ、オーブン、シンク、電子レンジ付き)ユニットバス、ベットが着いています。暖房はあんまり強くは利きませんが、なかなか快適です。テレビがあって英語にもう少しなれるようになれば最高なのですが、、、。)そのあと、Human Resources Officeに行き、いろいろな人に紹介され、IDをもらう手続き(といってもKnuteが紹介してくれることで終わりですが)をしてもらいました。なにが感動したかというと、実は結構いろいろな手続きを踏んでいるのですが、その手続きのスムーズなこと!。そして誰もが言ってくれる「MBLでの1年はとってもあなたにとってすばらしい1年になるわよ」という一言です(その後に、「ところで君はバスケットは出きるかい?と続くのですが)。サポートは私たちがするから何でも分かんないことがあったら聞きに来てくださいという気持ちがとってもあふれているのと、それにサポートされているMBLでの多くの仕事が大変高いレベルにあること、それを考えると、我々日本の大学人の留学生受け入れ態勢は、全くまだまだだなあと痛感しました。
ネットワーク関係も、きちんと一つの部署(Information Systems Division; ISD)というところが担当していて、電話をかけるとすぐに飛んできてくれます。セキュリティーの面も彼らがしっかり管理しているようです。アカウントもすぐ作ってくれました。
もちろん、この強力なサポートは、スタッフ陣の集金能力によってまかなわれているようです。WHOIの大河内さんによると、なんでも研究費の多くがdepositとしてまずとられてしまうとか。それも仕方ないなあと思います。結局日本のお金の使い方と、こっちの使い方はどれだけ人にお金をかけるかという点で全く違うと言うことだそうです。
ところで、たった一つ以外だったことはThe Ecosystems Centerの建物の狭さです。今のところStaffがいるところには我々ポスドクは机をもらうことができません。そのため我々はMarine Resources Centerというところに間借りしています。1階では様々な海洋資源(たとえばカブトガニやハマグリ)が飼育管理されていて、実験材料になります。そこの3階に我々The Ecosystems Centerのポスドクは間借りしています。大きな予算をつけて、今年の3月頃から新しい建物の建設が始まります。それが完成するとみんなそろって同じ建物の中で過ごせるそうです(残念ながら私の滞在中にはできないでしょう)。
The Ecosystems Centerでは金曜日朝10時からスタッフミーティングがあり、その後みんなでドーナツを食べます。なんだか分かりませんでしたが、とにかくそこでドーナツを食べ、分からない英語でしどろもどろの会話をしていました。著名な科学者も、測定技師の人もみんな分け隔てなく楽しそうに会話をしているところにいると、なんだかとてもうれしくなってしまいます。みんな良くしゃべります。Knuteが僕が来る前に僕のことを宣伝してくれていた(Webをみるように!と流してくれたらしい)ので、みんなこっちのことは良く知っているのですが、僕は全然あちらのことが分かりません。名前も聞き取れなくって大変です。でも、全然いやな感じがしません。ストレスフルなのは、まだ住む場所が決まらないこと、車が決まらないこと、そして自分の英語力のなさですが、それ以外は本当にいろいろとみんな助けてくれます。とってもいい気分の場所です。
Knuteはいま、NSFへのProposalを書いていて大変忙しそうです。夏も彼は書いていて忙しそうでした。Woods Holeのスタッフは、グラントをとりいい仕事をすることに集中できるようになっているわけですから、責任重大です。今書いているproposalを見せてもらいましたが、圧巻でした。大変な出来です。こんなしっかりとしたプロポーザルは読んだことがありませんでした。はっきり言ってカルチャーショックです。これだけのものを書いてゆかないとこの世界では生き残っていけないんだと思うとちょっと落ち込みそうでしたが、がんばろうと思いました。
長くなってしまうので、また改めてということにします。