谷内 茂雄(やち しげお)研究室のホームページへようこそ!
京都大学生態学研究センターからお届けしています。
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所属: | 京都大学 生態学研究センター |
住所: | 〒520-2113 滋賀県大津市平野2丁目509-3 |
E-mail: | yachi[at]ecology.kyoto-u.ac.jp([at] は@に変えてください) |
■私の専門は、理論生態学(theoretical ecology)です。理論的な考え方と数理モデルを使って、生物の人口変動や感染症の動態、異なる生物種間の共生・共進化、生物多様性と生態系の関係、生態系再生の方法、生態系と人間社会の相互作用など、地球の生態系に起こっているさまざまな生態現象の謎解きに挑戦します。
理論生態学では、広く生態・進化に関わる現象や仮説を、数式を使ったモデルに表して解析します(「モデリング」とよんでいます)。自分の理解したい現象のエッセンスを1つのモデルに捉えようと、あれこれ考えてモデルをつくり直しながら解析していく過程で、その現象の理解が格段に深まります。 モデリングを通じて深まる理解が実験やフィールド研究の新たな発想や作業仮説へとつながり、新たな理論的課題を生み出す、それが理論生態学の強みであり楽しみです。
■私の研究テーマは、(1)地球生態系の謎解き、(2)流域生態系の管理です。 生物個体から構成される個体群や群集・生態系は、相互作用による遷移や進化によって集団レベルで思いもかけない現象を生み出します(複雑適応系(Complex Adaptive System)とよんでいます)。 理論的な視点からは、(1)は複雑適応系のダイナミクスの研究、(2)は複雑適応系のマネジメントの研究と位置づけています。
(1)地球生態系の謎解き
約40億年前に地球に生命が誕生してから、さまざまな生態・進化プロセスを経て現在の地球生態系ができあがったわけですが、この地球生態系とは総体としてどういう世界なのでしょうか?
いいかえると、生命という現象が地球という惑星に展開した地球型生命の世界とはどういうものなのでしょうか? 地球とはどのような特徴を備えた生態系なのでしょうか? また、地球型生命の世界の特徴はどれだけ普遍的なのでしょうか? これらの問いにこたえることが現代の生態学の大きな目標の一つだと私は考えます。
地球の森林、草原、河川、湖沼、海洋などの生態系にはバクテリアなどの「微生物」から、動物、植物、菌類など多細胞からなる「巨視的な生物」に至る多様なサイズの生物群が、それぞれ特徴的な時空間スケールで生活しています。
地球という惑星における、この「冪(べき)乗レベルの大きなサイズの違いを有する多様な生物の共存関係」はどのようなもので、いかなるメカニズム・プロセスによって形成されてきたのでしょうか?
現時点では、地球以外の生命現象との比較はできませんが、それでも、「多細胞生物の出現を契機とした地球生態系の重層的な時空間スケールの形成」という問題に着目することが、地球生態系の総体としての理解を一段深める上で、ひとつのカギになると私は考えています。
(2)流域生態系の管理
この研究は、地球環境学(Global environmental studies)のテーマとして取り組んでいます。
地球生態系に現生人類(新人・人間)が生まれてわずか10万年ですが、人間は地球生態系を劇的に変えてしまいました。
人間が地球という惑星で持続的に生きていくには、私たちの社会の仕組みを大きく変えていく必要があるといわれています。しかしどのようにして可能なのでしょうか?
この問題に取り組む上では、流域管理に着目することがひとつのカギになります。流域は人間の生活に密着した治水や利水の単位になるだけでなく、河川や湖沼の生態系を保全・再生する上でも自然な管理の空間単位です。私は、地域社会と流域生態系が共存できる流域管理のしくみづくりが、地球スケールの環境問題の解決にもつながる、と考えています。
私の研究内容は、その時々に関心や関わりを持った具体的な現象や課題の積み重ねですが、ひとつひとつの謎解きを通じて、自分が生まれて生きている地球生態系の全体像に迫っていきたいと考えています。研究の詳しい紹介は「研究内容」をご覧ください。
私の研究に関係する研究機関・学会を掲載させていただきました。
Copyright © 2014 Shigeo YACHI