Kei Koba's weblog in CER, Kyoto University ~ Are we on the right track ? ~

| Dec 28, 2004 / しごとおさ、、、まらず

お久しぶりです〜。Eudoraの未読メイルの印がどんどん増えてくる今日この頃です。メイルを放置しているって言うのは、なかなか無かった状態ですな。うーん。皆さんごめんなさいー。

24日は真壁さんとOPAというかイオン交換樹脂からの回収率実験のためのいろいろと(だったはず)。ケーキ頂きました。おいしかったです!27日は朝から真壁さんとイオン交換樹脂戦争。3microgram-N程度のアンモニウムをカチオン交換樹脂に吸着して、どのような抽出液でどのように抽出すればきちんと100%回収できるのか、と言う実験。

やっているのは、そんな単純なチェックなんだけど、この後の行程を考えると、ことはそう単純ではない。モード7(IFREE)で測定するまでには、抽出、中和、Diffusion、という様々な過程と様々なコンタミネーションの恐怖とたたかわなければならないのだ。NaCl、MgO、GF/D、MillQ水と、色々なコンタミの要因が考えられる。他の方法も検討しなければならない、、けど、PCの調子が悪くて、また時間があるときに改めて書こう。とにかく、昨日は真壁さんの終電に飛び乗ってなんとか帰った。回収率は70%程度でまだまだだめだ。中和の問題もあり。

今日はGIS仕事。とりあえずIKONOSを読み込んで、調査地を見つけ、NDVI計算してみる。ほほう。嬉しい。こんな簡単な作業でも結構かかってしまう。博士論文を出した皆さんと色々とお話し。真壁さんと「帰る前にMgOをもっと入れてやってみよう」ということでやってみたら上手く中和できた!すげぇ!真壁計算すげえ!

すみません。PCの調子が悪いとほんまにいつも以上に何を書いているか分かりません。文献のチェックすら中途半端な状態なのですが、RCMに塩化メチルにしてClの同位体比をCF-IRMSで測定するという衝撃の論文、あとはHPLCとsplit collectorをつかって、溶存有機物の13CをもっとCSIA的に測定しようと言う論文が出てましたね(略語ばっかりで分からない?!)

そして、、年末年始に読むべき論文、そして何より審査すべき博士論文は集まりましたが、最も難敵の修士論文が2つ、そう、あの二人からの修士論文がまだ来ていないような気がします。修士論文はとっても大事だし、むちゃくちゃ真剣に読みたいから、12/28には必ず初稿を上げてくれ、と、あれだけ言ったから、今日電子的に初稿を送ってくれなかったら、うーーん(と微妙なプレッシャーを与えてみようとしてみたり)、と、真壁さんに行ったら「え、まだ8時ですよ」と言っていたけど(笑)。やっぱり、大物は遅れてやってくるのか?!

 

| Dec 22, 2004 / 忘年会

朝、ゆっくり起きて、9:30から大掃除。5Fを少々乱暴に片づける。お昼を食べて専攻のネットワーク会議をへて、教授会。終わって忘年会。20:30に終わってそれから二次会。

学生さんと飲むのは、僕は嬉しい。そのチャンスは必死で保持してきたつもりだし、それはこれからも変わらないと思う。とにかく、去年と同じく、だんだん寂しくなってきた。もうすぐ卒業ですね、みなさん。

 

| Dec 21, 2004 / 期末検討会

朝、ゆっくり起きて、9:30から期末検討会。まぁ、言うべき事の最低限は言ったと言うことにしましょうか。

愛機T40がものすごく調子悪くなりました。この覚書ならともかく、年末の仕事がまずいことになりそうです。ディスプレイが落ちてクラッシュします。ですので、更新はどうなるか分かりません。明日は忘年会。28日までは真壁さんとOPAやらDiffusionの準備やら。29日から1/3までは修士論文・博士論文とGIS仕事です。

ディスプレイが見える間に、JST異文化フォーラムの感想。あこがれの松田先生にお話を聞けたのは嬉しかった。僕は心底、松田さんと岡さんのRisk Analysisの仕事は、エポックメイキングな仕事だと思っている。生態学者がどのように現実の問題に対応すべきか、一つの方向性を非常に真摯に示していると感じたから。

色々な違和感から、色々なことを感じ、結局自分の思うところはこうなのだ、という事がいやな程分かった。それを声高に会議の場で言う前に、自分の中で咀嚼していたらあっという間の3日間が終わったという感じ。コーディネーターの皆さん、本当にお疲れ様でした。環境経済の研究者の方は、特に若い方が多かったけど、とても、なんというか、良い感じの学生さんが多かった。頑張って下さい!

今は無き、井上民二さんと会議で同席した時のこと(博士か修士の頃)、実際にこの木を切らないと明日子供のご飯が無くなる、という人に向かって、その木を切ってはいけないという価値観、哲学がない、と言うようなことが話題に上がり(このようにおっしゃったのではないのだけど、僕の中で何千回もぐるぐる回って、いったい本当にはどうおっしゃったのか、今となっては思い出す術もない)、この優秀な先生ですらそういった哲学は持てないのだろうかと、半ば愕然とした思い出がある。僕の環境経済学、特に環境の貨幣価値査定について考えはまだ変わりそうにない:それを否定するのならば(しかも否定する、違和感をあらわにすることは非常にたやすい)、生態学を志したものとして、新たな価値観、哲学、「環境の世紀に持つべき価値観」を提示しなければならない(多様性を守ることの意義をどう提案し、新たな価値観を創造するか、を考えれば容易にその困難さは想像つく)のだが、僕のような頭の弱いものにとっては、ただただ頭の中で螺旋を描くだけであって、そんな状態であるのであれば、それでも、何らかの行動につなげることを少しでも望むのであれば、毒を飲むがごとく、貨幣価値で内部経済化する試みを否定するどころか、むしろ試みてみるべきでは無かろうか、そう思っている。僕が現実と冷静に対峙するやり方は、そんなものしかないのかと悲しくなるが、致し方ないなとも思ったりする。

むっちゃまじめやわぁ。

あ、出張中「喪失と獲得」を読み始めました。信じられない内容です。今年一番の本かもしれません(ドッグイヤーの数が半端ではなくなってきている)。進化心理学という学問の本は始めて読みましたが、これは本当に、すごい本です。読み終わるのがもったいない。

 

| Dec 20, 2004 / JST異分野フォーラム

平成16年度JST異分野研究者交流促進事業フォーラム
生態学と経済学の融合:人間活動と生態系のより包括的な把握を目指して

全く私的メモ

20041218
JST北澤様(ついに本物を見た!)からのご挨拶

実験の場としての異分野フォーラムである
JSTの説明
競争的資金はアメリカの1/10
企画委員に早稲田の長谷川さんが入っていて、今回の企画となった。

コーディネーター:栗山先生(早稲田大)
生態学と経済学の融合
57名参加

*深刻化している生態系破壊
なぜ?どうやって修復する?

*生態系を分析する枠組み
独立して研究が進められてきたことの限界

*生態系の価値が無視されている
いかにしてその価値を社会に反映して行くか

鷲田先生(豊橋創造大学)
エコロジーと自由
エコロジーと経済学を融合するとき「自由」をキーワードとして使ってみる

僕たちが「エコロジー」という言葉を使うときに感じている印象
*生態系の科学としてのエコロジー
*人類とその社会システムの理解を含め、生態系との調和を求める

生態系全体を司る秩序を保つ原理、マクロ的な秩序がある?
Lotkaのエネルギー流最大化法則
Odumの最大能力原理
などなど、、

生態系における種の持つ隷属性が存在する?
如何に生物が生態系における不自由さを持っているかを学問するのがエコロジー
人間の不自由さを明らかにする学問がエコロジー?

経済学とは?
社会的な富に関する学問

「富とは自由時間である」?であれば、自由を拡大するための学問が経済学

生態系からの社会システムの自立(社会的自由の創造)

「人間欲求の無限性」(ヘーゲル)

経済学の目的:人間的自由の拡大と再分配
であれば、生態学と経済学は水と油なのでは?

エコロジーへの自由主義的アプローチ

個人の自由主義と、どのような社会(結果として?秩序を持った)を作っても良いという自由主義

「共感」:想像上の境遇交換をもって、社会が秩序づけられて行く
こうした共感を生態系にまで拡張できるか?が問題

グリーンリベラリズム、ディープエコロジー

生態系を代表するような主体、をどう作るか?その主体と人間という主体との関わり合い
"ecocentrism"

椿先生(国立環境研)
生態学はマイノリティーを評価する手法を持っているか?

普通種と希少種:個体数
季節性、系、見落とし、、などの問題点

トンボの生態系機能を測定するとする:
蚊をどれだけ食べてくれるか?
上位5種で80%以上
食べる量は体重の関数、、、などなど、、、

積み上げ法の問題点
時間的変動
変動パターンは種によって異なる
蚊の数も変化
空間的変動もある
そして
個体数の少ない種を切り捨て
機能を持たない種を切り捨て
これで良いのか?

生物多様性
遺伝的多様性、種多様性、生態系多様性(場所間の固有性(趣向性の違い)が高いこと)これらは独立ではない

生態系研究と生物多様性研究の違い、長所と短所

希少種:
普遍的にいるが数が少ない種?
局所的にしか存在しない種?
生息環境の悪化で極端に数が減った種?

生物分布情報の不完全さ:ゼロの評価

生態系間の「相補性」、置換不能度

土地の固有性(これは、ブランド力だ!)

コメント
中井さん(琵琶湖博物館)
多様性が高い、低い、で評価してしまって良いのか?

討論
生物を守りたいという選好を表明する場を作らないといけない

夜の環境評価研究会
栗山先生(早稲田大学)
環境評価の現状について

Beach Valuation Project
80年代:トラベルコスト法
90年代:CVM
2000年代:コンジョイント(Choise Experiment)

現在
環境に対する価値観の多様性をどう扱うか
潜在クラスモデル
同じ人にも繰り返し質問する

20041219
大和久さん(武蔵野大)

経済学におけるゲーム理論
「確率進化」

生態学と経済学の共通言語としての進化ゲーム
複数存在するナッシュ均衡
ナッシュ均衡とESSの違い?
2人とも利得を考えて安定してしまう均衡状態をナッシュ均衡
(戦略を変更しない)
「過度の合理性」からの脱却

レプリケーターダイナミクス
i番目の戦略をとっている割合の変化速度=i番目を取った人が何点取っているかー全体の集団の平均獲得点数
平均より点数を取っていれば速度は正になり、どんどん増えて行く
得点を収入とすれば、収入が多ければ子供が増える?そんなことはない

ベストレスポンスダイナミクス
経済学におけるプレーヤーは利己的、最適化した行動を取ると考えられてきた
ダイナミクスに最適化を導入する
ベストリスポンスに時間遅れを入れた場合、時間遅れの分だけサイクルを生み出すことになるけれど、、、
均衡は点でなく、集団の状態として捉えてみるとどうなるのか

中丸さん(静岡大)
生態系における進化ゲーム理論
噂の伝播、社会規範?

大沼さん(慶応大)
ゾウのハンティング導入による社会システムの構築について
ハンティングに多額のお金をかけさせて、内部経済化。
Trading Banでは密猟が単純に減少するとは限らない。

谷内さん(地球研)
レジリアンス(生態・社会レジリアンス)
Holling (1973) Annual Reviews of Ecology and Systematics

坂上さん(日本福祉大)
マレーシア熱帯雨林の経済評価
コンジョイントを採用
属性
保護林
生産林
農地利用

*ランダムパラメーターロジットモデル
個人別パラメーターの推定が可能
*潜在セグメントロジットモデル
心理的変数や行動・態度変数を選択行動と同時結合的に導入可能
個人特性の設定(メンバーシップ関数)

4セグメントに分離できた

湯本さん(地球研)
熱帯林の生物多様性とその評価

熱帯林では大部分が希少種
1km x 500mに1100種(日本全体で1200種)

小さなサイズの樹木が多い
巨木が大量にあるわけではない

幹生果、着生植物など様々な植物が生息

大沼さん(北大)
社会的ジレンマと合意形成

フリーライダーをどうやったら減らせるか?
出現しやすい場面、特性など
協力しない方が当たり前?

フリーライダーが存在するところでどのような社会がどのように形成されて行くか
インセンティブや制度の導入プロセスとそれに対する人々の受容

フリーライダーが一人でもいるとみんなそれに引きずられてしまう?

西廣さん(東大)
自然再生事業の評価

20041220
吉岡さん(地球研)
環境の価値からの考察

鷲谷さん:この研究が誰に役に立つか?を考えると、プロパガンダを如何にコンサルが上手くやるか、、と言うのに役立ってしまうのではないか?研究者の主体性をもっと重要視する必要があるのでは?専門家故に深刻さを最も良く感じており、プランを持っているはず。

真名木さん:木が今そこにあるという前提でやるのか?

栗山さん:生態系のダイナミクス→社会の選好変化
社会のダイナミクス→生態系の変化

湯本さん:予期できない価値をどう査定するか?

松田さん:持続可能性は必要だがそれだけではうまく行かないことがある。不確実性のある中での意志決定をするわけだから、adaptive managementが大事である。learning by doing。経済学の中でのadaptive managementの可能性があるのか?人類学・言語学の中での絶滅危惧言語の取り扱い

***********
環境評価での「価値」は 保証余剰、つまり支払い意志額である。満足度(効用)であるが、その評価軸としての金額として金額を扱う

「屋久島の価値」とは、屋久島の土地利用変化を通じて屋久島の自然を守るためにどれだけのお金を支払うか。実際にもたらされている財、サービスというものは別に存在する。
市場データはWTPの近似であって、WTPを求める際の手段(アンケート)におけるバイアスが問題である

生態学の学問範疇では、守る、という概念が入ってこない?それは保全生態学の範疇である?

 

| Dec 17, 2004 / 爆弾は落ちてこなかった

寝たのは遅かったのに早く目覚めてしまう。京都の朝はやっぱり寒い。ホテルを出て、駅の地下でイノダコーヒーを飲んでちょっとほっとする。本当は三条本店まで行ってハンバーグサンドを食べたかったが、それは京大時代僕のへこたれた休日にやっていたバージョンなので、今日はやってはいけない。8:30に会場に着き早々と前の方の席を確保。

本日も地球研プロジェクト報告会。僕が参加している5-2プロジェクトには、今回爆弾は落ちてこなかった。吉岡先生の説明がわかりにくかったと思ったのはどうやら僕だけらしい。多分、とても最初の説明部分が丁寧だったので僕としてはまどろっこしく感じたのと、具体的なモデル結果やアンケート結果の予想図が無かったので、そこが気になったのだろう。

お昼は和田先生、中西先生、吉岡先生とラーメン。中西先生は相変わらず(この頃は酔っぱらってない中西先生とお会いすることが多い)大将!って感じで、とにもかくにもお元気そうで何より。和田先生も相変わらず。楽しいお昼だった。「方法論の評価は、良い、悪い、ではなく、その方法の持つ限界で評価しなければならないのに、、」という和田先生の言葉は僕が思っていたのと全く同じだった。

午後も報告会。色々と考えることが多かった。年表と地図、そこにどう情報を織り込むか。「情報の歴史」を買って読んでみようかな、なんて思った。僕は(誰がやるにせよ)、地球研の様々なプロジェクトが一枚の布を織りなしてくれて欲しいし、その文様を読み解いてみたいとは思っている。

いま、新幹線。量子コンピューターとは何か、面白かった。今から東京に戻り、ちょっと時間をつぶして、学生さん・元学生さんと飲んで帰ります。明日から月曜日まで更新しません。必死で勉強したいので、滋賀の某所にまた出張して、勉強します。とりあえず今からPnET-CN回してみます。ではでは〜

 

| Dec 16, 2004 / なんだか悲しく憤る

朝早く起き、新幹線に飛び乗る。京都から瀬田に渡り、京大生態学研究センター(CER)にようやく11時過ぎにつく。某大学のぼうさんの同位体比測定が心配なので立ち寄ってみた(立ち寄る、と言っても往復で2時間程度かかってしまうわけだが)。色々確認などしてまた急いで京都へ。瀬田のコインロッカーは小さい。使えないので注意(こんな事なら京都でロッカーに入れておくべきだった)。

コープ京都にて、総合地球環境学研究所プロジェクト発表会に参加。途中、CERから、水がでてしまい、高津さんに助けてもらったが、今日はだめかも、と落ち込んだ声で連絡があったり。

地球研でしかできない研究という研究ってなんだろう。
地球研がやるべき研究ってなんだろう
違和感を訴えるのは多分むちゃくちゃ簡単だけど、それをどう超えるか、誰も分かっていないのかも
個別の事象をリンクさせるのはそう簡単ではないだろう、確かに(秋道先生)。ただ、それをつなぐのは、個別の事象の延長線にあるものだけではないはず。接着剤は、接着剤と全く異なるものを一つにするのだから。そういった、接着剤のような研究だってあっていい。五目チャーハンだって、塩が入ったりする(だめだ、訳わからん)。

北大中塚先生の「溶存鉄」、いつかお話を伺ってみよう。ケムルミかな?明日いらっしゃったら聞いてみよう。でも、さすがに鉄の濃度データは古いの無いわけですよね。PARTNERプロジェクトで、ロシアの水質データの質についての論文あったよな。これか。みんな他の人や機関が出しているデータを、どうチェックするんだろう(無理だろうけど)。歴史的データにせよ、現在のデータにせよ。SharpのDONやらDOCやらの論文とか読んだら、結構しんどい気がするのだけれど。。。

、、、、なんだか頭いたくなってきた。17:30、バスに乗って京大までたどり着き、先の出張で忘れていたlaptopを受け取りに。松尾さんと色々とおしゃべり。頭が重いのは変わらないので、思い切ってタクシーに乗る。京都駅近くのホテルに(予定変更で)宿泊。

学生さんからは「今日CERに泊まります」と連絡有り。頑張れ!いつだって、だいたいの場合、学生さんじゃない。責められるのは指導教官だ。それを区別しないと、彼に失礼だよね。

自分がやろうとしていることを「分からない」と言われて、冷静にそれでも地道に説明し続けられるような人には僕は成れるのだろうか。ま、よく考えれば、「分かる」事なんて非常に少ないんだから、良いのかもしれない?へ??

明日も発表会に参加しています。その後新幹線に飛び乗って、夜は有楽町〜。土曜日はまた新幹線に飛び乗って、今度は琵琶湖の北西で勉強会です(月曜日までみっちり)。

植物生態学、帰ったら注文しよう。そうそうたる執筆陣。

うむ、、またトラブルか、、。がんばれー!うーーむ、またまたとらぶるか、、うーーーん。うーーん。4回目の電話でようやく原因が分かる。25microlitreと書いてあるトラップ用のH2SO4を1drop落としていたのか、、それじゃぁ、数十倍のH2SO4がフィルターに乗っているから、SO2でバックグラウンドは下がらないし、tin cupは腐植するよ!論文の通り、、っていうのがどれほど大事か分からなかったか、、、。

でも、、それは、25microlitrelを測りとるピペット(エッペンドルフ)が、無かったんだよね(買えなかったんだよね)。だから、考えあぐねた上でやっちゃったことなんだよね。分かるよなぁ。普通、学生さんなら3万円のものなんて先生にねだれないものなぁ。。吉田研ではそういう苦労があまりないのけど、我々は別の意味で頑張る義務を負っているのだと心に止めておいて欲しい。自分だって必ずやっていた、やるべくしてやってしまう、悲しい失敗だ。とにかくなんだかむちゃくちゃかわいそう。なんで僕が全く関係のない学生さんに時間もお金も(特に時間)費やしているのだろうと、憤慨することも時たまあるだけど、それは上にも書いたとおり、先生に向けられるべきものであって(その先生は今日本にいない)、彼にではないものな。研究の一部を他の人に任せるときに、何もかも任せるって、当人は良いだろうけど、学生さんはいたたまれないのではないか?そんなもたれ合いは共同研究にはなり得ない。こういうなれ合いは日本ならではなのだろうけど、とにかく、なんてこった。とにかく何とかしよう。助けないと。落ち込むな!落ち込むよりも前にやることはあるんだから!!

って、電話した。必要なものを、出来るだけ早く東工大から送ってもらうようにする。三橋さんと真壁さんに多分迷惑かけちゃうかもしれないけど、とにかく彼を助けよう。やる気のある学生さんのやる気をそぐなんて、最低だ。真壁さんには明日有楽町でおごるし、それで堪忍して〜(三橋には?ってつっこまれそうだが、ま、ねっ!)。

携帯の電池が切れそうです。ご連絡は、それでもとりあえずメイルでお願い致します(PCの電池はまだ大丈夫そうだから)。

 

| Dec 15, 2004 / 邪魔であろうと、とにかく居続けること

今日はとにかく薬品を測り取るのだ、、とまたもや考え事をしながらオフィスに着く。10時までちょっとコーヒーでも飲んで考え事してからやろう、と思っていたら、杉浦さんや山岸さんがいらして、なかなか骨のある質問を。

今の職場環境として「学生さんのところに近い場所に机を下さい」と言ったのは、実際問題自分自身の仕事の効率は下がるけれど、それでも学生さんが話をしに気易いところにいたい、と言う考えからだった。今日のように一応自分の予定を決めてオフィスに来た日であっても、学生さんが話をしに来てくれたための予定変更は、全く気にならない。いや、実際、うーむと思うこともあるのだけど、本当に時間がないときには、違うところでこもって仕事をすればいいし、オフィスにいるときは、前から書いているように、学生さんと話をする、と言うのが最大の目的なので、どんどん来て下さい。それで仕事が本当にと滞るようなら、僕の能力が低すぎるだけだから。

ボート部でコーチをして下さった先輩に、「コーチをやるのであれば、選手よりも何十倍も考えなければならないのは当たり前。それと大事なのは、たとえ力になれないかもしれないと思っても、いつもいて、選手を見ていることだ」と教わった。それは自分がコーチをしていた頃も、そして今も、大事な心得として変わらない。ふと、ちょっと聞いてみようと思うときの、ちょっと、は、もちろんちょっとなのだけれど、どんどんと積み重なって行く。ちょっと聞いてみよう、と言うときに、とりあえず聞くことが出来る、その環境を保つことは大変難しいことだけど、その ちょっと の積み重ねは、学生さんが研究を進めて行く濃密な時間の積み重ねによって、最後の結果を大きく変えると思うのだ。とはいえ、オフィスを留守にしないわけにはいかないので、メイルの返事を早くしたり、ここに眠い目をこすりながら書いたりしている。次の職が研究職だったら、自分の関係している学生さんが独り立ちしたときに、このような日誌は書かないだろう。モチベーションが僕には続きそうにない。

FCRCに行き、さあ測り始めるか、その前にサーバーの調子をちゃんと見ておこう、と思ったら泥沼。結局遅いお昼を挟んで16時頃までサイボウズと格闘。うーーん。なんとか復旧したが、やっぱりこれは何とかしないといけないのでは無かろうか。

結局72個しか包めなかった。。あー。ま、いいか。

今日はAGUの会議に興奮した他大学の学生さんからメイルが来たり(すごいね、世界に本気で羽ばたくのも近いな!)、ずっと御無沙汰していたボートのクルーからメイルが来たり、メイルが少ない比だった割には、良いメイルが多くて良かった良かった。FCRCで戸張さんや真壁さんや水野さんや森田くんが色々と頑張っているのをぼーっと見ながら測り取っているのはそれはそれで楽しかったし。

真壁さんがイオン交換樹脂と格闘を始めた。pHが非常に下がっているらしい。酢酸だって、これでいけると思うんだけど(ねぇ、ふっちゃん!)。イオン交換樹脂に吸着させることは、Silva et al.でも示しているように、Hgなどを使わずにすむ、濃縮できる、など色々めりっとあるから、もうちょっとみんなで色々やってみませんこと?

PNというかPONというか、湖や河川や海洋で、DINとDONとPNの濃度比って、どれくらいと考えたら良いんだろう?こんな簡単なことすらぱっと答えられない。土壌中のSMN、DIN、DONなら何となく分かるから、やっぱり慣れというのは大きいな。

明日明後日と出張です。夜帰ってきて去年の卒業生と飲み会!

週末の勉強会に向けて:4年前はこう言っていた「僕らが作るべき哲学が作れていないけれど、だからといって手をこまねいていて良いわけではない。その妥協案としての内部経済化だ」。今なら?「時空も超え、論理さえ巻き込んだ、高い不確実性を伴った中での社会的意志決定、それに向けて可能である様々なアプローチの中の一つとしての内部経済化だ」。とりあえずそんな感じだが、言葉は上滑りしている。重みがでるのは2年後くらいで良いだろう。けどね、、

 

| Dec 14, 2004 / 初心に色々戻ってみる

朝から電車の中でじみーに考える。またもやじみーに。メイルを打ったりホテルの予約をしたりで10時。ああ、どうしよう、昨日の続きをやるか、それともアンモニウム同位体比測定用の準備を始めるか、、で、とりあえず午後のクリーンキャンパスまでモデルをやるか。

ということで、昨日エラーがでて困ったシミュレーションをもう一度やってみる。もう一度自分のではなくHarvard Forestでの例を見てみる。見てみる。見てみる。。。あれ?ま、間違ってないか?ということで、もう一度.speファイルを作り直して見ると、あ、なんだか動いてる、動いてる!。graphは描けないけど、、まぁデータはのぞけるな。

しかし、なんちゃってシミュレーションモデルと、なんちゃってシミュレーションの一部+NESISでの結果が大きく違う。うむ。どこがおかしいのかな?うーん、うーんとうなりながらお昼を光速で食べて、生協に行って「量子コンピュータとは何か」を買って駆け足で戻る。うーうーとうなっていたら13時。今日は全校上げての大掃除なので、外に出て軍手をはめて雑草を抜く。専攻事務の秤屋さんと中村先生とおしゃべりしながら雑草を抜く。

掃除も終わり、さあてどうしようかなぁと思っていたら真壁さんがいらっしゃり、N2O isotopomerのデータ入力について教える。鈴木大先生も加わり、203はなんだか怪しい空間に(以下略)

真壁さんが頑張って測ったN2Oは、もしかすると面白いのでは無かろうか!まぁ、21日の研究報告でどんな発表をしてくれるか楽しみだ!!

この頃、本当にこの頃だけど、論文に蛍光マーカーでラインを引くことを再開した。PDFで論文を管理していて、読んだらどんどんと捨てているので、逆にラインを引いてしまうと捨てられない、ということで、この何年もやってなかったが、どちらにせよ何度も読む論文は上でいつも鞄に入っているし、読み方がだいぶ甘くなっていることも身にしみてきたので、辞書をそばに置いてちゃんと読むなら読もうと、まさに初心に戻ることに。

いっぱい覚書として書いておかなければならないのだけれど、それはシミュレーションをやりながらメモを取っていたので、それをいつか上げておこう(またはそれについては上げる必要はないかもな)

最近文庫になったという「素人のように考え、玄人として実行する」を昨晩読み終えた。あっという間だった。あまり"HOW-TO本”的な本は読まない(あまり、というか絶対読まない)のだけれど、情報系で活躍なさっていてしかもカーネギーメロンで教鞭を執っている人なので、自分としては本当に珍しく、結構な勇気を振り絞ってこういうタイトルの本を手に取ってみた。中身は非常に良く書かれていて、ビジネス本としても、僕らのような研究者が、研究の習慣("人生の習慣"からもじってみただけだけど)のような物を身につけるためにはどう考えたらいいか、のを知るためにも非常に良い本だと思った(役に立つ本、という言い方は良くない気がした)。昨日書いたsounding boardという言葉もこの本に書いてあったものだ。耳の痛い話もいっぱいあるけど、「当たり前だ」と思わせることがいっぱいしっかり書いてあるから、やはり良い本だなぁと思った。

明日もなんちゃってシミュレーションと戦うか、それとも、、と考えたのだが、なんちゃっては出張中でも出来るな、ということで、明日は朝から測りで薬品を測り続けるぞ!友達は「クリエイティブな仕事じゃない!」なんて言うけど、実際には0.3gを200個ひたすら測り取って薬包紙に包む、なんて仕事がかなりいっぱいなんですよ。それでもそういう仕事の時にどれだけ自分の頭を回す事が出来るかが、勝負なんでしょうけど。「妄想力」を鍛えるには、時には単調作業に没頭するのも悪くないですからね。

 

| Dec 13, 2004 / じみーに考える

朝から電車の中でじみーに考える。僕はいったい何をあのなんちゃってモデルで検証したいんだろう。Pennock et al. (1996)で、2-100microMのアンモニウム濃度レンジでプランクトンの同位体分別が異なる(酵素の回し方が違いそう)というのが書いてあったが、逆に考えれば、そんな高濃度にアンモニウムがなることはほとんど無いのでは無かろうか(海洋でも、もしかすると我々のやっている陸水でも)。5-20microMでの同位体分別はだいぶ小さいぞ。全国の渓流水水質のデータとか色々調べてみないといけないだろうが、アンモニウムについては、同位体分別はたとえ人為起源の窒素が入ってきてもあまり変化しないと考えて良いのでは無かろうか。

そうすると、NESISを使ってみようと言う気になってきた。NESISに僕のなんちゃってモデルとの連結で慣れておけば、PnET-CNやCENTURYや色々な物質循環シミュレーション結果に、同位体比を組み込むことが出来る(はずだ)。

うーうー考えながら、メイルやら論文へのコメントやらをすませて、Biogeochemistryの新刊が出ているのをチェック。色々チェックしたけど取り上げるべきは、アラスカで一緒に仕事をさせてもらっている矢野さんのDOC/DON論文(やっぱりレベル高い)、DONの履歴を追跡しようとするチャレンジ(異性体でアプローチするというのはなかなか面白い)。そんなところか。1st-orderでの同位体比を用いた硝酸損出の追跡という論文は、まぁ読むべきではあるだろうけど、ま、読んだらそれで終わりかな(リンク、DOIがまだ完全ではないのでいつか切れちゃうかもしれない)。あとはJGR-atmosのFiji大気のメタン同位体時系列変化。とてもしっかりしている印象(読んでいないが)。

マニュアルを読みつつ(といってもA4 1頁)、環境ファイルを作り、例を見ながら試行錯誤でなんとかNESISに結果を渡して同位体比の計算が出来るようになった(もちろんマニュアル)。まわった!と三橋さんに叫んでしまう。んが、んんが、全く答えが違う! もう一度見直してみると、ああ、どうやらやっぱり環境ファイルの設定がカラム1つ分ずれているようだ。。ああ、、となおして、これでどうだ!とやってみると、今度は"divided by zero"エラーが!うーーん。

NESIS用.speファイルの解説

23   outファイルの全カラム数:使わないものも含めている。1st columnの時間も含める
0.0036765   同位体のstdのR
6   <シミュレーションする対象ストックの総数<
4 0   leaves (stock 1と名付ける)
ここから下は、6個(上の数だけ)、カラム番号(時間を含めて1から6まで番号が数えられている)
と同位体比初期値を入れる。LeavesはカラムでD(4番目)で初期値が0パーミル
ここの順番と個数に従って、上からstock1、2と指定されて行く。以下ではストックについてはこの番号を用いる
5 0   wood (stock 2と名付ける。ストック番号2とカラム番号5は全く関係なし。ここで関連づけるだけ)  
6 0   roots (stock 3)
7 0   organic soil (stock 4)
8 0   mineral soil (stock 5)
9 0   available N (stock 6)
12   シミュレーションするストックから出ているフラックスの総数(系外へも含む)
6 1 10 0   uptake to leaves (from stock 6 to stock 1)
フラックスが出ているストック、フラックスが向かう先のストック、フラックス速度のカラム番号、そのフラックスの同位体分別。uptake to leavesはカラムJで、6から1に向かうフラックス (10番目)。同位体分別0となっているが、1.030とかにする。
1 4 11 0   leaf litter (from stock 1 to stock 4)   
6 2 12 0   uptake to wood (from stock 6 to stock 2)
2 4 13 0   wood litter (from stock 2 to stock 4)   
6 3 14 0   uptake to roots (from stock 6 to stock 3)
3 4 15 0   root litter (from stock 3 to stock 4)
4 6 16 0   N mineralization organic soil (from stock 4 to stock 6)
6 4 17 0   N immobilization organic soil (from stock 6 to stock 4)
5 6 18 0   N mineralization mineral soil (from stock 5 to stock 6)
4 5 19 0   organic soil to mineral soil flux (from stock 4 to stock 5)
5 5 20 0   DON loss (from stock 5 to outside of system) 
系外へ出てゆくフラックスは同じ番号を2度繰り返す6から6へ
6 6 21 0   DIN loss (from stock 6 to outside of system) 
2   系外から入ってくるフラックスの総数
6 2 22   N deposition (to stock 6) 
どのストックに、どのカラム番号の数字(速度)で、同位体比を表すカラム番号はどれ、を記述
4 3 23   N fixiation (to stock 4) 

そして、明日から時間を見つけてやらなければならないのは

  • 数値データのフォーマットを色々いじってみて同じ計算を。だめならEdとBonnieにメイルを打とう
  • 硝酸濃度のレンジはアンモニウムに比べて大きい。それでも同位体分別係数はほぼ一定として良いのか?
  • アンモニウムvs硝酸というまたもや博士論文のテーマをここでも考慮すべきか?
  • DON vs NH4 vs NO3のレンジはどこまで極端なものが世の中の河川・湖沼生態系で存在しているのかのsurvey

かな?

今読んでいる本の中で、先日書いていた「壁になる」というのは英語では"sounding board”になるというのを知った。これから外国の人と話すときにこれでだいぶ説明楽になる。

今日は何を血迷ったか高い物理化学の教科書と、液クロ犬の巻を買ってしまった。出張でお金が必要だというのに。。Harvard Forestの本はなかなか格調高くてびっくり。

 

| Dec 10, 2004 / 裏切らないものたち

9日。ふと見た富士山は、報道通り雪がだいぶ少なくなっていた。麓の方が薄く見えなくなっていて、浮いていているようで、とても大きかった。存在感を感じながら眺めたのは久しぶりだった。

8日の夜から眺めている鈴木さんのデータ。PCを立ち上げて、でかい体を折り曲げながら、色々試し計算をしてみたり。ふと、、ほんとうにふと、なんだけれど、ふっとなにか付き物が落ちたような気がした。データをいじくりながら考えていたのは、この1年のことなんだけれど、色々となんだかなぁ、なんだかなぁ、、と堂々巡りをしていたときに、あれ?僕は、どんな風になりたかったんだ?Gusのようになりたかったんじゃなかったか?と。そのために何が足りないんだ?才能はどうもしようがないけれど、出来ることは、やっぱり努力すること、勉強する事じゃないだろうか。そうしなければあの圧倒的な余裕を身にまとうことはできやしない。僕の考える努力では全く手も足も出ないのかもしれない。でも、もしも、ほんの少しでも可能性があるなら、努力することで少しでもあのような人間に近づけることが出来るのであれば、そうか、なりふり構わず、努力しよう。努力してもだめかもしれないけど、まぁやってみよう、そんな風にふと、本当にふと思った。思ったというか吹っ切れたというか、落ち着いた。こんな風に書いてもなんのことやら、という感じだけれど、この、なんというか煉獄から右回りか左回りか忘れたけど、とにかく恢復してゆくこの感じは、大学の頃から長い間無かったから、本当に久しぶりだ。

データをいじくってみると色々と妄想が湧く。結局一睡もせず京都駅に。京都は寒い。17番のバスを待って京大に向かう。京都の町中に来るのは、本当は違うのかもしれないけれど、なんだかとても久しぶりのような気がする。去年の今頃私用で京都に来たけれど、あれ以来のような気持ちがする。

時間的な、物理的な過去と、感覚的な過去とは違うのだと思った。ヘッドフォンで音楽を大きめにかけながら少し変わってしまった町並みを眺めていると、この町並みと今の自分は連続していない、とふと思った。時間は一方的に勝手に流れて行くけれど、感情はそう簡単に流れては行かない。ただ、それでも確実に流れては行くものなのか、感情というものは、と。大学で京都に来てから、これからもずっと自分の居場所というものはあやふやなまま行くのだろう、それを自分は望むのだろうと考えてきたけれど、一方で強い不安や寂しさも感じていて、でも、ふと降りてきた感覚は、自分の「飽き性」というか「根無し草」的な性格がもたらす、明と暗の部分の明の方ににつなげてくれる予感を持ったものだった。

徳地先生の部屋に行くもいらっしゃらず、大手先生の所に行っても誰もいないので、地下の実験室に行くとN2Oの共同研究をしている尾坂さんが溶存N2O濃度の測定中だった。色々とお話を聞く。アセチレンブロックの驚愕結果を拝聴する。こうやったらああやったら?ということの8割程度はすでに彼が自分でやっている。むむ、すげぇ。今思うと、なぜ昔からやっておかなかったんだろう、って事はいっぱいあるかもしれないけど、それはやっぱり、今、だから言えることであって、たとえ当たり前のことだったとしても、想像がつくことだったとしても、僕らはそんなに賢くはないし、賢くはなかったんだよね。問題なのは、今、今はきちんとそれが考えられているという事実をきちんと認識すること、そしてそこからさらにもう一歩先へと自分たちの考えを深めることだと思う。がんばろう。

大手先生の部屋に行くと松尾さんがいらっしゃる。ハワイ以来?実に4ヶ月ぶり(あ、たった4ヶ月ぶりか。もっと会って無いような気がしたよね)。お互いの状況を色々話す。そうだよね、多分誰にでもあることだよね。好きなものがなんだか色あせて見えたり、ちょっとした違和感が、とても増幅されて感じられたりする時期があったり、逆にきちんと落ち着いて自分事やまわりを見ることが出来る時期が来たり。いろいろあるけどおたがいがんばろうよね。

松尾さんがどう思っているか分からないけど、僕の中の理想敵状態の1つは、彼女の修士論文の時の自分の頭の働かせ方だった。連日2時3時まであれやこれやと色々と議論して、僕自身、光合成を全く分かっていなかったから彼女に追いつこうと(それなりに)頑張って勉強したし、彼女が持っていた混沌を少しでも秩序に向かうようにしたいと必死だった。

それは僕が指導教官であった徳地さんにしてもらっていたことと全く同じで、当時彼女にも「僕は僕が徳地さんにしてもらったことをしようとしているんだけれどうまく行かないんだ」と何度か実際言っていたと思う。同じような状況は彼女の博士論文のこともあったのかもしれないけど、すでに彼女は立派な研究者として独り立ちしていたし、出来ることはすごく増えていたし、知識も頭の回転も十分で、修論のころとは趣がだいぶ異なっていたのを覚えている。彼女と短い間だけど、勝山先生が入れてくれたおいしいコーヒーを飲みながら、また一つ、違う原点に立ち戻った気がした。

電話があってだいぶ遅れて徳地さんのところへ急ぐ。お昼を福島さんと新井さんと徳地さんと。「継ぎ目」についていろいろと。

午後からは和歌山の今後をどうするか、ご教授頂くということで、戸張さんのWPGMポスターを見ながら同位体データの説明。徳地さんはこの話を聞くのは初めてだったので、感想が気になったけど、とても面白いと絶賛して頂く。そうなんですよ。戸張くんの修論は非常にクリヤーで、まとまっているんで、逆にこれを彼がどう展開して行くか、修論の中でどれだけ可能性を拡大できるかが、彼の将来を大きく決めると思っているので、12/28に初稿を出さなければ修論は見ない、と言っているんですよ、などなど。途中うめちゃんに会う。久しぶり!連絡くれないからさみしかったです!ポスター賞とったんだ!すごいな、うめちゃん、近藤くん、新井君がポスター賞、あれ?福島さんは?あ、げ、撃沈ですか、、ま、まぁね、がんばりましょうね、、。それはそうと、うめちゃん頑張ってな!

18Oの限界や、これからやらないといけないことや、その見通しや、僕らの中で足りないこと、そして、とにかく福島さん、戸張さんの修論で必要なデータについて、地球研から舘野さんも来て下さって議論。僕は衛星画像と格闘して、みんなが和歌山関連で論文を書くのに必要なパラメーターをGIS上で計算することが1月に開催されるはずの「妄想ゼミ」までのタスク。PnETもやろう!和歌山はお願い。僕は相補的に大手さんと相談して桐生でやってみようと決意した(のは10日)。

徳地さんとお話しできたのは、本当に久しぶりで約1年ぶりになるのではないか、というくらい。しかし、本当に僕はこの人に話を聞いてもらっていると、1.2倍は頭が良くなっているような気がする。inspiringされているとしか言いようがない。同じものを見ているのに、かなり見方が違う。その見方の違いが僕にはたまらなく嬉しいし、刺激的だし、何よりも新しい所に自分たちが向かえるのではないかという、強い予感を帯びているものなのだ。

上に書いたこととあっさり矛盾するけれど、久しぶりに徳地さんにあった自分の反応を感じて、ああ、僕はこの人には成れやしない、それは不可能だ、と、これもふと、しかしドスンと落ち着いた感情が降ってきた。これは無理だ。僕はこんな人にはなれない。正確に言うと、僕が思うこの人には、僕にとってのこの人には成れやしない、と思ってしまった。思ってしまったらとたんに楽になった。ふっきれちゃった。

新井君が「あとでちょっと話聞いて下さい」といっていたので、あわてて新井君の所に。またもや恐ろしい妄想をかき立てるデーターが。これは、この情報量をまとめるには、一度やっぱり簡単なモデルを、モデルというのが怪しいのであれば、仮説とそのズレを定量的に表現するような表現方法が必要なところまで来ているのでは!しかし、この結果は衝撃的だ。なぜΔ14Cがあんなに、、どうまとめるか、むちゃくちゃ楽しみ!頭の使いようだね。多分僕らが今考えているよりももっと様々なことをあのデータたちは語ってくれるはず。最大限の先行研究のおさらいと、逆にそれにとらわれない、あほみたいな考えまでも許容できるだけの妄想力が僕らには必要だろう。がんばれ!

あっという間に17時になり、急いで水文の部屋に戻り、桐生でメタンを一緒にやっている伊藤さんとお話し。鈴木さんの修論の話をしようと思ったのだけど、すでに膨大な環境データは伊藤さんからFTPに上げてもらっているし、桐生の様々な論文(卒論、修論、博士論文含む)を上手くまとめれば、それだけでほとんど必要なものは手にはいるだろうと分かったので、伊藤さんのデータや、湿地での恐ろしい強還元環境についての妄想をたくましくする。そして、溶存CO2とCH4の同位体が非常に綺麗な傾向を示しているので、こんな風に解析することから始めてはどうかと、ちょっと提案してみる(思い出したら、あの解析の順序は僕の博士論文でやったことのメタン版だったわけだ)。途中、勝山さんから今度のAGUで話す内容を簡単に紹介してもらう。溶存物質濃度のスケーリングについての考察なのだけれど、だいぶ感動する。実際にやってみると、かなり怖い、不確実性が高い計算が、異なる方向からぴたりとあった。僕としては、その、本筋とは外れた小さな点が非常に印象深かった。

"Do the right things in the right ways"という言葉はずっと考えて行かなければならない言葉なのだけれど、自分が、なんとか具現出来ているかもしれない、そんな風に思う瞬間がある。僕の場合、M2の頃、名古屋の吉岡先生のところでバスに揺られカプセルホテルに泊まりながら測定した同位体データをまとめていたときだった。土壌有機物とアンモニウムという、ほとんど別のプロセスで測定したデータを始めてまとめてグラフを作ろうとしていたときだった。無機的にコピーペーストを繰り返して描いたグラフは、全く別のプロセスで、まったく別々に測定したものが、非常に近い値を取っていることを示していた。

考えたら、分かる。確かにそうなるだろう。予想も出来たろう。しかし、予想と現実、しかも非常に(当時の僕には)難しかった測定、それぞれ異なるプロセスを経て、ようやく始めて一つのグラフの上に乗る、それまでは、そんなに上手く行くなんて予想することは出来なかった。自分の測定の腕や測定の持つ様々な不確実性、エラー。しかし、時としてそれを乗り越えて自然はものを語るんだ、僕はデータに語らせることが出来たのかもしれないな、そう思った瞬間だった。あのときに、もうちょっと研究者としてやっていこう、と決意したのかもしれない。実際には決意を新たにした、ということだと思うけれど。そんなことを勝山さんのデータから鮮やかに思い出した。

18時になり、新井くんを呼び寄せて、新井・尾坂・伊藤のいつも世話になっている学生さん軍団を連れて(福島さんはゼミが明日と言うことで不参加でした。残念です〜)、行きたかった店に行く。いつ来ても何度来ても、ここに来ると嬉しくって仕方がない。大将に色々おごってもらい、最後には東京への土産まで頂き、さんざん食べて最終ののぞみで帰った。江畑はいつも裏切ることがない。

帰りながら、色々なことを考える。次々と色々な妄想が駆けめぐる。僕はいつも様々な人から、本当に色々な形で助けてもらっている。裏切る事のない彼らに対して、果たして僕はどう答えてゆけるのだろう。そんなことも。

たとえ好きでなくても、自分が一生懸命とにかくやろうとしていることについては、本当に一生懸命話せるはずだし、話せなければならないのだ、と思った。ボート部で、ヘッドコーチから、「漕法について1時間は自分の思いを語れなければだめだ」と話をされて、「それくらい出来るわ」と思ったのは3回生の頃、「そんなの三日三晩でもやれるわ〜」と思ったのは4回生の頃。そして、「研究の話なら、体力続けば三日三晩」といったのはD1の頃?皆さんは自分が頑張っていることについて、どれだけの時間語り続けることが出来ますか?

教員として最も嬉しい瞬間の一つは、「データ出たんで、ちょっと話を聞いてもらえませんか?」だ。もちろんデータが1か2か、という話ではなく、データについてそれなりに考えを持っているので、それについて話を聞いてくれないか、という申し出だ。

僕は「耐えて待つこと」、「学生の壁になること」、「知識を与えることと教えることは違う」、なんていうことなどを、いつも頭に入れるようにしているのだけれど(もっとあるけど)、2番目のことを色々今回は考えた。大学院というのは、いつも書いているけど、自分の意志で、多大な努力を払って入学してくるもので、そこでの研究も、自分で選んで推進して行くもののはず。その研究活動は、基本的に自主性によってのみ支えられるものであるべきで、僕は、求める者には限界を超えても与えるけれど、求めない者には何も与える気はない。自分で考えて、それをぶつけてくる人に対しては、そのぶつける球速よりも、より早い玉を返すような壁になる、そんなことをいつも頭に入れている。9日は、合う人合う人が、こんな感じで研究して、こんなデータが出て、こんなに面白そうで、と、息つく暇もない程様々なボールを投げてくれて、とても刺激的だった。嬉しかった。

東工大であれ京大であれ、どこの学生さんであっても、たとえ電子的にしかお会いしたことがない学生さんであっても、自分の考えを真剣にぶつけてもらえること程幸せなことはないと思う。そういう心意気に対して「忙しいから」なんて裏切ることがないように、それだけは頑張りたい。

僕が教えを請うてきた様々な先生たちのようには成れない。成れないけれど、そのことに上手くあきらめがつけられた、忘れられない一日だった。そして、上手く思い出せるようになった一日でもあった。

今日は、昨日頭を使いすぎて11時になってようやくメイルが書ける状態に。和歌山関係者、桐生関係者にメイルを書き、昨日のコメントをもうちょっとメイルで分かりやすくまとめていたらあっという間に17時。ほとんど新しい仕事は出来なかった。昨日今日メイルを下さった方々、すみません(学生さんにはメイル打ってますけどね(笑))。地球研の小川さんにTopograhic Indexについて色々と教わることにしちゃった。よろしくおねがいします〜。

真壁さんがOPAをつかってもうちょっと違うものも測ってチェックしたいと申し出を。昨日も色々やったみたいで、色々と彼女からやってみたいこと、考えたいことがぽんぽん飛び出てくる。すごい。そして、すごいという前に、まずい、こいつに負ける。なんだか色々文献のコピーが出てくるし、僕が思いつくことは、これも8割方彼女がすでに考えたことらしく、「でも、、」と言い負かされてしまう。やばい!隠れて勉強しないと追いつけない!!!

ふと、二人でうんうんうなっていた問題は、同位体比測定に関しては、いつもキャンセルしようとして、実際キャンセルしている問題だった!(さらにブランク補正を考えるだけ)。なんだぁ、、と体の力が抜ける。あほやなぁ!!おれたち!!

Silva et al. (2000: J of Hydrology)のイオン交換樹脂を使った研究での、抽出方法についてあれやこれや。僕らは急いでイオン交換樹脂から100%微量NH4を抽出する(しかも50ml程度で)プロトコルを開発しなければならないのだ!「固相抽出ハンドブック」(?)を見てみたら、二人とも眺めてみたはずなのに、イオン交換についての詳しい記述が、、それを使って再計算してみると、Silva et al.の抽出プロトコルは実に非常に考え抜かれたものだったのだ。

論文というものは、書いてあるものがすべてではない。書いてあるものの行間にはものすごい努力が詰まっている。いま、真壁さんが頑張っていることだって、論文になったら2行、もしかすると1行で片づけられてしまうことかもしれない。だけれど、だからこそ、大変な価値があることなんだよね。そんなことをSilva et al.の元原稿を見ながら語る。 あっさり書いてあるのではない。今読んでいるその一文には血も汗も通っているのだ。

OPAを始めてから、真壁さんの気の使い方、気の配り方、疑問の持ち方が洗練されてきたのが良く分かる。それは一生懸命やっているからこそのことなんだよね。それを論文に書けるところまで後少し。頑張りましょう!ま、ここまで来たら計算の通り行くとも思えないし、数打てば当たるだろ(全然スマートじゃないな)。はは〜

 

| Dec 8, 2004 / 完敗

8:30に出社(電車止まった)。真壁さんのOPAにつきあって、イオン交換樹脂詰めていたら21:30過ぎてた。色々進展したよね、ね!真壁さん!!!真壁体力あるよな、、負けた。。

電車の中でPC開けてメイルチェックしたり、もらったファイルを見てみるんだけど、あまりに大量のデータに圧倒されてしまい良く分からないんだよね(だから聞きに行くんだけど)。メイルもとにかく修論、博士論文に関連するようなものだけをチェックするにとどまる。頭は、、まぁ、働いているのかな?OPAの難しいパズルはとりあえず1月に回そうじゃないの。明日は出張です。

 

| Dec 7, 2004 / なんだか胃拡張

8:20に出社。ふと、授業の準備が不十分であることに気づき、スキャナーを動かし必要な図をデジタル化し続ける。吉田先生がCOE関連でお話しに来たりしているうちに真壁さんから連絡。昨日やった結果がちょっと良くないとのことでG1に走る。

うーんっと、えーっと、と二人でうんうん考えるが、1nMはやっぱり無理だろう!ということで。今やりたいことはイオン交換樹脂から抽出したNaClやKClの濃い水溶液中の、20microM程度のアンモニウムの濃度をOPAで測定したいということで、0.1microMが出ればよい、基本線は1micromMがmaxで最適化するOPAのmethodを20microMまで、感度を落として良いから拡張することにあるのだ、と確認。濃度測定の際に、どんなことを考えながらスタンダードを作っているか、如何に自分をだまそうとしていたかを熱弁していたりして。

お昼会議。その後授業。プロジェクターのケーブルが無くて困る。今日は「色々な炭素化合物の同位体比について、簡単に説明できるようになりましょう」月間ということで、炭素同位体比と植物との関係について。C3、C4位は分かるようにしましょうね!常識です。他の人が対象としている元素についても知っておくことは悪い事じゃない。たとえば昨日書いた硝酸同化が炭素の同化と同じように考えることが出来るかもしれない!なんて、炭素循環研究に同位体比がどう使えるか、を興味を持っていないと分からない、思いつかないことだから。興味を持つことも努力です!

その後地球研で買ってもらった荷物がどーんと来て、うれしがってFCRCに運んだり。みんなつかえよ〜。きれいにあらえよ〜。

真壁さんとG1でお話し。OPAなかなか難しい。うーん。がんばって、Holmes et al.(1999:CJFAS)を読まないといけないな。今思うとJohnston et al.だってOPAを使ってアミノ酸などがぐちゃぐちゃと混ざった中からアンモニウムを取りだしている(OPAのあとSPEで抽出)のだから、なんだか出来そうだ(今までは面倒くさいなぁと思っていた)。でも、OPAが果たして本当にアンモニウムだけと反応しているのか、というのは大きな疑問(濃度はそれで測っているのだから矛盾しているといえば矛盾しているけど)、だし、真壁さんがこれから力を入れて行く方向性を決めるのに、まずはdiffusionでアンモニウム+labile DONの同位体比が果たしてどんな値になるのかを収支の間で見てからでもかまわないのでは?ということで、とりあえず、このままゴー!Downs et al. (1999: Environ Monit Assess)では5mlの樹脂を2M KCl 100mlで抽出(0.5drop/sec)。 Garten CT (1992:Int'l J Environ Anal Chem)でも林内雨を樹脂で回収していたはず(明日探せ!真壁さん「探しました?」と俺に聞くのだ!)。留学中のデータは、うーーん。。どうだろうか、、、。

あ!鈴木さんから300字概要の第2稿が来ていたのにコメントし忘れていた!と、携帯で文面を読みながらいまメイル打った。すまねぇ。

明日は真壁さんとイオン交換樹脂回収率実験に向けてのOPA測定です。明後日は出張です。M2の皆さん、明日中に吉田先生を捕まえるようにね!

 

| Dec 6, 2004 / 真剣に論文読み

久しぶりに7:20に出社。しかしエンジンがかからない。ということで、吉田研websiteの英語版を作る。作るといってもテンプレートをつくって、内容を書けるところだけ書いただけだから2時間半くらいで終了。

Stellaで作ったなんちゃって真壁データ解析シミュレーション(まだデータ出てないけどね!)はMadonnaへの移行はそれほどしんどくない。INITとか%とか、ちょっと手を加えれば良いだけ。もちろんflowchartを使うと大変だけど、論文にシミュレーションモデルの構造を書くにはStellaの絵の方が見やすいので、そちらで行くか。もちろん、Madonnaは無料で読めるけど、Stellaはもう今となってはモデルを動かすだけでもお金を取られてしまうので、皆さんに配布するときはMadonnaにしないといけない。

もう一度論文を検索してみる。プランクトンの窒素吸収の際の同位体分別について。そして、食物網を解析する際の同位体ベースラインについて。Cabana and Rasmussen (1996:PNAS)を引用している約100本(1995年以降)の論文を細かく検証してみる。Harrisonの研究が良いようだ。また、Pennock et al. (1996:L&O)が以前探していたアンモニウム濃度に対応した同位体分別の論文だった。この論文、L&Oを読み始めるきっかけの論文だったのだが、、、。Waser et al. (1999:MEPS)などもやはり重要そうだ。

LINX関係やらモデル論文やら色々見たのだが、同位体分別の濃度による定式化は難しそうだ。考えていたこと、分かったこと一覧。

  • 海の論文ばっかり見つかる!Freshwaterの濃度はもっと高いんだが、、。
  • アンモニウムと硝酸の吸収における競争を考えないといけない(F ratio)か?
  • Freshwaterでのisotopic fractionationに関する研究ってあまり無いのか?
  • 硝酸吸収の際のfractionationは細胞膜を通過するとき、硝酸還元、Influx/Effluxなどの要因があるが、窒素酸素同位体比の測定によって、細胞膜での事は無視して、硝酸還元の際のfractionationがあり、effluxがあることによって、見かけの同位体分別が起きている。
  • Needoba et al. (2004: J of Phycol)やGranger et al. (2004: L&O)によって細胞内と培地の硝酸同位体比が測定されて、細胞内の硝酸が培地の硝酸より重くなっているので吸収で硝酸が入るときの同位体分別はなしとしちゃう。そしてeffluxがかなりあると考える。これは高等植物では考えられていること。なぜ、足りない窒素のeffluxなんて存在するんだろう。葉っぱとCO2の関係ではないんだぞ!不思議だ。なにか硝酸のeffluxには生物学的な意味があるのだろうか。
  • Waser et al.で明らかになっているように、亜硝酸の吸収の際、同位体分別は小さい。細胞内に入った後どんどん使われるから。だから、同位体分別が小さい(つまりは細胞に入る際の同位体分別も小さい)。なるへそ。そりゃそうだ。
  • 重要なことは、e15/e18が約1で一定であること。海の脱窒も1位であること(Sigman et al. 2003:G3)。でもfreshwaterでの脱窒では1.4から2であるらしいこと(Lehmann et al. 2003:GCA)。まず、なぜ1なんだ?なぜ、脱窒は観測されるfractionationと実験室でのfractionationが近いのか?(30‰)。それは、脱窒が起きるときには基質の硝酸がかなりある状態なので、effluxが(influxと比較して)大きくなる。つまり、水利用効率のproxyと考えれば良い。しかし、硝酸吸収の際はそうは行かない。

Granger et al.のDiscussion部分をまとめてみる。学生さんみたいだけど、しっかり読まないと。

  • 光リミット条件下では、硝酸吸収を律速しているものは、硝酸還元酵素活性(Tischner 2000:PCE 23:1005-1024 これ、多分持ってない!うわーん)
  • Wada and Hattori (1978: Geomicrobiol J)で硝酸還元の際にfractionationがあるだろうと考えているのは、 硝酸輸送では結合が切れるわけではないので大きなfractionationが期待されないだろうから。transpoterによる化学反応は同位体分別を起こすには小さすぎる(Melander and Sunders 1980:Reaction rates of isotopic molecules こんな本があるのか!)。また、水の中では硝酸分子の拡散による同位体分別も小さいだろう(Hammond and Prokopenko in press:GCA)。 これは、高等植物、シアノバクテリア、ダイアトムでの小さな同位体分別、亜硝酸での小さな同位体分別からも明らか(亜硝酸は細胞内に蓄積しないから、同位体分別は細胞への取り込みによるものだけだと考えられるから)
  • 硝酸還元酵素自体は15-30‰もの同位体分別を持つはず。だが、同位体分別が硝酸還元で起こるということは、重くなった硝酸が細胞から出て行かなければならない。effluxを起こすためにはエネルギーが必要なため、なぜわざわざ??高等植物では細胞内の硝酸濃度に依存してeffluxが起きると考えられている。
  • Needoba et al. (2004)での結果は細胞内硝酸濃度は培地の硝酸濃度と相関有り。そして細胞内硝酸は培地の硝酸よりも15Nに富んでいた。どれだけ同位体分別があるかは、どれだけ還元されるかよりもどれだけeffluxされるかなのか?しかし、窒素同位体比だけでは硝酸吸収の際の同位体分別という可能性を否定できない
  • 培地の硝酸はe15:e18が1を保って変化した。これはたった一つのプロセスが同位体分別を様々な実験環境下、様々な植物プランクトンにおいて決定していることを意味している。さらに細胞内の硝酸と培地の硝酸の間の同位体分別もも1を保っていた。吸収と還元の両方でfractionationが起きていて、単に還元の効果が大きいだけと想定することも出来るが、細胞内・外の同位体比の差と、培地の硝酸の同位体濃縮の両方が1:1で起きるためには、硝酸吸収も還元もe15:e18が1:1出なければならない
  • e15:e18は、たとえばdiffusionなら0.5位になるはず。Brown and Drury (1957: J Chem Phys)によれば、N-O結合を切る際に、e15:e18は57:29で約2になる。NAP dissimilatory nitrate reductaseをつかったab initio計算によれば、e15:e18は1:1になるらしい。とにかく硝酸同化におけるすべての要素が1:1であると信じる理由はないわけで(しかもここのプロセスは1:1のものなど見つからない:Table 2)。transporterの中の硝酸結合・放出が1:1だという証拠もないが、おそらくe15:e18は低いだろうと考えられる(このような穏やかな分子間反応は酸素原子の同位体に依存するだろうし、酸素原子はよりtransporterと反応しやすいだろうから(ここわからん))。
  • とにかく、e15:e18が~1というのが様々なe15において観測されるという事実は、たった一つのプロセスが同位体分別を決めているということであろう。これは、先に述べた、還元が同位体分別をおこし、硝酸同化の同位体分別はeffluxに依存する、という概念モデルと一致する。e15:e18が~1という関係がe15が10‰でも、それより小さくても起きている、ということも考えると、硝酸輸送は大きく効いていないのだろうと考えられる(硝酸輸送:還元の比が変わってきても1:1だから)
  • 外洋ではeffluxが小さく一定で、なので室内実験と比較してe15が小さい(そして変動幅も小さい)?
  • しかし今のところ、influx/effluxをコントロールしている要因は分からない。鉄リミットの影響も明らかではない。
  • Popp et al. (1998: GCA)でプランクトンの表面積vs体積などが炭素同位体比にどう影響するかを議論しているように、液胞の大きさなどでモデル化できるかもしれない。しれない。。
  • e15が6‰という小さな同位体分別が起きているときでさえ1:1が守られていることから、C3の炭素同位体比と同じような解釈を硝酸吸収についても考えることが出来るだろう!すばらしい!
  • 硝酸の同位体比に影響を与えるといえば、脱窒だが、これも1:1っぽい(Sigman et al. 2003: G3)。様々な海域で報告されている測定された脱窒に伴う同位体分別はかなり大きく、室内実験と近い。これは脱窒菌が素早いeffluxが可能で、intrinsicな同位体分別を発揮することが出来るから(発揮はexpress、expressionという単語で良いみたいね)。このopen systemな振る舞いはwater column denitrificationが生じる環境、つまりは硝酸濃度が高く、硝酸の保持が競争に有利でない環境であることを考えると納得。
  • 硝酸還元酵素には色々あるが、すべてはモリブデン反応中心部?を持っているし、同位体分別はそれほど違いがなさそう。そう考えれば、硝酸還元と脱窒が同じようなe15:e18を持つのも納得か?
  • とはいえ、freshwaterではe15:e18が1.4~2になっているみたい(Lehmann et al. 2003: GCA)。なぜかはまだ分からない。

こんなところか。だめだ、もう眠い〜。良く分かったぞ(ほんまか)。しかし、さすがSigmanの仲間たち、、すごいわ、ほんまに。

豊田さんのAGU発表予聴会に続いてゼミ。

明日は真壁さんとOPAによるイオン交換樹脂回収率実験をやるつもりだが、授業もあるし、会議もある。丸一日実験に費やせるひって本当に少ないのだ。。。

 

| Dec 3, 2004 / お勉強

8:30に出社。今日はNH4用の下ごしらえをするか(時間が一日まるまるある日はこれをやらないと近い将来必ず困る)、勉強するか、、でコーヒーを飲みながら、勉強することにした。

同位体のモデル、、といえば、NESISじゃないか、ということで思い出す。Edが「いや、作ってくれって人がいたもんだから、、」と作成された(うそだろー。そしていったいだれだよそれ!)、NESISをダウンロードして使ってみる。えーっと、どうやるんだっけ?Delphi6も登録してコードを勉強しよう、なんて思っていたのだが、documentにある行列式でトラップされる。数学的な論文なんて読めないんだよなぁ、、しかし、書いてあることは結局この頃考えていることだよね?モデルを回してみて思い出す。ああ、このモデルというのは、stock、flowがparent model(たとえばこの場合MELだ)で分かっていて(計算されていて)、そこから同位体比を計算する際に行列グールグル計算をするためのものだったのだ。
ということは、今僕が作っている。なんちゃってモデルの一部分の結果を加工してNESISに入れればいいのではないか!じゃぁ!と思ったが、今回考えたいのは、単純に単一のisotopic fractionation factorを与えるのではない場合だから、ちょっとまずいのでは、、と思い断念。しかし、fractionation factorを変化させる要因としては、influx/effluxなんだから、それぞれフローをさらに細かくすればいいじゃないか!ということで、、、ま、とにかくMontoya and McCarthy (1995)をPDFに落としてみる。この論文はプランクトンが硝酸を吸収するときのfractionation factorを扱っている論文で、その解釈は最近のSigmanグループの仕事で却下されそうになっている(なんともっともっと古い和田さんの解釈の方が正しそう)なのだが、とにかく1995年以降のfractionation factorを扱っている論文の中で最も引用されているし、事実非常に良い仕事だから、時間はかかったけどPDFに落としておきたかったものなのだ。

スキャナー人生を終え、関西に来週、再来週と結局ちょくちょく出向くことを決め、帰る前に新着論文でも探してみるか、と思い立つ。メイルで色々な雑誌の新着論文情報が届いているのだが、ちょうど来たPlant, Cell and Physiology (PCE)、しかし、なんというか、以前のようにときめかないんだよなぁ。OecologiaもJournal of Ecologyも。Ecological EconomicsにKuznets Curveの論文が出ても、なんだかあまりときめかない。Conjointの論文があっても、まぁねぇ、って感じで。ふーん。
e-alertが来なくても、「新しいのでてないかなぁ」と覗いてみる雑誌というのが、どんな研究をしていてもあるんだけど(AEMやAnalytical Chem、EST、そしてAGUの雑誌はe-alertがきちんと来るのでそれに頼っているけど)、今はEcosystems、RCM、GCB、Marine Chemistry、L&O、SBB、そしてGCAなんだなぁと今日つくづく感じた。だいぶ学生の頃からも、助手の頃からも、変わってきたけど、それは良いことだよな、、って、今回のGCAは(まだe-alert来てないけど)すごいな。"Multiply Substituted Isotopologue"の論文。実際にものすごい努力をして18O13C16Oを測定した論文と、MSI(とそのうち略されるだろう)の可能性を計算した論文。すごい。 CO2の話はGoldschmidtで聴いたのだけど、余りよく分からなかったのだ。いまざっと眺めてみるとすごいわ。あ、DOIがまだ設定完了していないみたいだから、ここここにリンクを張り直しておきます(最新の論文だとDOIが追いつかないのだ)

明日は実習です〜 デュシャンの「泉」が最も影響を与えたモダンアートにピカソを押さえて選ばれたのは嬉しいなぁ。

 

| Dec 2, 2004 / 体の動きは思考よりも深淵なはず

8:20に出社。保険のメイルを書くが、「保険はかけない方が良いんじゃないですか」とたしなめられるメイルが帰ってきて有り難かったり。後輩に色々助けられている。

ひたすら土曜日の実習に使うプレゼンテーションの準備。

  • C3とC4の炭素同位体比の違い
  • 水利用効率とCO2の同位体比
  • CO2の鉛直プロファイル
  • Keeling Plotによるemitted CO2の同位体比推定とC4の寄与

ということで収まりをつけることに。これで十分だろう、と思いたい。長らくかかったが、12時過ぎには完成(ということに)。何日かけてるんだ、全く。仕方ないけどな。

久しぶりに時間が出来ちゃった。どうしよう、、ということで、3月を見越してモデルの勉強を再開。うーん。やっぱりこのソフトを使うという縛りがすべてをだめにしている気がする。骨格は分かってきているんだから、Rとかで作る方が良いんじゃないか(勉強になるし)。submodel間の情報伝達がうまく行ってない!

あっという間に16:30で専攻会議。

ちょっと考えがあって、敢えて仕事を進んで引き受けてみる。今のもやもやを消し去るには、一生懸命もう一度やるしかないんじゃないかと思ってのこと。ちょっと振れると損になったり得になったりする出来事に対して、リスクばかり目にとまってしまう状況は、正しく状況を判断できていないという点で良くないから、敢えて自分を反対側に振らしてみる。センタリングをfarにあげてみる感じ(?)。頭で考えても分からないとこまで来たなら、無理矢理体を動かして体というか自分の深いところに聴いてみよう。そんなこんなで、忙しくしちゃうけど、たとえ出張しても日帰りで帰ってきます〜。みんな使って下さい、私を。

サンボマスターすげー。東京事変は「心」が一番すごい。スガシカオは手に入れたのにまだ聴けていない。あのバンドはすごいよなぁ、最近の洋楽をさっぱり聴かなくなったと変に焦っていたけど、邦楽がすごいんだ(洋楽・邦楽なんて分け方もばかばかしいし)。と研究には全く関係ないのでおわります。朝早く起きてofficeで聞けば良いんだけど起きないんだなぁ、これが。

 

| Dec 1, 2004 / よろしくおねがいします!

本日上野さんがCOE助手として着任なさいました。よろしくお願い致します!

朝から夕方までM2とD1の報告会。M2は後少しです。これからが勝負なので頑張って下さい。戸張・鈴木両氏はメイルで前にお伝えしてあるとおりです。待ってます。今年は師走に走りません。じっと我慢のこ、です。

意地をどこまで張ってゆけるのだろう、なんて思ったりします。はっと、果たしてその意地は張り続けるだけの価値があるのかしら、なんて思い始めたり、そうすると、どんどんと深く考え込んで出て来ることが出来なくなってしまう。信念を持ち続けることは大事だけれど、信念が思いこみに姿を変えると、とたんに軽やかにそこから飛び出さないといけない代物になるわけで、問題は、自分が持っているものが、どちらなのか、それが分かっているのか、分かっていると意地を張り続ける覚悟があるのか、、、いろいろと、自分がやってきたことの価値を揺さぶられる出来事が続くと、いったい自分はどうなってるんだろうと考えたりしますね。ふむ。

明日は土曜日の実習に向けてプレゼンテーションの準備です。会議もあります。今週はこんなのばかりだな。

以前、3年生が見学に来たときに話した内容なんだけど、「何かを面白いと思う技術」「そのための努力」「質問するための努力と技術」、そんなことを考え、自分に当てはめ直してみることにしよう。興味を持ったり、どうしてなんだろう、と思ったりすること、それは、人の性格による、なんて考えられがちだけど、とんでもない。これも考える努力の一つの具体であって、それを分からず、気づかずに過ごしている時間の如何に長いことか。不断の努力、なんていうと大変だけど、常日頃ちょっと姿勢を良くしようと心がけるみたいに、自分の好奇心を活性化させ続けないといけない。

あ、今日の論文は、James Gallowayの窒素循環大レビュー(Biogeochemistry)かな。ものすごく長い論文(しかも濃い)のでまだ印刷も出来ていません。あとは、対抗するように、土壌炭素循環(Frontiers in Ecology and the Environment)のレビューHarvard Forestでの研究の本がようやく出たようなので注文しちゃった。DIRTの結果がどうなっているのか楽しみ。