Kei Koba's weblog in CER, Kyoto University ~ Are we on the right track ? ~

| Mar 29, 2005 / 今日伊丹を出て札幌にやってきております

27日の生態学会での発表につきましては、大勢の方にご出席頂きまして、ありがとうございました。「マニアック」な話になってしまったかもしれませんが、すみません。何か疑問・質問・コメントなどありましたら、お気軽にメイル頂ければと思います。

28日は鈴木さん・眞壁さん発表。ポスター賞審査を担当させて頂いていたので、ほとんど対象ポスターしか見ることが出来なかったのは痛い。酢酸+古細菌発表にどきどきする。午後は大規模操作実験を聞き、その懇親会に参加したかったが、どうしても藻類ー藻類捕食を聞きたかったので、東北大の土居さん主催の自由集会まで粘る。牧野さんのstoichiometry概説は期待通り非常におもしろかった。

今日は10時頃までホテルで仕事をして、ええいままよと出発し、18時の飛行機だったのだが、変更して札幌に15時につき、明日の発表のpptを作っていて、さすがにエネルギー切れしたのとLANケーブルがないので、外に出て、本を見て、ラーメン食べて、さあかえってやるか、と思ったら見覚えのあるシルエットが、、林学会の大手さん、勝山さん、壁谷さんで、勝山・壁谷両君はあしたには帰ってしまうとのことだったので、飲みに出て、電光石火の勢いで、ジンギスカン、魚、そのたもろもろ、とにかく食べたいものを食べて帰ってきたところ(大手チームはこれからラーメン食べるらしい)。さあ、何とか頑張って明日の準備をしないと。ちなみに札幌のセブンイレブンには白バラコーヒー無かった。

2005年 森林水文ワークショップ
日時: 3月30日(水) 9:00-15:00   場所: 3B 会場(文系総合研究棟3階共同講義室) W309
テーマ: 森林の水・物質循環研究への安定同位体の利用
話題提供:
1. 植物の蒸散・光合成研究への水・炭素同位体比の利用
杉本 敦子(北大・地球環境科学)
2. 大気循環と陸面の相互作用による降水の同位体比の変動
芳村 圭 (東大・生産技術研)
3. 森林流域における斜面水文過程研究への水同位体比の利用
浅野 友子(東大・演習林)
4. 森林生態系における物質循環研究への窒素同位体比の利用
木庭 啓介(東工大・総合理工学)
コーディネーター: 大手 信人(京大・農)・柴田 英昭(北大・フィールド研)

という感じで明日お話をしますので、お暇な方はどうぞ〜〜。生態学会と森林学会を掛け持ちで僕の話を聞く人はいないだろうけど、少しでも違う切り口で話すようにしたいなぁ。出来るかなぁ。。。やっぱり朝からなんだ、、まずいな、、、

 

| Mar 25, 2005 / Dissolved Organic Nitrogen

朝からずっとプレゼンテーションの準備。なぜ、たった20分のプレゼンテーションにこんなに時間がかかるのか。妄想が湧いて湧いて困るのと、実際今後の方針をこうやって立てているから、だと言うことで。Isogeochemで流れた質問に返事したり(D論ちょうだい、ってお願いしたかったので、off-lineでメイル打ってみた)、和歌山研究林への報告書、永田CRESTへのちょっとした連絡、地球研へのちょっとした連絡など、年度末報告で午前中はつぶれてしまったけど。

今日の論文は2本

Angelaさんにはお祝いのメイルまで打っちゃいました。返事来るかしら。ま、ともかく、ゆっくり学会中に読もう。この論文。

温暖化の<発見>とは何か」、素晴らしく面白いです。まだ最初の方ですが、地球化学を志す人(僕はそうではないけれど)にとっては、巨人たちがどのように考え、どのように間違え、その間違えからあたらな考えを見つけて行くプロセスが淡々と、良いペースで紡がれて行きます。

おそらく更新は4/1までだめかな〜。日曜日、生態学会の自由集会で発表、29日まで生態学会で大阪にいて、札幌へ飛び、30日北大で森林水文ワークショップにて発表しています。31日はPnETの勉強会を北大でやって、最終便で羽田に帰ります。みなさまご機嫌麗しゅう。学会中に査読とコメント終わらすぞ〜!

 

| Mar 24, 2005 / へろへろ〜

京大生態学研究センターに3日間出張して、大手さん、尾坂さん、由水さん、陀安さんにお世話になって帰ってきました。そのまますずかけ台に向かい、551の宝来豚まんをFCRCにおいて、すぐ眞壁さん、鈴木さん、山岸さんの学会発表予聴会でした。山岸さんはさすが、鈴木さんは頑張れ!眞壁さんは一緒に苦しみましょう!!!てな感じ。そのあと真壁さんとStoichiometryとStable Isotopesとの結婚(ウイリアム・ブレイク)やら、5年先を見越した研究の話やらして、FCRCにもどって須藤先生とteratermの話をして、田中ジャングルジムを見てうらやましくなって、学会発表を頑張っているもう一人の人にエールを送りつつ(おくったつもり)帰路につく。すごい疲れているのが分かる。内田樹の本を読み終える(「寝ながら学べる構造主義」)。寝ながら学べるわけではないけれど、とても読みやすく分かりやすい。今月に入って内田樹の著書は6冊読み終わった。もう残り少ない。

頑張れば頑張っただけ何かを得ることが出来るのが、多分学会発表です。たとえ、学会そのものからでなくても。とにかく頑張りましょう。木庭は、自分の発表の準備がまだ出来ていません。。北海道で1時間しゃべるやつは全く出来ていません。査読もコメントする論文も、コメントする申請書も、報告書もいろいろありますが、それなりに元気です。皆さん頑張りましょう。

この頃、特に、「〜〜さんは別の見方をするかもしれないけれど、僕はこのデータからこんな事を考える」というような言い方をするようになった。たとえ僕の学生であったとしても、僕の考えをコピーして学ぶ必要はないし、むしろ、対等の立場で議論したいんですよ、という現れのつもりなのだけれど。もちろん、自分の考えには自信はある。自信はあるけれど、本当に身につけるべき自信は、相手の考えを素直に聞くことに向けての自信である。とくに、自分と異なる意見に対して、そしてそれが自分と一緒にやっている学生さんのものであれば、なおさら頑張って素直に聞く必要がある。言いくるめてしまうのは残念ながら樂だし(現状の社会の仕組みでは、教官の方が学生さんよりも意見を強く言うことが容易だから)、それでリスクを回避できることも結構あるだろう。でも、そのリスクを引き受けないと、最後に得るものが小さくなってしまうような気がするのだ。

とはいえ、そういった教育方針を好まない人もいるだろうな、と、電車の中で考えた。やっぱり僕と一緒にやっている学生さんにはちょっと話をちゃんと聞いた方が良いな。おやすみなさい。

あーストロガッツの"SYNC"はまだCOOPに登録されてない(予約できないのが困るなぁ)。書いておかないと、近刊書を買い損ねるのだ、最近。「温暖化の〈発見〉とは何か」はCOOPに届いたようだ。取りに行かないと(いつ?!)。あとは「希望格差社会」と「大衆教育社会のゆくえ 学歴主義と平等神話の戦後史」と「アメリカの反知性主義」。読みたい本があるのは良いことだ。

あ!"Freshwater Microbiology"が来ていたのだが(この本もなかなかよさそう)、ぱらぱらめくっていて何がすごいって、吉井さんのL&O論文が図まで引っ張って大々的にfeatureされていたこと!すごいなぁ。吉井さんは今何をなさっているんだろう(和田研で、陀安さん-半場さん-吉井さん-高津くん&木庭、という学年だったのです)。いや、あのバイカル湖の論文は素晴らしいものなぁ。

 

| Mar 21, 2005 / 現在測定挑戦中の、そして明日から会う皆さんに向けて

硝酸の国際スタンダードの値一覧(Bohlke et al. 2003 RCMより)

IAEA-N3(KNO3): d15N=4.7‰、d17O=13.2‰、d18O=25.6‰
USGS32(KNO3): d15N=180.0‰、d17O=n.d.、d18O=25.7‰
USGS34(KNO3): d15N=-1.8‰、d17O=-14.8‰、d18O=-27.9‰
USGS35(NaNO3): d15N=3.6‰、d17O=57.5‰、d18O=51.5‰

うちのAgNO3は delta-15N=11.8‰、酸素は大気に近い値(約22-26‰程度)だが、きっちり決まっていない。Spiked AgNO3も測定すると酸素の値がちゃんと高くなるけど、水の酸素同位体比が測定できてないから、stdとしては使えない。

硝酸の値を補正するためには、まず、この4つのうち最低3つを使う。その時に、上の値を見れば分かるがUSGS35は酸素同位体異常を強く持つものなので、河川水や海洋の硝酸と言ったような降水由来の硝酸(酸素同位体比異常を持つ)がほとんど無い資料について測定を行うのであれば、敢えてUSGS35を使わず、IAEA-N3、USGS32そしてUSGS34を選択する。もちろん、さらに1つ加えて4つstd全てを測定することが好ましい。

2つの測定値を使って、scaleを合わせる。次にそのscale補正を施した3つめのstdの値が、きちんと決められた上の値と合っているかを確認する。それが精度確認(というか確度確認というか)。1つだと、たまたま合うかもしれないし、さらにもう1つ、stdがきちんと合っていることを確認すべき。2つのstdを使って、直線を引き、あと2つの値が、その直線にきちんと乗っているかどうか、を確かめるというメタファーで考えればいい。それが、全部で2つのstdしか使わずにサンプルの値を補正する、となると、その補正値が合っているかどうかの議論が出来ない。なにか値が決まっているstdをサンプルと全く同じように測定して、出てきた値が、国際的に決まっている値と測定精度内で合致する、ということを確かめるのが全てである。

つまりは、国際stdを最低3つ使わないと値の確からしさについての議論は出来ない。大手さんのUSGS methodでは、まだ硝酸の酸素の値がきちんと決まったstdが存在しなかったため、硝酸が溶けている水の同位体比に18Oをいれ、重く(または軽く)しておき、その値を別に平衡法で求めておいて、硝酸の酸素にどれくらい水の酸素が入ってきているかを"spiked"stdを用いて測定していたが、すでにinternational stdが4つ存在している(しかも非常に幅広い値のレンジを持って)以上、その必要はない。もちろんあればあるに越したことはないが、重い水(例えば300‰程度)を平衡法できちんと測ること、そこの測定誤差には気を配るべきだ。吉田研では豊田さんがチェックして下さっているreference gasの値がでているから良いじゃないか、とちょっと分かるようになると考えるが、それは本当の意味では間違いだ。究極のクロスチェックはIAEA stdとのクロスチェックであり、それをしなければ意味がない。むしろN2OとNO3という履歴の異なるstdを別の方法で測定して、お互いの値がきちんと説明できる、というクロスチェックもするために硝酸のstdについては気を配るのだ、と言うくらい考えを深めるべき。分かるかな?N2Oの窒素や酸素の同位体比を決定する手法と、NO3のそれとはちょっとだけ違う部分があるので、その違う部分のもたらす測定誤差を考えつつ「異なった物質の、異なった方法で測定した同位体比」が、お互いクロスチェックした結果、相互説明が可能であれば、それぞれの測定にさらに少しは信頼性を付加できると言うことだ。

Scaleを合わせる、Scaling factorを求める、というのは、水の同位体をSMOW、SLAP、working stdsできちんとやっている人(そういった人々がほぼ全てだと祈りたいが)にはおなじみのやつである。上記の論文のp1838に

d18O 'scale factors' [(d(R2/VSMOW)-d(R1/VSMOW)] / [d(R2/rg)-d(R1/rg)]meas. had an average value of 1.014+-0.002 (1 sigma) before blank adjustments and 1.010+-0.002 after blank adjustments.

と書いてある。式(2)を読めばその意味は分かるだろう。なぜこういったcorrectionが必要なのか、その原因については、難しい問題なので今はパス。

窒素についてのscale factorについては、Coplen et al. (2004) RCMをしっかり読めば書いてある。p247にUSGS32という180.0‰のstdでexpansion coefficient for normalizationを求めたと書いてある。その値は1.02から1.04とのこと。

Coplen et al. (2004) RCMのTable 1とTable 2を自分で再計算できないといけない(だって、補正が出来ていないと言うことだから)。みなさん、出来ますか?是非、論文とにらめっこしながら、自分でやってみて下さい。出てきた結果が、Coplenさんたちと一緒であれば、正解でしょう。dual bugを使う必要はないのです。脱窒菌を2種類使っているのは、上でspiked stdを使っているのと同じようなことです。元々の論文(Casciotti et al. 2002 Anal Chem)に立ち返って、その式(2)を使えば良いだけです。その式に必要な係数を求めるためのstdはすでに揃っているのですから。これね。

d18O(measured) = (d18O(sample) + e) * s * (1-x) + d18O(water) * s * x + d18O(blank) * b
---- (2) in Casciotti et al. (2002)

まず、窒素のscale factorを、窒素の同位体比が分かっていて、酸素同位体異常が無いようなstdを用いて(たとえばAgNO3とUSGS32、IAEA-N3とUSGS32の組み合わせ)求める。USGS32は必ず使うことになる。実際、生データとして180.0‰という値は出ないだろう。以前戸張さんがやった値は1.05618316となっている。Coplen et al. (2004)よりちょっと大きい。実際、170‰程度までしか上がっていないから。そこからblank補正(またはref gas補正か。値をすべて平行移動させる)。

次に、脱窒菌が行ってしまう、硝酸と水との酸素同位体交換の係数を求める。correction factorはCasciotti et al. (2002)のp4908にあるように、CF = (s + b) / (s (1 - x)) である。 であるが、あるstd1とstd2と言うものを使えば、上の式(2)を変形することによって(そして確かブランクが非常に小さいこと、stdの出力がどれも一定という過程をおいた気がする。実際blankはうまく行っているときは非常に小さいからOKだ。Nの量(実際MSに入ってくる量は量依存性の可能性などを考えて、一定にしている)、

CF =
[ (d18O(std1_true) - d18O(std2_true) ] / [ d18O(std1_measured) - d18O(std2_measured) ]

でよく、そうすれば

d18O(sample_true) =
d18O(std1_true) + CF [ d18O(sample_measured) -d18O(std1_measured) ]

となるのだ。いやはや簡単になった。戸張さんが以前やったとき、USGS32->34のCF(std1=32、std2=34)が1.0804だった。

昔のレビューでも杉本先生が書かれていたことだし、いつも口うるさく言っているつもりのことだが、我々の同位体比測定は、あくまで相対測定であって、常日頃、いつ何時でも、自分の測定が「きちんと」行えているかを確かめ続ける必要がある。その方法は、それほど多くない。しかし、それをきちんとやっていない人が多いのも現実だ。同位体比測定が簡単になればなっただけ。同位体比のデータは、ともあれ、どんどん勝手に出てきてしまうものだ。それが本当に確かだと言えるのか?出てきたデータに責任を取れないようであれば、その人のみならず、そのラボ全体のアウトプットが信頼されなくなると言うこと、その間違ったアウトプットで地球温暖化ガスの収支計算が行われる可能性があると言うことを、しっかり肝に銘じて測定は行って欲しい。大げさに聞こえるかもしれないが、あまり大げさとは実は思っていない。

と、熱く書いてみたのだが、なんだか心配になってきた。。。明日からの出張で、この話をみんなにしながらみんなで計算してみることにしよう。バグ講習。

所用で池袋に行っておりました。ジュンク堂で統計本やプログラム本を見ていたのですが(MCMCとかベイズとか流行っている物をちょっと知りたい!)、時間切れ。vmware本は必要なし。結局「活性汚泥モデル」のみ購入。工業レベルで、窒素・リン・有機態炭素の除去をどうやってモデル化して行こうとしているか、知りたいし(身近に専門家もいるし)。やっぱり本を手にとって買うか買わないか考えられるっていいよなぁ。

コーヒーを淹れる。実に、3週間ぶりである。缶コーヒー以外を飲むのもイノダコーヒーぶり。その前も1週間は飲めていない。一日5-6杯飲む人間なのだが、、、。コーヒーが好きと言うだけではなく、コーヒーを飲んでいる時間や、コーヒーを入れることでぼけっとする時間を大事にしていたつもりだったのに、全く破綻していると言うことだ。

うん。やっぱりD1、D2には早めに研究計画と研究進捗状況の客観的把握のためのセミナーをやってもらいたいものですね。しごける所って、そこしかないし、そのためにはこっちも学生さんも勉強するから、お互い意味があると思うしなぁ。

 

| Mar 18, 2005 / 学会発表に向けて(またはMさんにむけて)独り言

鈴木さんは恢復方向と言うことで、ほんとうによかった!!!!ほんとうによかったよぅー。

さて、眞壁さんが今日測定しなそうとしていたサンプルはすでに測定されていて、どうやら大丈夫らしく、今日はちょっとお互い時間が出来た。僕はWetzelのLimnologyという大書をG5から抱えてきてぱらぱらと読み、真壁さんはデータを使ってグラフを書き始めた様子。河川の物質についての研究を始めたのは、この1年しかないし、果たして偉そうに発表して良いのだろうか、不安がよぎるが、Limnologyはあまり答えてくれない。

さてさて、これから生態学会にむけて、話題提供のプレゼンテーションを作らなければならないのだが、一方で学会発表始めての眞壁さんとも話を詰めたい(できれば、彼女の発表の前宣伝という形を僕の発表は取りたい)。そこで、出来るだけここに色々書いておこうと思う(来週出張だし)。補助資料的に読んでくれると嬉しいのだけれど。

流域の水・物質循環とそれを保全・管理するための生態学的視点」というところで「安定同位体比を用いた流域における窒素循環研究」というお題で話題提供することになっている。「流域」というお題は、おそらく大手さんが気を遣ってくれて「河川生態系、と限定したりすると話しづらいだろう」と話を広げて良い、と言うことなんだろうけれど、今の今まですっかり忘れていた。流域か、、、。

河川の物質循環と、森林や湿地の物質循環との間で、何が最も違うんだろう、と言うところから話を始めようと思ったのだが、これが簡単そうで奥深い。僕にとって河川の物質循環で最も衝撃的な概念はnutrient spiralingだった。かなりくらくらした。自分が川に入って、どぷん、っと汲んできたこのサンプル、その中にとけ込んでいる様々な物質は(当然だけど)、異なる歴史を持って、たまたま、その中に入り込んでしまったのだ、と言ったらいいのか、とにかく、なんてダイナミックなんだろう!と思ったのです。昔から徳地さんに「たとえば川の水を汲んだら、その水の溶存物質濃度は、どの程度の時空間を代表できるんでしょうね」とちょくちょく尋ねていたのに、勉強してなかったのだ。

とにかく、流域、ま、今回河川生態系での窒素循環を研究する意義は、色々あろう。富栄養化によって大量に供給される窒素化合物がそのまま下流へと流れていってしまうのか、それとも生態系において「除去」「蓄積」されるのか?また、その際には有害な物質(たとえばN2O)の発生なしに行えるのか?結局「富栄養化」と「脱窒」と「現場プロセスの評価」というのが僕のキーワードになるのだろう(いつもと同じか、、)。ところで、富栄養化って?

久しぶりに環境白書の中を覗いてみると、こんな感じで書いてあった。

今日思ったのだけれど、眞壁さんの質問がだいぶ良い感じになってきた。そういう質問されると、いくらでも話を展開してしまうので、どこでやめるか非常に難しいね。そして、分かって欲しいのは、もう、なにかこうかな?と思ったことの一部は、すでに世界中でもまだ出来ていないことなんだということ。研究はすさまじい早さで進んでいるけれど、一方でやること、やるべき事は、その早さの10倍増しで増えていっている気がする。

先日紹介した「脱窒会議」から、Eric DavidsonのPlanery Talkのpptファイルを興味がある方はダウンロードしてみて下さい("Charge to the workshop"というやつです)。「窒素循環研究において、バランスシートが取れていない。定量的なデータが必要だ、、N lossのプロセスはだいたい分かっているのに、定量性が足りないのだ」とか「脱窒には様々な環境因子が影響しており、電子受容体と供与体の役割をしっかりと理解することが大切」といったようなことが、すでに1955年前後には論文に書かれている。さて、窒素循環研究はどこまで進んだのだ?(ちなみに、Eric Davidsonのことを本当に賢いなぁ、と思ったのはN2001と言う会議があったときに、全体セッションの最後の方で「この会議の提言として『さらなるより詳細な窒素循環研究が必要である』なんてものは出さないようにしようじゃないか」と発言したときだった。彼にあった誰もが「なんてスマートな人なんだ」って口々に言うのだけれど、それはこのファイルにもにじみ出ていて感心しきりでした。ガスクロについてのメイル、なんてどうしようもない内容のメイルを打っても、ちゃんと返事をくれたし、とっても尊敬できる科学者の一人です)。

未来予測の不透明性ゆえに勉強していた」って感じ。確かにそんな感じだった。過去は美化されてしまうけど、実際には明確な目的を持って学生生活を送ることが出来た訳じゃない。それがほんとうのところ。

 

| Mar 17, 2005 / ヒドロキシルアミン、ひどい!

昨日はFCRCに新しいコピー機がきて、コピー(スキャナー)→ファイル化→OCR→PDF化→FTP経由でarchive化→namazuで検索可能なdatabase化、という目標に向けての第一歩。お昼に、4万円分本を買った。割引4000円。得した気になっちゃうその誤解が怖い。Brock微生物学誰か輪読しましょうよー。水野さんのchallenger話を聞いて嬉しくなる。その後真壁さんと終電までヒドロキシルアミン。ばてた。阿部、学会頑張れ!うつらうつらしながら査読論文を読む。これは、本当に久々の強敵だ。

今日はなんとか頑張らねば、、と朝から真壁さんとひどろきしるあみってみた。G1でthinkpadを無線につないで、vmware+win XPとlinuxで並行作業しながら、リモートアシスタンスで別の所にあるPCのメンテナンスをしていると、「すげー、かっこいい!マルチタスク!」と嬉しくなった。ただ、それって僕がマルチタスクな訳じゃないし、linuxのサーバー立ててあれば良いだけじゃない、、、。11:30に素早くお昼を食べて色々臨戦態勢。まずい。まずいぞ。仕事がいっぱいだ。

どうやら、、しっぱい!ざんねん!!!!!出しても出しても出てくるN2O、、、

お昼会議。来年度の研究発表会やゼミについて。古くて新しい問題。

忘れかけていた教授会。退官なさる先生たちから一言あり。

この頃、いやなことがあると、むっ、と言う顔をしてしまいがちだ。それがあたかも「だって、仕方ないじゃない」というように、自分の中でどこか正当化されているのが問題で。「だって」なんて言葉が伴った理由付けなんでろくなもんじゃない。そうやっていやな大人になっていくのをみすみす許してはいけない。「だって」って、いったいどういうことなんだよ!って、自分にきちんと怒らないと、どんどんといけない方向に転がっていってしまう。

せっかく頑張ったのにね、、ごめんなさいまかべさん。指導力不足を痛感するが、落ち込んでいても仕方ない。学会で使うデータのうち、ちょっと不安なものを計り直しながら、学会の戦略を明日練ろう。と、今日色々話をしていたら、こっちは結構すっきりしてきた。僕は、そんなことをやりたかったんだ!それで行こう、生態学会は。森林水文ワークショップは、後で考えることにして、、、。とにかく真壁さんと色々話していると、頭がすっきりしてくる。有り難いことだ。彼女がその分何かを吸い取られて混乱に陥らないことを切に願うのだが。。。

 

| Mar 15, 2005 / Dissertation Proposalのお願い、と全力覚書

ずっと書かなきゃと思っていたことを書いておこう。たしか、アメリカの博士課程の学生さんは"dissertation proposal"というか"Ph.D proposal"というか、良く分からないけど(詳しく書いてある本がオフィスだ)、とにかく、博士課程で、こんな事をこんな風にこんな予定でやって、博士号を取ります、というプロポーザルを書く事になっている。博士課程の学生さんを受け入れる側としては、おそらく給与などの面倒も見ないといけないし、見込みをはっきりと把握したいし、と、まぁとにかく、こいつは大事なのだ(これだけヒットするんだものね)。たとえばこの頁の下の方にとても詳しく書いてある。

以前、アラスカのリモセンをやっていた女性のPh.D proposalを紹介しようと思ったのだが、消えていて(あまり公開しないところも多いらしい)、うーんと思っていたが、今日ふと見たものが、非常にできが良かった(docファイルが開きます。注意)。PrincetonでDaniel Sigmanと一緒にやっている学生さんなのだが(メイルを書いたことはまだ無い)、海洋での窒素循環をやっている人で、脱窒菌を使って、海洋の微量硝酸の酸素窒素安定同位体比から窒素循環を解明しようとしている。

環境理工学創造専攻においては、このproposalは博士論文中間報告会となっているのだが、それはともかく、こういった計画の、簡単なバージョンは、D1になるときには必ず書かないといけない。もっと具体的には

いつ、どこまでのデータで(これから取る予定含む)、どこに(雑誌)、どんな論文を書くのか、それはどこがsomething newなのか(印刷されるのは数年後だけど、その時点を見越してですよ)

をきちんとはっきり言えないといけない。うん。これでいいや。そう、これです。

てな話を夜、久しぶりにお会いした鈴木大先生にしたら、上のproposalを見ながら、「いや、もうちょっと色々考えたいので、5月か6月頃に」とおっしゃられた。僕は鈴木さんのこう言うところが、結構好きである。時々妙に落ち着いていて、冷静だ。ま、新D1はCOE関係のことをまず考えて、次に、D1の1年間で何をするのか(論文執筆と学振を見据えて)、計画を大至急練って下さい。D1って、一番色々出来ますから、逆に考えないと、もったいないですからね。あ、あとは、テーマも、そして指導教官も今までのままでほんとうに良いのか、それも考えるべきです。いいチャンスだからね。ほんとうに。

えっと、朝はMBLのBonnieに「モデルが上手く回らないんだけど、時間あったら助けて」とメイル。時間あったら、って、どう書いたら良いんだろう、だって彼女は僕のために働いているんじゃないしね。と、急にビジネスライクに考えてうだうだしたり。

さて、今日は実験ノートによるとなんと3ヶ月ぶり以上に実験らしきことが出来たらしい。わーい。12月の末から、なの?ふえーん。

真壁さんの学会発表に向けて、なんとか1点だけでも硝酸の同位体比を出したいのだ。んだが、戸張さんが脱窒菌を準備してくれているにもかかわらず間に合いそうにない。んで、マシンタイムは今週中のみ。まぁ、僕としては学会発表の内容とは違うけど、いま真壁さんが慎重にやっている琵琶湖のN2O isotopomer profileが見えればそれだけでよだれじゅるじゅるなのだが、真壁さんは「いやー、えへ」と、硝酸をやりたいようなので、ずっと考えていたものをやろうと思っていたのだ。ちょうど戸張さんも手伝ってくれると言うし。

やろうと思っているのは、脱窒菌の代わりに、化学反応で、硝酸を還元してN2Oにしようというもので、2004年のAGU Fall MeetingでMark Altabetの学生さんがやっていたやつです。って、下に載せてある「脱窒会議」のサイトから、いつも大事に持っている画像がダウンロードできてしまった。 うわ、ここ、妄想きっかけの宝庫だな。Bruceのpowerpoint fileいまみてみたけど、すごいね。ほんまに泣きそう。まぁ、これです。まだ論文になっていないし、なんとなくメイルを打っても返事が返ってこない気がするので、この少ない情報を元に、まぁ、同じ事をやってみようと思っているわけです。ここに最新の情報を書くと誰かに盗まれる、と言われるかもしれないけど、そんなちっちゃいこと言ってたらサイエンスなんて進まないものね(研究が盗まれる、と言うことについて非常にあっさりと金出先生はこの本でお書きになっている。もしも盗まれたとしても、その内容はもともと自分には出来なかった、または、できてもあれほど早くは出来なかったのだ、てな感じで)。そんなみみっちい人にはなりたくないよなぁ。もちろん競争は熾烈だけど、それはそれ。だいたい、秘密にすることって、自分が重要だと思いこんでいるだけで、実際はその多くがあまり秘密にするだけの内容でなかったりするし(笑)。

とにかく、azideなんて怖い薬品を使うわけにはいかないので、硝酸を、カドミウムを使って還元し、還元した亜硝酸を、ヒドロキシルアミンという物質と反応させて、N2Oにすることを考えています。怖いですからねぇ。研究で死んだら、環境を汚したらなんにもならない。

元々そんな反応は古くから知られているし、もっとも近い内容としてはStevens and Laughlin (1994: SSSA)という古い論文(だからリンクは直接のものではないです、あしからず)で、亜硝酸からN2Oを発生させて、微量でトレーサー測れまっせー、という魅力的な内容がある(Stevensのグループは結構何でもかんでもN2Oにして微量で色々測っている。いまいちmajorな勢力に感じられないのは、彼らのやっていることに誰も追いつけないから、と言う感じもする)。

硝酸から亜硝酸にCdを使って還元するときには、硝酸の濃度定量同様、bufferを入れて、pHを8-9にしないといけないらしい(どこかには違うこと書いてあったけど)。pHが低いと、NO3の還元がNO2で止まらず、たとえば、Stevens and LaughlinではpH4.7でNO3からNO2、NH2OH、NH4を創り出している(これが彼らのねらいではあるのだが)。だから、イミダゾールや塩化アンモニウムを入れないといけない。

以前、戸張くんがNO2を使ってN2Oを発生させたときに、結構うまく行ったような記憶があるのだ(それも間違いかもしれないけど。だって、2NH2OH + O2 = N2O + 3H2O (from Anderson 1964)という可能性もあるのでは?うう)。。それで、んじゃぁ、硝酸からやろう!といって勇んでやってくれたら破綻した。。。N2Oがえらいでたのだ。その原因はなんなのだろうか。ま、とにかくNO2とNH2OHを反応させるときには、低いpH(1.7)、高いK濃度(2Mにしよう)、十分なNH2OH濃度が必要らしい(もちろん上のjpeg fileにはそんなこと一言も書いてないけど)。

一方、上のdissertation proposalを読んでくれた希有な人には分かるだろうけど、このヒドロキシルアミンという謎の(僕には謎だ)物質、窒素循環の中で、黒幕的存在なのだ。ま、それはあとで。

僕(と戸張くん)は、NH2OHが何かの拍子で分解して大量のN2Oが発生してしまったと考えている。ところが、ここでこまっちゃうんだよなぁ。いったい化学的に、そんなことが起こるのか、どう言ったときに起こりやすいのかと言うのに関するセンスが僕にはないのだ。。これは、数式を見て、「これはこうこう近似できるんだ」とか「これはなんとかかんとかの形に変形できるんだ」という人に対する劣等感と同類の悲しさなのだ。

金属があると分解が進みますよ〜と、薬品自体に注意書きがしてあるし、Andersonと言う人が1964年に"The copper-catalysed oxidation of hydroxylamine"という論文を書いている(ただしpHは6-8で、生体内の事を念頭に置いている様子)し、こんな論文も見つけた。これは逆に環境水中のヒドロキシルアミンの濃度定量を簡単にしちゃおうという、とってもドキドキな論文。あれ?こっちではpHが3-8でないといけないって書いてあるし、亜硝酸はN2Oの発生に全然関係ないって書いてある、、としばし混乱。この論文は

2NH2OH + 2NaClO --> N2O + 2NaCl + 3H2O
(pH3-8、NO2、NH4やUreaなどの阻害無し!塩分はだめ?)

であり、S&L(1994)は

HNO2 + NH2OH --> N2O + H2O
(pH1.7、K、Clなどがいる?)

なのだ。だけど、上に書いたようにAndersonの論文に書いてある反応(古い論文はどう流れているのか良く分からないので、ちゃんと読んだらどの反応が重要なのか分かるだろうけど、いまは僕にはごちゃごちゃ)

2NH2OH + O2 = N2O + 3H2O?
(あ、あとNH3OH+ <=> NH2OH + H+のpKは5.9だそうです)
NH2OH + O2 = NO2- + H2O + H+ ?
2NH2OH + 4Cu2+ = N2O + H2O + 4Cu+ 4H+ と 4Cu+ + O2 + 4H+ = 4Cu2+ + 2H2O ?

だって起こりそうだし、うーーん。

ということで、Cdで還元した後、イオン交換樹脂でCdの溶けているもの(硝酸の測定後の溶液には結構高濃度でCdが含まれていると聞いたことがあるので)を吸着してしまえば、NH2OHからの膨大なN2Oは押さえられるのかしら?という、まったく数うちゃ当たる的考えで進めております。だれかが、「あんたあほやなぁ、これこれこうやねん!」と教えてくれると嬉しいのだけれど、、、とにかくブランクを取りまくって、どこでN2Oが出来てしまうのか確かめてみるつもり(なんてスマートなやり方からほど遠いんだろうか、、、)。

一方、上に上げたNH2OHの濃度定量、これはそのまま安定同位体比の測定にも繋がる!これはいい!今年やろう。そうすれば、無機態窒素のほとんどの同位体比を測定し倒すことが出来るぞ!結構濃度があるみたいでびっくり。これもよく知られている方法なのかしら。。結局知らないことばっかりなんだよね。化学の知識、センスはどうやったら身に付くんだろうか。

去年、Anne Giblinが「呼ぶわよ」といって呼ばれなかった(涙)、シンポジウムって、これだな!(おもいPDFが開きます。注意!)脱窒会議。すごいメンバー。行きたかったなぁ。お昼に検索してたら見つかったのでめも。あ、こんなプログラムが走っているのか。また、ここからEric Davidsonの去年の論文が取れます。土壌窒素循環をやっている人は必読です。めもめも。

今日の論文

  • 死して美しき屍を残せ?(Live fast, die young and have a beautiful corpseってジェームスディーンの言葉だったのですか!それはともかく、老化した根っこでも、水を輸送する能力は(結果として?)残っているので、Hydraulic redistribution(この言葉が分からない人は調べて下さい)が起きる!というMM Caldwellの論文(相変わらず良い仕事をしている人だ、あったこと無いけど)。Hydraulic redistributionって仕組み、ちょっと好き。おばあちゃんが孫にお菓子を与えて「大きくなるのよ」って言っているみたい(???)
  • 風化が進んだからカチオンがたりない〜ってほんと?(風化が進んで、ミネラル分が足りなくなっているのが熱帯の森林だ、と言うように考えられているけど、実際そう簡単に足りなくなっているというわけではなさそうで、そのメカニズムをモデルで説いてみようという試み、か。とにかく物質循環研究のスキームに問題提起をしているような印象があって、ちゃんと読みたい論文(いつ読むの?!))

もうだめー

 

| Mar 14, 2005 / 久しぶり電車出勤

8:20にオフィス着。阿部くんが大部屋で一人頑張っていた様子(徹夜だそうだ)。本が3冊きていた。メイルと格闘を始めるが、あっと、あっという間に10時に。緊急の用事にはすでに携帯から返事をしているのに、どうしたことか。むむ。

10時から阿部くんの学会予聴会。発表の仕方という点では問題なし。現状を結構知っているので(どんなことが測定できていないか、など)、そこについてのコメントをすることが出来なくなっているなぁ、と思った。それは他の人がやってくれるから良いだろう。とにかく、単純な計算では上手く行かないと言うのは、逆に面白いことだと思う。生態系なんてそんなもの。そろそろstoichiometricに考えても良いのでは?生濃度だけでは分からないことが見えてくるかもしれない。

お昼会議。来年度予算案について。

真壁さんが、「感度が低いんです〜」とヘルプサインを出していたので、G1に行く。行くのは良いが、自分が最後に測定したのってずっと前だから(嘆かわしい)、252の使い方忘れてる。松井くんに教わって、N2モードからNOモードに変更したときの最後の作業、emissionを0.5から上げると言うことを忘れていた。ま、とにかくfocusの合わせ方を学べて良かったね。Heも変えた。

今日のお持ち帰り論文(データベースに取り込んだのは60本くらいあった、、ふえぇ、、)

三橋さんと久しぶりに話が出来て嬉しい。今日は新婚旅行帰りの栗田くんにもお会いした。

明日必要だと思っていた論文が家にあることが分かり、とりあえず戻る。だが、家じゃない!ああ!やっちゃった

 

| Mar 13, 2005 / 戦い終えてデフラグ中

11日は、荷物を郵送し、イノダ本店に行って、またコーヒーとハンバーグサンドという、京大時代の超豪華(?)朝食メニューを2朝続けて頂き(自分にご褒美あげないと)、「ためらいの倫理学」を読みながら(同じ本を2度続けて読むなんて非常に珍しい。大量の荷物に忍び込んでいた唯一の書籍がこれだったと言うことなんだけど)、いろいろと考える。9時半から地球研で会議なのだが、9時ちょっと過ぎには多くの人が集合していらっしゃった。早いな。

「文系」サイドからの発表が終わり(文系とか理系とか、嫌いなんですってば)、お昼には「非常勤職員」というものが抱えさせられる(正当に、なのかどうかが分からないのだが)ものについていろいろとお話を聞くことに。頑張って欲しいなぁ。あとでメイル書こう。

午後は予算案など。中間評価に向けて。また、エクストラとしてPnET-CN合宿(林学会のあと北大で)についてのちょっとした打ち合わせなど。などなどなど。言語処理をもっともっと本格的にやるべきだと思うんですよ。地球研では。

大手さん、柴田さん、徳地さん、本当に忙しそう。彼らに比べたら、僕なんてまだ大丈夫だよな、、なんて思っていたら、査読の依頼が。ああ、なんてタイミング。お引き受けいたしますです。。。

結局、吉田研追い出しコンパに出席できず、、、ああ、、M2の多くの人とはもうお会いするチャンスはないのかもしれないなぁ。みんな新天地でも頑張ってね!ああ、、人の道を外れてしまったような気がする。みんなと最後に会いたかったなぁ、、ああ、、

こんにゃくがてぷん、って倒れるように眠り、土曜日も眠る。大手さんからメイルがあって、うぁ、頑張ってるなぁと思いつつ眠る。午後から友人と整体で集う。何じゃこりゃ。病院に集まるおじいちゃんおばあちゃんのようだ。夕飯を食べて散会。秀丸マクロの本を買った。

日経バイオビジネスから、NOのバイオセンサーを知る。大気NO濃度レベルって、どれくらいでしたっけ?バイオセンサーはppbレベルの感度でるらしいし、ちょっと気になる。ケムルミでももちろんいいんだろうけど。あとは北野宏明氏のシステム生物学についてのインタビューがちょっとあって、やっぱりおもしろそうだ。このpdfで語られているシステムの特徴については、たとえば生態系においても同様であるはずで、うーん、まぁ、自分の感触として扱うことの出来る対象が僕には無いことがどんどん歯がゆくなってくる。publicationsのところから参考になるものをちょっと落としてみよう(月曜日)。こんなのもでているのか。持っていなかったこれと合わせて生協に注文。

中澤先生のwebsiteからWorld Windを知り、立ち上げてみてうおーと叫ぶ。 アラスカとシベリアのつながっている感じがいつもわからなくって困っていたのだが、これならぐるぐる地球を回して遊べる。

そういえば、吉岡さんから、カール・ポパーの「全体」についての2つの定義について知らないか?と聞かれて答えられなかったので、ちょっと調べよう。あ、これも月曜日に、、

携帯のキャリヤーを変えようかと思っているのだが、vodafone以外で、大学メイルを転送していたら、いったいどのくらいかかるのかさっぱり見当がつかない。あほな広告メイルを転送して課金されるなんて、精神的にもいやだろうけれど、教員になって以来ずっとメイルを転送してリアルタイムで見ることに慣れきっているだけに、果たして、メイル転送なしで、気分よく仕事が出来るのだろうか、、と、携帯一つ変えるにしろ、ワーキングスタイルの変革につながるわけで。はて、自分はどんな仕事をどうしたいのかしらん、と悶々と考えているデフラグ日曜日。本当は専攻websiteを作らないといけないのだが、、今日は無理、、、こんにゃく状態だし。メイルも明日にしよう。コステロ・バカラックを聴いてどてぇーっとします。

DAYCENTやPnETなど生態系シミュレーターを本気でやることになりそうなので、Linux環境が手元にいつもないとしんどくなってきた。X40+Vmwareで環境を作ることも考えないといけないかも。なにせlinuxマシンないものなぁ。IPも足りないし、、。ま、こんなところもworking styleに関わってくることなんですけどね。 このsiteについても、結局すべてはつながっていて、outputを最大に(しかもいろいろなことを取りこぼすことなく考えた上で)するためにはどうしたらいいんだろうなぁ。学生さんに僕についての通信簿をつけてもらうと思っていたのに、それも間に合わなくなってしまった。

複雑な世界、単純な法則」を一気読みする予定。とりあえず、いかに食物網が(悲劇的に)入り組んでいるかの元論文はこちら(Yodzis 2000 Ecology)。

ちょっと訳あって、そして、苫小牧で加藤先生とお話しして、大手さんと徳地さんとすっかり妄想し始めてしまって、そして最近(細菌と変換され気味)ずっと高津君と話していて、メタン酸化菌やらメタン生成菌やらC1化合物を使うやつやら、硫酸還元菌、脱窒菌などについての微生物学からのきちっとした論文なり教科書を読みたいなぁと思っています。こんなようなことを土壌でもやってみたいんですがねぇ。とにかく目にとまったVNCについての本を手に入れます。Brockの微生物学はずっと手に入れたいなぁと思っていますが、もちろんおいそれと買える値段ではないので来週現物を見に行ってきます。もう10th editionがでているんですね、英語だと。え!11thもでてるの!!!とりあえず日本語で読むことにします(って、買うんかい!)。微生物の輪読会でもしてみましょうか?あ、永田先生に「微生物生態学特別講義」のご予定を聞いてみないといけない。明日やることありすぎる。あとはSoil MicrobiologyをAmazon.com経由で中古で購入(Search Insideで目次を細かく見たら、今知らないといけないことばかり、、罠だ)、それにFreshwater MicrobiologyをAmazon.co.jpから。あとは生協から「新・土の微生物」の新しめのものを何冊か。

全然上記の本を読むどころじゃなくなってきた。明日、このMethyl halide関係の論文もチェックするように。

 

| Mar 10, 2005 / ダム調査3日目-和歌山研究会-RIHNコアメンバー会議

3日目はダムからスタート。メンテナンスのため、放水環境が通常と異なり、困ってしまう。それでも取るべし!と言うことで調査。そのあとは川を2本巡って、CERについたのが19時過ぎだったか?とにかく終わってよかった。

昨日は和歌山での研究についての報告会。徳地さんが風邪で出席できず。戸張さんの修論の内容を発表すると、皆さんから大いなる妄想をいただく。やることはいっぱいありますね。福島さんのN循環話を興味深く聞く。さらに妄想が広がってしまう。とにかくGrossをやりましょう。大至急。そうそう、大手さんから「木庭のプレゼンは具が多すぎる」と言われたので、これからはちゃんと絞って話をしよう。話をし始めると止まらないのだ。特にこのごろ。

夜は保原さんの就職祝い。二人で天下一品まで食べて帰る。ホテルに倒れ込み寝てしまう。

今回の調査で感じたのは、「まかべ、おおきくなったなぁ」でした。調査をやるやらない、から始まって、いろいろなところで、自分の主体性がはっきりと出るようになってきたのがうれしいし、なにより調査中、まったく眞壁さんのやっていることに心配になる、なんてことがなかったことが、うれしい。あと、彼女に足りないことは、多分経験という名でごまかされてしまう知識で、それは必死で論文を読んだり、学会で話をしたり、なかなか手に入らない情報に対して積極的にアクセスするしかない。質問しまくるしかない。そこだね。M2になってどんな風に羽ばたいてゆくのか楽しみだ。

朝イノダコーヒーで朝食を食べ、地球研でプレゼンテーションの準備なら情報交換などなど。昨日も妄想話をしたので、いったい何の話をしているか訳が分からなくなってきた。柴田さんの発表おもしろい!雨龍でもやりたいなぁ。硝酸。昨日欠席した徳地さんの話が聞けてよかった。やっぱりこの人とは考え方が違ってとってもうれしい(こういうのは本当に希有な存在だけど)。大手さんの水文モデル話は勉強になった。僕の話はどうだったんだろうか、、。木平さんの全国渓流水調査の話は以前も聞いたけどやっぱり興味深いなぁ。福島さん、PnET頑張って!時々はメイルちょうだいね。

僕自身は、もっと抽象的な話が出来るようになりたい、そんなことを出張中ずっと思っている。

日野さん:6-8月 Anabaenaがでた(窒素固定する)、9月Cryptomonasがでる。10月ケイ藻がでる。280:16:1で106:16:1と比較してPが足りない状態。Anabaenaがでるのは汚染された地域(牧草地から)。P additionをすると9月と10月で取り込みが違う。9月の取り込み大きいが、10月は小さい。ICの供給がどれだけあるか。pHが高くなるとH2CO3という利用可能なDICが少なくなって光合成がリミットになっている?

中田さん:朱鞠内湖の応答予測モデル開発。珪酸塩がモデルに組み込まれている(海だからか?)。流れの場をつくったあと生態系モデルを組み込んでいく。水温、塩分がだいたいあっていれば流れ、流動場もあっている。珪酸塩がひつようだからBGCだよね。

このごろずっと単調な文章ですみません。とっても大変な(でも有意義な)日常を送っているのですが、書いている時間がもうとれません。あ、これを読むようにね。Castro&Driscollも。

 

| Mar 7, 2005 / ダム調査2日目

今日は快晴。朝8時に出発。今日は4つ調査地を回る。順調にいった。トラブルと言えば、眞壁さんのstdが入ったソフトクーラーに散歩中の犬がおしっこをかけてしまったことくらい。

今日もかもを食べました。おやすみなさいー。

 

| Mar 6, 2005 / ダム調査1日目

5日は某先生のご結婚パーティー。学会のようだが、とにかく楽しかった。昔のCERに遊びに行ったみたい。

そのまま高津君と瀬田まで戻り、CERに20:30頃着。眞壁さんたちと合流し、荷物の積み込みなどして、21時過ぎに出発、桂、岸和田で休みながら南へひた走り、ちょっと迷いながら民宿に1:30着。とにかく眠る(寒い)

今日は、大雪という予報。。。8時過ぎに出発。すぐ近くの富田川でサンプリング。水がものすごく冷たい。溶存N2Oをとり、硝酸を取り、溶存CH4を取り、、気づくと3時間たっている。すでに1時間オーバー。そこから一度新宮まで行き、熊野を通って、ダムへ(詳細は略)。ダムの放流水を必死で取り、何とか終わったのが、18:30。そこから旅館に行き、ご飯を食べ、眞壁さんは試薬を入れて、20:40、ぎりぎりでお風呂に間に合った!と言うところです。旅館の一角をお借りして、濾過だ濃度測定だ、生物同定だ、とわれわれmad scientistたちは寒くても(雪が降っていましたが)なんとか元気です。

 

| Mar 4, 2005 / 東京は大雪(今週の表題支離滅裂)

大雪。遅れを予想して出発したのだが、小田急線は予想以上に動かない。もみくちゃにされる。ふぇー。

結局予定より30分遅れて東大海洋研着。保原さんはすでに測定の準備をしていた。別室では京大フィールド研の徳地先生と新井君が小川先生となにやらお話をしている。

保原さんと来年度の話をいろいろと。まぁ、お互いいろいろあるし、来年度はquiet yearにしないといけないかもね。彼はアラスカとシベリヤでの仕事があるそうだし、新しい環境だし、こちらはモンゴルがあるし、論文書かないといけないし。Anneから昨日、"We understand that it is probably much more important for you to be publishing at this point so if we can help you out with a small amount of collecting and save you a trip we could probably arrange for it. (However we will miss your energy and good cheer at Toolik!)". とメイルが来ていて、正直むちゃくちゃ泣けた。ま、あとは鈴木大先生がいつメイルにお返事くださるか、だな。

お昼ちょっとすぎに大岡山を出る。3人で新宿でご飯を食べ(どきどきしましたね、東京って怖いですね)、2人は京都へ戻っていった。お疲れ様です。新宿から目黒まで行き、そこから大岡山へ。

今日は吉田研現在4年生の那須君の卒論発表会。修論やら博士論文やらが終わったあとだいぶたってからの発表会なので、かわいそうだよねぇ、とはいえ、発表は発表。見に行った。去年より人が多いような気がした。なかなかきちんと発表してくれて頼もしい。大場先生が一緒に聴いていて、いろいろと鋭くコメントをするが、上手くかわしていたような気がする。とにかくお疲れ様でした!。アイソトポマーの大海にのりだしていってくれぃ!(おぼれるな)。

15時に発表は終わり、図書館で調べものをする。「琵琶湖 その環境と水質形成」はやっぱり手に入れておくべきだな(いま生協から購入してみた)。あとは「湖沼ガス代謝」なるそのものズバリの本もあったのだが、手に入りそうにないなぁ(近いうちに借りよう)。

17時で閉館とのことなので、とぼとぼと帰る。ふぉーとらんらんらん。古いコンパイラー手に入らないだろうか。。。

村岡さんの「日々の覚え書き」の3/3に、いいことが書いてあった。僕もずっとそう思っていて、今年掲げたつもりの目標「書くこと、書かせること」の、「書かせること」と言うことに当たる具体的なことは、レジュメ作りだ。パワーポイントのプレゼンテーションだけに頼るのは、本当に、本当にまずいから。学会発表のツールとしてはいいけれど、あれは論文執筆に必要な能力とはほとんど無縁と言ってもいいと思う(あえて強く言い切ってみましたとさ)。

ところが、吉田研の行事では、レジュメを作って発表するという機会があまり無い。そこを変えること、という根本的なところから、僕は提案したいとは思っている。そのために小規模グループでの活動が多くなっても、仕方ないと思っている(のです、田中さん、眞壁さん)。あ、眞壁の眞はこっちなのでは!。

たとえば、「メタン動態」という言葉は何を意味しているのですか?と言ったような、自分の使っている言葉の意味というものに非常に敏感になるし、ならざるを得ないし、敏感にならなければ相手には伝わらないのだと言うことがゼミでレジュメを配ってみるとよく分かる。そして、自分が書いたものと他人が書いたものを比較すると、明らかに足りないところが分かる。先輩のは、言葉が上滑りしていないし、きちんと順序よく書いてあるし、研究の目的が、背景とともに、しっかりとわかりやすく理解できるように誘導(そう、誘導)されていた。そこから勉強することはいっぱいあった。

最初から書ける人も、もちろんいるだろうけど、多くの人は「書けるようになった」人だ。自分がそうなりたければ、頑張ったら少しは近づける。やらなきゃ、あきらめたら、絶対に近づけないけどね。さあ、どっち?って、僕自身もやらなきゃだめだ、と思っている。だから「書くこと、書かせること」としたんだけど。

明日からはずっと旅に出ています。帰ってくるのは11日ですが、その日は追いコンなので、朝まで飲んでいると思います。とにかくがんばろう。関西の川をいろいろ巡って、ダムがあったり無かったりで何がどう変わるのかを眞壁さん主導で調査してきます。最近森にゆかずに川ばかり。。。いいけどね。

 

| Mar 3, 2005 / 夏はもうすぐ

DAYCENTのコードが届く。CとFORTRANで書かれているのか。ふむ。

The Ecosystems CenterのGusとAnneから続けてメイル。そうか、3月はじめはArctic LTER会議だったね。そしてこの時期にこの夏の予定を決めないといけないんだよね。保原さんは多分無理だろう。問題は鈴木さんだ。僕は、、5年連続で言っているフィールドに今年行かないと言うのは大きな決断だけど、昨日書いたように、やらない、と言うことも大きな意味を持つわけで。。。

ま、とにかくちょっと考えます、とメイルを打つ。たしか東大海洋研に保原さんが出張しているはず。明日会いに行って打ち合わせをしよう。時間はない。しかし、Toolikに行かない、なんて決断をしようとしているなんて、「こんな〜ことはいままでなかった、ぼくがあなたから離れてゆく〜」って、あのオフコースの名曲みたいだ(へ?)。もうそ砂漠の時もそうだが、行き慣れたフィールドから離れてしまうことは寂しい。ま、よくあることではあるんだろうけど。来る人、去る人拒まず、だから。

Arctic LTER meetingは、3/10-13らしい。うーん、今年もいけないわけね。飛行機に飛び乗って行っちゃおうか。つまりはこの日までにちゃんと決めておかないとまずい。

さて、これからPnET-CNのアウトプットを、下の図に合わせて変更して、はき出すデータファイルにさらにNESISの設定ファイルを合わせて、一つ一つのフロートストックについての同位体比初期値、同位体分別係数を割り振ってゆくわけだ。うーー。ちょ、ちょっと休憩。

PnET-CNの構造?論文とは違ってるが

 

 

 

 

 

 

 

この図もすでにversionが古くなった。材木搬出のflowを入れないといけなかった。どうせ、ちまちまと考えていた部分は同位体計算には全く効いてこないところなのだが、窒素のマスバランスがシミュレーション時期全体を通してとれていると言うことは最低限のチェック機能だしね。結局同位体分別なんて割り振るのはHONの分解、NH4のuptake、NO3のuptakeしかないわけで。

このPnETというモデルは、いったい何をモデル計算しているかというと、もともと、森林での水の出入りをきちんと押さえたい、という目的で1992年に公開されたもの。蒸発散量というのは、測定が結構大変で、蒸発量、発散量、などをきちんと押さえるというのは、とても大事なことなのだ。それを非常に少ないパラメーター(たとえば最高最低気温、緯度、降水量など)でえいやっと計算して、結構あってしまう、それがPnETなのだ。詳細については、ここから古い論文をごらんあそばせ。

 

| Mar 2, 2005 / 三月が去る前に

PnET-CNの構造を考えながら、いつもと違う行き方で出勤。通勤途中でDAYCENTの作者から「おもしろそうだから、codeを送ってあげよう」とメイルが来た。ありがたい!それに比べて、PnET-DNDCの作者は、、、ちぇ、、、

こういったことがあるので、外国からであろうが、国内からであろうが、ほとんど知らない人からの研究に関するメイルに対しても返事をするようにしています(一部、やたらめったら『ポストがありませんか?』と訊いてくるメイルだけはのぞくが)。だって、自分がこうやって困っているときに、助けてもらえるのって本当にうれしいし(会ったことも無い人に)、逆に困っていると尋ねられることって、そんなに難しくないことが多かったりする(もちろん、うーん、って問題もあるけど、それはだいたい世界中でみんなうーんってこまっているのだ、と言う現状を教えてあげれば、とにかくほっとしてくれるし)。

codeください!とオフィスでメイルを書いてすぐさま図書館へ向かう。修論が終わった(あとは卒論)すずかけ台の図書館は本当に誰もいない。今日明日明後日しかまともに仕事が出来る日はないのだ!と意気込んでコードを読んでみる。うーん。やっぱり論文にあるstructureだと間違った認識をしてしまうなぁ、ということで、改めて、どういう構造で炭素やら窒素やらをシミュレートしているのか一から書いてみることに。ああ。。

うー、うへぇーと(頭の中で)叫びながらコードとにらめっこしていると、元気になったらしい敏腕美人秘書から「でてこんかーい」とお電話。はは、ただいま、とFCRCにゆくと、敏腕美人秘書はお抱え運転手に車でFCRCまで送って頂いたご様子。さすが。

コピー機につけたいオプションなどの打ち合わせをして、見積もりももらい、これで何とかなりそうだと吉田先生にメイル。三橋さーん、namazuいっしょにやろうね。サーバーもたてないとね。早めにご飯を食べて、生協にゆき、今日は「複雑な世界、単純な法則」と「複雑ネットワークの科学」を受け取る(昨日すでに棚に並んでいた)。後者は良いとして、前者は帰りにぱらぱらとめくって生態系のところだけ読んでしまったが、うーん。バラバシのとあまり代わり映えしない。生態系のところも、Tilmanの論文だって古いものだし、うーん。でも、食物網のつながりが膨大であるという記述は役に立つかな。

amazon.co.jpからはOdumの5th edition、SCOPEの農業と窒素循環に関する報告書、あとアラスカの一般向けの本が到着すると。さいですか、さいですか。。

草場君と怪しげな話をしたあと(がんばって!)、真壁さんとお話。いつも我々は堂々巡りをしているのかもしれない(笑)。とにかく、研究で大事なことはトータルコーディネイト(これは英語?)だ。自分の技術の検出限界(たとえばアンモニウムの検出限界)は、果たして、どのレベルまで必要なのか。上を見ればきりがない(kgという単位だって、変更されるかもしれないってのに)。一方で、自分は何のために、なぜ?それをサンプリングしてそれを測るのか、それをちゃんと考えないといけない。これはM1の時にはあまり言ってこなかった。甘いのを承知で、それよりもサンプリングを実際に行う能力、自分がやりたいとうっかり思っちゃうことをうっかりやっちゃう能力を身につけて欲しかったから、である。

で、あるが、生態系生態学研究でよくある「取ったは良いが、測ったは良いが、so what?」という、あってはならない問題にどう対処するのか。データを取るのに一生懸命で、気づいたら、データの解析に必要なデータが足りない、、、それが怖いからもっとデータを取るんだけど、さらにサポートするデータが欲しくなる、、、データ不足恐怖症。。。。自分の必要なレベル、なぜそれを測るのか、そういった疑問にしっかり答えるための道は、そう、ひたすらまずは先行研究を理解することしかない。先行研究で、何を問題にしていて、何が問題で、どこまで解決できていて、そして、これが最も重要だけれど、何が今後数年間で解けそうな問題なのか、何が今後数年間で問題になってくるべき、乗り越えないといけないポイントなのか、それを読みとるのだ。もうM2になるしね。そのためには、極論だけど、サンプリングをやめちゃうことだって、手なのだ。こわいけどね。。。

論文紹介をしてみたら分かることだけど、完璧な論文なんて無いよね、多分。でも、論文になるレベルの議論、それが出来るためのデータセット、データの質、というのは必ずある。しかも、そのレベルの高い低いと言うものも確実にある。その枠がどこなのかをしっかり考えながらやらないと、せっかく頑張ったけど、取ったデータでは何も言えない(しかも、往々にして我々のデータは季節的だから、過去のデータは取ることが出来ないので、どうしようもない)、なんてことになってしまう。ま、これが一番難しいんだけど(僕だって分かっちゃいない)。

話を戻すと、あえて言えば、読む本がある、読むべき論文がある状態なんて、ありがたいことなのだ。やるべきことは決まっているから。まなぶはまねぶ、であって、とにかくまねることをしっかりとすればいいから。まずはね。問題は、本当に読む論文が無くなるまで自分で努力して読み進めてゆけるか、そして、ほとんど読んでしまったときに、どんな問題意識と見通しをもてるか、だろう。本当に本当に本当に自分が目標とすべき、ライバルとすべき論文なんて、1つの研究テーマで5本くらいしかないはず。または世界で5人くらいしかないはず(と、D1の時にBrian Fryにいわれて、「その5人を抜けば良いんだよ」と諭され、ああ、確かにそんなもんかもなぁ、と思った)。

逆に言うと、読んでいない論文がいっぱいある、なんて状況は、特にどんな形であれ学問(専門知識)で食べていこうとする(ことが多いであろう)博士課程では、そんな状況考えられない、と言っても良いと思う。うわーきびしいー。でも、実際そうでしょ?修士の頃、武田先生は「学生は教官よりずっと時間もあるのに、教官より論文読んでないなんてあかんで」とおっしゃっていて、確かに一部そう思う。

もちろん学生さんだって時間もないし(上記の、教官より時間がない、というのは言い切れないと僕は思う。時間は相対的なものだ。100周年??)、論文読むのも大変だから時間もかかるけど、手に入る関係論文を読み切っちゃわないと、まずは戦いにならないよね。どうせ頑張ったって1テーマ100本もないんだし、僕らの分野なら。100本だよ、たった。たった、というのは、高校の頃、どれだけ勉強したか(しかも自分の興味のないものを)を考えたら、100本なんて、楽だって。全訳する必要があるわけでもなし。同位体とかアイソトポマーなんてなったら、そもそも100本あるかどうか、だし。以前に誰かがやっていて、それについていろいろと書いてくれている。なんてありがたい。人間って知識を積み重ねていけるんだ、言語ってすばらしい(脱線)。そんなこと思うわけです。博士課程の人が「わからない」と言っているときは、彼彼女が分からない、のではなく、それは世界でまだ誰も分かっていない、と言うニュアンスのことが多いはず。そこまでゆかないと、something newを自信を持って、これはsomething newですと言えない。いえないってことは論文にならない、ってことだよね。

ちょっとだけ具体的な例を示しておけば、サンプリングする対象が、日変化するのか、季節変化するのか、場所でどれくらい異なるのか、そして、自分が議論したい対象は、どんなもので、仮説は何か?そんなことを悶々と考えながらサンプリングは行うべきだ。前にもどこかで書いたけれど、本当の勉強はそういったサンプリングの時に考えることであって、考えるベースとなる先行研究のレビューなんて勉強じゃない。だからこそ、その勉強に協力しようと、僕はなるべくサンプリングに立ち会っているのだ。

真壁さんのクーラーボックスは旅立っていった。真壁さんはサンプリングの度にいろいろ考えてくれていて、見ていてとても気持ちが良い。同時にやるべきことは山ほど(本当に山ほど)あって、見ていてとても大変そうだ。もうちょっと意志決定に僕がコミットすれば楽なのかもしれないが、そんなことは絶対にしない。ははは。そんな失礼なことをしないですむように頑張ってくれている彼女には感謝である。

簡単に言えば、何か測定する前には、必ず仮説を立てましょう、ってことかな。仮説を立てて、仮説にあっているなら、まぁ、よしとしよう。合わなかったら、何がいけないのか、それをじっくり考えればいい。そして新たな仮説を立てるのだ。仮説なしでやるのは一番いけない。それは玄人のやることだ。カンで。そんなカンはいつつくんだろう。

あ、そうそう、この論文読みたいなぁ。StoichiometryとStable Isotopeを融合した研究というものはまだほとんど無い(と思うけど、どうなんだ。ElserとSternerの本にはL&Oにでていたあの1本だけしかなかったけど)。読みたいなぁ読みたいなぁ読みたいなぁ(さすがにFreshwater BiologyやAEMまで購読する財力は僕には全くありません)、と、だれかに助けを求める目。

なんかばりばり書いたけど、いったい誰に書いているのだ、といえば、全く自分に書いているわけで。。もっと論文読め、自分。もっともっと頭でっかちになるくらいでちょうど良い。いろんな論文の状況やいろいろなラボの情報でがんじがらめになって動けなくなっちゃうくらいでいいんだってば。どうせなかなか自分が動く状況にはなれないし、だからこそ、動く一歩にはおもーい責任を持たせないと。ああ、なんて、、、。あ、何となく、4月からD2、って感じなんです。がんばらなきゃって感じが。あと2年だぞ、と言うつながりで。

今日の一言「こばちゃんは理系だけど、きれい好きじゃない」by三橋。ごもっともです。。くっそぅ。。。理系とか文系とか嫌いなんです(いいわけにならない)。5Fはきれい好きなんだけど、、(これも認識の誤りを含んでいるか、、)。

えー、明日は休むと思うなぁ。。いろいろと細かな仕事がたまっているんです。専攻のお仕事がもっとも大変。3-5月はちょくちょく自宅研修というか有休使って家で仕事しないとだめかもなぁ。

 

| Mar 1, 2005 / にがつにげちゃった

つくづく、自分はプログラミングというものが苦手なのだと痛感させられる。PnET-CNはNESIS friendlyな構造をしていないので、さて、どうデータを吐かせるか。あるものは月単位、あるものは年単位、あるものはflowのふりしてpool、あるものはpoolの用に論文では書いてあるものの、実はflow、しかもdiscreteというか、なんというか、、、、

ただひたすら考えるのだが、だが、、生協にゆくと、「だいぶ本たまってますよ」と。はいはい。さらに追加して30000円もかかってた。おお、なんたること。インターネットで注文中の本もすでに棚に並んでいて「予約キャンセルできませんか」と聞きたかった。ま、面倒だから良いけど。今月も早くも赤字の予感。

真壁さんの来週の調査についてあれこれなど。そっち方面での発表準備も考えないと。先に購入したPolisの食物網の本を探る。たしか、、そう。DeAngelis & Mulhollandで、水質のモデリングについての章があった。うーん。コピーして持って帰るの面倒だしなぁ、と文献を探ったら、1995年だけどとれるのね。永田さんと、「むるなんとかさん」と呼んでいたMulhollandさんも、ちゃんとこれで覚えたぞ。あら、ここからとれるBiogeochemistry (2004)って、むちゃくちゃ大事じゃないか!持ってるのに、重要視してなかったぞ。今の今まで。

今日の論文は、雪の中のVOCやらN2Oなどのプロファイル、ですかね。へー。

帰り際、Aquatic Food Webs: An ecosystem approach(JJ Elserが書いているのと、なにせUlanowiczですよ。「現代思想」で彼の論文を読んだときはなんだか変な気分だったなぁ)と、Streams and Ground Watersを注文。いま、古本の方が安いや、と思い直してキャンセルしたけれど、国外に送ってくれないので、やっぱり注文し直したところ、、、

いろいろ考えたのですが、本を何らかの形で紹介するときには、amazonなどの書店も、情報量が多いか少ないかと言う判断の元、リンクすることがあります。もちろんこばとの経済的なつながりなどはいっさいありません。なんだか宣伝しているようで気分が悪いものですから、、でも、amazonが一番情報量多かったりするものですから、、、。たとえば、ここだと、中身もちょっとは見ることが出来るしね。。。やっぱり目次を見ていたら必要な気がしてきた。1万円を超える本は買わないのだが、、(11300円)。久しぶりにamazon.comにいったら、どの本がこの本引用していて、この本はどの本を引用しているかまで分かってしまうのか。まずいな。トラップされる。

あしたはやすむかもしれません。