Kei Koba's weblog in CER, Kyoto University ~ Are we on the right track ? ~

| March 1, 2004 / 肩こり。

朝7時過ぎから仕事を始めたのは良いのですが、8時半を前に吐き気を催しました。びっくりです。どうやらPCとのにらめっこが過ぎて、肩こりになっているようです。「肩こり」、そう、私の永遠のテーマ、、、分からないんですよね、、揉んでもらって「あへぇーー」とか言っている人を横目で「うらやましい」と思って来ましたが、未だに分かりません。分からないので揉むのも下手です。

いろいろと仕事は増えていきますが、全体としてはちょっと落ち着いています。明日藤村くんの発表が終われば晴れて今年度は終わり、と言った感じになるのでしょう。

5日締め切りの予算執行と、来週の調査の準備で、それでも何となくばたばたしています。明日はDiffusionの用意で、MgOを0.1gずつ包みます(100個程)。音楽がないとつらそうですね。

今日は雪交じりの冷たい一日でした。16日の 同位体科学研究会プログラム に参加することにしました。お会いできる方、楽しみにしております。

March 2, 2004 / 聞きたいけど、聞けないこと

朝7時過ぎからとりあえず文献などをチェックして、あまりおもしろいものはなかったです。(うそ、Frontiers in Ecology?にSugar MapleとN cycleというおもしろい論文があった。Sugar Mapleのいる土壌では硝化が卓越するものの、この種はどうやら硝酸を利用しないらしく、結果として大量の硝酸流出がもたらされる。その後、この種が入れ替わることによって森林でのN cycleがどうなって行くか、、というreviewだったと記憶)。

9時前からMgOをひたすら包み始めました。なーんだか、「肩こり」っぽく、気分悪いです。1時間半もやると集中力がきれて、ぷへぇー。それでも、11時半頃まで何とか踏ん張って、ご飯を買ってきて食べて大岡山へ。化学科の卒業論文発表会にちょっと参加して、生協を見て、また戻って、発注のことを学生さんにいろいろ相談して(すまねぇ!)、また秤取って、またオフィスに戻って、もうだめだーと言って帰宅です。明日はNaClと、diffusion packを200点作らないと!うへぇ!

「stoichiometryの観点から最も好ましいのは共食いである」。そ、そりゃそうなんですけどね。呼吸の分を入れても、C/N/Pのバランス、取れるのかもしれませんけどね?ね?と思っていたら案の定寝ていました。

この頃特に思い出すことなのですが、webに載っている情報をどこまで信用するのか?どこまで信用できるかをどう判断するか。こんなことを生物圏にいた頃にはよく考えた、考えさせられることが多かったのです。つくづくwebっておもしろい、とともに、難しいんだろうなと最近しみじみ思います。webの広がりって、virtualなんだから、実生活とそれほど関連がなくても良いのかもしれないのですが、実際、ある情報を共有しているコミュニティというのは、かなり偏りがあったり、もっと具体的には、ある空間で同じようにwebにアクセスしていても、たとえば「定番ツール」の情報が全くevenでなかったり、結局非常に人間味があふれてしまっている世界なのかと思ったり。大きな視野を持ってweb communityを見る分にはいろいろ学ぶことがあるのでしょうけど、微視的になれば、簡単に人間と人間の差を強調して、あやしい協調をはぐくんでしまうような気もします。でも、webの「多様性」を見るにつけてほっとしたりもします。結局、一枚の絵を見るのは多種多様な人間であるということかしら。

まあ、つまりは全然未だにインターネットって分かってないんですけどね。僕は。でも、そういうことを考える癖がついたのは京大時代に得た非常に良いことの一つなのでしょう。

そんなことをちょっと思ったりするのは、やっぱり昨日が某先生の追悼式だったからです。生物圏から社会情報のwebsiteへ行って、「三月のいつなんだろうか」と探し始めたところ、なんと昨日で、探し当てたのは昨日の朝7時半。どちらにせよ、いろいろな仕事がすでに目白押しだったので、どうにもこうにもならなかったのですが。MgOを薬包紙に包みながら、ご冥福を祈っていたのですが、正直、実際のところ信じられないと言うのが実感で、とても不謹慎のような、でも、とても正直なその感情をちょっと離れたところから別人のように見ていました

ここには書けないことがたくさん(もちろんですが)あります。いろいろと心配です。みんな大丈夫ですか?って聞きたいのだが、聞けないなぁ。

| March 3, 2004 / 家内制手工業スタート

さすがに3日連続7時過ぎ仕事始めは体力が持たず、本日は定刻始め。NaClをひたすら100個程包み、昼ミーティングにでて、今度はfilter envelope(と言って分かる人が果たして日本に何人いるのかしら?)、とにかくテフロンテープで酸をしみこませたガラスフィルターをちまちまと包むと言う作業を70個分程やってギブアップ。携帯も時計も忘れたので、気分が良いやら悪いやら。

三橋さんと鈴木さんに多大な迷惑をおかけしている予算関連がまだ終わらないらしく、6時近くに三橋さんは某所へお仕事で旅立たれてしまい、申し訳ないなぁと思いながら帰る前にメイルをチェックすると、ああ、でましたよ、Greg Michalskiの論文がEnvironmental Science and Technologyに(まだ出てないですけど)。ああ、すごい、、すぐさま印刷して、帰りの電車で興奮しながら読みました。今日買った「スノーボール」や「WHAT IS GRAPHIC DESIGN?」なんて、とりあえず読む気になれません。これはすごいなぁ、いろんな妄想がこの一本から膨らんでくる。うわー。

明日はとにかくIFREEサンプルを仕掛けることを目標に。そしてまたenvelopeを100個程折りたたんで、金曜日にはNIAESサンプルを仕掛けるのだ!無理かな?農環研のサンプルは急ぐと怖いからゆっくりやるべきかもしれないな(とかまた言い訳を、、)。

Greg Michalskiにメイル打っちゃおうかしら(ファンレターみたいだな)。すごいよ、すごいーー。森林がここまで硝酸を吸っていないのであれば、森林の浄化機能って?そして森林の公益的機能って??というか、窒素循環ってなんなのよ?くらいの意味があると思うな、この論文。そこまで彼は語っていないけど。DavidsonのGlobal Change Biologyの論文と同じく、分かる人にはあまりに衝撃的な論文なんだとおもう。うーーん。すごい。ごちそうさま。Ecologyの最新号におもしろい論文がなかったので、朝一番ではちぇーと思っていたのだが、今日は久しぶりに血湧き肉躍る(?)論文にあたった。明日は妄想しながら単純作業をしよう。

| March 4, 2004 / 海の向こう側でも同じようにたいへんなんだ。

7時20分から文献調べ。Daniel Sigmanの海水混合の論文(Nature)。この人はすごいなぁ。と思ってみていると、PrincetonのSigman labの学生さんからメイル。脱窒菌の育て方について質問をしていたのだが、返事をくれた。ありがとう。あそこでも亜硝酸やらblankやらで結構困っていることが分かって、ほっとしたり。

9時頃からNH4の窒素同位体比測定のための前処理を始めるも、中和で止まる。ちょっとでもアルカリ性に傾けてしまうととたんにNH4が飛んでしまうのだが、あまりに酸性に傾いたままだとMgOではpHを十分上げることが出来ない。結局失敗して、痛烈なH2Sのにおいと戦っていたのだが完敗。明日だな。人のサンプルなので気をつけてやりたいのだ。

昼にmeetingをやった後、片づけとさらに塩の秤取り。そうそう、実験中、昼のmeetingに間に合わない!と焦っていたら、10N NaOHをこぼしてしまったのだ。今日スーツを着てこようか迷ったのだけれど、着てこなくて良かった!白衣は着ていたのだが、ジーンズにぼとりとたれて、水ですぐにのばしても、かなりの強敵だった。いやー。アルカリも怖いからねぇ。

今日は友人と湯島でおいしく鳥鍋を食べて帰りました。ごちやん。

明日はまたDiffutionやり直しです。くやしいのぅ。

| March 5, 2004 / 大中和大会

今日はばてばてで起床できず、それでも何とか8時前にはつき、文献をちょっとチェックしてフロンティア棟へ。昨日の続き。大中和大会。

昼meetingの後も、ひたすら中和大会。終わったのは8時過ぎ。いやぁ、もうへとへと。良いデータが出ると良いけど。かなり心配。

中和、何十回失敗したんだろう。。化学のセンスも物理のセンスもない、、とほほ。。再来週農環研のサンプルは中和が要らない。待ち遠しい。

グループウェアを導入しませんか、とボスに昨晩提案したところ、かなり気に入ったご様子(?)とりあえず、サーバーたてて試験運用してみるか。とにかく僕はもっと話す時間が欲しい。デスクから離れていないとだめかしら。ラボに入り浸っていた方が良いのかな、などなどこの頃いろいろ考えたり。

京大の学生さんから博士論文が届く。コロラドに行くそうな。おめでとう!これからだね!体に気をつけて頑張ってください!

鈴木さんがアラスカで使うstatic chamber大量に届く。その荷物の大きさにびっくりするが、来週我々が桐生-和歌山で使うためにホテルに送った荷物も、実はそれくらいあったりして、、。

結局読む時間が取れなくて、今ざっと読んだIくんの投稿論文。良く書けていて感心した。

この一週間は、コーヒーを飲めず、毎朝誰もいない大学のトンネルにさしかかるところで、「5分間と永遠との違いは何?」という以前読んだ文章のタイトルをなぜか思い出した一週間でした。真人間への道は遠いなぁ。日が長くなりましたよね。

| March 7, 2004 / 11月までは頑張らないと

土日は平日出来ない作業をひたすらしてました。GPSのデータ、COM 5 で通信してます。忘れないように!Photoshop、Illustrater、機能多すぎます。そして自分がやりたいことになかなかたどり着きません。でも「プロ」が使うものって良いですよね(うっとり)。ペヤング大盛りの存在を知りました。人気ラーメン店に行きました。夜中にもう一度行こうと思いましたが、出来ませんでした。もう年だなぁ。というか、やめておけって。でも開店後10分で満席ってすごいなぁ。

文化の日、 大阪でDuchampの展覧会が! それを楽しみにあと9ヶ月頑張ろう!本格的な回顧展は1981年以来だから、20年以上経つのですか。そうですか。楽しみ楽しみ。フィラデルフィアまで行ったのって、いつだっけ?2年前?うーーん。だいぶ御無沙汰してるな、こういう世界と。

明日から金曜深夜まで調査です。みなさまごきげんよう。帰ってきたら何とかしてGRV1788に行くぞ!Chappie!「What is graphic design?」を読んでいたら、いても立ってもいられなくなって来ちゃいました。京都にも店を出してるんですね、しらなかった。Groovisions、いろんなメディアで取り上げられてますが、何で今週末はこんなに興味を持ったんだろう。TVで「僕とは波長が合わないんだ」というのをdifferent wavelengthと言っていて、へぇ、同じだなぁと土曜日思ったのですが、今週末はいつもとなんだか違う波長を僕は持っていたのかもしれませんね。

朝寝ぼけながらラジオを聞いていたら、Swing Out Sisterの新譜が出るとのことで、amazonで予約しちゃいました。昨日の晩、ラジオでやっていたPat Methenyのbest盤も、さらに調子に乗ってはっぴいえんどBOXも予約しちゃいました。まあいいか。。ずっと迷っていたものなぁ。。気づけば、「視聴せずに購入する」アーティストが3つも並んだのって珍しい。はっぴいえんどはもういないですけどね。くるりとSUPERCAR、いいなぁ。Acidmanの新譜はどうなんだろう。

と、なんとなく、Artなことを考える週末でした。明日は5:01の電車に乗ります。もちろん朝です。

| March 8, 2004 / さあ、調査。

京都の朝、寒い。鈴木大先生なかなかいらっしゃらない。工具を忘れたとのこと!そりゃまずいぜ!レンタカーを借りて、ホテルで巨大な荷物を受け取り、お昼を買って、11時にようやく桐生入り。実際に大量の荷物を上に上げることが出来たのは12時過ぎ。chamberを測りはじめたのは2時過ぎかしら。本日は京大森林水文の伊藤さんに来て貰って、メタン関係。とにかく土の中のガスをゆっくりと取りまくる。寒い。寒すぎます。ちらほらと雪も残っています。地味ですねぇ。大きな荷物を上に上げたら背中がピキピキといたくって、とても怖いです。

京大生態研により硝酸の還元実験。Cdをつかって、一晩かけて亜硝酸に還元してみる実験を戸張さん。陀安先生、高津さん、由水さんなどとお話。

焼き肉を食べて(しかし良く食うなぁ、、二人とも)、ホテルに戻ったら、僕の予約ミスでダブルになっている!携帯から予約し直すも手間取りに手間取り、結局最後は部屋の中から戸張くんが何とか予約を滑り込ませて、ほっとする。いやぁ、、ごめんなさい。

明日はもっと寒そうです。明日は湿地地帯のchamberです。土壌も捕ります。還元実験もあります。うへぇ!頑張りましょう。

| March 9, 2004 / 調査(またの名を大食い大会)2日目

7時に朝食。大先生少々遅れてやってくる。8時出発。だが大先生出てこない。コンビニによって桐生へ。駐車場に45分に到着。上に上がって9:15。ちょっと仕事を始めてから氷がないことに気づき、生態研センターに取りに行き、帰ってきて10時過ぎ。土壌ガス採取用の採気管はネズミにだいぶやられてしまっていた。斜面上部での仕事(G1での採水など)は1時過ぎに終わり、あとは湿地での仕事。chamberを5つ。酢酸を幾ばくか。結局終わったのは6時ごろ。センターにより硝酸のサンプルの処理と酢酸サンプルのpHの確認。結局終わったのは7時頃。

その後王将で食事。机が皿で埋まる。

明日は忙しい。とにかく6時にcheck outしないと。

4月からは、もっともっと彼らに先頭を切ってやってもらわないといけないと思う。自分の研究だからね。今のままではやっぱりよほど過保護すぎやしないかしら。などなどつらつらと思いながら今日はサンプリングをしていました。いや、この背中はちょっとやばい。

| March 10, 2004 / 働いているんだから、食べても良いよね、ね。

朝6時にチェックアウト。生態研へより、サンプルを持って京大へ。朝8時につき、駐車。よかった。鈴木大先生酢酸用のバイアルを桐生に忘れてしまう。ちょっと信頼できないバイアル便を使って今日中に抽出するのか、それとも帰って東工大でやるのか、という選択。今日全体のスケジュールを考えて、東工大へリターを持って帰ることを提案。大先生ご英断(←結局今回のスケジュールでは絶対に酢酸の抽出は無理だった。要考慮)。

戸張さんは、とにかく福島さんの和歌山サンプルを一部分けてもらう。約1000サンプルとな。ラベルを作ってないとのこと。うーーむ。それはねぇ、やばいのよ。と言っても分からないかもしれないし、まあ今回は経験してもらうか、と言うことでとにかくラベルを作りながら20ml程度を移し替えて行く。こんな単純な作業であるけど、なにせ500サンプルもやったら本当に死んじゃそうになる。

鈴木は昨日取った土壌プロファイルでのCH4濃度測定を伊藤さんに習う。濃度測定はデータとしても、そして同位体測定のためにも必要な情報なので、GCの使い方を含めて勉強してもらわないと。アラスカでは自分で立ち上げないといけないのだからね。CH4は、まあ、でもかんたんよ。

戸張はECD-GCを尾坂さんに習いつつ、水のサンプルうつしの合間合間にうっている。うまく行っているのかしら。どきどき。

僕はとにかくひたすらバイアル瓶に水を移してラベルを書いて張って、、の繰り返し。背中が痛くて脂汗が出てくる。

斜面上部のG27、乾燥気味な感じだったけれど、CH4の放出が認められたらしい。ほれ見たことか(って、誰に向かっていっているんだ?!)。伊藤さん驚く。鈴木楽しそう。やっぱり、「常識」にとらわれてはいけないよな。これで同位体比が出れば、酸化と還元の「感触」はとりあえず手にはいるじゃないか。すばらしい。学会に間に合うことを祈る。

Bugのためのantiform、京大で使っているやつが、ちょっと怪しげなので、東工大のを送りましょう(戸張さんマター)。CH4スタンダード、もっと低濃度のやつを仕入れましょう(鈴木さんマター)。TCDをO2濃度測定用に立ち上げましょう(木庭・尾坂さんマター)。IPT用に改良もしましょう(木庭マター)。やっぱり2週間程京大に詰めて、いろんなものの環境を整えないといけないか。あ、あと桐生の採気管、GL Scienceの例のやつを改造して作りましょう(鈴木さん木庭マター)。もうネズミにやられてサンプルが採れないなんていやじゃ!

とりあえず水のサンプルを取り終えた(2003年のみ、しかも雨はまだ)時に6時過ぎ。お昼も食べずにやったのだが。鈴木のGCは、土壌ガス、やはり怪しいガスが妨害してなかなか上手く行かない(エチレンかな?)。ので、少し手間取る(合計80サンプル程度)。

んが、んが、とにかく今日は「 とりと 」の日なので、鈴木戸張と飯を食べることを決定。強引に誘って伊藤さん、尾坂さんもついてきてもらう。伊藤尾坂チョイスだったので、今日は5人で15000円程。だいぶ安いな。

その後京大へ戻り、GCを打ち、いろいろと片づけをしてホテルについたのが11時。明日必要な上着を大先生がお忘れになったので京大に戻る。昔ならここでラーメンでも、、と誘ったのだろうが、おなかいっぱい。ホテルの駐車場で明日出さなければならない荷物をまとめて(怪しい団体と思われた)、12時過ぎに就寝。

| March 11, 2004 / 和歌山に来ました。調査続行です

朝5時半にチェックアウト。大先生降りてきたがロックアウトして、クロークに一緒に部屋に戻ってもらう。その間に戸張さんにコーヒーとガムテープを買ってきてもらう。

京都南の佐川急便に6時過ぎに到着。「荷物の引き取り受付時間」が24時間だとwebに書いてあるから来たのだが、本来7時からだとのことで、多少手間取る(どういうことなんだろうか)。昨日電話しておけば良かった。とはいえ、夜の12時に電話してもどうしようもなかったのかもしれないが。とにかく、この電話嫌いから来る、いろいろな失敗は何とかしないといけない。これが、鈴木さんや戸張さんへ注文するように、自分に対しても出すべき注文だろう。調査は大変なのは自分が最も分かっているはずのこと。もう一つレベルを上げて、settingしないといけない。さらに学生さん増えて来るのだし、やりたいことやるべきことは、本当に山のようにあって、でも時間も体力も有限なのだから。

和歌山に入る。雪がない。。戸張さんがっくし。それならそれで、三興に入って渓流水を取ってみよう!ということで、勇んで林道に侵入するも、まさに「林道崩壊」に近く、断念。しかし、やっぱり堰のあるところだけでも取りに行こうと言うことで、ロスタイム含めて4時間以上歩いて渓流水をサンプリング!戸張さん頑張った。これはとても貴重なデータになるに違いない。ほんとうにへろへろ。清水温泉によってから事務所入り。戸張さんと鈴木さんに鍋の支度を任せてしまって、徳地先生と今後のお話。Lovettの論文についてや、PoolとNetの話や、実際にどこまで我々はきっちりと出来るのか、など。あまりに多くのことを一気に相談したので、思い出せるのだが、ここに書くのはあまりに大変。

鍋うみゃぁ!ビールが飲めたよーー(ずっと運転だったので、飲めなかった)。酒が必要な人間ではないのだが、「ビールを飲む」という行為が出来る状態を欲していた。

アンディ・ラウのくねくねを見ながら和歌山研究林利用報告を書いたり。戸張さん間違えて水同位体と福島さんサンプルにもHClを添加してしまう。仕方がないので塩酸を持ち帰り、後でそれを既知の水同位体比をもった水で作ったNaOHで中和して、HClの水同位体比を求め、それから60mlと2mlという割合で計算すればいいだろう、福島さんの方は、測れるものは測って、酸でやられてしまうものは仕方がない、と言うことで決着。そう。対処策を講じるには知識が必要なのだ。他の人はどんなものを測定していて、その時にはどんな処理をしているか、どんなことに気をつけているのか、とかね。12時には布団に入ったが、戸張さんと鈴木さんの話がうつらうつらしながらも聞こえていて、結局電気消えて寝たのは1時半頃。

| March 12, 2004 / 調査最終日:お疲れ様!

朝7時半に起床。戸張さん凍って動けない。そう。寒いのです。とても。

朝飯食べて研究林でサンプリング。奥からK-3(上ウレビ)、K-2(水越谷)、T字路を右に行った奥はK-6(ワル谷)。pH、ECは鈴木さん、サンプリングは戸張さん、僕は運転手。

1時間ちょっとかかって事務所へ。戸張さん運転上手くなってきた。次は高速降りたところから事務所までをトライだな。片づけをして11時に出発。戸張さん車に酔ったとのことで心配する。寝不足、体力消耗、おそらくおなかもすき気味、そして山道。そう、車酔いする要素はほぼすべてそろっているのだ。前回雪サンプリングに行ったときは京大の人々も含めてほぼ全員が車酔いしていた。高速に乗る前にお昼を食べて(戸張さんがコロッケ食べていたので一安心←これもまだお金払ってない!)、高速に乗り、順調に京都駅まで。走行距離611kmだそうです。弁当を買う気になれなかった(今、23時だが、でもまだご飯を食べる気がしない。コロッケのせいかな)。鈴木さんがすずかけ台に戻るというので、551の豚まんをおみやげに買うように両氏におねがい。東工大では三橋さんがいろいろとしてくれている。これが大阪の味?です。ぶたまん。ほんとにありがと。

新幹線に乗りEcological Stoichiometryを開くが、1ページでダウン。背中の痛さも眠気には勝てない。

魔が差した と言うのを英語では 悪魔に誘惑された と言うらしい。

今回、ちょっと細かくいろいろ書いてみた。学生さん二人のいろいろな「失敗」が結局かかれているが、僕は失敗だとは思っていない。でも、バックアップまたは対処策がきちんと考えられないときには、そりゃだめだ、と思うし、言っているつもり。調査に必要な「想像力」を養うためには時間が必要だ。はっきり言ってまだまだ手際が二人とも悪いけれど、大事なことがなんなのか分かってきているし、以前より非常にいろいろ考えられていて、それはすばらしいことだとしみじみ今回も思った。たとえば、Research Assistantとして雇用関係にあるのであれば話は全く別だけれど、「調査」を通じて、自分が何をどんな目的を持って行うのか、そのためには何が必要で、どこまでリスク管理をするか、と言うことを考える良い訓練ができると思う。だから、敢えてここにも書いてみたし、「失敗」が減っているのであれば、とがめはしない。人間だから。でも、「失敗」に落ち込んで、時間をロスしたり、「失敗」が減らなかったり、「失敗」を失敗にしてしまったり、というのはだめだ。学べなければそれは本当にだめだと思う。自戒を込めて。やってみなけりゃわからない、というのは、やって見ちゃったら、必ず理解しなさいよという言葉が裏にいつもあるのだ。

よく僕が言うように、調査中は僕らは「大きな幼稚園児」であって、あれをこうしなさいと言うのを非常に具体的に手を取ってもらわないと出来ないような状態にすぐ陥ってしまう。そうであることを自覚して、または「調査中の自分を全く信頼せず」にいかにきちんとしたサンプリングを行うか、測定を行うか。

例えば、ある日の測定に必要なものをまとめた箱、と言うのを作っておく。ラベルはサンプルのターゲット物質毎に色分けしておく。すべてについて必ず予備を1割程度用意しておく、などなど。我々の調査地は、簡単にゆけるところではないだけに、失敗が許されない。そう思えば前もってかなりの時間を準備に割くようになるはずだ。それは自分の中で、自分がやっていることの順位付けをきちんと出来てきた、自分が何をやっているのか分かってきたことに他ならない。調査中には下手な考えが頭を回る。しんどかったりするし、楽したかったりするし、だいたい正しくやっているのか分からなくなってきたりして、ええいと方針を変更したくなるけれど、そこは一歩踏みとどまって、冷静なあのときに、あれだけ考えてこのスキームにした(このサンプリングセットにした)のだから、これで良いのだ!と言うように自分を納得させ続けなければならない。

最初の方は、言われたことだけをやるので精一杯なのが普通。それが1年程度立ってくると、自分でこんなことをしたいとも思ってくる(思ってこなければだめだし)。そして、言われてやってきたことの重要性も改めて分かってくる。そうすると、自分で時間を作らなければ今まで以上の項目をサンプリング・測定することは出来ないから、効率を上げるしかない、と言うことになって、それならば現地で最も時間を食っているものは何だろう(たとえばラベル作り)、と考えるようになる。とくに手伝ってくれる人がいれば、その人がやりやすいように前もって準備しておくというのは人として当然のことだろう。共同研究とはいえ、手伝ってもらっているという自覚があれば。また、時間も守らざるを得ない。自分の仕事を順調にやると言うことに重きを置くようになれば。「順調」というのは本当に大事で、例えば寒くて手がかじかんでガスのサンプルをゆっくりと引けない、なんてことになってサンプルの質が悪くなる、、そんなことは簡単に起きることだし、寝不足だったら、集中できずに、結局「ま、いいか」と言う要素を含んだサンプリングを行ってしまう。悪いことに、そういう質の悪さはデータに出てこないことが多い。すると結局全体のデータの質に関わってきてしまうことにもなる。そして、結局僕らが見ているものが現実からどんどん遊離してしまうのだ。それは科学を志すものとしてあってはならない状態だろう。

例えば鈴木さんの調査はいろいろといろんなものを測定しようとしていて、そのために彼女はかなりいろいろなものをきちんと準備できるようになってきた。戸張さんは元から分かってしまえばちゃきちゃき出来てしまう人なので、分かったことが増えるにつれて、調査での動きは非常に良くなってきた。頼もしいものだ。今回、結局ハードスケジュールになってしまったのは、一部僕の責任だが、彼らは持ち前の体力でそれをカバーしてくれた(体力があるから、ハードスケジュールというものに対する定義付けが僕とは違うのか)。そう、だから、「失敗」をカバーしてそこから学べれば何やったって(だいたい)いいんだよね。

一方で、じゃあこれからどうなるのか、というのは不安と期待がある。3月後半(に行きたいが、実際には予算が動かないから無理か、、)、4月の調査は、彼らが彼らなりにしたいことを始めてくれると本当に嬉しいし、僕はそれを期待している。そのために僕は新しいM1やB4のみんなの方に時間を割こうと思っている。そして、彼らが「やらされている」と思うことがあれば(そう思っていることがあるような印象をしばしば受けるので)、それははっきりさせてしまおうと思う。僕は僕でやらなければならない仕事がやっぱり山程あることが今回はっきりしてしまったから。そういう「グレー」な仕事を作ってしまったのは僕の責任だから、そこはビジネスライクにはっきりとさせて、一方で、僕の研究と彼らの研究の間に一線を引いてしまうのも必要かもしれない。生き残るための「研究者としての時間」も僕にはやはり必要だろうから。「共同研究」なんだ、と言うことを全面に出してしまおうか。それも、プロジェクトを掛け持ちでやっているPIのようで良いかもしれない。教官として「教える」義務もあるが、同時に研究を推進する義務もあるし、生き残るためには論文を生産するという義務(至上命令)もあるわけで、それらは同時並行に行かないときがかなりあるのだ。

そんなことを考えていると、結局、任期付きの教官というものの問題点に着地するのだ。中途半端で特に2人には迷惑をかけていると思う。すまん。だいたい、ここに書いているときに、ですます調と、断定調がごちゃごちゃになっていることが多いことに、中途半端さが現れているなといつも思う。

とにかく、お世話になった京大の皆さん、鈴木さん戸張さん、三橋さん、ありがとうございました。楽しかったです。おいしかったです(?)。大変だったけどね(笑)。これで平成15年度は終わりです。調査はね。これからがまた勝負です。いやぁ、へろへろですが、今回は特に充実してました。「愛の八艘飛び」、「しーもーしーもーしもぅ」、「きれいなクマ」などがキーワードでしょうか。

| March 15, 2004 / 北より友来る

朝、どよーーん。つかれてるーー。7:20に仕事始める。メイルの山と格闘。論文は、Oecologiaのdelta-13C(COO)と言うのがおもしろそう(in press)、あとはGBCの海洋でDONやNO3が物理的にどのように供給されるか(水平方向、鉛直方向)、そんなものかな。あまり おっ!と言うものはなかったような気がする(少なくとも家に帰ってくるまで記憶に残るようなものは)。

出張の残務。三橋さんにいろいろとお願い。京大にVitousekのStoichiometry論文、国立環境研の保原さんにAlexanderの古い論文を送る。読むよーに!カワウ材窒素同位体比用の石英管購入を決意。これで来年度もらえるであろう科学研究費の大半の使い道はすでに決定してしまった。それはそれで非常によいことだと思ってはいる。問題は、その石英管を使ったmanualの窒素同位体比測定を、僕が教えに行くだけの時間が果たしてあるのか、、だ。

いろいろばたばたとしているともうお昼。meetingを終え、フロンティアでMgOを包み始める。その前に戸張さんのGIS Desktopを奪い(すまぬ!)フロンティア棟にとぼとぼと運ぶ。グループウェアを試してみるためにサーバーが必要なのだ。しかし、フロンティア棟のとある部屋のLANはDHCPにつながれてしまっていて、Globalが取れない状態になっている。管理者にメイルするが返事がないので、とりあえずほおっておく。うーーん。

数時間遅れで迷いに迷ったらしい 川口さん いらっしゃる。ラボを見て頂くが、蒲生・角皆研と比べたら、あんまりぱっとしないかもね。というか、もう世界のどこのラボに行ったって、あまり驚いたりは出来ないやろ、などの話をつらつらと。

川口さんとは去年の若手会でお会いしたのだが、まじめな人で(豪快でもあるが)、この頃ちょっとメイルでのやりとりをしてもらっていた(同位体異常について)。話ながら、いろいろと思うことがあった。

アカウンタビリティ(説明責任)が、あまねく重要だと言われ始めている昨今ではありますが、最も重要なのは、自分自身に対するaccountabilityではあるまいか。accountabilityなんていうと、ごまかせちゃうから、自分をきちんと納得させられているか、そしてこの場合、自分をきちんとどきどきわくわくさせられているか、であります。

「自分の感受性くらい 自分でまもれ ばかものよ」でしたっけ(茨木のりこ)。知的好奇心を満足させ続ける(続ける、がみそですが)のは、実は並大抵のことではないのです。吉田研で言えば、ごく微量で酢酸の分子内同位体比が測れたり、メタンの炭素水素同位体比が測れたり、N2Oのisotopomer ratioが測れたり、他にも進行中のいろいろなものがあったりしますが、すぐに慣れます。慣れちまいます。そんなもんです。測定できたところで、すべてが分かるわけでもなく、逆に闇は広がるだけのことも多く、そんなことも相まって、簡単に慣れて行くものです。

僕が教官(もうすぐ教員?)として自分に課していることの一つは、「学生さんがやってきたことを、きちんと受け止めさせよう」ということで、特に自分が成し遂げてきたことを、その意味を、きちんと分かってもらおうと言うことです。足りないものをあげつらうのは、本当に本当に簡単なことです。そしてやってしまいがちなことです。それを他人として、「あなたは、いついつからこれを始めて、これも、あれも、こんなことも出来るようになってきたじゃない」というのを指摘してあげることが、重要ではないか、そう考えてそれについては非常に厳しく自分に課しているつもりです。卒論、修論を書く頃、書いた後などは、「いったい自分は何をやってきたのか」と思うのが当然で、しかし、自分を過小評価していては時間も労力ももったいないのです。

研究をやっていて、自分がやってきたことの意味が分からなくなったり、自分がやりたいことが分からなくなったりすることはしばしばあります(特に修士の頃でしょうか。個人的にはそうでした)。その時には、違う分野の人と共同研究を始めることで、自分がやってきたことをどう説明できるのか自分に課してみたり、良い雑誌に投稿して、自分の仕事の質を査定してもらったり、reviewを書いてみて、自分の研究背景をきちんとまとめてみたり、と、いろいろなことをやってみました。それらはそれぞれ、いろいろなヒントをくれたように思います。

でも、迷うのが、悩むのが当たり前です。盲目的に言われたことをやってきて、分かってきて、ちょっと自分で考えてやってみて、そして止まって考える。僕は修士の頃は悩みに悩んだらいいのにと思っています。そこで悩まないと、中途半端な気持ちでは修士論文は乗り切れない、レベルをもう一段上げられない、そんな気がしたりするのです。

明日は追い出しコンパです。

| March 17, 2004 / 窒素循環研究の新展望

昨日は朝8時にオフィスについて、文献検索の続き(15日はe-mailで案内が来たものについてだけやったので)。GCAの鉄同位体論文、SBBの土壌でのエチレン生成論文(R Conradだ!またか、、)、Marine ChemistryのN2Oトレーサー測定(Q-massでやっていた、今日読んだらあまりおもしろくなかった)、SBBの土壌のfreeze-thawによる15Nの再分配論文(Johannsonグループ。N2Oもやっぱり出た!でも実は単純ではないと言うのがこの論文の内容)、だったかな?もうあんまり覚えてないや。

そしてお昼過ぎに大岡山での研究会へ。お魚さん。平田研の大野さんの発表がおもしろかった。俺の血も測ってもらおうかな(鉄同位体)。先日からいらっしゃっている吉岡さんといろいろしゃべっていたら、ポスターも終わって、早々に引き上げ町田に戻る。

追い出しコンパ。写真はおみせできませぬ。。。M2がいなくなるのは寂しい。こういう寂しさがいやだから僕は次々と職場を変えたくなるんだろう。さよならは言われるよりも言う方が良い。それにしても特に下級生の働きには目を見張るものがあった。M2はさぞかし感動したことだろう。感動してやってくれ。人間としてあるべき姿だよね。

今日は背中も痛いのでゆっくりと行こうと腹を決めて9時出社。ただひたすらfilter envelopeをつくる。背中が痛くてやすみやすみ。

今日の論文はなんと言っても これ でしょう。巨人(本当にでかい。MPIのあの人よりもでかい。でも仕事むちゃ細かいこと出来る人の) Josh Schimel の窒素循環研究に対する新しい提案。先日「poolとrateが」と言うことを書こうとしていたけど、この論文はそれとは違う意味で問題を投げかけている。単純に言えば、ずっと植物が無機態(アンモニウムや硝酸イオン)の窒素を吸収すると考えられてきたけれど、今となっては有機態だってばんばん吸うと考えるべきで、さて、では、もう一歩先に進むときに何をどう考えるべきなのか?ということを述べている。キーワードはdepolymerizationで、これが結局植物にとってavailableな窒素を決めているのだろう、と言うお話。

ちまちま仕事をしながら、BasiaのCDを聞き、背中の痛みがちょっとひどいので休みながらこの論文を読んだのだけど、なんだかいろいろな思いが駆けめぐって、ちょっとセンチメンタルになってしまった(笑)。N-availabilityをどのように測定すべきなのか、少なくとも既存のindexをどう否定して行くかというのが、僕の博士論文の内容でもあったわけで、アプローチは全く違うけれど、問題意識は同じだよなぁ、なんて。

Joshには以前、アラスカの窒素循環の妄想を投げかけたことがあったけど、あっさりと否定されちゃった。でも、この論文を読みながら、ああ、そりゃそうかも、なんて思ったりもした。これは書けそうだけど僕には絶対書けない提案論文だな。なんだか、論文で感動するってのも、ふむ、、という気もするけど、正直、深く感動した。英語だったら、impressedというよりは、movedと言う感じ?なんだか感動した心がふわふわしているような。とにかく心がざわつくような。

帰りの電車でエチレン論文を読む。へぇ、好気的な環境でのエチレン生成はよく知られている(らしい)けど、嫌気的なところでの生成は分かっていないんだ。エチレンがあれば、メタンの酸化は競争によって押さえられてしまうから、表層で好気的であって、エチレンが生成されていれば、好気的なのにメタン酸化は進行しない。だから、時々土壌深いところでメタンが酸化されて、表層で酸化されていない状態が見受けられるのでは?とのこと。桐生もまさにそうではなかろうか。メタンピークが土壌進度に沿って2つあるのであれば、それは可能性があるぞ!そして、先の日誌にも書いたけど、おそらくエチレン濃度が検出できるくらいあるに違いない(この論文ではかなり低い濃度でもメタン酸化阻害が起こっている)。窒素固定を桐生で徳地さんが測ると言っていたから、GC-FIDはエチレン、プロパン、アセチレンまで測定できるようにregulationを変えようと思っているのだけれど、これで一粒で3つくらいおいしいでは!どうでしょう?エチレンの濃度が変わらないのも、おそらく生成と消費が同程度起きているから、と書いてあるが、それこそ同位体の出番では?どうでしょう?

今日は三橋さんがちょっと早く帰れていたのでほっとしました。忙しすぎるよね。

今度木庭研にいらっしゃる(木庭研と吉田研は何の区別もないので、こういう書き方はもうしないと思いますけど)学生さんから、webに書いてあることが分からない、とご相談をいただきましたが、わかんなくって良いですよ(笑)。分からないのが当たり前です。ただ、M2になるころには分かるようになりますよ。というか分かってもらわないといけないなぁ。僕がどきどきわくわくしているレベルなんて、それほど高いレベルでもない(でも、もちろん低いレベルでもない)し、いわゆるEcosystems EcologyやBiogeochemistryの分野では、まぁ、悪いレベルで勝負する気はさらさらないものね。そしてそのレベルを高い状態で保つことが、難しい試験を突破して入学してくる新入生のみなさまに対しての礼儀とも思ったりしてますし。難しいことは、克服する過程で、やっぱりいろいろなことを教えてくれるから。

しかし、自分が修士の頃は、どうだったんだ?さえない、頭があまり切れそうにない、体力だけあるような学生だったと最近聞いたなぁ。そうかも。ま、それはおいておこう(笑)。今日、机の中から4回生の6月に書いた研究計画が出てきてびっくり。徳地さんの「なぜ物質循環を研究するのか、を考えましょうね」というコメントがついているので、それはそのまま彼女に今度投げかけてみよう。それにしても僕は学生さんにレベルの高いことを要求しすぎているのかなぁ。今度聞いてみよう。

そう思って、じゃあ、これを読みなさい、という教科書を考えてみたのだけれど、、Biogeochemistry ( W.H. Schlesinger )かPrinciples of Terrestrial Ecosystems Ecology ( Terry Chapin )かなぁ。うん。そうしよう。って、僕が学生だったら気絶するかも。

| March 18, 2004 / 今日も封筒折ってます(家内制手工業)

朝8時にオフィスについて、9時までうだうだとちまちま仕事をしていたが、いかん!と一念発起して、G1の5Fへ行き、filter envelopeを作る。昨日ぜいぜい言いながら、70個作ったから、今日50個作れば、、ぜいぜい言いながらお昼前に何とか出来た!

ご飯を食べて、フロンティアに行き、さてやるべぇ、と思ったら、あ、ラベル作ってない。先にそれを作るべぇ、、、、うわ、何サンプルあるんやこれ。。そしてラベルを作ったりみんなと話したりしていたら、ああ、もう教授会だわ。作りかけの出張報告(熱血報告)をそのままに教授会へ。

長かったです。でも、修士論文がこれで終わりました。

もう5時になってしまった。これからdiffusion始めたら、いったい何時になるかわからない、ということで、6時前に帰ることに。締め切りが近い査読論文をそろそろ本当にどうにかしなければならないので、それをやることに。

査読をする際には、僕のような小物には有名な(有力な)雑誌からの査読はあまりなく、つまりはあまり質の高くない論文を読むことが多くなるわけですが、それでも、単にrejectではなく、少なくとも、これはこうした方が良い、と言うように、コメントをすべてについて改善策まで含めて書くように心がけています(実際には、rejectして欲しくても、いつの間にかacceptされていると言うことが多々あるために、そうであれば、少なくとも良い形で掲載されるように、そして、reviewという労力の見返りが、その訓練を通じて僕にあるように、、という動機なんですけど)。

でも、でも、ついに今回は本当にだめかもしれません。ちょっと責任者に小言を言いたいくらいです。責任者は、投稿論文を査読まで回さない、という判断だってやるべき何ですから(Natureのようにやれとは言いませんけど)。でも、自分の読み方がまずいのかもしれないと、3日くらい開けてもう4回目なんですけど、読み返すの、やっぱり、なんというか、どうもしようもないのかもしれないとという、大きな無力感にさいなまれています。

しっかし、この日誌、読みにくいなぁ。。近いうちに何とかします。いや、計画はあるんですけど、計画倒れです。いつものごとく。

時々、 ここ に好きなartistを入れて、へぇーとか、ほぅーとか、うひゃーとか言ってます。このサイトは僕の中でwebの可能性をまざまざと教えてくれる大事なサイトです。

| March 19, 2004 / Kuznets Curve

朝8時半に滑り込みセーフ。今日は寒い。9時ちょっと過ぎまで文献のチェック。本日の文献は、窒素降下物が植物の多様性に与える影響(Science)、Ecological Applicationsで、sawageの影響を同位体で見る(だいぶ遠くまで来ているなぁ、でも、梅沢L&Oの方がいいな、この手の論文としては)、Kuznets Curveを扱った環境経済の論文(こんな論文がこの雑誌に出るなんて、としみじみ)、流出特性を異なるsimulation modelで解析(へぇ、似た結果出てくるもんだなぁ)、リモセンによる森林のダメージと、渓流水水質。そんなものかな。

お昼も食べることなく、4時過ぎまでずっとDiffusion。へろへろです。農環研の測定可能なサンプル、約120点、アンモニア処理完了です。

あと、サーバーをたてなきゃならなかったのだが、スクリーニング解除をお願いしないといけないことが分かり、頓挫したので、オフィスに帰り、科研費の報告書を作成(と言っても、大部分は三橋さんにお願いしちゃってる、、)。

来週は、戸張さん、鈴木さんの手伝いをするのだ!今週中に査読を終わらせないとなぁ。と帰りながら読む。

いやになってきたので、 Ecological Stoichiometry 。P-limitが食物網での上位まで影響を及ぼすというところがなかなか。

| March 20, 2004 / スノーボール仮説とパラダイムシフト

「スノーボールアース」読了。おもしろかった。川上先生の監修が入っているので、落ち着いて読めた気がします。スノーボール仮説そのものと言うよりは、研究者人間模様がおもしろく描かれていると思いました。tenureを取るための、、とか、中にいる人にはなかなか書きにくい、見にくいところを少し細かく書いてあるので。エネルギッシュだなぁ、みんな。かっこいい

僕がやっている研究分野では、このような hot な議論は何になるんだろう?多様性の問題?温暖化効果ガスの問題?いずれにしても、地球化学(地質学)という大きな学問分野の懐の広さのようなものを感じます。 そして、ウェーゲナーを始め多くの先人たちから、学問分野として学んでいるということも、良いことだなぁ、と思ったりします。実際は、実際の議論の場は、ぎとぎとしているのでしょうけれど。

少しずつwebsiteの見た目を変えています。でも、昔の文章は、そのままにしておくと思います。タグも打てずにひたすらwordでhtmlを作っていたあのころはあのころで、怪しい背景色にも愛着があったりするもので(笑)。

京大に試薬入りのサンプルが残っていた(それを割っちゃったけど、どうすればいい?と連絡が)!ああ!また失態を!!申し訳ないです。。。

| March 21, 2004 / 研究テーマの提案をつらつら

GrapevineとTheatre Brookのベスト版が出る(出た)と分かっただけでも、今日はよかったよかった。査読終わりません。

来年の研究テーマの提案をつらつら考えてみることに。どちらにせよ、戸張さん、鈴木さん、豊田さん、山田さんをはじめとする、みなさんのご協力を仰がないと、もうどうもしようもないのかも。それは今までも同じか。戸張さんは、和歌山の渓流水中NO3の同位体比で、もう充分なレベルの修士論文は出来るだろうし、その先も、彼がやりたいと思っていることはどんどんやってって大丈夫。鈴木さんは、現在桐生についてCH4とCH3COOHに絞っているけれど、絞っている と言う表現が不適切なくらい大変だし、難しい。アラスカでの結果も組み合わせれば、もうおなかいっぱいだと思う(論文2本くらいのネタにはなる)。さらにN2Oに踏み込むことを提案するよりは、酢酸のdyanmicsとCH4の関連の方をきっちりと見て行くような計画を彼女には提案してみてはどうだろう。土壌を培養すると、いったいどんな濃度で、同位体比で酢酸が生成されるか(消費されるか)、もちろんほとんど分かっていない(のかな?Hayesなんてすでにやってそうだけど、80年代とか、堆積物で、、こわ)

  • DONの窒素安定同位体比測定技術の確立
    ラボ中心か?海水、土壌溶液、土壌抽出液、土壌微生物バイオマス抽出液など、いやらしい溶液中のDONをDON->NO3->N2Oで測定。戸張さんの脱窒菌メンテを省力化するためにも、誰か一緒にやってくれると嬉しいなぁ。いっそのこと、ラボワークできっちりやると言う(僕が最も苦手な)やり方をしっかりとやるのも良いかもしれない。1年半後には論文を投稿できるくらいに。
    問題点は、DINの除去、persulfateのblank、DON濃度測定に関する土壌関連溶液の不可解な挙動、微生物バイオマス溶液は、多量の有機物を含んでいる、などなど。脱窒菌だけでなく、chemical conversionに重点を置いた方が良いかもしれない。たとえ、精度がプラスマイナス1パーミルでも、それはそれでよろしい。よろしいとする。やっぱラボじゃないの?Alanineなどのstdを使って。

  • NIAES水田・畑地など、土壌中のDINおよびDONの窒素(酸素)同位体比測定
    DONについてはとりあえず2年目から。サンプルは保存しておいて、とにかくDINについての測定を進め、豊田さんN2Oとリンクさせる。植物の同位体比、15N-tracerによるgross measurementとの関連についても。
    問題点は、もうちょっと、土壌の量が必要だ。とにかくまず秋山さんとご相談。来年度NIAES研究の予定にもよる。DONとDINそしてN2Oまでのモデル、までやらないと、求めているレベルにはならないか。やればいいのか。NIAESだけでなく、土壌全般についてやってみるというのは良いかもしれない。DONとNH4とNO3について、同位体分布がどうなっているかなんて世界の誰も知らないわけだし、3つくらいのタイプ(水田、畑地、森林)の土壌を培養したり、抽出して。ただ、DONの測定法確立に大きく依存してしまうので、危ない。

  • 和歌山研究林・人工林での、桐生試験地でのN2Oについて
    NO3については戸張さんが進めているので、さらに相補的にN2OとDONについて。DONは別個にN2Oを桐生と和歌山でやるというのは?どちらにせよ鈴木さん、戸張さんの助けが必要か。鈴木さんの今後をまず考えてだな(N2Oをどこまで出来るか)。N2OとNO3のセットは外せない。ChamberでのN2O測定と、その現場での(渓流水ではない)NO3の採取。

  • 純粋培養系におけるNH4、NH2OH、NO2、NO3、N2O、N2の同位体比の変動様式
    培養実験によるisotopomer ratioの変動様式については、吉田研として、SORSTプロジェクトとしてやっておかなければならないことの一つではないかと思う。これは、豊田さん、山岸さん、戸張さんと共同で提案してみるべきものではないか。

  • 琵琶湖流入河川におけるNH4、NO2、NO3、N2Oの変動様式
    永田CRESTでの僕のタスクは、河川生態系の食物網を同位体比で描くときのbackgroundとして、NO3の同位体比がどうしても必要であり、それを高いスループットで測定して行くことであり、そのために来年度XP+GasBench+Preconを京大CERに導入してもらう(つまり責任重大)。硝酸だけでもおもしろいかもしれない(GISとのリンク。土地利用、地形的特徴との関連を見る)、けれど、やっぱりさらに先を行くべきで、NH4も、N2Oも、出来ればDONも。なんちゃって17O anomalyもXPでやらないといけない(戸張さんと)。京大を立ち上げないと戸張さんが大変なままになってしまうので、何にせよやらないと。

  • PnETの改良、DON-NH4-NO2-NO3-N2O-N2についての同位体モデル
    やらないとなぁ。これはぼくがやる。 やらないとあかん。戸張さんにもでるおそわらんとあかんわ。

  • 桐生試験地の土壌溶液(1999-2000採取:約700サンプル)についてのNO3測定
    これは貴重なサンプルで、やれば結果が出ちゃう。だから修士論文としてはなぁ、、これは僕がやる。 でも、興味がある人がいれば、やっても良いかも(来年度も新しいサンプルを採取すると言うことで)。硝酸濃度は保原さんがすでに論文にしているし、後は、同位体比を測定して、果たしてどう違った窒素循環系が描けるか?だ。

あかん。自分がやらなあかんことと、テーマと、その他諸々がだんだん混じってきてしまった。IPTもFIDもいろいろ、、あぁ。

March 29, 2004 / 腹減ってるだけやんか!

天気の良い月曜日。日に日にG5からフロンティア棟に向かう間の桜が咲き始めて、もうほぼ満開。ソメイヨシノはやっぱりけばけばしいなとか、そんなこというのはなんだか古くさいなとか、往復でいろいろ思います。「雷鳥」太りすぎ。飛べ!

朝8時ちょっと過ぎに出勤。メイルのやりとりなど。論文はおもしろいもの見つからず。Snover and Quay(2000 GBC))やTyler et al.(1994 GCA)などメタン同位体関係を読まないと。ってずっといっている。

本日は大部屋の大席替え大会のようで、みんななんだか楽しそう。みんな仲いいよなぁ。大改造の中、新入生がちらほらといらっしゃって、拉致されていったり。

こちらはメタン生データを見ながら、うーんとか、うへぇーとかぶつぶつと。なかなか難しいぞ。でも、「10と言う数字は、100-90なのか、100000-99990なのか分からない」という、僕の持ついつもの問に対して、やっぱり同位体比というツールは何かしら有益な情報を与えてくれるという、ごく当たり前なことをしみじみと感じたりもして。僕らの「常識」はとても危ういものなのだから、ならばせっかくだから自ら壊して行こうじゃないの。人に任せることはないよね。解析しやすいデータなんていらないよ。

6時頃になると、なんだかおなかがすいているらしく、全然ものが考えられなくなってきたので、鈴木さんと戸張さんに長いメイルを打って撤退。撤退直前に阿部くんが「新しく入ってくる人たち、なんかいいっすよ」と、とても良い顔をして僕に話してくれたのがとても良かった。いいよな、そういうの。大事だよな。というか、うれしいね。

去る人有り、来る人有り。それぞれの人に、それぞれの理由と決意が、良いあんばいで重くのしかかればいいな。その重さは人を成長させるのに必要な重さだから。成長すればする程、自分に書けなきゃならないロードは増やさなきゃならない。それは自分自身で増やさないと、もう誰も増やしてやくれないのだから、本当の本当のところは。

明日は頑張るぞ!といっても、頑張るのは戸張さん・鈴木さんなんだけどね。とりあえず昨日仕入れた大量のお菓子を明日は盛って行くことに(お約束でハッピィターンとカラムーチョ含む)。

アスタルテですか。あ、そうね。アリタルテって、かいてある?うひゃ。直しておこうか。お店の名前だしね。というか、いつもわからなくなって、「あの、古いマンションの一室の、靴脱ぐ本屋!」っていってたのだ。

logを整理しました。間違えを指摘してくれた友よ、あなたもlogを是非整理してくれたまへ。そうしないとGoogle兄さんのキャッシュ攻撃しちゃうぞ(なんじゃこりゃ)