Kei Koba's weblog in CER, Kyoto University ~ Are we on the right track ? ~

| December 31, 2007 : よいお年をお迎え下さい

今年は、仕事としてはいろいろプレッシャーのかかる立場にいるのだけれど、それだからこそ、とにかく色々な本を頑張って読みましょう、ということを考えて、電車での行き帰りに読書をする時間を意識的にとって見ました。

今年、最も印象に残ったのは、スチュワート・ミルの「自由論」でした。なぜか、といわれると、まだ、なぜなのかきちんと言えないという状態なのですが、それでもとにかく、ものすごく打ちのめされました。もう一度、いや二度読み直さないと、人にどうすごいのか伝えにくいのですが、とにかく、古典というのはすごいものだと改めて思いました。来年もこういう本に逢えれば嬉しいです。

また、最も気に入ったのは、大竹伸朗の「既にそこにあるもの」でした。先日書いたように、色々なことを考えさせられる、いや、感じされられる本でした。

「インタビュー術」は、他の興味で読み始めたのですが、人の時間を頂くという時の心構えという観点からしても、とても考えさせられる本でした。

なかなか、ジャンル、というか、カテゴリーの違う本を読む、というのは難しいと分かってきました。来年、どうするか、よく考え直さないといけません。もっと意識的に違う分野にアプローチしないといけませんね。

それではみなさま、よいお年を!

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本年の読書リスト:リンク先はgoogleでの検索結果となります

確率の科学史」(カプラン)
デザインとヴィジュアル・コミュニケーション」(ブルーノ)
ザ ゴール2」(ゴールドラット)
ムハマド・ユヌス自伝」(ユヌス)
ネクスト・マーケット」(プラハラート)
したたかな生命」(北野・竹内)
渋滞学」(西成)
カンブリア紀の怪物たち」(モリス)
<はかる>科学」(阪上・後藤)
知についての三つの対話」(ファイヤアーベント)
非線形科学」(蔵本)
テレピン月日」(大竹)
ネオンと絵具箱」(大竹)
カスバの男」(大竹)
既にそこにあるもの」(大竹)
スーパーバグ 生命のフロンティアたち」(ポストゲート)
見えるものと観えないもの」(横尾)
文字逍遥」(白川)
ザ ゴール」(ゴールドラット)
アラマタ大事典」(荒俣)
スーパーコンピューターを20万円で作る」(伊藤)
宇宙船地球号操縦マニュアル」(フラー)
幼ごころ」(ラルボー)
数学的にありえない」(ファウアー)
シマウマの縞、蝶の模様」(キャロル)
私の履歴書 - 知の越境者」(白川・中村・梅棹・梅原)
論理的に考えるということ」(山下)
セキュリティーはなぜ破られるのか」(岡嶋)
株式会社という病」(平川)
本居宣長」(小林)
聖なるものの社会学」(カイヨワ)
史上最悪のウイルス」(グリーンフェルド)
死と身体」(内田)
ゲノムサイエンス」(榊)
生物と無生物のあいだ」(福岡)
決定学の法則」(畑村)
アルツハイマー病の誤解」(小島)
物理学は越境する」(和田)
国家と外交」(田中・田原)
『おじさん』的思考」(内田)
ワーキング・プア」(シプラー)
ワキから見る能世界」(安田)
私家版・ユダヤ文化論」(内田)
私の身体は頭が良い」(内田)
日本数寄」(松岡)
『いき』の構造」(九鬼)
獄中記」(佐藤)
身体知」(内田)
統計のはなし」(大村)
自由論」(ミル)
日本という方法」(松岡)
デスマーチ」(ヨードン)
蝶が飛ぶ、葉っぱが飛ぶ」(河井)
乱世を生きる」(橋本)
谷川俊太郎が聞く 武満徹の素顔」(谷川)
インタビュー術」(永江)
メディア・コントロール」(チョムスキー)
国際連合」(明石)
外交敗戦」(手嶋)
硝酸塩は本当に危険か」(リロンデル)
17歳のための世界と日本の見方」(松岡)
下流志向」(内田)
成果主義と人事評価」(内田)
インテリジェンス武器なき戦争」(手嶋・佐藤)
詩を書く」(谷川)
経済ってそういうことだったのか会議」(佐藤・竹中)

 

| December 29, 2007 : しろやぎさんからおてがみついた

硝酸同位体のモデリングをしているLehmannさん(先日Sさんが文献紹介した人)からお返事が来ました!が、が、頑張ってみますか。モデル。こわいけれど、、、

学生さんにも、「分からなかったら著者に直接聞いたら?」とか「別刷り、直接請求したら?」とか言っているので、色々な人に僕もコンタクトをとらないといけないなと思っていたのですが、やっぱり返事が来ると嬉しいですね。ドクターの頃、今東北大のU先生が、何かコンタクトをとったら、2割くらいの人は返してくれるよ、というのを聴いて、それからしどろもどろの英語でコンタクトをとるようにしているのですが、特に同位体関連の人はみんな優しいです。

2008年10月のISI2008に来てよ、ともお願いしてみました。

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1月5日は京都におります。ああ、残念、京大A地下の酒場は移転していたのですね、、、飲みに行きたかったのですが、、、

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あら。Lehmannさんから以前岡山であったGoldschmidtの時に飲みに誘ったのを、覚えてるってお返事が。あらいやだわ(東工大のTさんと勘違いしてたりするんじゃないかしら)。2003年の9月9日にみんなで飲んでいたらしいですね。彼はスイスの先生方とお話し合いがあり参加出来なかったのですが、MattやJoeと、そしてそのころ東工大Y研の学生だった、HくんやNくんと、岡山で飲んだくれたのでした。その後、Joe Montoyaはクルーズの旅に東工大によってくれるようになって、しかも結構色々な大学の人が、彼のセミナーを聞きに東工大まで来てくれて、そんでもって、Mさんがジョージアまで話をしに行って、、、と、やっぱり一度直に会うというのは大事ですね。

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もう一件、博士論文をくれると言って、そのままちょっと音沙汰がなかったMさんに、ごめんね、でもどうなってる?とメイルをしたところ、defenceはうまく行って、年内に改訂を終えるから、そうしたら送るよ!とメイルが来ました。ありがとうございます!よろしくお願いします!(って日本語読めるわけがないのですが)

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本日は色々あって、一日中外出しておりました。根津の友人宅におじゃまして、楽しゅうございました。東京麺通団に近いうちに一緒に行きましょう!

 

| December 28, 2007 : びんくのほん 捜索中

マスの調子を、、と部屋に行くと、Wさんが寝ていました。調査お疲れさまでした!フィラメントを交換したら、trapもboxも値が違っているし、何しろ、reference gasに対する感度が大きく違っていました!えええ?まぁ、一通りチェックして、とりあえず大丈夫そうです。あとはKさん、任せました!

人気のないY研でずっとモデルのお勉強をしておりました。今週、なるべく、自分の部屋に行かないのは、今日を最後に、当分皆さんに会えないし、気軽に質問があったらしてもらおうということでしたが、どうだったでしょうか?なんだか邪魔ばかりしてしまった気がします。

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河川のシミュレーションモデルをまずは勉強しています。ですが、自分の作りたいフレームとは違うフレームでのモデルなので、どう改良しようか、改良する前に、既存のフレームの中で勉強出来ることがあるのではないか、と右往左往する毎日です。

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ああ、また ぴんくぼん が行方不明に、、、結局以前買ったものが帰ってこないので、今年もう一冊買い直したのですが、、、どなかか、借りっぱなしではありませんか?

 

| December 27, 2007 : ベルギーすばらしい

朝、とにかく眠かったですが、むち打って電車に乗り、8時前にはマス部屋に。Sさんは朝4時まで頑張っていたらしく、残りのサンプルはほんの数点だけでした。相変わらずフィラメントは風前の灯火の状態でしたが、とにかく頑張って測定を開始。Sさんが復活したお昼頃には大事なサンプルの測定は全て終わりました。とりあえずほっとしました。これで、もう後は卒論に没頭出来るはずですよね!

まだ、怪しいピークがでたり、突然N2Oを拾わなくなったりと、色々な罠が満載状態でしたが、とりあえず終わりました。いろいろと長かった。。。自分のサンプルは測定出来なかったですが、、、その後、フィラメントの交換。とりあえず今のところ順調のようで、年に一度程度行われる、このメンテナンスをSさんに見てもらえたのはよかったです。本当は調査にでているWさんや今日はいなかったMさんにも見てもらいたかったですが。

喜び勇んで、色々なビールを買ってきて、なんだか分かりませんがだらだらと飲んでおりました。ベルギービールはおいしいですし、どれも個性があって楽しいですが、なかなかアルコール度が高いものですね。

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昨日の晩から、突然、音楽が聴こえ始めました。イヤフォンがだいぶagingされた、というわけではなく、本当に、受け取る側の心持ち次第で、こんなにも色々な音が聞こえてくるのかと、びっくりしながら楽しんでいます。どれだけの考えが、瞬間瞬間に詰まっているか、圧倒的な情報量が頭にあふれてきて、びっくりするとともに、あまりにも少しの情報を、表層に浮かんでくるだけの情報だけを受け取っていた自分に情けなくなります。今は、ちょっとしたリズムのゆらぎや、休符から、いろいろな思いを引き出すことすら出来そうです。

 

| December 26, 2007 : 一難去ってまた一難

今日も朝からマス部屋で格闘です。Sさんが昨日しこんだサンプルを打ってみると、おお、これは、、、、ようやくGCIRMSが元に戻りました。長かった、、、、

と思ったのもつかの間、いつも変動しないBoxやTrapという値がふらふらと変動しています。いつもよりN2Oのピークが大きくなっています。これは、、、そう、、、フィラメントがもうすぐ切れるのですね。ろうそくは消える直前に最も強く輝くものですが。。。とにかく数日かけてゆっくりと余裕を持って測定しようと思っていたSさんに無理をお願いすることになりそうです。明日は早く行きます。。。。年末に限って、、、まぁ、次のEAIRMS測定をやるKさんにご迷惑がかからなければ、とりあえず気分は良いのですが。

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以前、教育ポリシーのない教員はだめだ、と、とある学生さんに言われてはっとしたことがあり、それ以降、ずっと考えています。ポリシーがない、というとわかりにくいので、言うことがころころ変わるようではいけない、という言葉に変換しているのですが、これは難しいことです。なぜ難しいかというと、ころころ変わることを言う場合、言ってしまう場合、ころころ変わっているという自覚がないからなのです。自分は自分で、言っていることは首尾一貫している!と、なぜか思いこんでしまっているのです。

自浄作用が効かない状態になってしまい、正直、こうなると、相手に「あなた、言っていることがころころ変わってますよ!」と指摘されなければ、雪玉はどんどん大きくなって転げ落ちて行くだけです。そうであれば、防衛策として、とにかく話をしている相手の目をしっかり見て、相手の反応をしっかり漏らさず感じることしか、自分のまずさを感じ取ることは出来ないのかも知れません。

言っていることがころころ変わったり、人の話を聴いている振りをして、実際には聞かない大人が結構たくさんいるのが現状です。そういう人は皆、話している人の目を見ていません、または見たふりをしています。話しているときに人の目を見るという、ほんのちょっとした「努力」を怠ると、ポジティブフィードバックの結果、こうなってしまうのかと愕然とします。

自分も、しっかりと相手の目を見て、話を聞けないことがあります。そういったときには必ず失言しています。それをまだ指摘してもらえているように感じているのは本当に幸いです。相手の目を見ることが出来ないのは、自分の発言の中で中途半端なところがあるからであって、そこを指摘されるのを恐れるからですが、相手の目を見ないまま話をすることは、独り言をつぶやいているのと代わりありません。

年をとって分かってきたのは、こちらが目を見て話しても、こういう相手にはまったく届かないということでした。相手にとっても、こちらが勝手に独り言をつぶやいている、というような認識なのだということにようやく気づきました。「コミュニケーション」は成立してはいないのです。

さらにそういう状況に落ち込んでしまっている人に限って「コミュニケーション不足」を唱います。それはそうでしょう。「コミュニケーション」になっていないのは明らかですから。コミュニケーションが双方向であることもしっかりとは認識出来なくなっています。一年に数分しか話をすることが出来なくても、充分「コミュニケーション」は取れている、そもそも、その「コ」で始まるような言葉を思い浮かべるような必要もない間柄がある一方で、四六時中物理的に近くにいても、だめな間柄もあります。

人の目を見て話す、というちょっとした営み。もちろん、それを続けるためには、自分の中でしっかりとした意見を持ったり、その意見に反対されたり、自分が間違っていたりすることをしっかりと受け止める事が必要ですが、そういったことは誰もが最初から出来るわけではなく、出来ているひとは、出来るように努力してきたのを忘れてはいけません。努力の、不断の努力のたまものなのです。逆に、とにかく、些細なことから、他の人を感じることが出来なくなります。とても簡単に。

watchとlookとseeの違いがそこにはあります。他人の表情を読めなくなる、他人を感じられなくなる裏側には「自分は君の見えないところで頑張っている」とか「これだけやってあげているのにどうして分からない」というような認識があって、そこから強引に来る「だから自分のやっていることは正しいのだ」という押しつけがましい、反省の余地を残していない、緊張感があります。だからこそ、いやな大人と話すときに緊張してしまうのです。その緊張は、本来は内面に向かわなければなりません。どうして自分の考えの中に曖昧な、やましいところがあるのか、どうしてそれをごまかそうとしてしまうのか。その内省に堪えることが出来ず、逆に外側へと緊張感、圧力という形で力を放出してしまっては、黒く汚れた雪玉がますます大きくなって行くだけです。しかし、上に書いたような押しつけがましい考えは、容易に頭に浮かんで、心を支配するのがとても簡単です。あまりに容易で心地よいので、驚いてしまいます。これは危険な媚薬としか言いようがありません。「権力」というのはこういうものなのでしょうか。

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今日は来年から寒い土地に旅立つYさんが時間を見つけて遊びに来て下さいました。ぜひ脱窒workshopに行ってくださいね!QMSもどんどん使ってください!

 

| December 25, 2007 : 思いこんだら大間違い

朝7:40からGCIRMSの立ち上げというかメンテナンス。あほみたいなミスをしていて、だいぶ時間をロスしてしまいました。そして、ようやく直ったと思ったら、やっぱりおかしい。おかしい。おかしい。おかしいなぁ、、と思い続けていたけれど、ふと、これは僕の方がおかしいのかも、と思い始め、とたんに、自分の考えが破綻して行く、、、なんてあほなんでしょう!

とはいえ、その「あほやなぁ」とおもった前提すら、明日の朝には崩れているかも知れないのです。きちんと色々な側面から機械を見ていないといけませんね。機械の発する反応が、通常のものなのか、異常なものなのか、ぱっと分からないというのはよくありません。まったく。サーモフィッシャーのSさん、お忙しいところ色々と対応して頂きましてありがとうございます。

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マス部屋でひたすらN2OとAquasimと格闘しつつ、各方面へメイルを書いておりました。気づくと外は真っ暗。お昼、Y先生が誘ってくれた、そのときだけでした、娑婆の空気を吸ったのは。ま、こんな集中した日がもう少し続くと良いのですが。

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電車の中でも、今もAquasimのmanualを読んでいます。うむ、、、数学、、、

 

| December 24, 2007 : ポジティブフィードバックの怖さ

先日、偶然ABCで発掘した、2006年11月のidea大竹伸朗特大号を、ちびりちびりとおいしいお酒を飲むように眺めています。麻薬のようです。

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特に明確な目的があるわけではなく、しかし心の赴くままに、日頃行っている営みがあるはずです。本当の努力というのは、目的があって行うものではないのではないかと最近思うようになりました。ある目的に対して、いろいろ「努力」はしますが、そんなコスト・リスク管理が分かり切ったような営みは、そうそうあったものではありませんよね?どれだけ「努力」しても、「見かえり」は思っただけのものは帰ってきません。他の人だって一生懸命努力しているのですし。

受験の頃、「柿ピーの袋を1つあけて、毎晩寝る前に1つずつ食べる。そういった(くだらない)ことが出来る奴は受験でも成功する」という話をどこかで聞いて、いったい何のことなのだろうかと思いました。でも、今ではかなりこの話の裏側にあるいくつかの側面が分かってきました。

自分の分からない、知り得ない世界にどうやってアクセスするのか、どう梯子をかけるのか、そのかけ方は人それぞれです。決まった方法などありませんし、方法が分からないから知り得ない世界なのです。この五里霧中の中で、一歩一歩着実に前に進むことは不可能で、霧の中を無我夢中で走り回っていたら、いつの間にか霧が晴れていた、という時をひたすら待つしかありません。そして走り回っている間には、目的も何もあったものでは無いというのが本当のところではないでしょうか。ただ、なんとなく、「自分を信じて」なんて言葉にはならないまま、とにかくがむしゃらにやっていたら、いつの間にか道が出来ていた、そんな感じです。

 新しい本に貼り込みを始めると、しばらくは事がまったく前に進まない時間が過ぎる。張っても張っても、何十ページ進んでも何も前に進まず重苦しい時間が必ず訪れる。しかし毎日続けるしかない。そしてある瞬間、ジワッと動く感覚がやって来る。これは必ずやって来る。ちょうど金属製の小さなギアが目に見えないレベルで動く感じに近い。そんな時、いつも頭に浮かぶのは、古い掛け時計に内蔵された真鍮の歯車が幽かに回転する図だ。

 そのとき、初めて時間が流れ始めた気分になる。「動いた」といつも思う。いったん動き出すとさまざまなギアが連動し始め、たった一本の線でもページにくい込んでいくような「密度」が加わってくる。それまでまったく無関係にあったページが自分を無視して独特のつながりを勝手に結び始めるような、そんな感覚を覚える。だが、気にいったページに「意図」を見出そうとすると、動いていたギアは思いに反して必ず止まってしまう。

(大竹伸朗、「見えない音、聴こえない絵」『新潮』2006年3月号)

わけもわからず、とにかく走って行くと、突然色々なものの意味が繋がり始めて、「世界」が分かってしまったような、ネットワークが繋がったような、そんなところに到達することが出来ることがあります。研究ではときどきあることです。実生活でも10年に一度くらいあることかもしれません。「わかった!」という感覚でしょうか。ユーレイカ!でしたっけ?

問題は、そういった、不断の努力、いや、実際には努力とは思っていないので不断の営みがいつか必ず実るのと反対に、不断の営みを怠ると、こちらは比較的急速に、自分の考える能力、感じる能力が衰えて行くということです。衰えて行くそのフィードバックの速さをこの頃痛感します。それが分かっている間になにか上向きの力に変化させないといけないのですが、間に合うでしょうか。

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大竹伸朗さんの作品を見ていると、真摯な真剣さ、という言葉しかやはり浮かんできません。無我夢中で戦っている姿も浮かぶのですが、その姿は、真摯な真剣さという、より大きな霧のようなものに吸い込まれてしまいます。その営みがこれほどまでに芳醇な空気を創り出すこと、そしてその逆に、この営みの真剣さが少しでも薄れたら、どれだけ空虚な世界が広がってしまうか、を自分に照らし合わせて、寒気がします。ちょっと自分が気に掛かることを、ちょっとずつで良いから、ほんのちょっとずつで良いから、肩肘張らずに続けて行くこと、そういった「人生の習慣」の大切さを分かるようになってきました。大人になったのかも知れませんが、ものすごく怖いです。

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僕自身が、そのような「努力」として、「人生の習慣」として、というと大仰ですが、何か続けているかと聞かれると、うーん、強いて言えば、とにかく色々な人の意見を聞くこと、できるだけ違った分野の人と話すこと、違った分野の本を読むこと、「カテゴリー」を極力消して行くこと、そして、文献に「週刊誌のように」目を通すことです。そして、実は助手になってから最も重要視してきたこととして、話す相手に緊張を与えないことがあります。体が大きく、声も無駄に大きいので、知っている人(は大学関係にはいないと思いますが)に言わせると、怒るとかなり怖いそうです。

とにかく、僕の考える「教員」と学生さんとの関係性を実現するためには、緊張感を相手に与えないこと、それからしか始まらないと、「努力」してきたつもりなのですが、そういった営みが、一気に評価されるのもこの「師走」なのです。ちょっとの努力を続けることで、いつか、なんとか、努力は報われると信じること、そして、ちょっとの努力を怠ることで、こちらは急速に、自分の人間としての大事な部分を失って行くこと、そのフィードバックの強烈なかかり方におびえます。それでも、がむしゃらにやってみて、がむしゃらに反省するしかありません。コミュニケーションは双方向なのです。だから、自分のまわりに文句を言う暇があるのであれば、そんなことよりも何よりも、努力をし続けることしか自分には出来ないのです。ようやくそう、再びつぶやけるようになってきました。

しかし、ポジティブフィードバックとは、ポジティブという言葉とは裏腹に、とても怖いものです。雪玉はものすごい勢いで転げ落ちて行きます。雪だるまを作るのは大変なのに。小さな努力を継続することが、どれほど大事なのか、じわじわと分かってきます。

 

| December 23, 2007 : セミナーでの質問

質問は、演者に対してだけの問いかけではありません。質問の内容を参加者全員が聴いていること、つまり質問は参加者全員に対して行っているのだ、という側面も考えてみると、どれだけ自分の発する質問の質が、そのセミナー全体の質を変えてしまうか、容易に想像がつくと思います。

ある知識の有無を問うような質問は限られた時間の中で、あまり重要だとは思いません。それよりも、どう考えるべきなのか、それをどう考えていったらいいのか、というような問を投げかけられるようにと、ずっと考えています。考えはじめるととたんに質問することが難しくなります。自分の疑問ではなく、参加者全員のレベルを考えて、どこがクリティカルで、どこが本当に掴んで欲しい、考えて欲しい最低限のレベルで、そこに至るまでに何が足りないのか、、、

限られた時間の中で、大勢の人間があるテーマについて議論するという貴重な時間のなかで、どのようにその議論のレベルを上げられるのか、そのために自分が何を出来るのか、を考えてみることは大変大事なことです。

もちろん、何でも良いから質問をしてみる、というレベルから始まるのは当然です。しかし、ちょっと慣れてきたら、そして学年が上のひとは、どうやったら一定時間の中で、考える価値のある難しい命題にたどり着き(考えるべき問がすぐに見つかると思っていたら、それは大間違いなのです)、そこでの良い議論が出来るか、考えながら質問をすることをおすすめします。

参加していて、出来るだけ面白いセミナーにしたい、色々学びたい、と思えば、自然とそういう態度になるのではないでしょうか?正直学生の時はそんな風に考えることは、僕自身は出来ませんでした。でも、たとえば分野が違うから、といって予習していかなければ、そこでおしまいです。そういう状況を作ってしまうのは、発表者に対してだけでなく、参加者に対して、そしてもっと引き寄せて考えれば自分自身に対して、自分自身の時間に対して、ちょっと失礼ですよね?価値のない時間を、考えることを放棄するような時間を過ごすには、人生は短すぎます(というのは大げさですが)。

逆に、もちろん、発表者の立場としては、そういう本質的な質問が出るように、本質的な議論が出来るように、分かりやすい発表をすることも大事です。そう、結局、コミュニケーション(この言葉、私は大嫌いですが)は双方向なのです。ゼミナーというのは、参加する全ての人が、瞬間瞬間違った役割を持つ、近代サッカーのようなものです。自分の役割を色々考えてみて下さい。出来ることはいっぱいあるものです。みんなで集まって、インサイドパスのような基礎練習をやるのですか?それとも攻守の切り替えを早めるような応用練習をやるのですか?セミナーとは、もともとみなさんそれぞれにとってどういう意味があるのでしょう?その意思統一はどう図りますか?または意思統一をする必要などないのでしょうか?

質問をすることは本当に、本当に難しいです。よい質問をする人を見ると、本当にすごいと思います。しかし、ただすごいと思うだけで止まっていてはいけません。挑戦して、失敗して、反省して、また挑戦する以外には、よい質問をすることは出来ないのでしょうから。inspireするような質問がいつか出来るように努力し続けなければいけません。

 

| December 22, 2007 : 木崎湖〜深見池〜3年生のテーマ〜忘年会

16日:朝から学校に来て、diffusion用の試薬の準備。Sさんにテフロンエンベロープの作り方を学んでもらう。あとはMgOとNaCl。並行してECD-GCのご機嫌を伺ったり。

東工大からUさんがやってきてくれて、荷物を積み込み、15時に府中を出発。高速をひた走りながら、ここぞとばかりあんな話やこんな話をUさんに聞いてもらう。だいたいこういう色々な話をしていると高速を乗り損ねたりするわけですが、、、リビエラってなんだ?

諏訪湖ICに17:30頃?そこから運転を代わって、さらに北上。高速を降りると空気がキンと冷たい。さらに北上。気温は氷点下。道路の表情がだんだん険しくなってきます。大町付近は残念ながら凍結状態。のろのろととにかく宿にたどり着きました。ああ、本当に雪国での運転は全く慣れてないので苦手なのです、、、

宿について、とにかく体を溶かしました。Nさんが特別に頼んでくれたイワナ(!)を食べながら、木崎湖といえば、、の話などしつつ、でも今日は公衆浴場に行く元気もなく、保冷剤を冷やしてもらう必要もなく、とにかく明日のためにチェーンを巻いて早く寝ましょう。Uさんの古代地球大気のシミュレーション話をドキドキわくわくしながら聞き、Sさんの脱窒話にUさんがつっこむという、なかなか贅沢な時間を過ごし、日付の代わる前に就寝しました。

17日:昨日は夜だったので良く分からなかったのですが、実は16日にドカンと雪が降ったそうで、窓を開けてびっくり。これは、、、、

そういうことです。荷物は手で運ぶことになりました。ちょっとやられた〜という感じのSさん。

遥か遠くから荷物を運び来るUさん。

8:30出航予定でしたが、雪かきなどなどで1時間遅れでスタート。信州大の山本先生とTさん部隊もご一緒で、彼らは脂質のサンプリングだそうです。

と、とにかく寒いです、、、

寒くて仁王立ち「うぉぅ〜〜!」のUさん。

今回の採取地点は通常12地点でしたが、9点に削減しました。しかし、そこの方ではまだ酸素が供給されておらず、H2Sがでていました、、、

13時頃に小屋に戻り、そこからGF/Fでのろ過、NH4+用のdiffusion、HgCl2やCdAcなどの添加、などなど。途中、もう今年はおしまい、ということで2艘の観測ボートを丘にあげたりもしました。とにかくおわった!終わった後はまた雪の中をひたすら荷物を運ぶのですが、、、雪の散乱光で偏頭痛が出たりJAFを呼んだり色々ありましたが、全ての仕事が終わったのは18時すぎ。いやぁ、とにかく色々ありましたが終わりました!飽和塩化水銀水溶液が凍結していて固定まで時間がかかったのがとにかく衝撃的でした。

18日:宿を朝早く出て、凍結しておいたサンプルをとりにふたたび木崎湖へ。

はい。また雪なのです。

Uさんは流入河川水を取りに行っていました。

チェーンを大町ではずして、交通量の多い道を下り、Sさんを下ろして、今度は長野県を下ります。飯田で東工大のMさんをお迎え。また、飯田に来るとは思わなかった、、、前回泊まった衝撃の宿が目につきます。道の駅でおそばを食べて、薬を飲んで、まだ13時頃。深見池のサンプリングスタート!

DOのプロファイルを探るMさん。

大量のミジンコを見つけてご機嫌のUさん

深見池は天候が結構ころころ変わります。ちょっと雨が降ってどうしようと思いましたが、おおむね晴れて、よかったよかった。

その後水銀やろ過やで結局19時前まで。かじかの湯までいって、ぼんやりお風呂につかり、宿でおいしい野沢菜をはじめ、いろいろおいしいものを頂いて、こたつでぼんやり話をし始めたのがまだ9時前!何と優雅な!

さて、今後どんな展開をして行くべきでしょうね。

19日:朝9時過ぎに出発。高速は快調。13時過ぎに農工大に到着。濁り酒をおみやげに買えたのはしみじみ嬉しいですね。文献紹介に出て、EA-IRMSのトラブル話を聞き、比色計のトラブル話を聞き、CREST本の校正を行い、後いくつかトラブルに対処したような記憶が、、、

20日:ゼミ2つ。なにがsomething newなのか、それを捉えようとしながら論文を読めていますか?という話を。

3年生のテーマについてちょっとお話し。DHSの森林土壌と日本の森林土壌で微生物群集構造をミルのに興味のある人いないかなぁ、、、なんて思ったりもしますが、基本的にテーマを与えるのは非常に苦手です。どんどん聞きに来て下さい!

21日:朝一番で自分の部屋を掃除しようと思ったのですが、結局9時までに終わらず。9時からIRMS部屋のお掃除。午後はIRMSのリークの対処。一生懸命やったのですが、、、お昼もクリームパン1つだけで頑張りましたが、、、Sさんにも手伝ってもらって、SGEのバルブにキャピラリーをつなげてははずしつなげてははずし、、、、

あっという間に忘年会。去年と同様、おとなりD研の皆さんと7時から怒濤のように。

 
 

写真は敢えて携帯で撮ってます。1次会が終わったのはいつでしたっけ?2次会へ早々に向かったのですが、ふと気づいて戻ってみると、ちょっと凍っている2名がいて、二人が何とかなりそうな状態になるまで見守って、結局は学生さんが送っていくのを確認してから、二次会に参加しました。

 
 

行方不明者捜索など色々ありましたが、とにかくみんな無事?ですよね?酒は飲んでも飲まれるな〜〜。写真に写っているのは、やはりフォトジェニックなMさんばかりですが、今年のMさんはひと味違いましたね!

飲み会で研究テーマは決まったりすることも多いのです。それはそうと、M2のIさんが、3年生のIさんにDHSでの研究について話をしていたのですが、その時、まず最初に、共同研究している人たちがいい人だということをあげていたことに、とても素直に感動してしまいました。何と表現して良いか良く分かりませんが、Iさんのそういうところが素晴らしいと思います。って、ここで書くなと言う話ですが、、、

1:30頃にオフィスに戻り、仮眠をとって、朝食を食べて、9時頃からお仕事。お昼過ぎからは復活したSさんにお手伝いをお願いして、さらにGCCIRMSのリークチェック。

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ずっと色々と考えあぐねているこの冬ですが、だいぶ飲みながら真剣な話をして、結局、絶望を与えるのも、幸福をもたらすのも、ひとでしかないのだ、なんて当たり前なことに今更ながら気づかされました。

卒業なさるみなさん、もう、あと少ししか一緒に勉強出来ないですが、最後までよろしくお願いします。お互い全力を尽くしましょう。全力をお互い尽くしてしか分からないところがあるのですから、必ずそこまで登り詰めましょう。

 

 

| December 14, 2007 : 鹿児島出張

北大Sさん科研の集まりで、鹿児島大学演習林へ。12日は空港からレンタカーで演習林へ。13日に見学+打ち合わせ、14日はレンタカーで空港へ、鹿児島から羽田へ。

演習林にあったモノリスでひとしきり考え込みます。この根っこは、、、

伐採実験を上から眺める一行

土壌断面はなかなかおもしろいです。火山灰というのはすごいものですね。土壌断面を見ていたら時間はどれだけあっても足りません。

保存されている土壌断面を見学させて頂きました(Uさんスケール)。すごいですね、しかし。

桜島の一次遷移、すごいです。マツが入ってくるなんてすごいですね。一次遷移、、魅力的です。色々分からないこと、知りたいことがありますね。

空港に戻ると、なかなかまずそうなトラブルの情報が、、、本当はメンテナンスに戻りたかったのですが、とにかくゲラの校正に取りかかりそれで14日は終わってしまいました。さて、日曜日、調査の前に何か出来るか、、、

さて、どのCMSを導入するか考えないと、、とはいえ、全てreviewが終わった三月中旬ですね、考えるのは。

宿舎でNHKを見ていたら、何かしら聞き覚えのある声が、、、あ!Sくん!テレビで見るときいつも何か食べてるけど、、、とにかく元気そうで何より!

 

| December 11, 2007 : ああ、あしょうさん

眠い目をこすって朝早くからオフィスで授業の準備。Y研に行くとS君が既に活動中。GC-FIDを立ち上げ、GC-IRMSを立ち上げ、Sさんがいらっしゃり、さぁ、色々うまく行くといいですね!と実験室で授業の準備をしながら2人の仕事を見守っていました。

授業が終わって帰ってくると、、、、

脱窒菌ちゃんがご乱心、、、まっかだな〜まっかだな〜

GC-FIDもご乱心、、、な、なぜ、、、、

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今日は色々がっくり来ましたが、先に進むしかありません。頑張りましょう。

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明日から鹿児島です。その後木崎湖+深見池です。木曜日にお会い致しましょう。AGUに参加している皆さん、頑張って色々聞いてきて下さいね!明日は空港でゲラを直して、査読論文読んで頑張ります。

 

| December 10, 2007 : 今日のgoogle calendarがなんだかものすごいことに

憂鬱な月曜日。仕事のリストが多すぎて、画面上で一覧出来ない。。。とりあえずコーヒーでも、と思ったら、ああ!豆が切れていたのでした!あああ、唯一の楽しみがぁ!

9時から来ている横国のSさんにとりあえず待って頂き、朝一番で呪われた書類をまた事務に提出し、戻って缶コーヒーをひとのみ、FIDについてざっと説明して、火をつけました。そうしているうちにFIDが立ち上がり、とりあえず空気中のCH4を打ってご機嫌をお伺い。さらに自分の部屋からSwagelok一式とCH4ボンベを運び込み、Sさんにswagelokの締めをお願い。そして書類の揃ったMさんと庶務へ行き、飛び戻ってSさんに来週の出張書類のお願い。そしたらSさんが「依頼状がでてから出すように」とのことで書類を返されてきて、ああ、液体窒素が届かないって悲しいね、どうしようね、脱窒菌の植え替えもあるね、NO2のスタンダードもあるね、その書類出すための書類を受け取ることは僕は出来ないのね、、、などいいながらもMill Q水の濃縮を終え、NaNO2をたんまり入れて、軽い酸素のNO2 stdを作りました(あと1月寝かせましょう)。なんですかこれは。

ああ!原稿のゲラチェックがありました!どうしよう、、、あ、合間にはY先生とW先生と、怪しげな機器のお話し。液体窒素が、、、、

結局FIDにSさんが慣れてもらえたのが13時頃で、生協に行って、甘いものも食べて、 FIDをとにかく頑張って頂きました。その裏番組で今サンフランシスコのMさんのプレゼン原稿に手を入れました。入れつつ東工大のNさんと測定の予定を組み、1月末にNH4測定のリハーサルをやることに決定。大半のメイルはチェックする余裕もなく、実験室をのぞいてはSさんの状況を見て、自分のPCをのぞいては、pptにコメントを書き込んで。

先日遊びに伺ったうちのMさんの研究計画に横国のK先生がコメントをつけてくださって恐縮。この人ほんまにまじめやなぁ、、、、って、違うことを返信して、違う話もメイル上でどんどこ展開させてみる。あ、SさんにCCつけてなかった、、、。明日話しましょう。メタン酸化は奥深いですよ、きっと。

突然FIDがご乱心。困りました。本当に困っちゃったので、今日はここまで。明日直っていることを祈りましょう。こびとさん、お願いします。zzzzz。寝てる間に直してくれると良いのですが、、、

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事故でゆっくりとしか動かない電車の中で、ついに「ムハマド・ユヌス自伝」を読了。昨日ちょうど家で「ネクスト・マーケット」を読了したところ。この2冊を並行して読んだのはなかなか良かったです。

マイクロファイナンスを簡単に捉えすぎていました。ユヌス氏は結局自尊心を大事にした、まさにそのことだけだったのですね。本当にこの自伝はすごいです。実際にマイクロファイナンスを展開することの難しさは、ネクスト・マーケットのなかでも少し分かりますが、そのことよりも、実際に理想に少しずつ着実に歩んでいってしまうその様に、感動を覚えます。ものすごい本です。

BOP(Bottom of Pyramid)を顧客に替える、というシンプルなうたい文句では僕のような人間には考えつきもしないような様々な側面がネクスト・マーケットには書かれています。確かにコストを1/10ではなく1/100にしなければならない、イノベーションを絶対に必要とする市場というのは、すごいですね。いろいろ目から鱗、な着眼点がありました。

この2冊は、とてもずしんと来ました。

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あ!あ、明日の授業がぁ!

 

| December 8, 2007 : 古都鎌倉にて

Iさんたちは京都ですが、私は、友人の結婚パーティーで鎌倉に行って参りました。高校の問の同級生3人で出かけました。湘南の海が望める小さなレストランにて。おめでとう!!!

彼の名前は実名で出しておいた方が良いでしょう。中渓宏一君です。うちのクラスの総務長(といえば湘南高校出身の人には分かる)だった中渓は、大学を出て、会社をいくつか移り、そのあと、放浪の旅に出て、世界を本当に歩いてきています。本当に歩いているのです。

ニッポンを歩く、木を植える」というweblogで彼の活動をうかがい知ることが出来ます。

彼と考えが違うことは多々ありますが、根っこの真剣さは負けないようにしたいと思わせる、5年に一回くらい、夜を徹して飲みたい、貴重な友人です。

鎌倉の海はとても静かで、あのころから時間が止まったような気持ちすらします。高校をでてから、今、倍の時間がたちました。これからもっともっと僕らは、僕らの人生は面白くなるはずです。そんなことを考えながら帰ってきました。頑張りましょう。

 

| December 7, 2007 : Y研中間発表大会

朝9時から夜7時まで学生さんによる研究中間発表会。3年生も参加して、ケンケンガクガク、色々と。

皆さんお疲れさまでした!鍋とビールおいしかった!

ずっと頑張ってきて、ある程度煮詰まった人の研究に対して、上手にコメントしたり、新しい同位体比測定を加えることで、新しい視点が持てるようになったら最高だなぁと思っています。そういう「先生」になりたいですが、そう簡単ではないですね。

でも、学生さんが一生懸命頑張って、いい発表をしているのを聞いているとき以上に「教員」って良い仕事だなぁと思う瞬間はありません。みなさんありがとう!そしてこれからも頑張りましょう!

そして、そろそろ、卒業予定の皆さんのことを思って寂しく思い始める時期ですね、、、

 

| December 6, 2007 : ちょっと自分の仕事

朝から業者さんへ色々とメイル。納期が微妙な物品は、年度内に手続きが済まない可能性が高いために、なくなくキャンセルしました。うむ、、、あとはY先生におねだりしたものを発注したり。

連合大学院に書類の差し替えをお願いしに行くと、あっさりと終わって、ほっとしました。これでおしまい、だといいのですが。

18Oでラベルされた水を希釈して、約100‰程度の「重い」Mill Q水をつくって、その水にNaNO2を溶かして、1月寝かします。一方でMill Q水を地味に濃縮して、「軽い」水も作り始めました。軽い水の方は結構時間がかかると思いますが、これでスタンダードを作らないと、亜硝酸の同位体比がきちんと議論出来ません。Sさんの研究の面白い側面の1つをしっかりしたものにしないといけないですし、ちゃんと値を決めないといけません。そして、コミュニティーのためにも一杯作って配布出来る限り配布するつもりです(そんなにたいしたものではないのですが、、、)。しかし、硝酸のスタンダードは作るのが大変そうです。来年半年くらいかけて作ることを考えないと。

その後、2月にやるべき実験に向けてのあれやこれや。頭が煮詰まって仕方がありません。今日は久しぶりにY先生と生協へ行きましたが、お互いちょっときな臭い話をしてみたり。

エパポレーターを見つめながら、論文を読み、ああでもこうでもない、と、そんな時間はもしかして久しぶり?結構楽しいです。そうこうしているうちにKさんが高校生の皆さんを連れて、実験室をご案内。ご苦労様です!高校生にはどんな風に見えるのでしょうね。

お茶を飲んでいたら、もう17時。東工大からMさんが学会発表の内容について相談にいらっしゃる。発表の内容を、とにかくシンプルにすることに重きを置いてコメントしたつもりでしたが、役に立ったでしょうか、、たっていると嬉しいのですが。

さて、明日は中間報告です。朝9時からエンドレス。皆さん頑張りましょう。少しでもそれぞれの研究が前に進むように。

 

| December 5, 2007 : ただひたすら書類と戦う

昨日は朝から通帳名義などのやりとりや、他大学から来たサンプルを受け取ったり、ばたばたと。夕方はKさんと学生さんがN2O測定に関してY先生に聞きに来ていたので、横から参加してみたり。うまくいくといいですね!

夕方は我々呉越同舟軍団の交流会。ずっと聞きたかったMさんのご発表。とても興味深かったです。もう少しどんな測定機器を使ってどんな測定をしているのかも聞きたかったかな。ゲルがDNAを取り込むことで、いろいろ測定に使えたり、もしかすると分離に使えたりするとすごいなぁ、と思いながら聞いていました。しかし、血栓の話はいつも気持ち悪くなります(カテーテルをあんなに長く入れるのか、、、と)。

その次はHさんのご発表。みんな前口上が面白すぎる。次回は僕だけど、どうしよう、、、前の前の職場では近いような発表を色々聞いていたのだけれど、ここ数年でもしかするとものすごいことが起きているのかも知れないな、と思いながら聞いていました。しかし、人間のものの見方は、逆にコンピューターのことを考えれば考える程、すごい情報処理の仕方をしているんだろうな、と思います。以前「赤を見る」という本に夢中になっていたことを思い出しました。Hさんにみんなでお金を預けて見たいなぁ、、、、

懇親会、というか忘年会、というか、だいもんで。農学関係者で固まって座ってしまったのは失敗でしたが、Lさんの色々な話を中心にとても面白い飲み会でした。この飲み会はいつも面白い。帰り際、チャンスが無くて話せなかったアイディアについてYさんにお話しして、出来れば一緒にやれると良いなぁ、、と。

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今日は朝からなんだか頭も身体も重くて、それでもまずはコーヒーをがぶ飲みしながら7:30からとある書類を作成し、8時前に提出し、9時前にその書類の確認の電話に対応し(しかし、その結果は間違いだったことが後ほど判明)、続けて筑波からいい知らせのお電話を頂き(よかった)、そのあとMさんの研究指導委託の書類関連についてやりとりをはじめたのは良いものの、実はやっぱりまずそうなことが判明し、これも勉強よ!とMさんに事務方への連絡をお願いし(これが中途半端だったのがまずかったですね、ごめんなさい、、、)、Sさんと脱窒菌の植え継ぎをはじめ、Yさんにエタノールをもらいにいったら、液体培地で植え継いでいることに驚きの表情を浮かべていてうれしがり(まぁ、そうですよね、、、)、オートクレーブ、ようやく電源を入れたのだけれど、なんだか動く様子が無く、Sさんと???と不安になり始めていたら、泣きそうな顔でMさんが「なにがなんだかわかりません〜」ということになり(そりゃそうだ)、とりあえずオートクレーブはSさんに任せ、某所からの電話を代わり、やっぱり僕が何を言っているかちんぷんかんぷん(自分で)になってきて、整理しないとまずいから、とにかく一度ブレイクを入れて、何がどうなっているのかをこちらの事務方に相談しにいこうということで、お昼前に事務に飛び込んで、一つ一つこんがらがった糸をほどく作業を、事務のプロと。何とかこんがらがったことは直せそうで、その直せそうな状況をそのまま先方に(プロとプロの間で)伝えて頂くこと、こちらとしては出来る範囲での書類の訂正を行うことを確認し、これにて一件落着?あ、その前に今度の木崎湖調査の出張依頼状を誰宛に出すべきかを事務に相談し、もらった情報を今度は東工大に転送し、、、、

お昼をY先生と食べながら、一体我々は書類書きやさんなのかしら?なんて話。DIYショップに行くが必要なものは手に入らず、とぼとぼと帰ってきて、オートクレーブかけられた培地をもって実験室に戻るも、冷める前にもう学科会議。

学科会議では、、、まぁ、書けませんが、自分の書類に関していろいろと。そのことがあると予想されたので、今日京大生態研で行われている硝酸同位体祭りには参加出来ませんでした。ああ、17O、、、

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書類書きには慣れません。失敗ばかりです。未だに失敗ばかりです。さらに、なぜ?なんでこんなことが?と思うことも多々あります。

ただ、ただ、まず考えることは、全ての人が全ての立場でベストを尽くそうとしているのだ、とまず信じることからはじめよう、ということです。そう考えるところからはじめないといけません。自分が傲慢になります。ちょっとの情報の損失が、ベクトルを違った方向へ向かわせてしまいます。それをきちんと方向修正すれば、深呼吸して、人々の自尊心を尊重しながら(そういうととても大げさですけど)、ゆっくりとこんがらがった糸をほどいて行くようにしなければなりません。

なんて偉そうに書きますが、そんな風に出来ないことがほとんどですけどね、、、そして明日も朝一番で書類を作成し、fax、メイル、荷物の受け取り、電話、、頑張ります。今とにかく頑張らないと、1月2月に実験出来ません。出来ないと、3月の中間評価が本当に危ないので、、、お先まっくらくらなのです。

Y研の皆さんは、明後日の中間報告に向けてスパートをかけていると思います。ミカン、明日ももって行くので一杯食べて風邪など引かないように!

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とあるワークショップ、というか面白そうな話をなさる方々が一堂に会してわいわいやる(??)会が新年に開かれるのですが、情報共有をどうしたらいいか、と考えはじめました。Wikiでも立てたらいいのでしょうか、、、ああ、サーバーを何とかしたくなってきました。。。

 

| December 3, 2007 : じっとがまんのこ

朝、自分の机に座り、コーヒーを淹れる。そんなことを多分1ヶ月?2ヶ月?できていなかったのですね。久しぶりでした。

今日は色々なお客さんが来たり来なかったり、、、夕方NさんとAさんが来てくれたのは嬉しかったですが、あとはまぁ、、、

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業績別刷りを全て提出せよとの指令が!ええ?!と、探してみるが、一部出てこないものがあり、お願いメイルを出したり(ほとんどがすぐに出てきたのは、今まで一杯出して、そして落ちた公募書類を保管していたからなのです。あはははは)、業者さんに金属チューブのスペックをあれやこれや、同位体試薬をあれやこれや、Sさんと脱窒菌の健やかな生育のための必要器具をあれやこれや、、、FTPのアカウントを作ったり、サーバーの調子を見たり、フランスやアメリカにメイルを書いたり、、、

ほとんど何も進んでいないように見える一日だったけれど、地ならしを続けないと、次に大きく飛び出せないので、頑張りましょう。

5日の京大生態研でのCREST硝酸同位体会議、行きたかった、、、、AGUも行きたかった、、、でもどうしてもやらないといけないことがあるのです。

 

| December 2, 2007 : 初心に戻りましょう

研究室に配属されたのは、4年生になるちょっと前、2月頃でした。1993年の頃です。

6月、T先生が留学なさる2月前くらい、ようやく野外調査を始めた頃のresumeと、1年間肌身離さず読んでいたMariotti et al. 1988 GCAのコピーが出てきました。多分コピーは2つめで、1つめはぼろぼろになってまさに「溶けて」しまったのを覚えています。だから書き込みが少ないのです。本当は分からない単語の訳やら、???とか!!とかうへぇ、とか、うそ!とかいろいろ怪しげな書き込みがあったはずです。

resumeのプリント用紙がなかなか時代を感じさせるのですが、京阪電車の中で書いてくださったT先生のコメントを読むと

  • なぜそれをやるのか
  • どうやってやるのか
  • なぜ私は脱窒を研究するのか

を考えてくださいと書かれています。いつも学生さんに問うていることは、自分自身が問われてきたことが良く分かります。

そして

  • 物質循環っていったい? -- これは私の(Tさんの)これからの課題でしょう。

とも書かれています。もちろん僕の課題でもあるわけですが。

さて、15年経とうとしています。僕らはどこまで遠くまで歩いてこれたのでしょうか。

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自分の計画を読むと、まぁ、何も分かっていないと言うか、そりゃ無理ですよ、という点が多々見受けられて赤面するのと、それよりも何よりも全体としてのレベル(現象の理解度、目的の妥当性、世界の動向把握など)が、かなり低いことに愕然とします。まぁ、思い出はすべて美しく飾られているものなのですね。反面教師、戒めとして机の上にいつも置いてあります。

それにしても、ずっと1年間読んできた論文がMariotti et al. 1988 GCAであって良かったとつくづく思います。もちろん対象としている生態系はかなり異なっているために、直接その論文を参考にできるところは多くはないのですが、高いレベルの研究を、「こうやるのが当たり前なんだ」とうっかり思ってしまう、その思いこみは大事ではないかと思うのです。

 

| December 1, 2007 : 師走ですね

さて、もう12月になってしまいました。休日ですし、気を取り直して「宇宙のランドスケープ」を読了しました。世界は10次元なのですね。人間原理の取り扱いがまだこんなにホットな状態なんて全く知りませんでした。本当に、学問全体としての厳しさが素晴らしいです。

木崎湖+深見池、2007年最終調査は12月16-19日になりそうです。頑張りましょう。

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外国に問い合わせメイルを打ったら、すぐさま色々情報をくれました。とても助かります。僕もそういう人にならないと。