Kei Koba's weblog in CER, Kyoto University ~ Are we on the right track ? ~

| July. 29, 2007 : よく飲みました

25日は研究室でちょっと飲んで、26日は特別講義をしてくださったNIAESのS先生とYさんと国分寺でのみ、27日はY研中間報告が終わったので、豚キムで飲み、昨日はお昼間から友人と横浜みなとみらいで飲み始め、夕方には妹夫婦と両親と我々とでお魚を食べながら飲んでいました。いやぁ、連日よく飲みました。

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Y研の中間報告がありました。本当に皆さんお疲れさまでした。色々な考え方があるでしょうが、30分間自分の時間をもらえたなら、どんなことを引き出したいのか、どんな30分を使いたいのか、と言うのを考えると、もっと多様なプレゼンテーションの形があるような気もします。これは全く個人的な印象なので、あまり気にすることはありませんが。特にM2、Dの学生さんは、自分の進行状態によって、色々なプレゼンテーションを考えても良いと思います。

皆さん頑張ってましたが、特にM2の皆さんの内容には色々感心しました。これからあと半年、彼女たちがどれだけ高いレベルまで自分の研究を引っ張ってゆけるのか、とても見て行くのが楽しみです。出来ることがあれば(ないかもしれませんが、無いなら無いなりに)、全力でサポートというか協力しますので、色々聞いて下さい。そして色々教えて下さいね。

そしてもっともっと皆さん生意気になって下さい!

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今日はなんだかちょっと疲れてしまい、とにかく選挙だけ行ってきました。明日から木崎湖・深見池・梓川調査です。すぐそのあとは中国に調査に行ってきます。調査の様子はおそらくしばらくあとでputすると思いますので、どうぞよろしくお願い致します。今回は出来る限り3年生を意識して記録を書こうと思ってみたりしています。しかし、何よりも4年生の調査が上手く行くようにまずは今週頑張ります!そして東工大の皆さんの調査も上手く行くように何か頑張れることがあるでしょう。

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この本が出版されたのは2001年、僕は30歳でしたか。記憶では別刷りはもっと以前に頂いた気がします。その当時、名大大気水圏(IHAS)にいらっしゃった吉岡先生から硝化菌の光阻害の論文を頂きました。その論文は"Lake Kizaki"という林先生と西條先生が編集なさった本に載っていたものでした。内容は全くその当時分かりませんでした。吉岡先生は僕にとって同位体、特に湖の食物網やTL=1の生物の同位体比についての研究をなさっている、僕にとって数少ない同位体の先生であったので、その仕事の内容についてはほとんどお話しすることもなく、また、僕自身も「土壌はいつも暗いからなぁ」と、硝化細菌の光阻害という要素は全く気にかけていませんでした。

ただ、この本を手に取ったときに、「ああ、森林の物質循環ではこのような研究はなかなか出来ていないし、なかなか出来ないのではないだろうか」と思ったのです。同じ生態系を異なる科学者が異なる視点で研究して、より包括的な絵を描く、そういった展望を描いていたのですが、博士課程を通じて、なかなか難しいものだなぁと感じていました。そして、僕の中では木崎湖というのは、一つのシンボルとして認識されたのでした。

この本には、楊先生、加藤先生、永田先生、芳賀先生、浜先生、関野先生、吉岡先生という、色々な形でお世話になったことのある、減殺もお世話になっている先生方が執筆なさっています。先日、ついに編集をなさった林先生と西條先生にもお会いすることが出来ました。

いろいろな思いを抱きつつ、湖や池の研究を東工大のみなさんと始めようとしています。とにかく何らかの形で恩返しがしたいのです。恩返しは、やはり、学問を半歩でも進めることだと思います。また、できるだけ色々な方とタッグを組んで進んで行きたいと思っています。何とか頑張って、ちょっと予備的な調査を自分でやってみて、面白そうな感触が得られるようなら、実際に提案して本格的な研究に持って行くことが出来ればと思っています。そのようなことを積み重ねていって、10年後に振り返ったときに、ああ、昔はなぜだか狭い研究分野に落ち込みすぎていて良くなかったな、と思えるように頑張りたいと思います。

なぜ、それほどまでに、他の分野の研究者との仕事にこだわるのか。それは、素直に生態系の多様な側面を見つめれば、自ずとそういう思いが募ってきた、その結果です。チームワークは簡単ではありません。いつも言うことですが1+1=2になることはほとんどありません。1になれば上出来と言うことも多々あります。それでも、生態系の複雑さに真摯に対峙しようとするならば、自分の能力の限界、視点の狭さを認めて、そこからどんな一歩を踏み出すか、と言うことを考えざるを得ません。僕の解、僕はどの一歩をどのように踏み出すかは、自分と違う窓を開けてもらう、自分が相手の開けていない窓を開ける努力をする、そうして、より広い視界を得た上で、自分たちの状況を丁寧に、ごまかさずに見つめる、と言うことなのです。道は平坦ではないでしょうが、険しいからこそ登る価値があるはずです。登って見える世界は少しは見通しがよいものだと思います。

 

| July. 25, 2007 : 貧乏暇なし

今日は、実質やったことと言えば、ECD-GCのトラップを替えて、Bakingしただけなのですが、裏番組では色々ありました。

特に、今日、月末恒例の伝票整理を終えると、いきなり貧乏になった気がしたのがいやでした。まぁ、順調に予算消化をしているのですが、今までにないペースで頑張って予算を執行しているので、ふと残り残高を見ると、とても不安になります。

クーラーとブラインドをつけなければならないのです。机や椅子ももっと必要になるでしょう。それは良いのですけれど、そういったものを設置するための予算を獲得することは非常に難しいので(例えば科研費などでつけられるはずがありません。研究のためのお金ですから)、使い勝手のよいお財布を開けざるを得ません。ところが、色々と今までの経験とは違って、予算執行にも色々と不自由が出てきており、結局使い勝手のよいお財布しか上手く使えないと言うことがままあるのです。わかりにくいですが、これ以上は書けません。

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Yさんと3回生とこばとで今日もちょっとお話しするチャンスがありました。洞窟生態系、いいですねぇ。どんな情報を載せたら3年生には分かりやすいでしょうか、、、なにかアイディアや要望がありましたら是非お聞かせ下さい!

Y研の皆さんは、金曜日の中間報告に向けて空気の密度が高くなってきています。頑張ってください!楽しみにしています!17:15を待って、たまらずビール開けちゃったけど、まずかったかしら、、、

 

| July. 24, 2007 : やすでからN2O!?

昨日は、ECD-GCを立ち上げて、次の日のヤスデ幼虫へむけて、あうだこうだとうなっていました。

3回生の皆さんが分属について話を聞きに来てくださいました。ありがとうございました。これについてはまた近いうちに。皆さんがhappy endingを迎えられることを!

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今日も朝からECD-GCをあれやこれやと。ロシアから帰ってきたYさんにあれやこれやとお聞きして、うんうんうなっていると、横国からKさんとFさんとSさんがヤスデの幼虫を持っていらっしゃいました。N2Oの発生速度の測定について、いろいろとご相談することがあります。どのようにサンプルを取るのか、どれだけの量をGCに打つのか、どのような実験(測定)計画にするのか、どのような要因が、ヤスデの成育・土壌微生物の状態・水分状態・ガスの状態に影響を及ぼして、最も自分が見たい状態は、どのようなバランスであれば得られるのか、そんなことを(堅く書けば)色々とお話ししたのだと思います。

とにかく試しに測定したN2Oは素晴らしく(すばらしいですよね?)綺麗な傾向で、これで修論の方向性は十分見えてくるのではないでしょうか。おめでとうございます!頑張ってください!

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ああ、色々な方にご連絡をしなければならないのですが、とにかく今は前に進みます、、、関係者各位のみなさま(って変ですが)、すみません、、、

 

| July. 22, 2007 : 本質を見ると言うこと

うっとうしい天気が続いていますね。

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査読を何とか終え、「本居宣長」もついに読了し(1ヶ月以上かかりました、、)、「株式会社という病」も読了し、今はとりあえず人間ドックの予約などしてみております。しかし、必要でないものをしっかりとはぎ取っていった後に残る、本質のようなものを、しっかりと見定めて受け止めるという営みは、すさまじい緊張感のたまものなのですね。そんなことを1ヶ月読みながら考えました

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再来週の中国広州での調査ですが、20kgしか持ち込むことが出来ないのです。さて、どうしたものでしょうか。N2O用のガスフラスコとNO3用のボトル(+保冷剤)。そして自分の衣服など。まぁ、最初の海外調査地では、上手く行くはずがないので、あまりプレッシャーをかけないように、とはいえ最大限の効果を上げられるように考えないといけません。とはいえ、来週はずっと調査で出ていますし、なかなか厳しいですね。やっぱりFedexを送っておくべきでしたか。

Fedexといえば、まだ色々とおつきあいがありそうで。。。

 

| July. 18, 2007 : 久しぶりのGC-ECD

朝一番でみてみると、とりあえずGC-ECDはベースライン大丈夫の様子。後はN2Oを打つだけなのですが。ですが今日はそこまで行きませんでした。また明日ですね。

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生協に行くと、やはり購入した図書がたまっていました。昨日も別のところで白川静さんの本を買ってました。読みたい本がどんどんたまって行きますが、まだ、「本居宣長」と戦っています。ですが、我慢できず「株式会社という病」を帰りの電車で読み始めています。

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Tさんと学生さんがisotope dilutionのご相談にいらっしゃいました。トレーサーレベルの15Nの測定は、やっぱりつらいのでUC DavisのStable Isotope Facilityを使ってみてはいかが?と言う話と、昔H君もやっていた、あのGF/D串指しdiffusionはもうやめて、PTFEで撒いたGF/D包みを浮かせれば楽ですよ、と言うお話しを。こういったくだらないtipsは、論文を読んでも分からないことが多いですし、そういう知識を提供できることで、別の研究室の学生さんであれ、研究が進んでくれれば嬉しいことこの上ありません。頑張ってください!テープの折りたたみ方はお教えできますので!

逆にTさんからはDGGEテスト用の森林土壌を大量に頂けることに。有り難うございます。北海道からも鹿児島からも、ぞくぞくと「土送ります!」との有り難いお返事が。ああ、土に埋もれてゆくしあわせ・・・

色々な人に助けてもらっていますし、自分でも少しでも人の手助けになれれば良いなといつも思うのですが、今日はちょっとそれが進んだかもしれない、良い一日でした。Y研のWさんもDI13Cをやりたいと行ってくれたので、頑張って時間を見つけてGCCIRMSを立ち上げましょう。今の状態でも立ち上がっているはずなのですけれどね。

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今月末は、東工大Y研と農工大Y研(+こば)で木崎湖+深見池、そしてY研でさらに梓川調査があります。その次の週、8月にはいると、中国での調査です。今週来週と目の回るような忙しさで、危なく査読論文を忘れるところでした。あぶないあぶない。Google Calendarの見た目の何と汚いこと。月単位での表示が全く意味をなさなくなってしまっています。週単位で予定を確認していると危ないのですが、仕方ありません。困ったものです。高校の頃は予定表に予定を書き込むのはあんなに楽しかったのに。

出来ることなら、8月後半から10月一杯まではどこにも行かずひたすら測定機器の立ち上げ、新しい測定法の立ち上げに没頭したいのですが、そうは行かないのでしょう。このままだと本当にあっという間に1年が終わってしまいます。4年生のサンプリングだけは死守したいと思っています。あ、陸水学会、あ、琵琶湖堆積物調査、あ、海外渡航もう一つ、あ、あ、あ、ああ

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たまには文献情報を。Global Change Biologyにたまたま注目してみました。

実験の合間に見た、横軸窒素deposition強度の論文:窒素がたくさん降ってきたとしても生態系の応答はそれに単純に反応するわけではありません。この論文にあるように山形(これは非線形的と言っても良いのでしょうか)のグラフを描くような反応をしていたりします。bioticなプロセスとabioticなプロセスが複雑に混じり合っているのが窒素循環の特徴であり、その特徴が良く現れているという気がしました。といってもまだグラフを眺めただけですので、間違いがあるかもしれませんけれども。

地下水のN2O:関係者各位にはだいぶ前にこの論文の情報を流しているのですが、とにかく一筋縄ではいかないのですね、と変な勇気をもらいました(もらって良いのやら)。

この頃ずっと行きの電車で読んでいるのはこの論文:亜硝酸がはやりkeyだとしかもう考えられません。中国ももしかすると亜硝酸からのN2O発生ではないのかしら、と妄想しています。pH低いですし。では、どのような要因を探れば、abioticなN2O emissionだと結論づけられるのでしょうか?さてはて。それは今回の調査だけでは無理そうです。

 

| July. 17, 2007 : 久しぶり?の東工大

朝一番で東工大へ行って来ました。机の上に薬品が放置されていなかったのには感心しました。コーヒーや甘いものなどごちそうさまでした(って、何しに行っているのでしょうか)。Y先生がいらっしゃらなかったのは残念でした。みなさん頑張ってますね!ね!?

午後はGCのカラム焼きだしを終えて、Filter Holderを洗い、azideに向けての試薬の準備などで終わり。 GC-ECDの立ち上げをしておいてベースラインを見ています。

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今は7つの学会に入っているのですが、最も長いおつきあいはESAの8年間で、後は出たり入ったり、また出たり入ったり、、を繰り返しています。と言うのも、出来るだけ固定せずに色々なところで話をしたり、話を聞いたりしようと思っているからなのですが。投稿する雑誌も、発表を行う学会も、出来るだけ固定しないようにしよう、というのが僕の小さなポリシーでありました。

今日、とあるところからとある学会関連のお仕事についてのofferがあって、ちょっと動揺しましたが、まぁ、お引き受けしようと思い始めました。自分もだいぶ年を取ってきて、研究者のコミュニティの中で引き受けるべき立場も、もちろん変わってきているはずですしね。などと、妙に自分を納得させてみたりしています。

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Love Psychedelicoの新譜をこの頃聞いているのですが、これは、Red Hot Chili Peppersの音がたまらなく聞きたくなるのと同じ感じで好きなのでしょう。とても、とてもシンプルなのにとてもかっこいいです。自分の好みがちょっとでも分かるのは楽しいですね。

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Raman-FISH !!: 素晴らしい!これは面白そうですね。

ちょっと昔にアナウンスされたのでご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、MIMSのonline-trainingが行われる予定だそうです。すでに河川のN2/Arの測定についてはpowerpointによる解説が出ています。これ、すごく面白いんですよ。こういうsamplingの仕方からなにからを、音声をつけてもらってpptで見ることが出来ると大変分かりやすいです。僕もKana-typeのMIMSに作り直さないといけません。Y研だったら、Mさんの研究には良いと思うのですが。脱窒とN2/Arの組み合わせは王道でしょう!

これはabstractだけではわかりませんが、MIMSで18O2も何とかしようとしているようですね。というか、すでにCO2の16Oと18Oでは1997年にやられているのですか、、、

 

| July. 13, 2007 : 今週のこばさん

10日:メンターのW先生のお話と、同じ悩みを抱える(?)KさんとYさんの発表を拝聴する機会がありました。

Yさんの発表はちょっと分野が違うけれど、でも基本的に興味のあるところでとても面白かったです。え、そんな大きな糖が細胞に入って行くのですか???酵素反応がああいう曲線だとドキドキするのですか?!知らないことばかりです。

Kさんの発表は、同業者であると言われれば同業者なので、酸いも甘いも分かった上で、でも、ああやってscalingの問題に正面からぶつかって行くのは本当にすごいと思いました。模型をつかって破壊実験をするような分野では、スケーリングはレイノルズ数とかいうやつで合わせるのでしたっけ?(また怪しげなことを言っていますが)、とにかく、そういったなにか物理的な要素でscalingの問題は解けたりしないのか、メタ化が容易になったりしないのか、など色々考えさせられました。水田のChamber背が高いですね!イネの生長に合わせるのはなかなか大変そうです。

その後の飲み会では、"ぐだぐださ"を爆発させてました。「自由意志」とか「到達点はベイジアン」とかおもしろい話がたくさん聞けました。いつも読んでいるblogのMさんにも、ようやく(勇気を出して)ご挨拶できました。「同期」というのは大学ではあまりない概念ですが、非常に良いものです。みんな同じような悩みを抱えていたりしますし。本当に単なる仲間ではなく、もっと刺激的な仲間になって行かなければならないですね。

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11日:東邦大のTさんがいらっしゃって、シクリッドやバッタの話など、、ではなくEA-IRMSの調子を伺いに来て頂きました。バッタを食べるバッタっているのですか、、知らなかったです。適応放散と言う言葉を久しぶりに聞いてドキドキでした。そんな大きな展開の話に同位体がコミットできれば素晴らしいですね。

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12日:3年生の分属説明会。と書いては見たものの、分属説明会ですか。そんな丁寧な大学ではなかったので、そのような催しが開かれることですら驚愕です。結局たいしたpptを作ったわけではないのですが、かなり夜中まで頑張ってしまい、のどが痛い、もしや、、と言う状態でした。

出来ればY研と(なんちゃって)こば研の学生さんは一緒の部屋になって欲しいのですが、スペース的に難しいでしょうか、、、。でも、、やっぱり先輩から学ぶこと、後輩から学ぶことはたくさんあるので、一つの部屋に入ることが出来ればいいのですが、、ま、そんなことは学生さんが希望してくれてから考えましょう。

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今日は朝からYさんにGC-FID用のカラムの詰め方を教えて頂きました。ポンプで引きながら振動を与えつつPorapak Nを詰めて行くだけなのですが、とても楽しいです。確かに今はできあいのものが売っているのでしょうが、 こちらの方、家内制手工業の方がが好きです。カラムをつけるという単純な行程の中にも色々考えるところがあります。

ようやく北のHさんに約束のものをパッキングして、台車をごろごろと引いてゆき、Fedexの小包を回収しました。汗が滝のように流れていました。6号館にはエレベーターがないのです。そして台車を引いて詰め所に行く時間を取ることすら難しかったこの1週間(郵便を取りに行く時間がないのです)、僕は何をばたばたしていたのでしょうか。Filter Holderをbathにつけて、アラスカの養分よ流れていってしまえ!これだけあれば月末の木崎湖サンプリングはGF/Fろ過大会でも大丈夫なはずです。

夕方はYさんロシア送別会でした。ビールの多様性が良く分かりました。

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10日、発表後のYさんと飲みながら話していて、11日はEA-IRMSを立ち上げているだけなので、以前お話しに出たGelをつかってなんやらかんやらというものを見せてください、とお願いしたところ、ご快諾頂けました。あやふやな知識で訪問すると頂いた時間を無駄にしてしまうと思い、PCR-DGGEのreview(とはいえ、字ばかりで僕にはあまり面白くない論文)をお送りしたところ、「これなら簡単に出来ますよ」とのお返事を頂きました。

へ? へへ??

この数週間、DGGEの測定を自分ですることは難しいだろうから、全行程のうちどこからどこの作業を業者に頼もうか、どこの業者が良いだろうかなど、北から西から色々な人に聞いて回っていたのですが、こんな近いところに強力な助っ人がいたなんて!

喜び勇んで研究室を訪問させて頂き、また訳の分からない与太話をあれやこれやとYさんにぶつけて行くにつれ、あれあれ、これなら出来るのでは???、と言う気になってきました。教わるまま、良く分からないままに始めてgelにDNAを流しました。お願いして写真を送ってもらっちゃいました。

My First Gelって、なんだか変な表現だな

微生物による有機物の分解、つまりは物質循環を考えて行くには、もうどうしても微生物の多様性・土壌動物の多様性・植物の多様性といった、生態系機能の多様性を議論して行かざるを得ないのだと思います。そういうデータが盛り込まれていないと、議論がなされていないと質の高い論文にならない、もうすぐそういう時代になるのだと思います。DNAアレイを僕らが使いこなすのは5年後でしょうか、10年後でしょうか?と極限微生物学会で質問したのですが、おそらく、ターゲットを絞ってしまえば、あとはやる気(労力+お金)の問題だけのところまで来ています。

北大のMさんと交わした「生態系機能に取り組むには微生物はやりやすいはず」という話からすでに数年経ちました。まだ何も始まっていないのですから、別に大げさに表現する程の感慨があるわけではないのですが、でも、とにかくスタートラインに立てるかもしれないというのはとても嬉しかったです。僕にとって同位体以外のことを異動した先で始めることが(無謀だとは思いますが)、どうしてもやるべきことの一つだったのです。

学部生の頃からずっと温室効果ガスの研究をしたいと思いつつ、いつかやろうと思いつつ、機材や自分の人脈の狭さ、そして何よりも自分の積極性の不足から、ずっと叶いませんでした。温室効果ガスの研究は講師として後に東工大に異動して、ようやく始めることが出来るようになりました。その頃と比べたら少しは積極性が上手く表現できるようになったのかもしれません。

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異分野の人と何か始めようというときには、とにかく、如何に早く相手の研究分野におけるベースラインの知識を獲得し、自分の知識となんとか混ぜ合わせて、なんとか新しいアイディア、新しいものの見方を提案できるようにと必死になります。その時の必死さは、我ながらびっくりします。

その時の必死さの中には、共同研究の中で自分を相対的に見なければいけないこと -- たとえば、自分が共同研究の中でどのような立ち位置を取るべきか、自分の能力が許す範囲でどのような形でコミットできるか、自分の頭の回転の遅さがどれだけ他の人のアイディアを停滞させてしまうか、などなど -- から来る焦りと恐れと、それでいて、もう少し自分が成長すればコミュニティ全体が成長できるはずという期待が入り交じっています。僕の研究活動におけるモチベーションは、結局自分が「この人と何か一緒にやりたい!」と思った人に「こいつとならいっしょにやったらおもしろそうだ」と思ってもらう、そこにあるのだと思います。それは博士課程から全く変わっていません。相手が教授であろうが学部生であろうが全く関係はありません。

ですので、Yさんにこれから色々と教えて頂く過程で、少しでも早くなにかYさんの研究に役立つようなことが提案できたら良いなと思っています。そのために勉強しなければいけません。しかもそういったことは論文を読むといったようないわゆる「勉強」ではだめなレベルの話ですので、かなり頑張らなければいけません。しかし、変な話ですが、とてもわくわくします。

農工大の皆さんも、何が今自分が出来るか、から研究内容を積み上げて行くだけでなく、自分が何を知りたくて、そのためにはどんな知識・技術を習得しなければならないか、というtop-down的なところからも考えてみてください。そして、それは今の環境では出来ないから、とはあきらめないでください。そんなときにこそ教員を使わなきゃいけませんよ!教員は使ってなんぼです(とは他の先生に向かっては言ってはいけませんが)。出来ないことももちろんたくさんありますが、でも、出来ることもかなりあるのです。問題は、結局、真剣さです。頑張りましょう!

 

| July. 9, 2007 : 土壌生態学入門

Kさんの「土壌生態学入門」をラインマーカーを片手に読了しました。土壌での無機化における、predatorの役割についてつらつらと考えていたのですが、この本を読むことでいろいろ頭の整理が出来て、非常に良かったです。トビムシやミミズの知識がつくだけでなく、結果として常に物質循環の視点が入っているように僕には思えたので、たいへん面白く読めました。良書です。

土壌動物と物質循環について気になる方は、合わせてこの最新の総説も読むと良いと思います。友人のMartinが書いてます。頑張ってるなぁ。

Towards a complete soil C and N cycle: incorporating the soil fauna.
Osler, G.H.R. and Sommerkorn, M. (2007) Ecology, 88, 1611-1621.

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「やまと魂」と「姿ハ似セガタク、意ハ似セ易シ」。

・・・「姿」の経験は、「意」に抵抗することも教えている筈である。「文辞の麗しさ」を味識する経験とは、言ってみれば、沈黙に堪えることを学ぶ知慧の事であり、これさえしっかり掴めば、「言のよさ」に「たぢろく」心配はない。宣長は、それを「やまと魂」が堅固まりさえすれば、と言う。「やまと魂」という言葉を、彼も「才」に対して使っているのである。(小林秀雄「本居宣長」第二十五章)

すばらしいです。

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Mさん、入試お疲れさまでした。そして、飲み会の準備をしてくれたみなさま、参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。ああいう席がY研のことを一番分かるのではないでしょうかね。

 

| July. 8, 2007 : ようやく

御無沙汰しておりました。日本に戻ってきてから、色々と怒濤のようにこなして、、と言うよりもこなされて、ようやく時間が出来ました。

3日:極限微生物学会シンポでの発表でした。ひとりも知り合いの方がいらっしゃらない学会というのは、初めてでしたが、とても貴重な時間を過ごすことが出来ました。ご推薦頂いた東洋大のYさん、そしてオーガナイザーの先生方、本当に有り難う御座いました。今後ともいろいろとよろしくお願い致します。

違う分野の方々の中で、果たして自分のやってきたことはどのようにコミット出来るのでしょう、どのようなメリットを与えることが出来るのでしょう、どのような新しい地平を開くことが、どのような新しい世界観を提示することが出来るのでしょうか、という根本的な問に直面せざるを得ないわけですが、そのような苦しい思いをするだけのチャンスはなかなかありません。全く違う分野での講演は、本当に有り難い機会でした。そして、聞くこと全てが新鮮で、大変貴重な時間を過ごすことが出来ました。

全く宣伝しておかなかったのですが、生協付近で、FさんとHさんとTくんを見かけ、おお!久しぶり!と思ったら、何でも聞きに来ていたそうで、、、うう、、お恥ずかしい、、、

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Y研を受験なさるMさんがわざわざ来てくださって、色々お話しするチャンスがありました。月曜日、頑張ってください!

総説を書くのは、確かに偉い先生が書くことが多いですが、それは、一つは依頼されて書いている、もう一つは単に、偉い先生はきちんとその学問分野を俯瞰して書くことが出来るから、です。偉いから、というのは後者にとっては二次的なものであって、学生さんであっても、きちんとしたreviewは書けるはずですし、書けなければいけません。むしろ平易に書ける可能性があるかもしれない、と思って、是非入学準備期間の目標にしてみてはどうでしょうか?

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今週は8時前に毎日来て、頑張りました。授業も、Fedexにまつわるさまざまなtrouble-shootingも、書類の提出も、あれやこれやと、もうなんだかとにかく色々やった気がします。衝撃的なin pressの論文を2本舐めるように読んで(Sさんも月末の調査に向けて必ず読んでくださいね!)、もう一つin pressの原稿をドイツにお願いして頂いたのでそれも読んでみたのですが、、、なんとまぁ、もう、世界はどんどんと進んでいますね。

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WHOIからメイルが来ました。あとはDenverとMenlo Parkをどうするか、だけです。もちろん渡航申請が許可されるかどうかですが、先方の予定を考えたら、出来ることは限られています。また何か問題を含みそうな予感もしますが、とにかく前に進みましょう。

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月曜日夕方、Y研で飲み会をしてます。みなさまご参集の程よろしくお願い致します。とにかく、とにかく今週末は時間の感覚をresetします。