Kei Koba's weblog in CER, Kyoto University ~ Are we on the right track ? ~

| July 18, 2004 /日本に帰ってきたらABCが倒産していた、、なんて、、

15日(現地時間)は、6時にStable Isotope Free Lab前に集合。何とか全員6:10には仕事を始める。14日の夜は、サウナの後保原さん、松井さんと一緒に結局2時までビールを飲んでいた。

松井くんが「出来ればもっと長く来たいっすね」と言ってくれたのは嬉しかった。ただ、今日しか言えないからと思って、個人的な意見を一つだけ伝えておいた。それはResearch Assistantとしての仕事の内容である。
吉田研ではResearch Assistantとして松井くんをJST雇用しているが、その仕事内容がアメリカのそれとは大きく違って、自由度が高い。それはPDにも言えて、それはまさにPIである吉田先生の方針であるから、それは僕はかまわない。しかし、アメリカではそうはいかない(少なくとも僕の知っている限りでは)。僕の関わっているプロジェクトでは、プロジェクトとしてやらなければならないこと、出さなければならないデータをしっかり出すのを担当するのがResearch Assistantである。NSFはcutting-edgeな仕事よりも、きちんとデータを吐いて、今後の将来予測(つまりはモデル化)につなげることが出来るような"solid"な研究にしかお金をつけなくなっていると聞いたことがあるが、まさにそのような状況の中、RAの責任はますます大きくなってきているように思う。たとえれば、RAはプロジェクトの四角い枠組みをしっかりと塗って行く担当者であり、PIはその枠組みを少しずつ大きくして行く担当者である。であれば、研究が「安全に施行されること」を最も考えなければならないのがRAであり、PIはだいたいにおいて好奇心の固まりのような人間であるから、どんどんと「あれもしたい、これもしたい」と提案するのを、むしろ押さえるのがRAの仕事でもある。実際、僕だって保原さんだって、ここに来ると狂ったように仕事をしてしまう。素晴らしい生態系があって、操作実験が出来て、過去に様々な研究が行われて、そして、相談できる、戦える相手がいっぱいいて、そしてその人々が狂おしい程協力的で(「僕が分からないけど、多分だれだれが分かるから紹介してあげるよ」とか)、logisticsがしっかりしていて、、そんなところでアイデアがでないようなら、体が動かないようなら研究者失格だ。そういった環境であるからこそ、逆にRAはsolidに仕事をしなければならない。自分のすべき事の枠組みをしっかりと決めて、それを100%完全に行わなければならない。典型的な例としては、得られたデータをすべてCDとZipと紙とlaptopに保存して、別々に送る、、そこまで徹底することに気を配るべきなのだ。究極の黒子に徹するべきなのだ。
今まで見てきたのは、そうやってRAをやっていて、面白くなってきてPh.D. studentになる、と言うケースで、もっともだと思う。今回最初にSallyが言っていたように「熱気は伝播する」ものだから。面白そうに嬉々として休む間もなく働き情報を交換し考えているPIやPDやPh.D studentsを見ていれば、感化されるのも無理はないし、多くはPh.D. courseに行くための足がかりとしてRAを考えてもいる。
そこに厳然とあるのは役割分担であって、RAは枠組みを大きくするようなことはやらない。やらせてもらえない。それが事実である。もちろん実際には「考えや情報が足りない」というアイデアが多いため、と言うこともあるが、"it's not your bussiness"で終わりである。それは、悪い意味ではなく、上記のようなことが"your bussiness"であり、それをしっかりやってもらわないと困るからである。もちろん多少の逸脱や「やってみたいことをやらせる」と言うことはあるが、budgetも限られている中、それほど「研究の自由度」は与えられない。そして、ここが一番大事なところだが、PIやPDはその「研究の自由度」を自ら得るために、様々な努力をしているのだ。proposalに多大な時間をかけ、論文と学会発表に邁進し、ようやくつかんだ「自分のやりたいこと」の一部に予算が付き、実行へと移ることが出来る。逆に言うと、RAではそれが出来ないのだから、自分のやりたいことがたとえ見つかったとしても、それをやる権利はない。
"Curiosity killed the cat"ではないが、松井くんは今回素晴らしい働きを見せた。そしてそれ以上に目を見張ったのは、有り余る好奇心と、それに支えられた研究意欲だった。もしも彼のような人がRAとしてアメリカで働きだしたら、おそらく大変なストレスに見舞われるのではないか?それが心配だし、そういう意味ではPh.D courseに行くのも悪くないのではないか?と伝えた。
文科省が「余剰博士」対策へ乗り出す(どう乗り出すんだ)と報道があったけれど、実際PDはPIへの道とRAの道に二極化しつつあると以前書いた。その状態も考えて、RAという職業が今後まず成り立つのか、そしてその職業には何が必要なのか、考えなければならない。そして、14日話していたときと同じく、やっぱり僕にはRAは無理かもしれない。。保原くんもそんなことを言ってた。

結局frostpakに色々ぎゅうぎゅう詰めて、パッキングが終わったのは8:45!つまり出発15分前!よかった。。本当は7時にしようかと思っていたのだけれど、6時にして良かったよ。。みんなに簡単に挨拶して出発。Richがわざわざバスまで来て握手してくれる。さようなら。また来年ね。Toolik名物のお見送りWaveまでしてもらい、いざ出発。荷物はスーツケースが4つ、巨大ずたぶくろが2つ、ごろごろクーラーが2つ、そんなところか。

Prudhoe Bayまでの道。天気が良くGeologyが良く分かる。しかし、結局ムースを遠くに見かけただけで大型動物との接触はなかった。残念。今年は何かが違う。途中から非常に寒くなる。結局空港は4度?いや、2度くらいかもしれない。寒い。

Check in。松井くんのスーツケースが60lbsよりも重かったか?ずたぶくろは54と56lbs。Alaskan Airは50blsまでしか認めないのだが、おばちゃんが許してくれる。有り難う!

いざ出発。Anchorageまではかなりあっという間。Anchorageの綺麗な空港に着き、Coast International Innへ。クーラーを6つ、Freezerに入れてもらう。すぐにdowntownに出発。とりあえずおみやげ屋に入る。相変わらず何もない。本当に何もない。去年驚愕したモスコックスぬいぐるみは無くなっている、、、なんてこった、、鈴木さんと松井さんはそれでも何かを探しているようだ。がんばるのだ。日本でお世話になった人がいっぱいいるだろう。僕は三橋さんにかなりリアルでいけているとおもっているアラスカの鮭のぬいぐるみを($10、後で鈴木さんに払うこと)。

そのころもう17:00頃で、おなかがぺこぺこ(朝食べてから何も食べてないのだ)。そこで、すぐ横のAlaska Salmon Chowder Houseに行く。ずっと気になっていたのだった、もう4年間も。eat-inのcafeteriaで、3週間前のレストランの風格はない、、まぁ、いいや、とにかくもう僕はいかなくっていいや、あそこには(笑)。ちゃんと色々聞いて、ちゃんと喧嘩してくるべきだったかもしれない、反省。いや、まぁおいしかったですよ。特にKake-udonが。

おなかがふくれて元気が出たので、銘々別れて行動することに。僕と保原さんは怪しげな土産物屋を巡り、保原さんは怪しいモスコックス置物を買う。僕はAlaskan AmberのT-shirtsをごっそりと。このビールにはお世話になったからなぁ。Carharttを買いにゆくも、すでに店はしまっていて(もう8時過ぎ)、美術館は木曜日だけ特別に長く開館していてgift shopには入ることが出来たけれど、お目当ての"Mosses, Likens and Ferns" by Vitt (1992)が無い。今Webで探してもないし、Amazonでは3人程中古を待っているようだ、、、9時にvisitor centerに戻り、タクシーでホテルに帰る。シャワーを浴びたら本当に泥に沈むように寝た。

次の日は6時にロビーで集合したが、松井くんが電話をかけてもドアをばんばん叩いても起きない(笑)。結局保原さんが「がさ入れ」を決行し、思いっきり足を叩いて起こす。すごい寝方だ。そして、そんなに眠かっただろうに、毎朝何とか起きて夜遅くまで働いていた彼の好奇心に感服し直したり。

結局朝食は食べることかなわず、そのままcheck outして、freezerから出してもらったクーラーにイエローカード(輸入するのに必要な証明書)を張って行く。凍っているクーラーに上手く貼れない。今度からはダックテープと保冷剤を用意すること(そして重量は保冷剤の分も考えること!)。重要です。

7時過ぎにAnchorage空港。重い荷物をドキドキしながら測りに乗せるも、すべて60lbs以下で、何のおとがめも無し!ひとまずほっとする。スターバックスで珈琲と結局食べきれなかったスコーンを買い、しばし休憩。DiscoverやScientific Americanなどを仕入れたり。

Seattleについて、バーガーキングで巨大なものを頼んでいたらもうすぐ出発。あれよあれよと成田行きに乗り込み、あれよあれよと出発してしまった。Seattleではもうちょっと乗り換えの時間を取りたいが、そうも行かないんだよなぁ。飛行機の中ではまぁまぁよくねむれました。鈴木さんに借りた桶川ストーカー事件の本は一気に読みました。最後の方はちょっと目頭熱くなっちゃいました。

成田に着き(温度差30度以上か、、)、植物防疫で申請する。やっぱりちょっと溶けているなぁ。Frostpakはまぁまぁか。やっぱりがらがらには保冷剤が必要だ。税関はその甲斐もあってスムーズにでて、その後輸送。佐川さんは16時過ぎではもう冷蔵を打ち切っているとのこと。仕方なく黒猫に。中身を出しなさいと言われて困ったのでがらがらの中身だけ出すことに。フロストパックの中身を出して、箱に入れる方が良いのか、フロストパックごと、今回のように箱に入れて送るのが良いのか、分からない。とにかく5箱。12550円。

今回の輸送で分かったこと、そして考えるべき点。

  • 必要必需品:保冷剤、段ボール(Frostpakの補強)、温度計(ロガーつき、輸送中の温度変化を記録してみる)、duct-tape(イエローカードの貼り付け、zipperの封鎖に必要)。
  • ガラスで凍結するものは結局重くなる。重量の申請の時はさらに慎重にやろう。
  • Anchorageまでは50lbsという制限がある。これを如何に克服するか。ただ、dry-iceを入れることが可能。
  • Anchorageでのホテル。コンタミがどうなのか。全部を少なくともビニールで囲んでFrostpakに入れることが必
  • AnchorageからNaritaまで、今度は32kgまでOKなので、そちらは安心。ただし、duct-tapeでぐるぐるに。
  • クール便。黒猫はカウンターに冷蔵庫あった。それはよかった。ただ、箱に入れ直さないといけない。

その後みんなで日本食を食べて帰りました。おつかれさまー。

今日の日曜日は、とにかくみそ汁飲んで、カレー食べて、生春巻き食べて、本屋さん行きました。ゆっくりします。明日はABCからCowbooksでも回ろうか、、と思っていたのに。。まさか倒産なんて。。むかーしの螺旋階段があった頃から、ずっとひいきにしていたのに。。。あぁ、、ショック。

今回の調査は、、、まぁ、4人いれば疲れます。みんなも疲れたでしょう。でも、やっぱりそれ以上に楽しかったし、何よりもうまく行ったと思う。いや、もちろん測定がこれから待っているのですが、ね。

あ!最後に失敗2つも、、そのうちの1つは、Fe(II)のサンプルが漏れていたこと。Scint vialで漏れるというのは初めてなので、もうどうしようもないけれど、、、凍結しないととにかくだめなのだろう。でも凍結するスペースはもう無かったんだよね。。。

 

| July 14, 2004 /got to be ready to leave

8:30にlabに。みんなは9:00にImnavaitへ出発。僕は居残っていろいろと下仕事。RichにgasとFedexを聞く。Fedex、TFSの住所で良いそうだ。必ず電話番号を書くこと。無いと荷物を受け付けてもらえない。

Stable Isotope Labを片づける。ゴミを捨てる。Terrstrialのものものを捨てる。サンプルをMarcusにお願いする。汗だく(寒いのだけど)。

お昼前にLandscapesのみんなが帰ってくる。保原さんと松井さんをpick upしに行ってちょうだいとのこと。ははあ!。タクシーとなってImnavaitへ。最後の運転か。一人で運転する時間はアラスカでのいろいろな活動の中でとても貴重だ。

12:40頃に二人がへとへとで帰ってくる。ご苦労様。お昼を食べて、二人はろ過。僕はinvoiceをFedex用に作ってみたり。鈴木さんは酢酸のspike。

必死で荷物をまとめ、リストを作り、、と作業して行く。保原・松井組もろ過が16:30頃終わり、そこからwet sedgeへ。松井くんのサンプルを回収し、chamber baseを埋め直す。extra plotに日本から持ってきたchamber baseを3つ設置。さらに湖に向かったところに古いbaseを3つ設置。これは来年以降のトレーサー研究用。プロットの関係が大丈夫か写真を撮ってもらい、あとでPIに報告する。

日本からメイル。いやぁ、なんだろうね。どこからどう何がきているんだろうねぇ。こわいなぁ。分かった。The Ecosystemsからのサンプルが間違って、土壌にすり替わってるのか。。送り返さないと、、と言うことでまたもや三橋さんにいろいろとお願い。有り難う御座います。

Fedex:多くの荷物を一つのところに送る場合は、一つ伝票を書けばいい。1 of 6、2 of 6とか番号を振って。そして、伝票のコピーをRichに渡しておくこと、そして必ず自分でも持ち帰ること。コピーがない状態でlostしたら"ugly"だ、、とのこと。ちょうどshipping trailerで作業をしていたところ、Scottが来て、ビニールで全部の荷物をぐるぐる巻きにするように勧められる。楽しい。全部で9箱。無事届きますように。

Horizon:50-70lbsは$25、71-100lbsは$50の超過。NWAのinternationalでは、32kgまではOK。dry-iceの利用はHorizonでは可能だが、ventが必要。またdry-iceは5 poundまで。

みんなでStable Isotope Free Labで荷物のパッキングリハーサル。何とかとにかくクーラーボックスには収まりそうでほっとする。超過料金は仕方ないところか。

23:30からサウナ。だから俺は冷水苦手なんだってば(笑)。「厳しい先輩」に鍛えられた松井くんが飛び込みまくってる。

 

| July 13, 2004 /ready to leave?

結局起きることが出来ず、8:30にlabに。すでに松井・鈴木組はpackingをしている(朝5時頃からやっていたらしい)。

今日はDry labの本来のユーザーであるROOTS projectの先遣隊が到着するので、それまでに場所を明け渡せる状態にしなければならないし、どちらにせよ、急いでpackingしなければ、本当に(本当に)帰ることが出来ない状況が考えられるので、とにかく朝からばたばたと。みんなてきぱき動き、11時頃にはだいぶ地面が見えてほっとする。送る荷物は7箱程度か。Warm storageでも良かったが、鈴木さんの希望によりmanometerは送り返すことに。

personal stuff
Nalgene
LL Bean Boots
Lan cables
IER goods
Coffee mug
rain coat (not in good shape)

みんなの働きで、とにかく見た目元通り近い状態になった。

アラスカ大ネット復活!吉田研web serverがトラブルらしい。とにかく宅配業者を再度検索。メイルにひとまず返信したり。三橋さんからのメイルで大助かり(助かったよ、、、本当に、、)。成田からの荷物の扱いは、ここでしらべればいいだろう。鈴木さんがinvoiceを作成中。行きにDHLにお願いしたときのファイルを書き換えれば良かろう。後はポンプ2つを入れる青箱をさらに1箱つくって、僕はacid bathをボトルに移して、、、ああ、、。松井くんはエチレンの準備をして果てたらしい。僕も気づけば夕食を逃し、もうToolik Talking Shopだ。今日はTerryのPh.D studentの発表。シベリアの湖でのCH4 ebullitionについて。先日査読した論文の絵が出てくる。ふむ。面白かった。diffusionではなくebullitionでのCH4 fluxを考えると現在までより8倍も北の湖からのemissionは上がると。さらにCH4の季節変動を見ると冬に実は濃度が高く、これはsedimentからのemissionが効いているのではないか、とか。対象とした湖ではCH4は古く(新しくても約1万年)、多くがCO2/H2由来だと。random sampling + hot spot samplingを組み合わせている。hot spotとはずっとCH4が出てきているので冬でも凍らない湖の地点。Georgeがそのhot spotは移動しないのか、と言う質問。移動はなかなかしない、すると思うのだがしない、メタンも古いし、かなり深いところから安定してでているのではないか、と。いやぁ、おもしろかった。鈴木さんが来ていなかったらしいのが残念。しかし、どこにも日本人がいるもんだ。

今回はアメリカの人々と、結局ほとんど仕事をしなかった。それから始まる様々な違和感は、まぁ、終わったことであれば終わらしてしまった責任を取って黙っておくべきだろう。いろいろなことがあったが。。

結局、、、様々な価値観が交錯する場所で、気分良く自分も相手も仕事をするためには、自分の価値観をはっきりと示すことだという、至極まっとうなことに落ち着くのだろう。ま、中途半端で始めてしまったことはやっぱり中途半端でしか終わらないと言う大きな反省を今回得たな。おぼえておけよ。

あとは

  • Fedexを明日Richに聞く。その前に荷物の重さを測る。Gasの処理も。MarcusにThe Ecosystems Centerに送るサンプルをお願いする
  • Acid wash wasteの処理
  • Stable Isotope (Free) Labの掃除
  • chamber baseをImnavaitから持ってきてWet sedgeに設置
  • chamberなどをpolar tentに
  • Dataの管理
  • Tichetの確認
  • Frozen samplesを詰めてみる

なんだか、、、ここにいると、いったい何がここと日本で違うのだろう、、と思う。何も違わないはずなのだが、、いやいや、、そんなところに落ち込んではいけない。結局自分自身の問題が多々あるのだ、それを直視しないと。げ、論文を検索していたらもう23:30だ。寝よう。

 

| July 12, 2004 /Last Big Day ! ? 終わってほっとするの図。後は測定だ!

晴れました。でもそれほど暖かくはないです。暖かくなることを祈りましょう。なんだか眠いです。昨日取ったAとEのボトル、キャップを交換しました。ちょっと危険だったので。注意です。

400mまでは短距離でいけるけど、800mはそうはいかない、、そんな感じでしょうかね。2週間は息を吸わないような、とにかく勢いで、あれもこれも!とどんどんと調査を進めてゆけるけど、さすがに3週間目に入り、それなりの余裕と引き替えに、それなりの疲れと、だるさと、「また『あれ』」という感覚と。

海外調査で重きをおく事の一つに「現場でデータを確認できる調査項目を入れる」と言うことがあります。同位体比を現場で、、と言うことにはならないので、結局他の項目になるのですが、自分たちが上手くやっているのか、いつもいつも同じような生態系が実はちゃんと色々変化していると言うことを自分に認識させて、自分が日々同じ対象を扱っているように思えても刻々と相手は変わっているのだ、その変化を追っているのだ、ということを自覚しないと、厳しい調査に耐えられないからです。
GCを打つ「やるなPD」保原さん今回で言えば、CH4 fluxであり、PO4濃度であり、Fe(II)濃度です。"are we on the right track?"用の測定を多くしすぎることは出来ませんが、0にしてしまうのは良くありません。そこがなかなか難しいところですな。

今日は脱窒72hサンプルとpropane injectionのあと、propane濃度定量(GC)。わすれるな。僕の最後の仕事。

サンプリング自体はまあまあか。12:30にfluxが終わり、お昼を食べ、14:00に再開。僕がまた一人時間かかってしまったが、18:00のご飯前に全部終了し帰ってきた。帰ってきてご飯を食べて脱窒。propaneを入れるが#7が加圧で、針が注射器から抜け、圧力が開放された、、まぁ大丈夫だとは思うけど。

鈴木さんと松井くんはPO4、予定を間違えたと行っていたけど、大丈夫かな?みんなぎりぎりでやっているから気をつけないとね。保原さんとはFID-GCを色々設定変えてみたものの、まぁ、あまり変化無し、、ということでとりあえずGCを打ってもらった。前回2回よりはさすがにCH4の放出大きいな。ふむ。

0時にそれが終わり、いま脱窒のpropaneを打っているところ。columnの温度を80度にしているのでちょっと速くpropaneがでている。今のところ順調。だけど時間はかかる。2:30には終わりたい。それでも明日、鉄にbufferを加え、全量を測ること、脱窒コアを冷蔵することが残っている。ここで焦っても仕方ない、と吸湿材を変えてみたり。

手前側の緑の濃い、こんもりと茂っているところが14年間NPを施肥したところです。クリックすると多少拡大します。PO4はNPがあまりに濃かったそうです。要再検討だが、まあ大丈夫でしょう。しかしあれだけ雨が降ってなぜ濃くなるんだろう。下が溶けたか?保原さんと松井さんをサウナに行かせました。外、寒!日差しが綺麗。空の広さを伝える写真は僕には無理だし、自分だけで楽しませてもらいます(笑)。

2時におわった。。脱窒すべてでリーク無し。propaneによるheadspace volumeもだいたいよさそう。鈴木さんと「おわったねぇ」と話。ちょうど松井さんと保原さん帰ってきた。

明日会議

  • ビールはそこにあるだけ です。みそ汁も、
  • 明日の予定:松井・保原組はlake inlet全流をたどる。DOCサンプリング。午後いっぱい。
  • 残っている仕事 Imnavait関係:水取(半日)、chamber baseの高さ測定、chamber base回収
  • Wet sedge:chamber base設置、chamber 回収
  • Stable Isotope Labはラインのまし締め、acid washなどの廃液の処理
  • 残すもののリスト、warm storageにするのか、polar tent
  • Fedex
  • 木曜日当日はfrozen sampleを詰めるので、時間は全くない
  • 自分がどれだけの荷物があって、frozenで持って帰る荷物がどれだけあるかを早めに確認。「戦略」を練らないと
  • polar tentに置く荷物の量はおそらく制限無いが入り口付近はwetなので注意(040713 Erica told me)
  • N2O、Fe(II)は木庭がスーツケースで。manometerもか? などなど

dry labからLTER-MATを望む。拡大します。終わって床に入ったのが3:00過ぎ。みんなはもっと遅かった(または寝ていない)はず。packingはだいぶ時間がかかります。頑張りましょう。

 

| July 11, 2004 /すべては大先生の思うがままに、、

晴れました。暖かいです。明日に向けて天気は最高の状態へと向かっています。雨は十分降ったし、これで日が差して、温度が上がれば、CH4 emissionは大きくなるでしょう。さすが大先生!

鈴木さんはちゃんと北極海に向かった様子。よかった。僕は"The Firecracker Boys"が佳境に入ってきたので、それをゆっくり読もうかしら、それとも松井・保原がサンプリングに行くのであれば、それに同行して寄り道して遊んで帰ってこようかしら、そんな感じ。とりあえず音楽かけて珈琲飲んで、というところ。

保原さんが二日酔いらしく、13:30でまだ出発せず。花火坊やだんだんさらに面白くなってきた。170pages。僕らだってやりかねないし、実際日本の大学の環境は(極端に行けば)こんな事になる可能性だってあるよな。

14:00頃から出発。天気はまあまあ、というかなま暖かい。明日使うchamber-topをwet sedgeに持って行き、そのままMATを経由して、湖を半周、MNTへ。途中、やっぱりBetulaが無くなり、Sphagnumが無くなり、non-acidになってゆくんだよなぁ、、と再確認。MNTで約20cmのところからN2O用にサンプリング、帰りにMATでも同じく。両方ともNP fertのところ。もうちょっと速くやっておかないとNH4NO3が吸収し尽くされてしまうのだろうけど、だからといって今回の滞在では、前倒しにしても水が取れなかったし、まあ、悩みどころではある。

Showerを浴びてすっきり。鈴木さんがクーラーを買ってくる。$45だそうで。5000円渡せばいいか。また怪しい私物が増えた。北極海にお飛び込みになられたそうで。保原さんたちはinletからさかのぼる散歩兼サンプリングに出かけた。僕はビールを飲んでもう寝ます。花火坊やは230pagesまで来ました。おもしろい。

結局僕は誰もいなくなった22:30には部屋に戻り、"The Firecracker Boys"を読み切って寝ました。さて果て最後のbid dayとなる明日はどっちだ?

 

| July 10, 2004 /さてはて、、さむい、、

雨です。いや止んでます。8時過ぎにlabに行くと鈴木さんがすでにスタンバイ。そして、今日の中止を決定。で、本当はImnavait行きを考えていたのだけれど、あまりに寒いし、明日何かやるとなると、offにならないので、今日は何となくoffにして、荷物のpackingなどを暖かい部屋でやることに決定。昨日の夜が4度くらいだったら、多分今は2度くらい?

だらだらしてしまうけど、仕方ないと思ってくれ。体調を月曜日に向けて整えることや、packingに関するいろいろなことを考えておくことだって大事なことだし、結構時間かかるからね。

出来るだけ自分の荷物は減らして(Fedexして)、どうしても凍結のまま持ち帰らなければならないサンプルたち(酢酸、栄養塩、DOC、土壌)を自分たちで大事に持って帰るという方針を確認。

来年HOBO、fanをchamberに。chamberの厚みを0.7-1.0cmに。木庭がおいておくもの250ml kimble 6つ、セパラフルフラスコ+cajon+セプタムなど脱窒測定用具一式、ブーツ(long)、Nalgene bottle (1つ) 、Coffee mug (1つ)

Glasser et al. SBB (2004)やKaiser and Bennner (2000)の周辺を勉強、保原さんに色々教えてもらいながら。間違っているかもしれないけど、リストアップ

  • amino sugarはbacteria、fungi、放線菌(actinomycetes)の細胞壁に含まれるためにbiomarkerとして使えるかも
  • ペプチドグリカンは原核生物(主に細菌・藍藻)にしかみつかっていない、真核生物では見つかっていない。
  • ペプチドグリカンはバクテリアの細胞壁構造で、ムラミン酸はほとんど自然界ではバクテリアの細胞壁にしかない。ペプチドグリカンの中身はグルコース誘導体であるN-アセチルグルコサミンとムラミン酸。N-アセチルグルコサミンはfungiの細胞壁にもある。
  • Fungiはグルコサミンとガラクトサミンのみ持つと考えられている。さらに無脊椎動物の外骨格はn-アセチルグルコサミンのポリマーであるキチンを持っているし、グルコサミンはミミズの内臓や線虫の卵の殻などにもある。
  • それにもかかわらずamino sugarとmuramic acidの濃度は微生物のSOMへの割合を表すものとして用いられているし、amino sugar/muramic acidはSOMへのmicrobial residuesの割合として使われている。
  • たとえば、glucosamine(GlcN)/galactosamine(GalN)はfungal-derived sugarsへのrelative contributionを、glucosamine/muramic acidはthe fate of baterial-derived SOMを。
  • PAD、良いかもしれない。HPLCで誘導化せずに濃度測定できるのはいろいろなメリットがあるだろう

John Hobbieがわざわざやってきてくれて、現在進行中の論文やpowerpointをくれました。有り難う御座います。

DONか。。久しぶりに勉強したら頭が痛くなりました。DO13CはFry et al. (1996)、そして今後NH4の測定にはCarman and Fry (2002)が参考になりそう。なんだか久しぶりに、本当に久しぶりにゆっくりと論文を読む時間がある。そんなときに、、Hedges and Oades (1997)に再度チャレンジすることにしてみた。43pagesか。。

深海でのDOCはだいたい1ppm位で、だいたい6000才
sedimentary TOCの蓄積と河川からのdischargeを比較すると、海洋はa net heterotrophic systemといえる(河川からの炭素が海洋でmineralizeされている)
sedimentでは海洋中の高濃度SO42-のためにmethanogenesisまでredox conditionが進行することはない

脱窒24hサンプリングを22:00頃からやって(#7が加圧されていた、あと#1が引きが甘そう)、その後鈴木さんといろいろとお話し。あれ?もう0時だ。今日は鈴木さんとあれこれ相談しているこの時間がすごく有意義だけど、後はのーんびりしてたな。まぁ、ええやろ。

 

| July 9, 2004 /さて、、

雨です。うーん。BruceのL&O(古いやつ)をcopyすること。松井くんと保原さんが脱窒purgingを改良してくれている。僕はDry labに持ってきてしまって、stable isotope free labに持って行くのがいやな4mlをhandpumpで引く(-0.08Mpa)。こいつはbackupとして。

クリックすると拡大します。突然ですが、暇なので、良く聞かれるendnoteの使い方をご紹介。といっても、よく知られていることだと思うのだけれど、結構好評なので。
僕は学生の頃からいつも、自分のゼミ発表の時にはごっそりと参考文献を持っていって、質問されたときにそれを見せながら発表するようにしていました。参考論文についての情報を知らせることも出来ますし。今のようにデジタル化されていなかったのですが、論文をそのまま紙のまま投影するOHPがあったので、それを活用して、質問が出れば、「それについてはこんな論文がありまして、、」と次々先行研究を見せるようにしていました(自分の記憶力や解釈が怪しいと困るから、、と言うのが一番でしたが)。
現在powerpointを使っている状態でも全く同じで、特にproposalを書くときの会議などは、brainstormingを目的とする事が多く、こんな研究がある、あんな研究がある、と研究の可能性を出し尽くさなければならないですし、プレゼンが終わってから、あれやこれやと文献を探して、みんなで読んでまたあれやこれや、、と言うことに良くなります。
そんなわけでEndnoteを僕はpdf検索・整理として(のみ)使っています。文献リストを論文書くときに作る、、と言うようなものには使っていません。論文をどんどんとdownloadするのは良いけれど、file nameだけで整理していると、さすがに1000を超えてくると破綻します。そんなわけで導入しました。
Endnoteにはそれぞれの文献に対してURLを指定することが出来ますよね。例えばweb of scienceの特定の頁に飛ばしたり、DOIで指定した論文に指定したり。それはURLに飛ぶときにブラウザーを開けていると言うことで、つまりはURLに指定したファイルが開くようにプログラムが動くと言うことで、そうなのであれば、URLのところに、例えば、c:/PDFs/AnneGIblin1991.pdfと言うように、htmlではなくpdfを指定しておけば、pdfを開くプログラムが開いて、実際pdfが開くということです。ですから、URLにpdfのファイルを指定してやればいいわけです。
ぼけているのは雨のせいです。filtering作業。これがたいへん。僕は、論文をダウンロードするときに、著者名、論文タイトル、雑誌名、abstractだけをEndnoteにいれ、ダウンロードするファイルの行き先は、どのコンピューターでもmain driveの直下にc:/PDFsというフォルダーを作成し、そこに指定しておいて、"Link To"でそのファイル名を指定しています。これで、 control+Fで著者名またはキーワードを入れて、検索結果をcontrol+GでPDFを開けばおわりです。論文を見つけて、ダウンロード中にEndnoteで以上の処理をして、ここまででだいたい1分くらい?一応pdfを全ページ眺めて、面白い絵がないか(論文は絵で覚えるので)を確認して、まぁ、こんな論文ね、と頭の中にたたき込んで、だいたい2分くらいでしょうか。週に1度、集中して論文検索をするとしても、たいした労力ではありません。また、どのPCでもc:/PDFsにpdfを格納しておけば、EndnoteのファイルとPDFをごっそりいろいろなPCにexportしてもそのまま使えます。
これはこれでほぼ僕の中で完成されていて良いのですが、例えばGCのcolumnは何を使っていたっけ?と言うような検索には向きません。abstractとtitleとauthorの情報だけで検索していますから。その時はNamazuで全文検索することを考えてはいますが、今のところ記憶力でカバーできているような気になっているので使っていません。namazuは優秀ですが、僕の場合、古いpdfにテキスト情報をつけなければならないのがネックで、まぁ、バランスとして今はまだ良いか、と言う状態です。後はちょっとヒットしすぎてしまいそうです。今の検索レベルになれている状態では。

しりんじぶれいかー松井が渾身の力で土壌溶液を引く鈴木さんが起きてきた。寝坊したな!今日は中止ということで。午後から脱窒やろう。サイボウズが使えないのはいたいな。

Georgeがきた!わーい。保原さんがland-water interfaceでのDON/DOCをやりたいので相談に乗ってもらい、午後急遽Toolik Inletでのサンプリングが決定。雨かなり強いけどね。

13:00過ぎにサンプリング開始。LTER MATから先に行き、GeorgeのWatershedまで行く。ここは非常に明らかなwatertrackがあって、そこの流出特性からBiogeochemistryまでをGeorgeのgroupが研究している。ここから湖までの変化をDOCやDONのキャラクターで追ってみようと言うこと。

しかし寒い。たった5地点、2深度なのに、、。Watertrackでもそれほどthaw depth深くない。30cmが限度。15cmと30cmで取るが、30cmだと細かな土壌(砂のよう)が入ってしまい、ただでさえ大変なGF/Fでのろ過がよりひどくなってしまう。

結局終わったのは5時ちょっと過ぎ。3人でずぶぬれになって帰ってきた。本当にずぶぬれ。やっぱり雨具は考えた方が良い。Gore-texはもうここ数年使っていない。ここでは水が入ってくることが体力消耗を引き起こすので(本格的な山のように汗が凍結して、、とか、そういったレベルは考えなくて良いが、とにかく寒くなく、水が服に入ってこないように)、いわゆる漁師さんがつかうような、ヨットをやる人が使うようなもの(やすいもの)を推奨している。只でさえ、filteringやflux samplingのように、じっと堪え忍ぶ作業が多いので、汗はどうでも良いのだ。

帰ってきてとにかく珈琲飲んで、2人はたばこを吸いに行って僕はシャワーを浴びてほっとしたところ。さあ、食事したら脱窒だ。食事はまたステーキだ。ByronとIanとYurikoとJohnで話が出来てなんだか楽しかった、というか、久しぶりに英語をいっぱいしゃべったという感じ。Byronに今の職の事を聞かれたが上手く話せなかった。と言っても日本語だって上手く話せないかもしれないからいいか。彼女の奥さんもLaw Schoolに行って特許関係の仕事をしようと考えているらしい。DNAシークエンス関連だって。僕も911見たくなってきた。

火曜日にはSuzanneがDry labに来てすべてをset upするので、月曜日の夕方から火曜日にかけては片づけを少なくともこの部屋を完全に綺麗にして明け渡さないといけない。注意。

さてはて。。。 脱窒Imnavait Footslopeを2-aerobic、3-anaerobic、Sag NP fertを1-aerobic、3-anaerobicでスタート。終わったのが23時前。ありがとう!松井くん保原さん。

明日会議

  • 明日は8:30に鈴木さんからcall。月曜日にCH4測定の方向で
  • H2 carrier gas、もう残り少ない。
  • 今日でほぼ、最低ラインの仕事は終わった。体調に気をつけて無理をしないように
  • 明日CH4をやらないのであれば、なんであれImnavaitに行き、chamber-baseを持って帰り、日曜日松井くんがエチレンに使う
  • 疲れているだろうから、運転には気をつけるように
  • 火曜日の午前中までに荷物は撤収
  • 水曜日Imnavaitに水を引きに行くとしても、荷物準備などはTerrestrialで
  • 日曜日北極海に行く場合はpassport IDとJapanという情報を書いておく必要有り
  • ビールは後一箱

などなど。鈴木さんと修論、来年、再来年の話。みんなで写真を見て笑う。それでもまだ0時過ぎ!

 

| July 8, 2004 /さて、、終わりが見えてきてしまった(見えてこないといけない)

ということで、columnを変えました。もう8日です。wwwは死んでます。

明日は13:30から30分電力落ちたり天気予報では「雨」(highs 40-50Fだったかな)だし、やっぱあしたは後かたづけにしないか?Imnavaitの。

外は寒い。おそらく10度はない。僕の格好は上半身はTシャツと薄い薄いフリース。これで「体が慣れてしまった(松井談)」、うん、日本ではこうはいかないって。今日はGeorgeとYurikoともしかしたらByronもくる?楽しみだ。元気かなぁ。

松井くんがまたGC roomで寝ている。今朝10時前に保原さんが抽出を終えて部屋に戻ってきたときに「松井くんはGC打つかも」と言ってたからな。Research Assistantが無理してどうする!(笑)、なんだが、今の曖昧な状態では仕方ないし、好奇心の結果をとがめるつもりも何もない。やるべき仕事をきっちりやれば後は何をしても良いんだし。ま、体壊すなよ。ほんとに。

本当にここは全力をぶつけることの出来る場所だと思う。素晴らしいfieldと、おびただしい先行研究と、もっとおびただしい量の現在進行中の研究と、inspireしてくれる優秀な科学者たちと、地の果てでは考えられない程のsupportがスタッフから与えられていて、しかも24時間お天道様も見ている(笑)。これでドキドキわくわくしないわけがない。ぼくは、すくなくとも、ね。

僕自身、、、研究者としても教育者としても成長したいし、頑張りたいし、その営みの中でも特に教育という現場に携わっていたいと強く思うけれど、このような環境に来てしまうと、いったいどうなのだろうと思ったりする。自分の中の「知りたい」という欲求がこれほどに強いものなのかとびっくりすることが多いし、一方で鈴木さんや松井くんに「頑張って色々考えて欲しい」と思ったり、それで色々下ごしらえをしてみたり、、ま、良いのだけれど、次の就職を考えるときには、また色々悩むのだろうな、ここでの時間を思い出して。
どこでどんな状態であろうと「出来ることはある」と思って異なる世界に飛び込むのだけど、すぐさま「出来ないことがいっぱいある」というように入れ替わってしまうんだよね。感情の吐き出し方として。それでも「出来ることが0ではないのだ」と強く思い続けるにはどうしたら良いんだろう。そんなことを考えたり。
さて、そろそろ起動しないと。13:00になってしまった。とにかく15N tracer溶液を溶かそう。あ、Nalgeneのhandpumpがこわれた。柄がぐにゃっとなってもう使えないじゃないか。。こいつめ、、ずっと悩ましいな、卒論の頃から。50mlのsyringeで3回引けば0.08Mpaまでは下がるので、それでいこう。。。とほほ。

松井くんが起きないと脱窒のスペースがない(笑)ので、とりあえず鈴木さんの仕事の様子を見て、Fe用のバイアルをacid wash終わったところ。まだwwwは繋がらないし、2人は起きない(15:16)。あ、松井起きた「体が痛い!」が第一声。当たり前だってば(笑)。保原さんも起きてきた。GCを立ち上げてみる。二人は昨日のサンプルのデータシートを作っている。それを聞きながらうたた寝。もう夕食の時間じゃないか。

ちょっと考えたこと

  • Billings et al. (2002)とBassirirad et al. (2003)ではFACEによるCO2増加によって植物の窒素同位体比が下がる、上がる、全く逆。当年葉を測っているかどうか云々、と逃げているけど、ちょっと微妙だなと思う。
  • 考えるべきは、Nadelhoffer et al. (1996)で示された、Haul roadにかけての安定したBetura nanaとEriophorum vaginatumの同位体比(数百キロに渡ってあまり同位体比は変化無い)、それとMichelsen et al. (1996. 98)との比較(ヨーロッパでも同じ種は同じ同位体)、一方P additionによって増加した同位体比(Nadelhoffer et al. 1996)。
  • 植物の葉の同位体比が菌根共生の良い指標だとすれば、広く世界に渡って菌根への依存度(N吸収に占める菌根を介したNの割合)がほぼ一定と言うことになる。非常に一定と言うことになるはず、なぜなら菌根を介した時の同位体分別は非常に大きいのだから(Emmerton et al. 2001a,b)。そんなことあり得るのだろうか。あり得るような気もする。葉っぱの窒素濃度はどうだろう。非常に一定なのだろうか。そうかもしれない。そうすると、植物の葉の窒素同位体比なんて、完全に体内のphysiologicalなメカニズム(しかも一定に落ち着こうとする)で決定されてしまう、単なるconsequenceとしての情報しか持たないのかも。
  • とはいえ、FACEでは確かに数‰変動するわけだし、P additionでも変動するわけだし、自然界で非常に安定で、我々のmanupilationでは非常に変動する、と言うことは何を表しているのだろう。
  • たとえば菌根ではなく、土壌中のavailable Nの同位体比によって植物の同位体比が決定されているとして(Koba et al. 2003)、でも、じゃぁ、窒素の無機化ー硝化ー脱窒ー不動化、そして植物の異なる窒素源への依存性が、ほとんどどこでもある植物なら同じ、または壮大な足し算引き算の後、いつもほぼ一定になる、、それもまたおかしくないか。確かに、aidic tundraであれば、窒素無機化能、硝化能は、だいたい同じになるのかもしれない。しかし根の深度なども考えたら、葉っぱの窒素濃度以上に変動幅が大きいのではないか。やっぱり種、それぞれの固有の値、、と言うことに落ち着いてしまうのか。
  • でも、室内実験をやれば、大きく変動することも確か(Emmerton et al. 2001abをそう読むことだって出来るはず)
  • 窒素によってproductivityが厳しく制限されている、、と言う状況は同じなのかもしれない。tundra ecosystemであれば、世界中どこでも。そうであれば、まぁそうなのか。あのChapin et al. (1994?) Oecologia論文のように、結局様々な窒素同位体比の変動幅の大きさが窒素制限の強さ(これもおかしな気がするが)を決めていると考えて良いのか、、菌根も含めて、、、あ、、うーー。。
  • 変動しそうなのに変動しない同位体比、であれば、そのstabilityが表しているものは、実は非常に大きな意味を持っているのではないか。。。。って事なんだけど。。。だって、同位体比はいろいろな現象の上で決まっているわけでしょ(Robinson 2001, Evans 2001)。なのに、どこで測っても同じって事は、いろいろなプロセスのバランスがどこでも一緒って事で、、、そんな偶然ってあるのか?
  • ここでもうちょっと徳地さん流に時間の流れを長くして、安定なpoolを考えてみるのが必要なんだろうな。そのセンスがないのが困ったものだけど。。。。うーーん。

netは当分落ち続けるようです。Johnが9時からNew Dormで同位体比の話をしようよとのこと。ぜひ!まけねぇ(笑)。

Byronがやっぱり来たので、疲れているところ悪いが、保原さんを紹介してland-lake interfaceでのDONサンプリングについて情報提供をお願いする。サンキュー!鉄の試薬をpipetして凍結させてからJohnの話を聞きたかったのだが、vialが乾ききってない。うーん。ちょっと歯車が、、。

John Hobbie's lecture on mycorrhizae "15N, mushrooms and nitrogen cycling in the arctilc tundra."負けたかも。。いや、、、

ビールを飲みながら荷物の話。鈴木さんの酢酸バイアル60gで48点×2×3で約30kg、、、栄養塩が溶液40mlでボトル入れて6kg、、、大量だな。それも含めて今回の調査でかかっているお金の大きさを保原さんに伝えながら再確認、、、よい、いや、素晴らしい研究をしないといけないよ、これは。NSF、JSTそれぞれから多大なサポートをしてもらっているのだ。本当に多大な。

 

| July 7, 2004 /まさにアラスカ調査という一日わかりにくいですが、丘を3つ超えて地平線が見えています。果てしなくacidic tundraです。約60万年前から風化が始まっています

7:25に目覚ましが鳴り、うぅ、と思いながらも起きる。雨。寒い。きたー。これぞToolik、、、

朝食もそこそこに、珈琲で何とか目を覚ます。8:30にterrestrial集合予定。誰が行くのか、、え、誰も行かないって!?まぁ、こんな天気の日にわざわざいくことないよね。ということで、残念ながらまた我々だけの調査。ちぇー。つまんねぇ。

まぁ、つまらなくて良いのである。今日は大変なのだ。雨は止んだり降ったり。寒い。40-50Fと言っていたからなぁ。Imnavaitまで松井くん運転。Polar tentで下車。Imnavait Upper Backslopeを目指す。みんな大荷物。僕は30cmx30xmx30cmのchamber-topを2つ抱えて、小さなクーラーとウエストポーチで、もうからだががくがく。倒れ込むようにplotにたどり着いた感じ。

保原さんと松井くんは土壌コアを採取。同時にsampling probeで土壌溶液を採取して、様々な分析に向けてのろ過(DO13C含む)。保原さんは何か考えがあるのだろう、ろ過しない状態のサンプルも採取。pHも測定。結構たいへん。鈴木さんは雨の中chamberを設置してCH4のflux測定(それとemitted CH4の水素炭素同位体比サンプル採取)。雨なのでcajonが濡れないようにビニールをかぶせてその中で作業。木庭は試しの溶存N2Oサンプリング。これがまたつらい。sampling probeを土に突き刺して(あまりthaw depth未だ深くない。Upper Backslopeで20cm程度か?Footslopeでは30cm以上溶けているところもあったが、30cm程度)、泡がでないようにひたすらゆっくりsyringeを引き、250mlを採取する。2秒で1mlくらい。雨が降りしきり、寒く、それでも多くの蚊にまとわりつかれ、いったいこんな地の果てで何をしているんだろうと思う。N2Oが面白いデータを吐く可能性は5%くらいだろう(高く見積もって)。でも、まずはそんなextra samplingが出来る今の状態をありがたいと思わなければならないのではないのかい?とか、「どうしてそんなに”知りたい”って思うんだろう」と考えたり。脳内heavy rotationは"all you need is love"(なぜだ)。

GF/Fでろ過。なかなかにつらそうです。使っているのは巨大シリンジ(欲しい)それでもprobeを突き刺す場所を上手く選べば何とか250ml連続で泡を出さずにサンプリングできる(以前ChrisやMary-Anneが言っていたように)事が分かり、とにかくほっとする。保原・松井隊はろ過が大変そう(GF/Fで)。まあ、出来なくはないレベル。先日のwet sedgeよりはかなりひどいけれど。まぁ、全部で250ml程度とのことなので、何とかなるだろう(4つくらいfilter holder使っていた、平均で2回くらいとのこと)。 140mlのプラスティックシリンジ(これを見て興奮する人が必ずどこかにいるはず、、いないか、、Monoject社140cc Catheterというものらしい)で土壌溶液を引くのを手伝う。6地点でサンプリング。僕は鈴木さんのfluxが終わるのを待ってFootslopeへ。

Footslopeではさすがに土が溶けている感じ。水もそれなりに取りやすいが、渡る風の冷たいことと言ったら。水温は4度程度か。本当に寒い。おしりから水がしみてくる。ああ、このカッパ和歌山ですでに危ないと思って、今回も予備を持ってきたのにlabに起きっぱなしか。。ああ。。雨は依然降ったり止んだり。お昼も食べずに休みもなしで朝からぶっ続けに作業して、4人がFootslopeでの作業を終えたのが16:00。その後僕と鈴木さんはぜいぜい言いながら車まで戻り、保原・松井組はさらにKuparuk Riverでの水サンプリングのため下流部をくだり、量水堰まで移動。いやぁ寒かった。ここ数年でつらかった調査の15位以内にはランキングされそうだ。

Footslopeでflux測定中の大先生。向こうにKuparukが流れて行く(北)。flagなどは僕が2000年に立てたもの水銀を入れ、シャワーを浴び、ちょっと一息ついたところ。これからが本番ですけどね。今日はタコスでした。結構好きなんだよね。豆いっぱい食べたような気がして。

EdにEcological Applicationsに論文掲載が決まった論文を見せてとメイルしてみた。タイトルだけでも非常に魅惑的なので待ってられないので(笑)。

来年はImnavaitのCH4 fluxにおいて

  • chamberによいfanをつける
  • chamberの持ち手をより強く、片手で持てるように
  • chamberの厚みを1cm程度に(重くなるが)
  • chamberを3つ背負うことが出来る背負子を開発

が、鈴木さん派遣のおりに絶対必要か。よろしくね、大先生。

戸張さんは明日モンゴルに出発かな。楽しんできて下さい。

僕の初海外は、確か中国内蒙古の砂漠だった気がする。もちろん調査で。新しい生態系を目の前にしていったい何が出来るのか、自分自身の可能性と戦った(というと聞こえは良いな)日々だった。ほとんど始めてのことばかりで、でも2回とも同行した仲間たちがとてもいい人ばかりで、素直に楽しく、そして刺激されて研究できたと思う。永田CRESTの面々も非常に魅力的な人ばかりです。色々学んできてもらえると良いな。

すでに非常に眠いです。珈琲が効きません。寒いです。10度あるのかしら(無いだろうなぁ)。お!大河内さんとの共著論文通りましたか。良かった良かった。また新しい共同研究が始まった(論文が通ったんだから終わったと言うのが本当かもしれないが、大河内さんたちとはこれから、だといいな)。

海外調査も、共同研究も、いろいろな話をいただきます。ありがたいし、面白そうだし。でも、一方でこれ以上手を広げると収拾がつかなくなるという声も頭の中で響きます。実際後2年ちょっとの任期ですし。でも(さらに)、例えば学生さんへのチャンスをつぶしてしまうことにもなるわけで、、なかなか頭の痛いところだったりします。さらに(もうええってば)、それはこちらがただ単にチャンスと思っているだけで、当の学生さんは「やらなあかんことが増えた」なんて思ってしまうようだったら、全く骨折り損のくたびれもうけな訳で。。

結局学生さんと日頃良く話をする、と言うことに落ち着いてしまうのかもしれないけれど、そんなことでは発展がないので、、教員としては、常日頃考えていることや、こんな研究しようとしているんだよという情報を与えないといけないなぁと。それもあってここを書いているのですが、とはいえ書けないことも多々あるんですよね。学生さんの方も「自分はこんな事をしてみたい」と言うことをどんどん言ってもらいたいと思います。教員はそれを具現化する力を少なからず持っていることがありますからね。ものは試しで、「使ってこそ大学の教員」と言うくらいでいいのではないかと。

さてはて。GusやAnneに鈴木さんの研究がうまく行ってるよーとか、来年はこんなことしたいよーという長めのメイルを打っているとついにcallが。保原・松井抽出の始まり始まり。

土壌から大きな根を除去してhomogenize中です。夜です。土壌をまずはorganicとmineralに分け、大きな根を取り除き(小さな根は星の数以上にある)、よく混ぜ、遠沈管に取り分けるのとsoil canに取り分けて水分の測定。遠沈管ではP bufferとDIを入れ、1時間shakeした後に遠心分離してろ過する。異なる土壌抽出で異なるDON(DOC)が抽出され、そのturnover rateなり、availabilityが異なるだろう、と言う仮説。さらに松井くんはDI抽出でDO13Cの測定へと。

Ericaがやってきて、遅くまでやるのはだめじゃない!と怒られる(笑)。金曜日午後は開いているから手伝うわよと言ってくれるのだが、僕自身は鈴木さんの仕事はプロジェクトと実際に関係が薄いので、そこではsupportして欲しくない(とはもちろん言わず、feel guiltyてな感じで)、といったら、じゃぁ、Yurikoが金曜日来たら決めましょう、でも基本的に助けが必要なら必ず伝えてくれと、、(感涙)。

僕としては、金曜日の午前中にImnavaitに行って、Landscapes projectでどのようなことをやっているのか鈴木さんと松井くんに見てもらいたいし、午後があるのであれば、HeathとShrubとWet sedge (outlet)のLTER siteを全部回っても良いだろう。土曜日にCH4の最終回はやればいいのではなかろうか、そして日曜日は北極海ツアーに参加してもらう(保原さんは裸で北極海に飛び込んでDONのサンプリングをすることになった)。

去年、Imnavaitでの研究はある意味で非常に大変だった。多くの人が一斉にImnavaitで研究を始め、トラックのスケジューリング、lab space、いろいろなことが"stressful"だった。今年は拍子抜けするようだ。去年の北極海ツアーのことに話が移ったときに、去年そのころEricaが大変そうで心配したよといった。僕らにもその原因は確実にあったのだけれど。それはともかく二人には後学のために是非とも何をやっているのか見てもらいたい(そうか、chamber-baseを持ち帰ったり、chamber baseの高さを測ったりしないといけないんだった。ちょうどいいや)。

その後Anneがわざわざ様子を見に来てくれる。保原さんのDON結果に興味を示してくれたみたい。とにかくお疲れ様。Anneと一緒に仕事できる時間がじわじわ毎年増えているのが何よりも嬉しい。Proposal通ると良いが。

今、1:50am。土壌がshakerで揺れています。うわー。おわっちゃった。残念。 ここからは数多くの良書を探すことが出来たのだけれどなぁ。今2:50、そろそろ、ろ過が始まります。Another starをmp3でかけ始めてみました。Beatlesのバラードでリラックスしすぎて眠くなってきたのです。4:00頃眠くなりましたが、珈琲飲んだら復活しました。いま5時過ぎで2人はたばこを吸いに行ってます。その間にまた眠くなってきました、どうしよう。。今日Anneの見送りをすることは出来るのでしょうか。今日ばかりは不安だ。毎年こんな事やってるよな(笑)。mp3が2廻り目です。6時頃ちょっと一区切り着いたので眠らせてもらう。寝袋で落ちるように眠る。保原さんが呼びに来る前に何とか目を覚ました。Anneの見送り。みんなで階段に上ってwaveなんかしてみたりして。ありがとうAnne。

その後また眠って12時に起きたところ。鈴木さんは作業中。頑張ってるな。Edに印刷中の論文ちょうだいといったら、"I miss your happy smile, too"といってすぐpdfをくれた。MELを使ったDONの流出とCO2濃度増加に関する論文。すごい。いやぁ、、頭いい人ってすごいな。GusからはKnuteとJoshが1993年にやったCH4 studyの絵が送られてきたのだが、wwwが落ちていて今読めない。うー。ただ、基本的にLTER databaseにあるようにKnute NadelhofferとJosh Schimelという二大巨頭が90年代初頭にCH4を頑張ってやっているのでその遺産はおさらいしないといけない。必ず。僕が考えつくようなことはとっくのとうにやっているはずだ。

今日は、、、明日の準備の前に脱窒をやらないといけないぜよ。がんばらないといけないぜよ。

 

| July 6, 2004 /半日offですが、結構やることいっぱいあるな

10:30までうだうだと。昨日は強風でweatherportが揺れるわきしむわ金具はなるわで大騒ぎでした(が、程なく眠りました)。

Gusから提出しようとしているNSF proposalのコピーをもらう。昨日PIがよく勉強していると言ったのは、例えばJohn Hobbieのような元々(というかいまでも)Limnologyのスペシャリストが、土壌DOCのreview(しかもかなりマイナー)なやつを「読んだか?」と保原くんにすぐに聞いてきたり、Anne Giblinのような、まあ同位体スペシャリストではない人に、酢酸のメチル基が、、と言いかけたところで「ああ、じゃあ酢酸由来かCO2由来か分かるのね、cool!」とあっという間に先を言われてしまうとか。

それがToolikで仕事をしている人だからなのか、僕には分からない。アメリカで仕事をした場所がここしか残念ながらないし、Woods HoleはThe Ecosystemsにしても、WHOIにしたって、かなりいろいろな研究畑の人々が集まっているような気がするから。それにしてもよく勉強しているのか、それとも情報のやりとりが多いのか、とにかく、良く、しっかり知っている。Georgeにしてもそう。僕らが例えば学会で発表するのに二の足を踏むレベルの細かさがあるとして、そのさらにもう一段細かいレベルがあって(さらにもう一段細かいレベルで結局競争するのだけれど)、そこの2段目までは話しても大丈夫、という恐ろしさ。

火曜日にはToolik Talk Shopがあって、今日はAnne Giblinが話をするとのこと。こういった場所でみんな色々覚えて行くのか。どうなんだろう。とにかく楽しみではある。

うーん。なかなか起動しない。ねむい。さむい。 飯でも食べるかとdinning hallに行ったら松井くんも保原さんもいた。今日のスープはおいしかった。パンを付けて何枚も食べる。しかし起動しない。うーーん。

denitrification incubation vesselのacid wash->TerrestrialでIsotope labではやってはいけない!
Fe (II)のstdうち、すべてをscint vialに移す。その後acid wash->Isotope labで。他でやってはいけない!

それだけをとりあえずやるだけなのに、冷たい雨も相まってやる気が起こらない。Beatlesのballadsなんか聞いているのもいけないのか。Johnがやってきて「まだ机汚いな(笑)」と言われてちょっと目が覚めた。とりあえずvesselを洗ったぞ。外さみぃ。

Upper Backslopeで4つ(3 for anaerobic and 1 for aerobic)、Footslopeで5つ(3 for anaerobic and 2 for aerobic)、コアを取る。同時にUpper Backslopeで3つ、Footslopeで3つ、溶存N2Oを取る。bottleを6つ残しておいてMATとMNTでも取るか。MNTは難しいか。同時に硝酸、、は無理か。

などなどうーんえーんと悩んでいるところ。まだ眠いですが。

結局1時間程寝て、18:00からFe(II)関連の洗い物。外の風の中でサンプルの移し替えなどをするも、すぐに蚊がよってくる。やりにくいなぁ。みんなは夕食に出かけてしまった。

今日はBenthic production in lakesとfungi in aquatic ecosystemだった。むちゃくちゃ面白かった。Note:若い湖でnitrification-denitrification coupling高いが、全体としては非常に低い。potentialityは高いが29N2 productionは見られないのだ。窒素固定を考えれば、湖のsedimentは(ここでは)N sourceとなっている。benthic primary productionは非常に低い光でも駆動できている。と言うことは、どういうことなんだ。思ったよりもsedimentは非常に養分循環の激しいところと言うことなのか。

あわててWPGMのregistrationを終える。戸張さんの分も。$450か、、、うへぇ。。8月の生態学会はホテル大変そうだし無理かな(アラスカで研究してると、テントもってけばいいんだろ、と言う気になるのがこわい)。

今日の午後、ふと北を眺めると、果てしなく雲が繋がっていて、本当にくらくらした。遠近感が全く分からなくなる程、大きく、果てしなく繋がっている雲を見ていると不思議な気分になる。南を向けばBrooks Rangeが厳しく光っている。ここに来ると、やっぱり人間が大きくなる、と言うのではないが、何か背が2cm程伸びたような、そんな気になる。特に雲がたなびいているときはなおさら。空の広さをいやでも実感できるから。地球ってすごいな。 ここの大地が60万年前に氷河から開放されて、どんなことが起きて今の生態系が出来ているのか。そのものすごく大きな変動と、今見ている非常に安定な生態系と、そして、ひとたび攪乱を加えると、今までとは違う姿をあっさりと見せる生態系、、これらのつながりをどう考えればいいのか。時として意固地な程安定で、時として、手を触れることが出来ない程繊細な生態系の姿を様々な研究から直接的に見ていると、僕らが見ている、研究していることの根本を揺さぶられるような気がしてくる。1万年かけて成立した今の生態系での様々なプロセスが、いとも簡単にこわれたり、60万年経ってもやっぱり変わっていなかったり。空の広さと、今、本当は見ているはずの時間の流れと、ただ本当に自然に対する畏敬の念と言うことしか考えられなくなってきて、なんだか泣きそうになって部屋に戻った。そしてすぐに寝た(笑)。

明日は保原・松井土壌抽出大大会+鈴木methane flux in acidic tundra+木庭脱窒です。結構たいへんです。脱窒は明後日かな。

明日会議

  • 明日は8:30にterrestrialに集合。下から入ることに。鈴木はchamberを。木庭は鈴木の手伝いをしながら溶存N2Oを。脱窒コアは松井・保原に任せる。木庭・鈴木は早めに帰る便があれば帰ってピストン輸送も可。
  • 木庭は保原・松井のろ過を手伝う。鈴木は適当に切り上げて金曜日の準備をする。かなりの準備量なのでがんばるよーに(後の3人が徹夜で果ててしまうはず)。

その後、保原さんにお願いされて、CH4研究の話。今回のサンプリングで、鈴木さんが測定して分かることのすばらしさを(お酒の力も借りて)熱っぽく話してみた。話してみると分かることはいっぱいある。

さてはて、明日ちゃんと起きることが出来るかな。あ、もう0時になる。うーん。大丈夫かな。みんな眠りなさいよ。

 

| July 5, 2004 /Toolik本領発揮

昨日は早めに部屋に戻り、"The Firecracker Boys"を読みながらうつらうつら。1時前に保原さん帰ってくる。その後眠れず(蚊と地味に格闘していた)、3時頃雨の音。おお。かなり強く降った。これは良いかも。

今朝は、まず寒かった。そして曇天。つまりToolikのいつもの表情に戻った。さあて、出来れば温度が上がって欲しいものだが。9:30に出発(の予定が少し遅くなった)。今日は鈴木さんCH4 flux第2段。2回完全なサンプリングが出来れば最低ラインだと考えていたので、今日が上手く行けば、彼女のタスクとしてはほぼOK、あとはoptionalな仕事としても良いくらい。それくらい保原・松井の協力によってなされている今回のサンプリングは良いものだと思う。

午前中あまり温度は上がらず、でも蚊は多いままfluxのサンプリングは終了。12:15に終わり、ちょっと寒いのと、荷物を取るとのことで、いったんcampに戻る。こんな観測サイトがcampから歩いて10分のところにあるなんて、幸せ。お昼は温かいスープと冷凍食品の暖かいサンドウィッチ(でもこれの方が実は慣れた味でおいしかったりするものだ)。十分暖を取って、僕は先に出発。どうしても調査中に一服入れると集中力がきれてしまうので、あまり好きではないし、出来れば早めに始めておきたかったのだ。

とはいえ、filterの関係で、全員揃って13:15頃に土壌溶液・溶存ガスサンプリング開始。今回は酢酸用のサンプルを0.2umでろ過するため、時間がかかることが予想されるのだ。案の定、ひえーというくらい時間がかかる。25mlをろ過するのに5分以上。うーん。雨も降ったりやんだり、お天道様も顔を出したり引っ込んだり、つまりは暑くって蚊がぶんぶん言ったり、寒くってでも蚊がぶんぶん言ったり。そんな中コンタミを注意しながらひたすらNuts、酢酸、Dis CH4、Fe(II)。うへー。みんな無言でひたすら働く。16:40頃、保原さんが「しゅうりょー」の声。え!続いて松井くんが「終わりました」え、えぇ!。俺なんてあと1 profileまるまる残ってるのに(つまりはあと1時間以上)。うへーん。NPは非常に有機物が多いと言うことにして下され。結局みんなに待ってもらって終わったのは18:00頃。終わって帰るときになって突然大粒の雨、さらに風。campに着くまでにみんなずぶぬれ。

その後保原さんの「かたづけましょう!」のご意見に従い、とにかく片づけたところ。片づけられなくなっている自分を再確認(トホホ)。共有のlab spaceでしかも僕たち居候なのに。保原さんと今GCを打っている。松井くんと鈴木さんはPO4の比色定量。

地球研からハワイ出張依頼が来た様子。ありがたいことです。今は大雨。まぁこれで土壌溶液は取りやすくなった。よかったよかった。気づくと当たり前に21:40か。まだまだ終わらないものねぇ。GCのinjection部分、swagelokのほんのちょっとしたゆるみであっという間にairの値。きちんと確認するように。大園先生の論文について保原さんとあれやこれやと話したりしていると次のサンプルなので、ゆっくり話している間もないわい。PO4はうまく行っているかしら。

保原さんとビールを飲みながらGCうちながらいろいろと話。DOCのturnover rateやら、こっちのPIは本当によく勉強しているなぁ、とか(0:35)。propane打ち終わりました。リークがあるのは(MNT#2と#3)シリコングリースの塗りの問題でしょう。とほほ(1:09)。

さて、2人が帰ってこないなぁ。どうしよう。Fedexの伝票はRichの部屋にあったぞ。よかったよかった。Ericaとあった。久しぶりです。お会いできてむちゃくちゃ嬉しいです。はい。なんだかほっとしたです。

鈴木・松井が比色から帰ってきて、明日会議(2:00)。明日の午前中はoffというか好きな時間に起きて、明後日の準備をするように。明後日は保原・松井のDOC大作戦+鈴木CH4 flux(acidic tundra)大作戦なので、実は結構たいへんかもしれない。少なくとも鈴木さんのロードを減らして彼女には金曜日の第3回測定に向けて準備をしてもらわないと。僕はその間を縫って脱窒トレーサー測定を出来る限り。

みんなでみそ汁飲みます。ではさようなら(おそらく3:00ごろ)

 

| July 3, 2004 / 天気が次第に悪くなってきた

8時に起床。珈琲を飲みつつメイルを返信。9時。Anneが「いつ行く?」と聞きに来てくれるが、3人はまだ姿を現さない。10個サンプルを取ることが出来るので、3をfert-anaerobic、3 fert-aeorbic、2-cont-anaerobic、2-cont-aerobicにする事を相談(あとで保原・松井組がSagに行くことを伝えて、変更しようとも考えているが)。

波止場で船を待つ我々んで、Anneはボートを手配中。僕は3人を待っているところです。

John Hobbieが僕の机の上を見て"That's the Mess! Look at this!"、うん(笑)。PC、シャンプー、珈琲、そしてビールの空き瓶。。。まさにmess、、、

今日はSag riverのplot配置が分からないため(mapがない)、とりあえず保原・松井組は土壌溶液とcontrolでのcore採取に。metal tagを見つけてくるよーに。写真も撮ってくるよーに。本当に取ることが出来るか分からない(plotが分からない)ので、脱窒用のコア採取はまた後ほどチャンスを見てと言うことにする(Gusにplotのmapをちょうだいとメイルを書いた)。

MNT NPfertで脱窒用のコアを採取10:30にdockに集合。Sallyのボートを待つ。ボートに乗り込み対岸にあるMNT(Moist Non-acidic Tundra)へ出発。歩くと2時間程かかるからね。

MNTはToolik Lakeの北側、12500年前に氷河の退行が終わったところ(Itlillik II glaciation)で、つまりは「若い」、一方、前回サンプリングしたMATは約60000年前に氷河の退行が終わった(Itkillit I glaciation)、南に位置するサイト。さらにOksrukuyik CreekからSagavanirktok River (Sag River)にかけては、比較的若い(12-25000年)表面が広がっていて、Imnavait Creekは~300000年程度と考えられている(Walker, D.A., and Walker, M.D., Terrain and Vegetation of the Imnavait Creek Watershed, in Landscape Function and Disturbance in ArcticTundra, Reynolds, J.F., and Tenhunen, J,D,, eds., Ecological Studies, Vol.120, Springer-Verlag, Berlin, pp.73-108, 1996.)。こんな狭いところで、どうしてそんなにいろいろな氷河退行履歴が残るのか、Anneに聞いてみたら、それぞれの氷河期はそれほど厳しくなく乾燥していて、氷河が一面を覆うことはなかったので、このようにpatchyに氷河に覆われたのだとのこと。納得。去年は保原さんとここに来たのだが、全くすべてが雪に覆われていて、何も見えなかった(叫んでいる写真があるのだが、いったいどこに保原さんがいるのか、白いbug-shirtを着ている彼では分からないので掲載不可)。その前の年は小山先生とSarahとMarissaとここに何度か来たのだった。なんだか懐かしい。広い風景を見て思い出す。

良いコアですねぇ。MATはpH 3.7 (organic layer)、MNTは5.9、Base saturationは明らかにMATがMNTに比べて低く、有機物層の厚さもMNTで薄い(どんどんと分解が進むから、とAnneは言っていたが、Hobbie and Gouch 2004 OecologiaではAcidicの方が分解速いんだよね)。MNTではBirch (Betula nana)が姿を消し、その代わりに草本が入ってきている。土壌水は、、、とれねーぞ、、少なくとも溶存gasは難しそうだ。空気とともに水がとれる(かも)と言う感じ。うーん。雨が、雨が欲しい。調査は一段と厳しくなるけれど。

コアを抜いて対岸へボートで戻る土壌コアを抜く。10個をNP fertで、4つをControlで。 コアの測定でここより適した生態系を僕は知らない。ただ、mineralには小さな石がかなりあった。上から10cmで切ってすぐさま氷につける。

Anneにここの方がnet nitrification rate低いんだよという話をした。実際に論文を見てみると、うーん(Hobbie and Gough 2002 Oecologia)。現存量としてはやっぱりMNTに硝酸あるのか。 しかしnet mineralizationもnet nitrificationもやっぱりMNTの方が低い。これは2004年の論文とも対応していて、やっぱりMNTの方が養分としてはあまり良くない環境なのかしら。ふーん。

ボートで戻ってきたのが12:00過ぎ。それから15NO3をinjectionして、Heでpurgeして、、などなどをやる。結局2時間以上かかってしまう。

脱窒をやりながらAnneとたわいない話。「Knuteがいないのは寂しいわ」。同じく。「特にバスケットボールがね!」。なるへそ。「うちの子が腕の骨折ったのよ」「うへぇ、そりゃまたどうして」「上の子はローラーブレード、下の子は補助輪つけて父親とバイクに出かけたんだけど、上の子が追い抜くときに声をかけなかったから、ぶつかって腕をすりむいて、そこに下の子がぶつかって、骨は折れていないように見えたけど、ひびが入っていたら(ひびが入っているという英語をなんと言っていたか忘れちゃった)、3日後くらいも痛いだろうから様子を見ましょうって医者に言われて、父親の言うことには『うーん、痛がってるからひびは入っているんじゃないかなぁ』、だって」「男の子は男の子だよ(Boys are Boys)」「たった3週間しか家を空けてないのに!」「彼らにとって3週間なんてほぼ永遠だってば」

脱窒の貴重な容器を壊してしまった。。。しまった。。保原さんが持っているなんて見えなかったもん。。。テープなんてどうでも良いから容器を守って欲しかった。。と言っても仕方ないので、とにかく9個で。1-3がNP+15NO3+Glu-O2、4-6がNP+15NO3+O2、7がControl+15NO3+Glu-O2、9-10がControl+15NO3+O2、だったかな。8を除去。うう。。しまった。。O-ringにシリコングリース塗ったらだいぶ良くなったようだ。松井くんの神業で閉めなくても大丈夫かな、これなら。来年はやっぱりお金をかけないとだめなのかな。うーん。

終わったのが14:30頃。お昼を食べる。二人はたばこ(もくもく友達)。鈴木さんはちょっと体を休める必要があり部屋に戻っている(大丈夫かな)。保原さんと松井くんはSagまで行くとのこと。僕は今日15Nを使ったので、さすがにサンプリングできないと判断し、ここに残ることに。ふと気づけば、一人。ふーん。

生態学会、まぁ聞きに行くこともままならぬだろう(永田さんに呼び出されそうな気はするが)、と思いつつ、プログラムを眺めてみる。共同研究者が4人も発表なさっている。ありがたいことでございます。頑張って下さい。。じゃ、あかんやろ。やっぱり聞きに行くだけ聞きに行こうか、、。WPGM終わってへろへろだろうと思うのだが、、大手先生が行くようなら行くか。そうしよう。

LTERでの研究について、、というのを見ようと思ったのだけれど、大規模長期生態学研究なのか。それとはちょっと違うのかも。ここでやっていることは。何が「大規模」なのか僕にはよく分からなくなってきた。ただ、人的資源についての考え方、データ、情報の共有についての考え方が、今のままではやりにくい気がする。どうだろう。LTERの資源をかなり活用させてもらっているので、いろいろとすごいなぁと思うことはある。GISにしても、衛星写真にしても、過去のデータにしても。うーーん。色々書こうと思ったのだが愚痴にしかならないので消した。

Anneに今あって、anammox用のlake sedimentをもらえることに。後数時間して鈴木さんが起きてこないようなら見てこようと言うことも。

人が知らないこと、誰もやっていないことが簡単に出来るわけはなく、その実現には頭と体力が必要で、僕は頭があるわけではないから、とにかく「そりゃ出来るけど大変じゃない!」と言うことに挑戦してきたように思う。ただ、それが良いわけではもちろん無い。前にも書いたことがあるけれど、結局野外調査というのは単にサンプルが採れればいいのではなくて、「良いサンプル」が取れなければならない。「良い」というのは「自信を持ってこの後測定に供することが出来る」サンプルであって、そのためには色々神経をとがらせてサンプリングしなければならない。そのためには体力が必要なのだ。

これも書いたかもしれないが、ボートを漕いでいた頃、体力と技術、または集中力なにが大事か、と言ったときに、技術も集中力も源はそれを支える体力であって、まずは体力がなければ集中することも高い技術を保ってレースを戦うことも出来ない、だからまずは体力で選抜をするのだ、と言われて、なるほどと思ったことがあるのだけれど、我々のサンプリングも同じ事が言えるのかもしれないなと、ここ数年体力が落ちてきたこともあり考えるのですよ。

吸光光度法ノウハウ」という素晴らしい本にも色々書かれているのだけれど、いろいろな作業において「集中」することがもちろん大事で、「集中」というよりは、「気を配る」と言うことなんだろうけど、それには体力がいるのですよ。僕はかなり落ちたとはいえ、1日5000kcal食べていた(もう食べることは出来ませんってば)人間なので、おそらくじみーーにまだ体力はあるのでしょう。そんな感覚で学生さんや技官さんと研究をしていったら、彼らが先にダウンしてしまうのかしら、と思ったわけですよ。はい。でも、例えばフィルターしているときのフィルターの様子だとか、濾液の色の加減だとか、真空引きしてあるバイアルの閉じ方だとか、fluxを測定しているときのchamber baseの中の様子を耳を澄ませて聞いたりとか、いろいろなアンテナを張り巡らさないと自分を納得させられない。

体力・体調の管理は自己責任だ、そりゃそうなんですけど、そうはいっても、指導教官や直接ではないにせよ間接的な「ボス」に仕事を指示されたらやってしまうでしょうし、、などと思ったりしてみたわけです。まぁ、鈴木さんも松井くんも「そんなこと無いですよ」と言うだろうけど。

一方で上にも書いたように、ストイックになる気がなくっても、cutting-edgeな事をやろうと思えば、やはり大変なことになる。それは当たり前。その苦労が体力という一点に集中しないようにしなければならないのだけれど、頭がそこまで着いていかないので、結局体力勝負になるんだよね。。。どう反省したらいいものか。。

あ、鈴木さん戻ってきた。元気っぽい。よかったよかった。血圧が今日は高い感じなんです、と朝言っていたからちょっと心配したけど元気そうで何よりだ。彼女はいまStable Isotope (Free) Labに真空引きに行きました。あ、帰ってきました。Fluxの測り方について、彼女が昨晩頑張ってくれたので、一応方針を決められそうです。vialでいこう。

今年度になって気づいたことなのだが、 僕自身、こんなに長い間(通常で3日間(桐生)や5日間(+和歌山))、先生と一緒に行動したことは海外調査以外無かったなぁと。指導教官の先生はお忙しかったし、日帰りの調査ばかりだったし、長い間いろいろと話を聞けることと言ったら、海外調査以外無かった。大手さんとは中国の砂漠とタイでご一緒させてもらったし、徳地さんとはタイか。その時はまず非常に楽しかったし、勉強になった。果たして僕と一緒に研究している学生さんたちはどうなのかな。defaultの状態がかなり違うんだよな。僕が良い先生だったら「うらやましい」状態だ。ただ、欠点としては、いつまで経っても自立しないかもしれないと。しかし、自分の修士のことを考えるとどう考えても「自立」していなかったと思うから、そんなものなのかもしれない。修士の頃なんて。人は過去を美しく飾りたくなるものだからねぇ。

僕が直接指導しているM2の二人は今年海外調査に参加することになり、僕としては後教えることは「論文の書き方」だけであり、またはその前段階の『データの扱い方」であると思っていて、それが最後の置き土産だろうと(博士課程に進んだ後は本当に「共同研究者」であって、手取り足取りと言うことはもう出来ないし、する方が失礼だから)。なので、必ず11月中旬には測定をやめて論文書きに走ってもらいたい。僕自身先輩にそういわれて非常に助かった覚えがある。近年、僕のまわりでは、どんどんと修士論文、卒業論文の書き始めが遅くなっているけれど、それに応じて「議論の深み」が浅くなっているような気がする(例外も多々あるけれど)。データがいっぱいあるのに解析しきれていないというのは、やっぱりもったいないし、データを取っただけで修士論文が終わってしまっては本当に困る。大学院は「考えること」を学ぶところだと思うから。みんな吉田研のみんなはかなり良い研究をしていて、修士論文を書き上げたらそれがほぼそれなりの論文になりそうなレベルのことをやっていると思う。修士で社会に出る人は「考え方」を学んでそれを生かして社会で別の仕事を始めることになるのだろうけど、博士課程に進学する人は、論文を書くという事が、どうしても仕事の中心になるわけで、今後のことを考えてもやはりD1の早いうちに論文を書き上げる(日本語でかまわないから)必要があると思う。それが修士論文になるのが最も効率が良い。修士論文は書いてみて始めて「自分のやっていることの意味がちょっと分かった」という事になることが多い。執筆を通じて「論文書きのお作法」や「自分の研究の意義」を「分かっているつもり」ではなく文章として表現するトレーニングを積むことで、考えざるを得なくなるし、実際むちゃくちゃ考える。その時間は最低でも3ヶ月は必要だ。それだけのデータを取っているのだから。

和田先生に言われたことは「論文の最後に、『この絵が僕の修論です』というポンチ絵を必ず描きなさい」ということ。それは自分が教官になってからもずっとみんなに言ってきたことである。そして、博士課程に進む人にとっては、その絵の中の分からないこと、それが10個あったなら、そのなかの2つか3つを後3年でつぶせるようになることが、博士論文の目標になるだろうし、修士で社会に出る人だって、その人の論文の最後の絵を見て、研究室に入ってくる人が「私はこの絵のここをやります」というように、後輩をinspireすることが出来るだろう、そういって必ずそういう絵を描くようにと言い続けてきた。博士論文も同じ事。結局その絵と格闘することになるのだから、その後数年間は。その絵を描くために最低でも3ヶ月は必要だ、と言い換えてもいい。

先月の琵琶湖博物館研究報告会で地球研の秋道先生が(いつもの口調で)「丸や四角で色つけて囲った絵がようけあるけれど、あんなもんのほとんどはなにもいってないやからね」とおっしゃっていて、なるほどと思った。確かに自分の今まで書いてきた「丸や四角」で出来た「概念図」のようなものは全く何も語ってない。ほんとうだ。まとめにもなっていないような気になってきた。

と、まさに自分自身に言い聞かせるように書いてみた。せっかくなので、僕も2月に向けて論文を書こうと思う。同じような苦労をして、論文を見せ合ったりすれば、苦労も軽減するかもしれない(!?)。3倍増だったりして、、。

同じく、M1のみんなは若手会で是非発表して下さい。自分のやろうとしている、やっている研究内容がどういうものなのか、他人に発表するのは最も勉強になる活動の一つです。なにかする、と言うことは大変です。大変だけど、何かをしなければ何か大切なものを得ることなんてできやしませんからね。

ここで日誌を書いているのは、自分自身の備忘録という要素よりも、実際話すことがあまり出来ない日常の中で僕がどんなことを考えているか、一方的に学生さんに伝えるため、と言う要素が非常に強くなっていて、だからこそしんどい状態でも書いている。授業もそうで、輪読会などにもう参加できる状態ではない毎日の忙しさを考えると、1時間ちょっと学生さんを「占有」出来るチャンスなのだ、と言う風に考えると、勉強して欲しいこと、最低限知っておいて欲しいこと、などを伝える数少ないチャンスだと言う風に思えてきて、結局毎回多くの時間を割くことになっている。あと、特にアラスカで頑張って書こうと思っているのは、どう彼らが頑張っても、英語の問題や単なる知識の問題で分からないことが多々出てくるだろうから、その補足説明として書いていることが多い。異国の不便な地で、情報が足りないと感じることは非常にストレスだから、少しでもそれが緩和できたら。まぁ、そんな思いで必死に書いているわけです。楽なわけではありません。ただ、まずは「教員」、であって、まずは「科学者」、ではないと思っているので、こういう事に対してpriorityを高く感じている結果です。

それにしては内容が内容なんだけどね、、、

土曜日はピザです。今から食べてきます。

Mollyが開催するmeetingを忘れていた。聞いたところ、彼女は次の2週間いないとのこと。んで、ボトルを明日もらうことに。これにacid bathのwasteを入れて廃棄する。

 

| July 2, 2004 / 嵐の前の静けさ

えー、僕が耐えきれずlabを後にしたのが1時頃(この書き出し多いな)。昨日はこの日誌を書いてから保原さんとあれやこれやと盛り上がり、珍しくビール3本も飲んだ後で部屋に帰り、もう一度現在提出中のNSF proposalを読み返して、うひゃーとかありゃーとか思っていたら2時頃になってた。保原さんは3時か4時頃に戻ってきていたな(そして今日は13時頃まで死んだように眠っていたらしい)。惰眠を思い切りむさぼり9時に活動開始。すでに鈴木さんは活動していた(負けた。。)

昨日保原さんと熱っぽく話していて、いろいろと整理できた。

  • 2000年:Imnavaitの全体像を荒く明らかにする。窒素固定の測定が重要、"Nitrate Story"をDIN-DONの同位体比から考えつく
  • 2001年:"Nitrate story"の一部として、植物の硝酸還元酵素活性測定が必須だったので、小山さん(現在京大情報学生物圏)に来て貰い、Imnavait、LTER MNT/MATの植物硝酸吸収について検討した(w Sarah Hobbie and Laura Gough)
  • 2002年:保原さんに来て貰い、DONについて研究を始める。DONの質を追求することがN lossを考える上でどうしても必要なため。同時にPost-docの教育として窒素固定測定について研究を始めてもらう。GCの立ち上げから。15N natural abundanceの測定は前の週までheavilyにlabelを使っていたため、サンプルをすべて捨てることに。denitrificationはCarrier gasがTFSに到着せず、断念(!)
  • 2003年:保原さんに引き続き来て貰い、窒素固定についての詰め。同時にDONトレーサー実験を始める。びくびくしながらも、15N natural abundance用のサンプルを取る。 現地とラボでdenitrificationやってみたが、サンプリングに問題が残り、検討課題となる。
  • 2004年:鈴木さん・松井さんに来て貰い、日本側(SORST)としてのアラスカ研究を始める。脱窒については多少大がかりに機材をそろえ、現在進行中

すると、後やるべき事は

  • 植物の葉っぱの中のNO3の同位体比測定(優占種+Polygonum)
  • 土壌溶液中の硝酸の同位体比測定
  • MNT、MATのNP fertでの硝酸同位体比測定
  • 30N2 production測定

と言ったところか。これをSag riverと比較できるように両方でやりたい。数万年と数十万年での比較。

というところで、いま松井くんと試しサンプリングにMATまで行ってきたところ。松井くんのサンプルは大丈夫そう。ずっと続いている晴天(!)のために、土壌はかなり乾燥していて、MAT block4 NP fertでは土壌溶液が取れなかった。。。どうしよう。。。

久しぶりにやることがない。へぇ。と言うことで考えに考える。 しかし、暑い!なんなんだ。

proposalを読みながら部屋でうたた寝。今日は風が通るからそれなりに涼しい。すずしい?何という言葉をここで使っているんだ。保原・松井もく友コンビが部屋に来て、ああ、飯でも食べようかなと言う気になり、巨大ステーキと格闘してきたところ。黒板に"Snow on the 4th of July!"とあって、dinning hallで天気予報を確認したところ、日曜日から気温ががくんと下がって、"chance of rain"の文字が。嬉しいやら悲しいやら。

「明日会議」への覚書

  • 明日はMNTにて脱窒。soil coreとって、以前と同じようにやるだけ。実質あまり手伝うことは無い(一日中という意味で)ので、開いている時間は自分のやるべき仕事を進めるように
  • 鈴木さんはラベル作りや真空引きやfilterの関係を。7日にImnavait CH4もやる予定なので、そちらも準備を進めておいて欲しい(そうしないときついかもしれないから)。松井さんはFe(II)の準備、PO4の予約などをお願い
  • 日曜日は休んで下さい。4th of July Paradeがあると思います。
  • 来週は雨になりそうです。 土壌溶液を取るチャンスかもしれません。
  • Heの確認を毎日お願い。
  • Fe(II)はGC vial (30ml)が余るので、それでやろう。

こんなところか?たいした話はないな。

鉄用の準備を松井くんとしてきたところ。今回は1.0mlずつ試薬を入れている。酢酸アンモニウムというまさに敵だったのをすっかり忘れていた。酢酸もアンモニウムも測っているのに。。

 

| July 1, 2004 / take the day off?

えー、僕が耐えきれず寝てしまったのが3時頃。保原さんがweatherportに帰ってきたのが5:00頃。松井くん、鈴木さんは何時に寝たのか分かりません(松井くんはまたGC roomで丸くなって寝ていました)。ここまで全く昨日と同じような書き出しだ。結局鈴木さんと保原さんでGCを朝まで打って、とりあえず終了して寝たとのこと(松井くんはそのそばで寝ていたそうな)。重い体を起こして8:30に部屋を出る。今日はお世話になったGusの旅立ちの日なのだ。みんなに「絶対見送るように!」と言ったものの果たして自分が起きることが出来るか、、ほぼ連日の睡眠不足にもかかわらず、とりあえず起きた。目が腫れているのが自分で分かる。9時前に我々4人全員集合。しかし様子がおかしい。どうやらPrudhoe BayからAnchorageへの便がキャンセル(!)。いつ出発するか分からないとのことで、結局みんなそれぞれお別れを言って保原さんと鈴木さんはとりあえず寝て、僕と松井くんはGCとPO4のデータ整理。

プロポーザルが通ったら連絡するよ、まあとにかく連絡を取り合おう、とのこと。いやはや、本当にお世話になりっぱなし。どうやって恩返しするつもりなんだろう。僕は。

GCは妨害物質の嵐のために、昇温プログラムを走らせている(1.4min@70度、Prog Rate 40、Final Temp@105度、Final Time 4.6min、70度まで戻るまでtotal 8.5min)。時間がかかるが仕方ない。

行きの車の中でSallyが言っていた言葉を何度と無く思い出すのだが。「私が学部に入ったときのprofessorたちはみんなPh.D取ったばかりで、本当に熱意あふれていて、それにものすごく影響されて研究の世界に入ったの」

保原さんと松井さんが帰ってきたので、ちょっと寝よう。15:00までちょっと寝てました。暑いのとヘリの音で仕方なく起きて洗濯を始めました。

ああ、大失敗を、、、鉄のサンプルを処理していて間違えてトレーサーを洗ったところにGC vialを入れてしまった。。もうこのバイアルはStable Isotope (Free) Labでは真空引きできないや、、、どうしよう。。。

今日、オフなのか?これ?!(笑)。鈴木大先生は朝GCの話をして僕がうちまっせと言ってから、姿をお見かけしていない。New Dormのお部屋で泥のように眠っていらっしゃるのか。

保原さん:normal tussock tundraで6地点、wet sedge (or Footslope)でも6地点コアを抜く。1地点3コア。これを植生(moss)、organicとmineral。根っこは取らない?DI、KCl(K2SO4)、P bufferで抽出。これらについてDOMのキャラクタリゼーション。松井がDOCの同位体比測定を担当。
松井くん:DOCの13C測定。陸から湖まですべてやってみたら?ethyleneは合間にやってみるのはもちろん良いのでは。

ご飯はスペアリブでした。おいしかったです?。食べてすぐさま20分程寝ました。保原さんと松井さんと上記のような「明後日会議」を。鈴木さんも程なく起きていらっしゃったので、サイボウズに観測の予定を入れてみて、みんなで表情を曇らせたり(笑)。

僕はトレーサーに汚染されてしまったGC vialなどをacid washしていると、Anneがわざわざやってきてくれて、denitrificationの相談。僕は最初、nitrification-denitrification couplingをやりたいと思っていたのだが、Anneの話を聞いていて、MNTのfertでやったり、Imnavait(またはMATのCont'l)で、今年はとにかくpotentialをやるのは悪くないなと思い始めた。結局土曜日にMNT(Moist Non-acidic Tundra) LTERサイトでsoil coreを取り、土日にかけて培養(time-courseで)することに決定。あとは、mason jarをつかってglass tubeに取ってみたり、single samplingでとにかくデータを出してみたりしようと言うことで落ち着く。

「今日はオフにしたんだよ、洗い物したりGC打ったり」「それってオフなの?」ええ、ごもっともですってばAnneさん。

Anammoxのサンプル用にlake sedimentももらうことにしちゃいました。大河内さん、よろしくお願い致します。教えて下さい。

「1985年から来てるけど、こんなにsolidな天候は始めてよ」とAnne。全くです。気持ち悪いくらい。今日もお天道様が綺麗です。

生態学会での発表内容について、保原さんから厳しい要求が。すみません。アラスカサンプルの処理は22日に筑波に参上して遂行する予定でございます。。。

今朝、John Hobbieが捕まえてくれて、現在投稿中の論文について熱く語ってくれた。うーん。僕は違うストーリーを考えているんだけどなぁ。といっても反論する材料がちょっと足りない。それに感化されて、硝酸サンプルをありったけ取ることを決意(いま)。くそう。みんな1週間経ってだいぶ慣れてきたみたいだし、ちょっと自分の怪しいsamplingをやってみるか。悔しいから湖まで取ってやろうか。陸から湖まで。くそう。まけないぞ。植物の中まで追いかけてやる。

今朝は「まだ1週間しかたってない!」と思ったのだが、今は「ああ、来週しかもう働けない」という感じ。

 

| June 30, 2004 / Team Suzuki本領発揮か?!

えー、僕が耐えきれず寝てしまったのが3時頃。保原さんがweatherportに帰ってきたのが4:30頃。松井くん、鈴木さんは何時に寝たのか分かりません(松井くんはまたGC roomで丸くなって寝ていました)。昨日「時間厳守」「9:00にlab集合」を告知していたのですが、あまりにみんな寝ていない極限状態なので心配していました。しかし、全員息も絶え絶えで9時に集合。いろいろと持ち物の準備をして、点呼までして、9:30過ぎに出発。dinning hallで氷をしこたま奪い、ziplockにいれて、frostpak4つに氷を詰め、いざwet sedgeへ徒歩20分の旅。重い。

時計を2つはめ号令をかける大先生とGHにて指示を待つ松井さん10:30頃にfluxを始める。鈴木さんの号令に合わせて濃度サンプル-同位体サンプル-攪拌5分-濃度サンプル-同位体サンプル、、と1つのchamberにつき、0、10、20、30minで取って行く。鈴木さんの号令によって素晴らしくスムーズに12:30に9chamber flux終了。ちょっと休んで、次は溶存物質サンプリング。おのおのの武器(sampling probe)を手に、土の中の水(土壌溶液)を取る。Nuts(DIN、PO4)、溶存CH4(CO2)、Fe(II)、Acetate(クロロホルム入り・無し)の5つ。溶存ガスサンプルは泡が入ってはだめなので時間がかかる。僕の担当NP fert plotでは、5cmのところで土壌溶液がなかなか取れず、泡ばかり入ってしまう。だいぶ乾燥気味。GHやControlでは大丈夫らしい。結局5cm、10cm、15cm、30cm(まだここまで土壌が溶けていないこともあった)の4深度を1profileとすると、約1時間。4プロファイルで4時間かかった。終わったのは16:30頃。いやいや。その後鈴木さんと松井くんでクロロホルムと水銀の添加。僕と保原さんはとりあえず重い氷入りのfrostpakを持ってTFSへ戻る。キッチンから良いにおいがする。腹ぺこだ。もう一度plotに戻り、みんなで荷物を持って帰ってくる。

お昼は蚊との戦い素晴らしいサンプリングであった。忘れていたこと、問題点を明日会議のためにおくと(もう今日会議だけど)

  • DI忘れた
  • GF/Fのスペアがいっぱい必要
  • syringe用のゴムバンド
  • 酢酸用の栓のスペアがもっと必要
  • 注射針?
  • fluxのGC vial、どうする(これでは4人しか分からないがまあいい)

といったくらいでしょうか。とにかくスムーズに行ったと思う。これ以上は望めないのではあるまいか。

今日は白い米!といっても長いお米だけど。。始めて4人で囲んでご飯を食べる。3人はここぞとばかりみそスープを飲んでみる(僕は公衆の面前では飲まない事にしている)。やはり見た目と違う味の料理に3人は苦しんでいるようだ。

まぁ、なんだかアメリカにまで来てみそ汁とか飲んでしまうと、どんどん孤立感が深まってしまう気がするのですよ。今回、良くも悪くも日本人グループで行動していて、アメリカ人や他の人と一緒に活動することが無い(Anneとは脱窒やっているけど)。それが彼ら、特に鈴木さんと松井くんに良いことなのか悪いことなのか、簡単には判断できない。違和感を感じて、それを楽しめるまでには僕らの時間には猶予が残されていないから。とはいえ、もったいないなぁ、と思ったり、そんなのって、まさに「若いうちに苦労しておきなさいよ」というおじさんの遠吠えのような気もしたり。ま、ここら辺は個人的な見解で押しつけるつもりは毛頭ありませんけど(本当かなぁ)。

バイアルの中で赤く見えるのはFe(II)の発色です。還元的なんですね。食事を済ませ、TerrestrialでFe(II)のサンプルを整理する。ははー。Cont'lやGHでは5cmという表層であってもFeはかなりあるようなのだが、NP fertでは5cmでのFe(II)濃度はかなり低そうだ。これは土壌溶液を採取するのに苦労したことと合致する。とAnneに言ってみたら「NPではbiomassが多くて、groundwater levelが下がるから、酸化的と言うことになるのよ。Salt Marshでも同じようなことがあったわよ」と速攻(鈴木談)言われる。なるへそ。

こう言うのが好きなんだよな。陸上ばっかで仕事をしていると、ほんのちょっと違う視点で考えることがだんだんと出来なくなってくるような気がする。ここ、Toolik Field StationはLake、Streams、Land-Water、Terrestrialなど様々な人々が一堂に会している。以前から言っているように、僕は陸水の人々の仕事にいろいろと興味を持っていたので、何とか勉強してきた気にはなっているものの、現実は全くだめで、こう言ったところで、自分の生データや生々しい感覚をぶつけてみて、まさに知識と感覚のcalibrationをさせてもらっている。とてもありがたい。

fluxing!そうそう、Gusに食事時、「科学のフロンティアを今日は広げたかい?!」と聞かれたけど、今日は本心で「うん」と言えたような気もしないでもないな。

AnneがdenitrificationのsampleをGusに手渡すと言って持っていってくれた。あと48個ある。どうするか明日の午後にAnneと相談。僕としてはnitrification-denitrification couplingをやりたい。そのあと保原さんと今後の相談。どこをどうやるか。とにかく8日までにImnavaitの土壌溶液を採取し、DON、DOC(これは松井くん)のサンプルを取る、そのあとはGeorgeと相談しよう、とのこと。

松井くんは僕が鉄の面倒を見ている間に(酢酸アンモニウムバッファーを0.5mlずつ添加。Vialがまだ減圧されているのでsyringeで簡単に導入できた)、PO4の測定を頑張って終えたらしい。いま保原さんと一緒にサウナに向かったところ。鈴木さんはGCをひたすら打っている(現在問題があり、programを変更したところ)。僕は、、、fluxの計算で小学生的な間違いをしていて、昨日書いていたfluxの値は、もしかするとだいたい良い値かもしれない(少なくとも今鈴木さんが出している値はどうやら良い感じ!)という恥ずかしい状態(をビールでごまかしているところ)。

メイルが滞っております。今夜も3時過ぎそうです。申し訳ございません。

 

|June 29, 2004 / Rehearsal

朝起きれません。結局寝たのは2時過ぎ。鈴木・松井組はGCなどいろいろなことを話していたらしい。松井くんがGC roomで動物のように丸まって寝ていた。鈴木さんが素早く相談に来る。9時過ぎのこと。

風があって天気も良いし、リハーサル日より現場での相談事は、だいたいにおいていつも同じで「どうやってサンプルを取る」「どれだけの繰り返しを取る」「最低ラインはどこに決める」などなど。でもこれが一番難しい。いつでもどこでもTFSではそんな相談が行われている。Hot spotを取るべきか、randam samplingで「平均的な」値を取るべきか、云々。今回は、溶存CH4のサンプリングには非常に時間がかかるので、controlとNPだけやって、GHは次回に回したい、また0.2umでのろ過はあきらめてGF/Fでと言う提案。僕は、季節変化、日変化の観点から、一日でたとえ徹夜になっても良いからControl、NP、GHをすべて取る、そしてその時に、Control1-3、NP1-3と言う順序ではなく、C-1、NP-1、GH-1の次にC-2、NP-2、、、というようにそれぞれのplotから1つずつ取ることを提案。また、繰り返しを減らすのはOKだが、4繰り返し以下は認められない(1つ失敗してもまだ3繰り返し)、最後のサンプリングの時は僕が一人残っても6繰り返し取る(同位体測定などで失敗してサンプルを失う可能性はまだまだ多いので、少しでもサンプルは多い方が良いから)、などを提案。また、昨日のリハーサルでの1cm、3cmのサンプリングが難しいこと、King et al (1998: JGR)を参考にして、5cm、10cm、15cm、30cmの4深度でNuts (PO4/NH4/NO3)、Ac(w, w/o Chlorohorm)、Dis CH4、Dis Fe(II)を取ることに決定。ただ、それでも時間がかかるというので、これから一緒に行って実際にサンプリングをしてみて、いろいろな「見切り」を伝えようと思っているところです。また保原さんからGCの挙動について(とくにstdの値について)の質問等々。

こう言うところで、みんながそれぞれ思っていることをばんばん言ってくれるのはいい。楽しい。頭が活性化される気がする。きちんと理由を言えなければ納得できないだろうし、納得してはいけない。こう言うところで効いてくるのは、経験よりは、どれだけいつも考えているか、どれだけ他の人の研究を知っているか。だからこそ論文は必死で読まないといけない。

Wet Sedge表面。鉄が見える。還元環境で可溶化した鉄が表層で酸化されているのか15:00には帰ってきて、denitrificationのgas sampleを取り、propaneを入れ攪拌し、propane濃度をGCで打ち、headspace volumeを決め、その後vesselを開け、中のsoil coreをziplockに入れて凍結し、Woods Holeに持ち帰る(DNRAの有無などを一応調べるため)。思いっきり高速で昼飯をすませ、chamber baseに張る水を汲むためのボトルを確保してofficeに戻ってきたところ。WWWは相変わらず繋がらない。

Moosavi and Crill (1998:JGR)のデータを見ると勇気づけられる。Toolik Inlet Wet Sedge(まさに鈴木さんのplot)でのCH4 oxidation %がだいたい20-40%と出ているのだから。ありがたい。

13:00過ぎにwet sedgeへ。土壌溶液の採取のプロトコル確認(酢酸、Nuts、Fe、そしてDis Gas)、とchamberの確認。Gusたちもちょうど来ていて、CO2 exchangeとpoint flamingなど。Gusにextra plotにchamber baseを入れて良いか?と聞くと、「このプロットを作って14年も誰かを待ってたんだ!メタンをやる誰かをね!」と。なんてひとだ(感涙)。とにかく今年帰るときには僕らが作ったchamber baseをここに設置して帰ろう。来年はもっと気分良くできるはずだ。

松井くんと僕は14:40にplotを出て、Dry labでdenitrificationの48hrサンプルの採取とpropaneによるheadspaceの測定。これが手間取る。まだ1つしか終わっていない。GCの温度が落ちていて、bakingしたり、propaneのinjectionに不都合があって、やり直したり。でも、#4のanaerobic incubationではエチレン出てきていた。やっぱり嫌気的な条件ではエチレン出てくるのかしら。 また、Fe(II)、かなり濃い。とにかく発色してくれたのでほっとする。

とにかく夕飯を食べに行く。今日はミートボールスバゲティ。

Toolik Talk Shop。本日のお題はMicrowaveをつかった研究と、河川の生態系構造についてでした。居眠りしました(笑)。

Seminarが終わると鈴木さんが帰ってきていて、chamber内を攪拌すると、baseの水が動くという報告。これはシールがきちんと出来ていることの証拠でもあるし、ventとしてのtoedler bagが上手く動いていないことの証拠でもある。うーん。

今日中にやること、ないし「明日会議」の議題

  • 溶存CH4用のGC vialはすでに真空引きしてある(+4つ)
  • Fe(II)用のGC vialにはフェナントロリンが0.5mlずつ入って現在凍結中。終わり次第荒く真空引きして、それぞれ重量を記録しておく。溶液採取は色が付いたら終了(おそらく1ml程度、表層は多め)。
  • GHは緑、NPは黄色、Cont'lは灰色のテープを貼る。すべての機材は基本的に交換不可。特にNuts注意(栄養塩濃度10倍から100倍の可能性有り)。
  • 3名がsoil solution sampling (4 reps)、残り1名がchamberないし、HgCl2、クロロホルムなどの添加、サンプルの冷蔵、フィルターフォルダーへのフィルターセット、などを受け持つ(これは最も重要なので鈴木さんの役割)
  • PO4は4×4×3の50サンプル。2繰り返しで測定。NPは10倍希釈。そこまでterrestrial labでpipetしておいて、wet labに行き、定量。
  • CH4 stdの保存がBD 60ml syringeでどこまで可能か。60mlだと失敗してもあと3回は打てる。バックアップとしてGC vialにもサンプリングしておくべきか
  • r2=0.998だから、CH4 chamberのサンプリングおよび拡散はうまく行っていると思う。しかし、4mg-C/m2/dayは43-188mg-C/m2/day (23/06/1993)と比較すると遥かに小さいflux。これが16:30からのflux測定だからなのか、それとも我々のどこかにミスがあるのかを明日の第一弾でデータを見て確認しないといけない。
  • 10:30にはサンプリング開始したい。
  • 先にchamberをすべてやってしまう方が良いのではないか、と鈴木さん提案。確かにその方が良いかもしれない。ということで採用。どちらにせよ、鈴木さんの号令に沿って我々3人は動くことを確認。そうすると、12:00にはflux取り終われるかもしれない。光合成を考えると、この時間のfluxが取れるのは悪くない。
  • エチレン測定は、chamberを長時間設置することが必要なので、今回はやめる(光合成の阻害がDOCに与える影響を考えると危険ではないかと言うことで)。やるのであれば、Imnavait Creekでの放出を見てみてからでも遅くない。
  • 一人一つfrostpakを持ち、溶液サンプルを取ったらすぐさま氷付けにする。鈴木さんが回覧し、水銀、クロロホルム添加を必要とするサンプルについては処理する(またはこれらを木庭がやって、鈴木さんは先にGCを打ち始める?)
  • 松井くんと僕はサンプリング終了後そのままPO4測定へ。PO4測定のためにpipetしたらすぐさまStable Isotope Labにてサンプルは凍結。鈴木さんと保原さんでGCをうつ。
  • 来年、fanは必要だってば、、
  • Gusは木曜日の朝8:30に出発する。denitrificationのサンプルを念のため持って行く。お世話になった人に必ず挨拶するように。木曜の午前中は休みにするが、一度起きて見送りしてからまた眠ること。人として。

さてさて、 いま1:20amです。ラベル作りとheadspace volume決めです。何時に眠ることが出来るのでしょうか。明日は、9時に必ずlabに集まらないといけません。

 

| June 28, 2004 / もうあと2週間しかない!Dry labから見える風景(1:36am)。遠くにBrooks Rangeが

朝からacid wash。

Fe (II)の測定:5、10、15、20、25cmで、control、NP fert、GHそれぞれ3繰り返し(6繰り返しのうちの)=45サンプル+std=50サンプル
GC vialに入れて、発色させ、Wet labでpH調整して持ち帰るとなると、scint vialが300必要。
ろ過出来ればいいが、GF/Fが足りなくなるおそれあり。scint vialとGF/Fとのかねあい。
10ml syringeは確保。GC vialも確保。GF/Fはおそらく足りる。Ianにwavelength変える許可ももらった。できるな。これで。持ち帰りは却下。鈴木さんが山田さんの「湖沼調査法」をがめていることを発見(すんません、、)。

JISのFe試験を思わず買ってしまう(1050円でダウンロード)。おいおい、不自由がなんとかとか昨日言ってなかったか?おれ。保原さんにGF/Fを150枚もらうことにして、5深度、6繰り返しを3繰り返しにして、50サンプル×3回の150サンプルに。あとはIanに510nmで測定して良いかだけ聞こう。

鈴木さんと松井くんはchamberによるflux測定のリハーサル+栄養塩サンプリングのリハーサル。11時頃出かけて14:00頃戻ってきたのかな。土壌溶液、やはり1cm、3cmでのサンプリングは難しいことが分かる(これだけでもリハーサルした甲斐があった)。測定深度を変更しよう。

こちらは午後3時頃までかかってacid wash終わる。Joeにscint vialの注文をお願いしたら、polar tentから発掘してきてくれた。有り難う!15:00にdenitrificationのサンプリング。といってもただ単に4ml取るだけだが。16:00から松井くんPO4実習。IanやJoeに習う。なるべく口出さないようにする。Bossy?終わったのが今(19:00)。Wet sedgeのsoil solution PO4は0.3uM程度。NPはおそらく10uMに近いので、10倍希釈が必要だ(7月の時点で。6月ではもっと濃度濃いだろう)。鈴木さんと保原さんはGCを打っている。つまり誰も夕飯まだ食べられていない。まあ、そんなもんだよね。

なんかおかしい。Chamberで取れるfluxの値が、つまりは0min、10min、20min、、の値がおかしいのだ。ありゃー。やっちまったか。。。と落ち込みながら、当座の対処法を考えて松井くんにお願いしていたとき、「あ!cajonのふた閉めてない。」と大先生。やっちまったか。。。やっちまったな!ただ単に穴開いたままflux測ろうとしていただけか!とにかくそれが原因ならよかったよかっただ。こういう失敗もリハーサルでやっておけば安心(?!)。いや、本当に。

自分自身の経験上、少なくとも僕自身は最初っから上手く行くことなんてほとんど無い。しかも始めての生態系での調査で上手く行くなんて考える方がどうかしているのだろう。それでも確実に仕事をこなすためには、頭の中でのリハーサルだけでなく、体でのリハーサルが大事。時間が限られているから(その日のうちにGCは打たなければならないし、栄養塩はサンプリング後8時間以内にPO4とNH4は測定してしまうしきたり)。体力も限られているから。体力任せにすると大事なデータをミスすることがある。すべてをunder controlの状態にしておくことはとても大事。

今、23:15にacid wash一段落してdry labに戻って来るも、誰もいない。みんなwet sedge siteにいってやり直しているらしい。ごくろうさま!

今日のacid washは最低だった。日差しはまぶしいし、ゴム手袋(黒)は暑いし、蚊は容赦なく襲ってくるし、塩酸槽に手を突っ込まないといけないし、洗い物は山程あるし。いやぁ、地獄のようだった。

今回は、dry labに4人で移り住んでしまったので、残念ながら「外国の研究者の中に飛び込む」という状態が出来ていない。英語でも話していない。これはとてもいやだ。いやだけど、まあ仕方ない。今日wet labで大勢の人々がnutrientをやっているところに入り込んで、なんだかほっとした。面白い感触だった。でも、これがあの2000年の事だったんだよな。

今回の鈴木さんの調査は、GCのセッティングからnutrientからいろいろとサポートが出来ている(僕らで)。来年は大変だろう。だからといって、今年あれやこれや全部を教えている時間も毛頭無い。僕も保原さんもやるべき事葉山程あるから、早く何とか鈴木さんの調査を軌道に乗せないと、僕らのやりたいことに時間を割けないから。まぁ、、これはPI的な感覚なんだろうけど。

Gusにalminum capはないかと聞くと、ああ、じゃあChrisに聞いてきてやるよ、とPI自らlabを探し回ってくれる。本当にありがたい、というか、こういう感じの人はおそらくあまり日本にはいないのではないだろうか。Fe(II)用の試薬を作りながらちょっと色々考えてしまった。

あ、今みんな帰ってきました。ご苦労様。

Scint vial、Al cap、Butyl topper、その他くだらないもの程きちんと注文しておこう。そして洗っておこう。教訓。

夜盛り上がるTeam Suzukiでございます。現在1:30ですが、盛り上がって来ちゃってます。GC打ちまくってます。

 

| June 27, 2004 / 日曜日はありませぬ松井作脱窒トレーサー実験グッズ

朝、のろのろと起きる。暑い。暑すぎる。10時頃までにGCの配管を調整し、Heを使えるようにして、サンプリング道具などを準備、昨日のうちに4ml vacuum flaskを20本真空引きしておいた。

11時頃、Anneがやってきて、やってみよう!ということになる。LTER tundra site Block3 NP fert plotで土壌コアを取る。松井くん始めての土壌コアサンプリング。ここはいろいろな生態系の中でも、最も気分良く土壌コアが取れるところなんだよね。8個のコアを取り、クーラーに入れて持ち帰る。帰ったら1時頃。その後、土壌コアを切る。organic soil + mineral soil (1-2cm)。松井くん作の脱窒トレーサー実験用incubation vesselに入れ、15NO3とGlucoseをsyringeでinjectionし、Heでflushして、脱窒にこれ以上ない環境を作ってやる(ananerobic)。1回Heをいれて、ハンドポンプで中を抜き、再度Heでflushした。もう3つのapplicationは、15NO3(1/4)をいれ、H2/O2 (80 vs 20)でflushし、ちょっと環境の悪い状態を作ってやる。15:00過ぎに6つの試料が準備終わり、incubationスタート(室温)。明日15:00、明後日15:00にガスを採取し、propane 1015ppm stdを入れ、拡散させ、headspaceの体積をpropaneの濃度で測定する(火曜日)。

Anne Giblinと松井くん:playing with mud相変わらず良い天気。僕は17:00頃から眠る。気持ちいい。20:00頃に起きて、いまDry labに戻ってきたところ。夕飯を食べ損なっているが、おなかの調子が悪いので、ちょうど良いことにする。鈴木さんとGCやpropaneの打ち方やら、話していると保原・松井組が帰ってきた。クーラーで冷やしたビールを飲む。うめー。いまみんなでsampling probeの作り方や、サンプリングの仕方についてあれこれリハーサルしているところです。

明日は、鈴木・松井組でwet sedgeにてまずchamberによるflux測定のリハーサルと栄養塩測定のリハーサル。午前中にはサンプリングが終わるはず。午後は鈴木さんがGC測定(propaneによる体積測定も含む)、松井くんはPO4濃度測定をwet labで。僕はwet labで鉄測定のための試薬作り。午前中は保原さんとDONのサンプリング計画。

ふつーに8:30から24:00まで調査をしているので、さすがに体はへとへとになりそうになります。まあ、でも、こちらのPIはみんな毎日ばりばり仕事をしているので、負けてなるものかとは思いますが、どこまで頑張りきれるものだか。来週の日曜日にはハイキングに行きたいものです。

しかし、、Georgeも、Neilも、Gretchenも、Marissaも、Sarahも、Johnも、Knuteも、Martinもいない、近代化されたToolik Field Stationというのは、正直違和感があるというか、寂しいです。年を取ったって事なのかなぁ。いろいろなものが便利になっていて、「不便を楽しむ」という感じがだいぶ薄まっている。だいたい、e-mailが読めたり、wwwが読めたりしているんだものなぁ。

 

| June 26, 2004 / さすがに眠いAcidic Tundraからの帰り道

昨日は結局2時に床につき(松井くんと保原さんは3時頃か)、7:25の目覚ましで目が覚めなかった。8時前にのろのろと食堂に行き、珈琲を流し込んでDry Labへ。あれ?何をしていたんだっけ?あ、GCのstdを打ち始め、昨日来たCajonなどを松井くんにお任せして、保原さんにGCをお願いして、僕はStable Isotope Labでacid bathを作ったり、荷物を運んだり、DIWを運んだり、なんだか色々。もうすでに忘れている。

お昼前にchamber-topを3つ鈴木さんと完成させ、いざ、wet sedge plotへ鈴木さんと松井くんを案内する。 ようやくここまで来たという感じ。chamberをとりあえず運び、plotの説明をし、実際に土壌溶液を"sampling probe"で取ってみる。結構スムーズに取れる。昨日のImnavait Creekといい、今日のWet sedgeといい、非常に乾燥していて、大丈夫かなぁと思っていたが、大丈夫そう。よかった。でも、溶存CH4用に泡をたてずにサンプリングするのはやっぱり大変だ。

その後もうちょっと時間があったので、丘を登り、acidic tundraのplotへ。このLTERではやっぱりGreen Houseでの種構成変化が面白くって、beturaがいまもやりたい放題伸びている。ざっと説明してcampに戻ったのが12:50頃。ちょうど良い散歩だった。

wet sedgeで土壌溶液を取るその後は、松井くんはcajonの続きや真空引き、鈴木さんはsampling probeの作成(Chrisが「あげるよ!」とくれた!)、僕は、あれ、何してたんだっけ。色々しすぎていて忘れている。あ、とにかく20分だけうたた寝してみたが眠れなかった。

夕食後、wet lab userのためのmeeting。NH4はOPAで測定していることを知る。PO4は以前と同じで問題ない。ブランクも低い。meetingの後Anneと話をしていて、OPAのmatrix効果のこと、我々の試料(特にNP fert plot)での高濃度NH4のことを考えると、持ち帰ってautoanalyzerで測定する方が良いのではないかと言うことに落ち着く。松井くんにOPAをやってもらうことは考えていなかったし、そこまでロードをかけることは現在したくないし、もうほとんど限界だ。ということで、簡単に出来るPO4の測定をやってもらうことに決めた。また、明日日曜日は9時頃からdenitrificationの測定をやってみることに。

月曜日は鈴木・松井組で実際wet sedgeでのGC sampleをサンプリングし、土壌溶液を採取し、鈴木さんはGCを、松井くんはPO4を測定してもらう、簡単なリハーサルをお願いすることにした。そのために日曜日は頑張って下さい(それほど仕事はないはずだから)。

Dinning Hallでは"tundra dance"が開催されている模様。僕はもう寝ないと。。。

 

| June 25, 2004 / 体力フルスロットルです丘から見たToolik Lake、雲が水平に伸びています。すごいです。

朝7時に起きるが、朝食出来ていない。あれ?7:30からなの?半熟の目玉焼き、おいしいんだけど、、(その後おなかを壊すが、原因がこれかどうかは不明)。

昨晩Mike AbelsがDry LabのLANをresetしてくれて、netが何とか繋がるようになってきた。8:30からGC-FIDの立ち上げを保原さんと。砂利道を200mほどリヤカーでタンクを運ぶ。レギュレーターが見つからず、あちらに行ったりこちらに行ったり。雨と蚊の嵐の中、保原さんと一緒に格闘する。結局Terrestrial Lab(Lab2)にて発掘し、何とか事なきを得たのが午前中。レギュレーターもoxy-trapも含めてちゃんとGCに必要なものを手に入れておき、保管しておきましょう(来年用コメント)。

午後からAnneとKettelと松井くんと僕とでdenitrificationの話し合いをするはずだったが、Anneが見つからないのでとにかくStable Isotope Labを開けてそこで真空ライン2つの組み立てを松井くんと始める。結局5時頃までそれに没頭。一応二つとも立ち上がって現在真空引きをしているところ。すばらしい。鈴木さんは朝から夕方までChamber-topの制作に没頭。途中GCが落ち着いた保原さんにも協力してもらう。休みなしだ。

Imnavaitにてchamber-base設置中AnneとGusと松井くんと僕とでdenitrificationの相談。結局、とにかくsignalがみたい、potentialがみたいということで、硝酸のトレーサーをfertilized plot(去年予備調査で30N2のシグナルが見えたところ)でやってみようと言うことに。松井くんの作ってくれた脱窒用incubation vessel大評判。うまく行くといいのだが。Anammoxについては、いくつかサンプルを取ってみようと思っている(大河内さんのところへパス!)。

Landscapesの次のproposalにちゃんと僕や保原さんの予定を書いていてくれていることを知り、だいぶ感激してしまう。来年、鈴木さんが来たいというのであれば、僕と一緒に雪解けのイベントをやって、後彼女を2ヶ月程残していろいろやらしてみようと思っているんだけど、というと、じゃあ、User dayを増やしておこう、ということでproposalの中の出費を増やしてもらう。ありがたい。

一方で貢献できていないことにも非常に歯がゆさを覚えた時間でもあった。これは自分で何とかするしかない。過大な評価に対しては、その評価に追いつくように頑張るしかないのだろう。

GC-FIDはFIDをつけてBGをみて、まあ、大丈夫そうなのでCH4のstdを打ってみた、のが食事の後。食事は巨大ステーキだった。その後、Imnavaitへ行くことに。MBLトラックの責任者を捜すが見つからず、Gusに相談して、まあ大丈夫だろうと言うことで(運転免許IDが保険リストに登録されているかで、僕は彼女にずいぶん前にメイルを打っておいたので)、いざ出発(20:30)。一面霧で真っ白。Inmavaitの車止めについたのは21:00過ぎ。さあ、これからステンレスのchamber-baseを15個持っていざ出陣。Tundra tussockを始めて歩く2人だが、とにかく格好がおもしろい(宇宙人が飛び跳ねているよう)。CRESTではさすがに20cmを埋めることは不可能で、3つbaseをおいて、とにかく先に進む。Upper Backslopeでは、なかなか難しいなぁ(20cm埋めるのが)と思っていたが、保原・松井組がすばらしい設置を成し遂げたのに感化され、鈴木・木庭組も何とか設置に成功する。いやぁ、あきらめちゃいけませんなぁ。

tussock knivesと大先生続いてはLower Backslopeだが、Yurikoさんの計画通り、boardwalkが設置されている!すごい。一気に文明化された感じだ。板の上を歩いてplotに行き、ここではnon-watertrackとwatertrackの合計6つを設置。いやぁ、何とかなりそうな気がしてきましたよ。

最後はFootslopeのplotで3つ設置。ここは非常に水分の多いところなので、永久凍土の解けも早く、設置が一番気分良くできた。いやいや、終わりました。22:22。みんなでいそいそと帰る。午前様にならずにすみそうです。

帰り道、雲が突然晴れる。Toolik Lakeを見下ろす丘の上で車を止めると、すばらしい風景。いやぁ、帰ってきましたよ。YAPPYの約束の場所に。

さすがに疲れて、保原さん、松井くんとサウナに入る。松井くんは「やばいやばいやばい」「しぬしぬしぬ」と凍てつく湖で泳いでおりました。今は1:00頃でしょうか。ビールを飲み、アイスを食べ、4人で「しみわたるー」などとほざいております。今日は朝から朝まで(?)よく働いております。明日はdenitrificationの準備と、Wet sedgeへの見学・予備調査と、えっと、えっと、、ああ!

 

| June 24, 2004 / 何とかつきましたPrudhoe BayからToolikへのHaul Roadにて

朝7時にロビーに集合。みんな何とか眠れた様子。腹一杯アメリカンブレックファーストを食べ、8:30に出発する。鈴木さんのe-tichetのconfirmation #が分からなかったが、おばちゃんが手際よくチケットをくれる。ありがたい。荷物をチェックインする談になって、50lbsが上限と言われ、あわてて中身を入れ替えたり、新しく荷物を作ったりと大わらわ。それでも何とか無事に事は運び、ゲートに40分前に到着。

しかし、出発しない。機態のトラブルとのことで、結局出発できたのは約2時間遅れ。途中でBurger Kingでばかでかいハンバーガーを食べておく。いや、ポテトはもう結構です。。小さな飛行機に乗り込みつくとそこには青空が。

2台の車に別れていざToolikへ。Sallyと同じ車に乗り、英語の耳慣らしをかねていろいろ話を聞いてみたり。途中mountain goatは見たものの、他に動物が出てこない、珍しい1日だった。残念。

Campにつき、Richからcampのinstructionをみんな聞き、部屋を与えられる。Richにおみやげを渡す。鈴木さん、New Dorm! すごい。部屋が頑丈。シャワーが、flushトイレが!!なんたること。Anneがあとで「あそこは50歳以上の人に限定したいわ」と言っていた。僕らはWeatherportです。テント暮らしです。暖房が見あたらないなあ。ちょっと寒いなぁ。

Gusとあって、とにかくほっとしたり、去年もいたLornaがいて「サッカーしようぜ」と盛り上がったり(彼女はイングランド出身でむちゃくちゃサッカーが上手い)、送った荷物をAnneに探してもらったり、PCが上手く繋がらなかったり、Mikeに「太い男」「師範」とかよく分からないつっこみを入れられて一同困ったり、とにかくつきました。

明日は、GCの立ち上げ(木庭・保原)、Denitrificationの機材チェック(松井)、Chamber baseとtopの確認・作成(鈴木)。午後、AnneとKettelと木庭と松井・保原でdenitrificationをどう進めるか話し合いましょう。cajonとか、早くついてくれないかなぁ。失敗した。もうちょっとスケジュールをきちんと伝えておくべきだった。。

とにかくおやすみなさい。今日は夕飯抜きです。まだPCが上手く接続できていないので、メイルは遅れます。すみません。

 

| June 23, 2004 / 約束の地へアンカレッジダウンタウンを長靴探して歩く

朝一番でTFSのお偉い方に「タクシー忘れないでよね!」とメイルを打つ。以前Gusに「やっておいた方が絶対に良いよ」と言われたこと。忘れられたらまさに地の果てでどうしたらいいのか、、怖いなぁ。

成田に何とか全員到着。NW0008便は大混雑。うへぇ。8時間ちょっとのフライトなのだが、寒さなのか、とにかく頭痛がひどい。ついに薬を飲んでしまう。先行き不安だなぁ。鈴木さんはあんなに座席の上で小さくなれるんだ、、と感動。僕はエコノミーでは普通に座ってももう前の席に膝が付きそうなんだよね。

入国審査。指紋を採られるのはVISAで入国する人だったのか。今回はひと味違う。長い。担当官がおそらく新人。"BOO!"とか"FOO!"とか訳の分からない奇声を発している。どれくらい滞在して何をするんだとかなり細かく聞かれる。「これはビジネスなのか」「まあ、そういいたければそうだけど、別に何を売るわけでもないんだけど、、そっちならなんて言うの」「いやぁ、ただ単に文化的なもんだからねぇ」ともう一人ちょっと偉いお姉さんも交えて話す。ここで話していたので、後の3人の入国はちょっとは楽になったようだ。

いつもトラブル続きのシアトルでの乗り換えだが、今回は何事もなく。荷物検査も楽勝。大きな(ごつい)靴を履いている人は脱がされて検査されていた。シャトルバスへの乗り換えも単に荷物検査を出て、上の階で(S16)でNDgate行きを待てば良かっただけ。去年は何だったんだ。

シアトルからアンカレッジまでは3時間ちょっと。隣の巨大おばちゃんの「弁護士はそう言うけどね、、あなたは得するかもしれないけど、私はそうじゃないし、契約に書かれているけど、、」とか出発直前の携帯長話を聞いていると、否が応でもアメリカにいる感じが。また頭が痛くて眠れない。暖かいサンドウィッチがおいしい。氷河が見えてくる。アラスカが近い。

23日13:00アンカレッジはまたもや快晴。17Cくらい。松井くんがCoast Int'l Innに電話する。松井くんすでに寒そう。大荷物7つあったが、tip $10は上げすぎたかな。部屋は僕だけ2階(いじめか、、エレベーター無いんだよね)。7月の予約もちゃんと取れていてほっとする。鈴木さんに電話をcalling cardでかけてもらう。1枚はexpiredになっていた。もう一枚はまだ大丈夫らしい(12/1/2004までなんだけどね)。calling cardでかけるとむちゃくちゃ安いなぁ。

2:30にcabを呼んでダウンタウンへ。Army&Navyに行き、Carharttを買う。松井くんは長靴を買う。鈴木さんのための衣服はこんなところは買えない(彼女は小柄なので)事が判明。松井くんのためのサイズもない(すべてL以上、、、しかもアメリカのL)。モールに行くが季節はずれのためか安いフリースが見つからない。なんだかおなかがすいたのでレストランに行くことにしたものの、途中で本屋に寄りFlora of Alaskan Plants ($175)を入手。これは1968年から多分改訂されていない、でもアラスカの植物のバイブルで、TFSにもまさにぼろぼろの一冊がある。迷ったが、まあもう手に入らないかもしれないと思い、思い切って購入。重い。1万円以上の本を買うのは怖い。店員に「ああ、Hugeだよ」といったら「もう他にこれがあればいらないじゃないか!」と笑われる。そりゃそうだけど。あと古いGlacier関係の本(pingoの出来方とかが載っている)をどこかで手に入れられれば完璧なのだが。アラスカ関係の本は。

Glacier Brewhouseでご飯。まだ3:45だったので、ちょっと飲み物を頼んで、dinnerメニューを出してもらうまでバーで飲む。結構すぐテーブルは開けてもらって、ビールを持ったまま移動。もちろんID必須。保原さんの「100%認められる食べ物ってアメリカにないんだよね」という言葉をかみしめながら食事。かなりの量を食べに食べた。久しぶりにあんなに食べた。もうデザートも入らない。$180なーり。

ご飯を食べるときに「我々はゲストである」、「時間は厳守」、「主張することは主張するけど、だめなときは受け入れる」、「人が必要なときはこの4人で回す」などを伝える。我々の活動は良くある「国際共同研究」よりもアメリカの研究活動に入り込んでいる、と言うような感じの、おそらく特殊なものだ。基本的に自分たちでどんどんやって良い反面、自分たちのことは自分たちでやらなければならない(というと、冷たい感じに感じるかもしれないが、そうでは全くない)。ただ、とにかくプロジェクトの「本流」の研究計画は遵守すること。まぁ、何を言っているか分からないかもしれないけど、実際にいろいろ始めれば分かってくることだ。まずは車のschedulingが問題になるだろうけど。

日本人のグループで海外に調査に行ったとしても、その中でいろいろな問題が出てくる。今回は言葉も違うし、何よりも仕事の進め方がだいぶ違う。しかも僕らがminorityで、マイナーメジャーという問題は善し悪しではなく、如何にいろいろなことを上手く進めて行くか、その点で問題になるだけだが、でも問題にはなる。そこは、真剣に話し合えばいい。ここで愛想笑いとか、ごまかしてしまったりとかは絶対だめだ。それでは信頼関係は絶対生まれないから。

かなり良い気分になって帰路。快晴。21度、さわやかな天気。ほろ酔い。タクシー運転手は2年程日本を旅していたとのことで日本語上手。途中で酒屋に寄ってもらい保原さんビールを調達。鈴木さんアイス調達。荷物を残してタクシーを離れてはいけませんて。必ず誰かは見張っていないと。日本じゃないんだからね。

7/15にここに帰ってきたときには2人はどれだけ変化して(成長して)帰ってこれるのかしら。それを見ることが出来るのは楽しみだな。「もう二度と来たくない」と言われる危険だってもちろんあるのだけれど。

18:00に宿に戻り、すぐに寝てしまう。今は24:00過ぎ。日本時間で17:00過ぎか。シャワーを浴びて水分を補給したところ。水上飛行機の飛び立つ音が聞こえる。外は薄く明るい。