Kei Koba's weblog in CER, Kyoto University ~ Are we on the right track ? ~

| Mar 13, 2015 : 小笠原航海

Tっきーの卒論の一部,Iとうのリーディングラボローテーション,木庭のGIRということで13-19で小笠原沖に調査に行ってきます。さて,,,どうなることか。

つづきは別ページにあります!たぶん

 

| Jan 22, 2015 : ばたばた

さあ,ほんまに研究室は大変なことになっております。みんな,けがや体調にまずは気をつけて,がんばってくれ,,,,,,,

メイルがこないな,,,,,明日は窒素放談会です。

今年の卒論生がやっているテーマは,Benがすごい!といってくれるくらい,かなりそれぞれ凄い内容です。ただ,ちょっと指導する側の見通しが甘くて(ちょっとじゃないか,,,,)ぎりぎりまで大変な思いをさせてしまっています(ほんまにごめん),が,この高い壁を乗り切ったら修士論文,そして投稿論文はほんまにあと少しなのでがんばりましょう!

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Fangさん脱窒論文がPNASにでました。なんどとなくrejectされたり,そもそもその前にどれだけの時間議論をして,何回書き直したか,,,でも,いい論文になったと思います。一方で,PNAS止まりか,,,というのもありますが。

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Kくんの修論データがすさまじい。もう麻痺してしまっているけれど,あんなに凄いデータは世界で誰も持っていない,,,ということは,どう解析したらいいかもまだ誰も分からない,,ということで。

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学生さんからは,今年の4年で土壌の歴史は終わるんですね,というようなことをよく言われるのだけれど,僕にとっては土壌も海洋もエアロゾルも河川もみんな同じなので,そういう感覚はなかった。へーと思ったのでメモ。

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とてもactiveな(若手?の)研究者と総説を書いている。実はrevisionのあとrejectされているのだが,再投稿に向けて現在改訂中。。。しかし(僕以外はみんな英語圏の人)みんな改訂が早すぎる。とてもついて行けない。しかも,今の状態では学生さんに120%時間を使えるようにしないといけない,,,ということで,すみません,とお詫び。共著から外れた方がいいかなぁ,,,,

ま,なんにしても,「国際共著論文」にはいろいろな空気が流れるものだなぁ。

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まだメイルがこないなぁ。。。。。

 

| Dec 31, 2014 : 2014年総括

2014年は,とにかく苦しい1年だった。だったと過去形になるのは数年先のことだと思うが。2015年も大変苦しいことがわかりきっているのはしんどい。しかし仕方ない。

学生さんの研究については学生さんたち,本当に良くやっていると思う。あと少し,あと少しができるかどうか。その意味でも学生さんへの教育という点で課題は山積み。根本的に考え直さないといけない。本当に。

いろいろな仕事がくる。いろいろな制約の中,その中で自分に10%くらい関係していればGo,そうでなければdenyという判断をする感じだったものが,実際には5%くらい,あるいは2%くらいでの関係でやらざるを得ない状況がこの数年続いている。しかし,それくらいの仕事を拾っていくことで点と点がつながるということ,そのつながりに助けられたのが,助けられていることを実感させられたのが2014年でもあった。自分の「理解」できる範囲内での「仕事」をしていても,「想定内」の自分にしかなれない危険があるという,当たり前のことに気づかされる年末。

とりあえず年が明けたら,まずは小さなプレスリリースを。

 

| Nov 8, 2014 : 夢のような時間は過ぎて

Benが帰って行きました,,,,,,,,中学生のバスケット選手のところにマイケルジョーダンがクリニックに来たような,そんな感じでした。夢のような1週間でした。学生さんたちもよく頑張りました!最初から最後まで本当にありがとう!!

僕のハッチンソン,である彼に少しでも近づく,,,ことは難しいので,少しでも一緒に何かやろうと思ってもらえるようにがんばろうと決意を新たにしました。次はいつ会えるかなぁ。

 

| Nov 4, 2014 : Ben Houltonさんいらっしゃる!!!

2014年11月4日午後1時より,東京農工大学府中キャンパスで,陸域における養分循環研究に関するシンポジウムを開催します。登壇者は下記の方々を予定しています(敬称略)


Ben Houlton(UC Davis) "Toward a new synthesis for terrestrial nitrogen inputs"

大河内直彦(JAMSTEC) "Nitrogen isotopic composition of chlorophylls as a tool for nitrogen cycle study"

和穎朗太(NIAES)"Biogeochemical controls on soil organic matter turnover: exploring the nature of organo-mineral aggregates by isotopic, mineralogical, & spectroscopic approaches"

兵藤不二夫(岡山大)"Different responses of plant carbon and nitrogen isotope ratios to two boreal forest chronosequences"

尾坂兼一(滋賀県立大)"Atmospheric NO3- discharge from a temperate forested watershed in central Japan: Retention efficiency of atmospheric NO3- in a watershed scale"

仁科一哉(NIAES)”Historical map of global anthropogenic nitrogen loading”

もしも時間が許すようでしたら

木庭(農工大)"Microbial denitrification dominates nitrate losses from forest ecosystems"

その後,私的懇親会を開催予定です!是非ご参加ください!

 

| Oct 27, 2014 : 気が抜けた

秋はいろいろありますね,,,,

大きな壁がちょっと動きそうで,ちょっと気が抜けました。これは風邪をひくかも,,,,,

 

| Aug 31, 2014 : 自分の立ち位置

8月はいろいろなところで「自分の立ち位置をどう見るのか」について話してきたし,考えてきたし,感じてきた。

「〜〜〜はこれまでやられていないのでやります」

この言葉の乱暴さにどうして気づいてもらえないのだろうか。本当に困っている。困るのを通り越して吐き気すらする。こんな言葉に立脚する「研究」を税金でやってはいけない,と思う。

 

| June 29, 2014 : 目指すもの

仕事の上で,どんな状態を目指すのか,と問われれば,「この人とまた仕事をしたい」と思われるような関係,過程,結果,を目指すと言うことを答えてきた。

ふと,連絡をくれた昔の学生さんのことをつらつら思い出し,彼女とは本当にどこかでまた一緒に仕事がしたいなぁ,と思って,ああ,なんてすばらしい学生さんだったんだろうかと。

ご結婚おめでとうございます!

 

| May 18, 2014 : 過去の地球の窒素循環?

JAMSTECのNさんが何から何までがんばった論文が出ました。

http://dx.doi.org/10.1016/j.gca.2014.04.021

そしてプレスリリースも出してもらいました。

http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20140516/

日経産業新聞やScience Portalに取り上げていただいたそうです。

http://scienceportal.jp/news/newsflash_review/newsflash/2014/05/20140516_02.html

と,ここまではtop pageに書いておきましょう,,,,しかし,ほんまにこの論文,なかなか印刷されるまで大変でしたが,このデータを使ってこういう話をできるのはもちろんNさんだからで,その執念というか情熱には感動しました。初稿を見たときにはかなりぶっ飛びましたが,これでいけるんだったらいったらええなぁ,,と思いながらずっと経緯を見てきました。結局GCAでしたがGCA大好きなのでそれもうれしいです(笑)。

授業などで,同位体比をつかって,現在だけでなく過去の物質循環についても推察することが可能なのです,とは言ってきたものの,自分では手応えを持っていなかったので,大変うれしいなぁ。。。そして,この低い同位体比をもつこと,というのが,先のPrinceton大のグループのPNAS論文

http://www.pnas.org/content/111/13/4782.abstract

と相補的であることもなんだかうれしい。窒素固定って,絶対に0じゃない,と思ってきたので,,,いろいろな要因で変わってくるだろうとは思ってきたので,,,

 

| May 11, 2014 : test

いろいろと不具合が,,,,テストです。

 

| May 4, 2014 : できなくなること

この間、自転車の修理をしたのですよ。はい。昔は自転車旅行に行ったりロードレーサーに乗ったりしていましたし、いろいろ修理の経験もあり、チェーンを切るとか、パンク修理なんて、とても人に任せるなんて考えたこともなかったのであります。はい。。。。

しかし、、、できなくなっているんですね、、、これが。ほんまに。いろいろな意味で。

かなりのショックでした。これは。年をとることがいろいろな側面を考慮に入れてよいことと考えられてきたこれまでとは違って、ちょっとずつ、負の側面が大きくなってゆくんだろうな、ということを痛切に思い知らされました。うぬ、、、、

できることがかすむほどできないことが増えてくる、この状況をどう打破したらいいのか、、、なかなか難しいですな。

 

| March 31, 2014 : つぎへつぎへ

FY2013も今日で終わり。明日からは新しい、2014年度が始まります。

いろいろな失敗、いろいろな不安があるけれど、それを払拭するためには、常に考えつつ、常に次へ次へと進む努力をすること、進んでいるかどうかは後にならないとわからないのだし、とにかく不断の努力、ということに価値をおいて、、、でしょうか。

さて、あすからはどうなるんでしょうね、、、、

 

| January 19, 2014 : そとへそとへ

大学の研究室というのはどうしても閉鎖的になりがちです。悪い意味で言えば「独裁的」になりがちです。そんなこんなで、とにかく外との交流をこばは大事にしてきているつもりでして、とりあえず新年20日には、中央大・東大・東工大・農工大(農・工)で共同修士論文・卒業論文発表練習会を開きます。少しでも自分たちのやっていることを客観的に、周りの人々の長所を素直にみることができるように、何かのヒントになれば、と思います。

月末には卒論生をつれて筑波の研究所に行ってくるつもりです。こば一人でできることなんてほとんどありませんが、多くの共同研究者の助けを借りればかなりのレベルのことができるはずなのです。考えを、感覚を凝り固まったものにしないためにも、できるだけ多くの学外共同研究者といろいろやってゆくようにしたいと思います。

 

| January 06, 2014 : あけましておめでとうございます

いやはや、ご無沙汰しておりました。

今年の目標は、磨、でしょうか。削るのではなく、磨く、引き算だけれど、積極的な引き算、そんな感じです。

3年生が5名分属してきてくれて、いろいろ走り始めたいのですが、なかなかうまくいきませんね。。。

 

| November 16, 2013 : ちちとしてすすまず、であります

いやはや、ご無沙汰しておりました。

5名の新たなメンバーを加えて、こばけん(こば犬?)が走り出すことになりました。さてはて、どうなることやら、です。

10-11月の申請書地獄を終えて、ちょっとほっとしたいところですが、大学院の授業が大変なんですよーはいー

 

| August 06, 2013 : Karen Symposium

2013年9月6日 1300-1730に府中キャンパス2号館21教室にて

安定同位体を用いた窒素循環研究の最前線

というシンポジウムを開催します。詳細はこちらのPDFを参照してください!

こばけんへの分属とか,農工大そして他大学への大学院への進学を考えている人は,シンポジウムにきて,話を聞いて,そして懇親会に出るといいと思いますよ!

くわしくは? こちらへ

 

| August 03, 2013 : 地球環境化学とか院試とか分属とか

ようやくMacがなおりました。。。。。ちゃんと更新できるかな,,,,

8月はいろいろ大変です。地球環境化学,ぜひ出てください!

 

| May 27, 2013 : 地学実験!!!!

本日,環境資源科学実験VI,通称地学実験が再会です。データの処理をしてもらいます。どれだけ時間がかかるかわからないけれど,TAのみんなと木庭で,だいぶデータは洗ってあるから,そんなに難しくないはず,,,,

あとは,どんなことを考えてみるのがいいのか,という話ができれば,,,な。です。

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この頃,なんだか本当に時間がなくて困っています。何のための何なのか,毎日,それこそ毎秒のように考えて,軌道修正をかけるのだけれど,大波にのまれていつの間にやら陸に戻ってしまっているという感じ。いつまでたっても内湾を抜けられない。

 

| April 14, 2013 : 地学実験!

明日は,環境資源科学実験VI,通称地学実験であります。いきなりサンプリングです。どうなることやら。しかし,とにかく頑張って何とか色々つかんでもらいたいと思ってこちらも必死であります。うまくいきますように。。。。

希望する研究室が実験の担当になっているのであれば,素直に受けるべきだと思いますけどね。受けない理由がわからない。思い込みだけで研究室決めるのもなんだし,せっかくのチャンスなんだから,と思いますけれども。授業をしている方から言えば,やっぱり一度近いものに触れた上で,やっぱりここに来たい,と思ってくれる方がいいですしね。でしょ??

 

| March 24, 2013 : たった20分

ずっと考え,自分なりにやってきて,この間ついに飲み会の時に,おっさんのぐだぐだ話の一環として話したことであります。

 

研究室に所属してくれたみんなに,どういう人間に育ってほしいと思っているかというと,「考えるということをしっかり考えることのできる人間」であるのだけれど,これ,かなりわかりにくいのです。もう少し分かりやすいものとしては,「一緒に仕事をしたいと思われる人」というのがあります。これもまだわかりにくいかもしれません。そんな人,というのはどのような資質を持っているのかを考えて,その資質を研究室での活動で身につける,またはより磨く,ということを行っていきたいと考えているわけであります。

さて,では,どんな人が「一緒に仕事をしたいと思うような人」なのでしょうか。

僕の中では,いくつかあります。「自分の仕事に誇りを持っている人,同時に相手の仕事に敬意を払うことのできる人」,そんな感じでしょうか。「周りを見渡すことができて,個人と集団という仕事の形をしっかりと自覚しつつ,自分の果たすべき役割をしっかりと認識し続けている人,認識するための努力を怠らない人」というのもあるだろうと思います。「つねにぶれがない人」というのもあるかもしれません。でも,一番最初のものが一番根本に近い気がします。相手の仕事,自分の仕事というものに敏感であるからこそ,周りを見ることもできるし,自分や相手の考えのぶれに敏感になれるのだろうから。

では,「自分の仕事に誇りを持っている人。同時に相手の仕事に敬意を払うことのできる人」は,どのようなことを考えているのだろうか。と考えます。相手の仕事に敬意を払うということは,実はそんなに簡単に伝わることではないのです。「あなたはすばらしい仕事をしていますね」というような言葉でのやりとりは可能かもしれません。それはそれでいいのですが,それでは足りないと思います。また,多くの場合,そういった言葉を素直に発し,受け止めてもらえるような機会は少ないものなのです。大人は恥ずかしがり屋ですからね。

さらに考えを少し進めて,自分が仕事を一緒にしたいと思うような人と会うことができるというとき,実際にはどうするだろうか,と考えます。いや,まぁ,仕事なんてどうでもいいとして,会いたい人と会うとき,でかまいません。そんなことを考えます。そんなとき,まずはその人のことをよく考える,でしょう。そして,その人との時間をできるだけ有意義なものにしたいと思うのではないでしょうか。そして,具体的な行動としては,あらかじめ念入りに計画を立て,待ち合わせに間に合うように,いつもよりも,念には念を入れて早めに行動したりするのではないでしょうか。

あらかじめ計画をいろいろ考えておく,たとえば話さねばならないことをノートにまとめておくとか,その人の著作を前もってすべて読んでおくとか,そういうことは当たり前なのです。まずそこは確認しておきます。そして繰り返しておきます。そんなことは当たり前です。それでは自分の腹がおさまらない,というのは変な表現ですが,それではもどかしいというか,こちらの気持ちが強すぎてなんだかまだ足りない気持ちになることがあるわけです。

待ち合わせの場所に早めに着き,ノートを広げ,話さなければならない言葉をつぶやいてみたりします。何を話そうと考えます。ああ,あれも聞きたい,これはどう考えていらっしゃるかしら,,,そんなことを考えていると,相手も待ち合わせの時間の5分前や10分前にやってきて,あわてて挨拶を交わし,,,ということが多かったのです。実際のところ。

そこで考えたのです。ちょっとだけですけれど。

たとえば,自分が会いたいとか仕事をしたいと思う相手は,だいたい良くできた人なので,やはり,時間のぎりぎりにきたりしないのです。必ず5分前とか10分前にいらっしゃる。前に書いたとおり,このお互い待ち合わせ時間より早く来ると言うことが,その後の時間をよりよく共有するために大切なことであり,希有なことなのだけれども,今回はさらに先を考えたいのです。

そんなあわてる状況だと,実際にその人ののことをしっかり考える,その人と何を話したいかと言うことに没頭していられる時間というのが実は1-2分しかないのです。これをなんとかのばしたい。どっぷりと,その人とのことを考える時間をとりたいのです。そのような時間がどれだけ大事なのかは,年をとり,時間がなくなってくるにつれてより強く思うようになってきました。

 

そのために,,,,,

待ち合わせ時間の20分に,待ち合わせ場所に着くことにするのです。

 

まず,30分前だと早すぎるのです。待ち合わせ場所に着いても,そこでほかのことをし始めてしまいます。メイルをチェックしたり,本屋をのぞいたりしてしまう。常に仕事のメイルはきています。常に読まなければならないと思うような本も聴きたいと思う楽曲もあります。ですから,これは仕方ない。しかし,これではおちついて相手のことを考える時間は失われてしまいます。

10分前だと,先に述べたように,多くの場合,あっという間に相手がきてしまう。なので,ああ,,と焦ってかえって心の準備ができずに終わってしまうことがある。むしろ逆効果の時すらあります。で,だいたいみんな10分前には来るものです(あれ?)。

待ち合わせ場所に20分前につく。。。。このことで,おそらく5分くらいであるけれど,相手のことを,これからの1時間のことを,しっかりと考えることのできる時間を与えてくれるのではないかと思うのです。ここで大事なのは,たとえば喫茶店で20分前にきているのでいいのでは?というのではだめだということです。待ち合わせの場所にいて,暇にしていなければならない。ぼーっとその人とのことを考えるのです。できれば携帯などを使うのではなく,ノートに自分が書いたメモを見る。敢えてアナログで相手のことを考える。あえてイヤフォンを外し,通行人などみながら,ぼーっと考える。ひたすら考える。時計をみるとおそらく2分くらいしか立ってないと思います。そこからさらに3分考える。そうすると,意外と気づかなかった側面や,深い考察や,練られた言葉が浮かんできたりするのです。いわゆるzoneに入ると言うことなのかもしれません。

おそらく,先に書いたように,そんなアナログな時間は5分くらいしか与えられないとおもいます。しかし,その5分は大変な実りを与えてくれると思います。毎日の中で,大切に思う人,大事だと思うことに対してじっくり考えることのできる5分なんて,なかなか作ることは難しいのではないですか?だから,敢えて,その5分のために,20分前に行く。10分前だとどきどきしてどうしようもないから20分前に行くのです。

そんな簡単なことを,,とおっしゃるみなさんは,実際にやってみるといいのです。これが大変難しいのです。僕自身は手紙を書く時間がとれずに困っているのですが,まぁ,それよりは簡単だろう,と思ったのだけれど,とてもとても。おっさんになると,いろいろ「忙しい」状況になるし,待ち合わせぎりぎりに飛び込むこともしばしば。しかし,それではいけない。いけません。

20分前に行くなんて時間の無駄,という方もいます。僕としては,この後訪れる1時間の貴重な時間をどれだけ有意義にできるか,相手の貴重な時間をいただくことに対してどれだけ真摯な気持ちで向かうことができるか,という挑戦のためには,欠かせない5分間,そのための20分前です。なので,逆にこの5分間がしっかり過ごせない状況の方が,時間を無駄にしています,と言い切ることができます。相手の時間を無駄にしてしまい,ひいては,自分の時間を無駄にする。相手や自分の時間を無駄にすると言うことは,相手や自分の仕事を尊重できていないことになるのです。それだけは避けたい。避けるように努力したいのです。その表現型としての20分前到着。いかがでしょうか?

こういう話をしたところで,うっかり感心する人がいたとしても,やってみる人は数%もいないのです。それを分かって書いています。しかし,小さなことの積み重ねが,やがて大きな違いになります。ちょっと相手や自分の時間に対する感度を上げて半年がんばってみるだけで,見えてくる風景はだいぶ違ってきます。同じ風景を見ることができる人と,みることができない人であれば,同じ言葉に対しても,その言葉の持つ意味合いは全く異なってくるのですが,その違いは関知してもらうことはできないでしょう。それももうかまいません。他人へだけでなく,自分に対する思いの感度は,高くするのも低くするのも,自分次第です。敏感な人は敏感にしているための努力を怠っていないだけという当たり前の事実は,驚くほど軽んじられています。それも仕方のないことかもしれません。ただ,自分としてはそんな流れになんとか弱いけれども抵抗していきたい,抵抗してゆける空気を,雰囲気を,生態系を作ってゆきたいと日々思っています。自分の周りから。たとえば自分の研究室から。そのために,同志はとても必要なのです。

 

| February 23, 2013 : こばの方針

あっというまに2月も終わりですな、、、ちょっとサーバーのメンテナンスが続いていたりするので改訂が滞っておりますが、覚え書きです。近いうちにwebsiteも一部手直ししたいので

プロフィール(略歴) 「ボートばかり漕いでいました」
京大農学部林学科に入学後、博士課程まで主に森林の窒素循環を研究、時々砂漠
博士課程を中退し、京都大学大学院情報学研究科助手。環境教育や環境心理学、環境経済学の研究にふれる
助手の間に1年間、The Ecosystems Center、Marine Biological Laboratoryに留学し、貧栄養生態系(ツンドラ)での 窒素炭素循環研究とその物質循環モデル化について学ぶ
東工大大学院総合理工学研究科講師として異動し、特に一酸化二窒素やメタンといった 温室効果ガスの生成消滅機構についての研究を始める
農工大大学院共生科学技術研究院特任准教授として採用され、これまでの陸上生態系(温帯林森林、ツンドラ、亜寒帯林、熱帯雨林、砂漠)での研究を 河川、湖沼へと拡大する
農工大大学院農学研究院准教授として採用され、深海から大気まで、様々な生態系で、生物によって駆動される物質循環について、 その制御機能の解明に向けた研究を行っている

研究内容概略 「物質の流れを押さえることで、見えなかった過程の重要性を見いだしたい」
微生物バイオマットでも、外洋でも、どのようなスケールの生態系でもいいのですが、そこでは様々な物質が生産され、消費され、移動されています。 そのような過程がどのように生じて、どのように制御されているのか、を探ることが、たとえば地球環境の今後を考える際には不可欠ですし、 ある生態系を理解し、制御してゆこうというときに必ず必要になる要素です。 ところが、特に窒素のような生元素は、大変その回転速度が速いために、ある窒素化合物が10mg/m3ありました、ということが 10000mg生産されて9990mg消費された残りなのか、11mg生産されて1mg消費されたのか、区別することは難しいです。 しかし、この2つは、物質循環系の姿として全く違います。前者は大変ダイナミックな系ですし、比較して後者はゆっくりと化合物が消費されてゆく系だと考えられます。 そこで、生元素化合物の循環については、どれだけある(現存量、プール)、の情報ではなく、どれだけ動いているか(流束、フラックス)で記述しなければなりません。 しかしこれは大変困難なことです。

研究の方法 「安定同位体比」
流束をつかむにはいくつかの方法があります。僕らの分野でよくやられてきたのは、たとえば土壌中の硝酸態窒素の濃度が季節変化をどうするか追跡する、 つまり、4月は10mg-N/kg soil、それが5月だと12mgに、6月は8mgに、7月は20mgに、、、という変化を追跡してゆくことで、変化パターンを見いだし、そのパターンを ほかの説明変数(たとえば降水量など)と関連づけて解析することで、硝酸の生成が秋に多い、などの解析を行うようなことでした。しかし、硝酸の濃度は 生成と同時に起きる消費によって左右され、生成と消費は全く異なる生物が行うことから、少ない要素をつかった解析がうまくゆくことはあまりありません。 そこで、たとえば硝酸がどれだけ生成してどれだけ消費しているのか、という「動き」をなんとかとらえるために、硝酸の持つ窒素と酸素について、その安定同位体比 (14Nと15N、16Oと17Oと18O)の変化を追跡することを行っています。この情報を得ることで、定量的な議論は残念ながらなかなか難しいですが、半定量的であっても 硝酸が動的に変化しているのかそれとも静的に、あまり変化なく存在しているのか、についての考察を行うようなことを進めています。

今の研究をはじめたきっかけ 「環境のことをやりたかった、けれど、重い軽いしかわからなかった、、、」
大学を受験するときには、天文学、エネルギー工学、環境学のどこかにしようと考えていました。受験勉強を進めてゆくうちに、いつの間にか国語と地学の勉強をしていて、そうすると 受けられるところは限られてしまいましたが、なんとか、農学部に入ったものの、植物が大の苦手で、研究室の先輩の発表を聞いてもほとんどわかりませんでした。ただ、脱窒という硝酸が失われる反応の時に、軽い14Nが重い15Nよりも先に反応するのだ、というところだけ、何とかわかって、指導教官に「あれ以外わからなかったので、あれをやらせてください!」とお願いしたのが最初です。 実際には、研究を行う森林が、部活(体育会ボート部)の合宿所(琵琶湖)のすぐ近くだったこともあり、また、実際の同位体比測定でお世話になった先生がちょうど自分が4年の時に京大に移動なさったという偶然もあったのですが、同位体比を使った研究は、学部全体でほとんどやっている人がおらず、相談する人もいなくて、、ということだったのですけれど、自分としては、わらにもすがる思いだったのを思い出します。

今後の目標 「窒素循環総合研究所を目指して」
小さな森林から始めた同位体比による物質循環の研究ですが、多くの共同研究者の方に恵まれて、今では、深海から上空大気中のエアロゾルまで、幅広い生態系を相手に仕事をすることができています。いろいろなことに手を出してきて、その点についていろいろなご批判も実はいただいています。ただ、自分としては、一つの現象をみるときに、様々な視点で見ること、その視点の多様性を持つということが、研究においてだけでなく、学生さんが卒業して社会で活躍するときに不可欠だと思っており、視点の多様性を実感するための大事な要素として、様々な生態系を対象とすることを重視しています。重視するだけではだめなので、今後の目標としては、10年くらいかけて、そのような多様な視点を盛り込んだしっかりとした本を書かねばならないと思っています。

社会でどのように活用される/応用される可能性のある研究なのか 「温室効果抑制、窒素飽和、流域全体を見てゆく視点へ」
現在援助していただいている研究活動は、窒素飽和という状態に陥ってしまった森林を安定同位体比を用いて簡単に判定する方法、です。森林というのは、基本的には窒素が足りない状態にあります。畑地でも同様なので、我々は窒素肥料をまくことで収穫量を上げるわけです。しかし、昨今の人間活動によって、この足りない窒素が大量に森林に降ってくるようになりました。その結果、森林の中の微生物や植物が窒素を使い切れずに、渓流水に溶かし込んだ状態で大量の窒素を下流へ流出してしまっていることが発見されています。このような、「不健康」といえるような状態を、窒素飽和状態、と呼んでいますが、日本の森林のかなりの部分が実はこの状態になりつつある、なっているのではないのかという危惧があります。森林が窒素飽和に陥ると、森林の持つ温室効果ガスの給主力が低下したり、下流生態系が富栄養化したり、と様々な問題を引き起こすと考えられています。しかし、ある森林が窒素飽和かどうかを判定するためには、長年にわたる詳細な、そして大変重労働を伴う、窒素の流入と流出の測定が不可欠であり、そのために、実際にどれだけの森林が窒素飽和になっているのか、についてはほとんどわかっていません。我々の研究では、渓流水を100ccくんでくれば、そこの中に含まれている窒素化合物について様々に同位体分析を行うことで、ある指標がある基準以上であれば、窒素飽和の可能性があるので、詳細な検査をしましょう、というスクリーニングができるようにするということを目標にしています。いわば体温のような、高いと何かおかしい、ちょっと調べてみよう、という簡便な指標を作り、広域でその指標についてモニタリングすることで、全国森林の状況把握を進めようと考えているものです。

研究室のモットー、研究・教育に対する信念、大学で何を学ぶかについて「考えると言うことをとことん一緒に考えましょう」
* 吾知ルコトアランヤ、知ルコトナキナリ。鄙夫有ッテ我ニ問ウ、空々如タリ、我ソノ両端ヲ叩キテ竭ス
* 自分をしっかり手なずける、そのためにいろいろやってみる、とにかく一生懸命やってみて、自分がどう反応するかを見る
* 五里霧中の中で何とかする自分なりの方法を身につける、そのための準備の期間
* 考えるということを考える
* 科学的な思考のやり方をさらってみる。まねぶはまなぶ
* 教えることは知識を提供することではない。むしろ我慢して「教えない」そして、考えてもらえるような質問をし続けること
* inspireということば
* 研究も遊びもとにかく一生懸命やってほしい。全力を尽くして始めてわかることがたくさんある。中途半端はいけない

研究室のメンバー 「ちっちゃいラボで自転車操業。結構仲いいはずです、、いいはずと思っているのですが(汗)」
2013年4月の段階では、研究員が2名(博士研究員)、修士が3名、研究生が1名、4年生が2名と比較的こじんまりしています。

農学の研究のおもしろさ、農学をめざす受験生へのメッセージ 「実学であるということの厳しさを胸に」
つねに実学ということを考えて研究活動をしてきたつもりですし、大学を選ぶときもそうしてきました。

まだまだつづきますが、、、

 

| December 30, 2012 : 個人的論文賞2012

2012年出版の論文を1203本見た様子。読んでいた、ではないのに注意、です。眺めただけです。

感じるのは、こういうものを選ぶとき、やっぱり限られた雑誌を見るわけで、、、逆にいえば、そのような限られた雑誌に論文を掲載して行かないといけないってことなんだよな。あったりまえなんだけど、、、、つまりは、今やっているレベルではぜーんぜんだめってこと。

やらなきゃいけないことは、システムを一度しっかりいじってみなければいけない、ということ。
そのためには、植物、土壌、堆積物、湖水などをしっかり培養できる環境を整えること
そのためには、最低限の遺伝子情報の追跡、それなりの酵素反応の追跡をしないと、もう質の高い論文にはなり得ない
そのためには、シミュレーション的な解析を取り入れないといけない。とくにresidualなものについてどう考えて行くか
ということなんだろう。こんなことずっと前からぶつぶつ言っているけれど。。。

思いつくまま、データベースの示すまま、に並べているので順位はなしです。

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Plant Preference for Ammonium versus Nitrate: A Neglected Determinant of Ecosystem Functioning?
S. Boudsocq, A. Niboyet, J. C. Lata, X. Raynaud, N. Loeuille, J. Mathieu, M. Blouin, L. Abbadie, and S. Barot

New Phytologist
http://www.jstor.org/stable/10.1086/665997

ずっと追いかけている硝酸のavailabilityについて理論的に後ろ盾を作ってくれた大事な論文。
このような理論での結果をどうやって現場から抽出できるか


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A low trophic position of Japanese eel larvae indicates feeding on marine snow
Michael J. Miller, Yoshito Chikaraishi, Nanako O. Ogawa, Yoshiaki Yamada, Katsumi Tsukamoto and Naohiko Ohkouchi

Biology Letters

http://rsbl.royalsocietypublishing.org/content/early/2012/11/01/rsbl.2012.0826.abstract

美しい。丁寧な追跡。
確固たるTLを得るためにはここまで丁寧にやらねばならない。
逆に、丁寧にやればかなり気持ちのいいTL推定値が得られるようになってきているということ。

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CO2 enrichment inhibits shoot nitrate assimilation in C3 but not C4 plants and slows growth under nitrate in C3 plants
Arnold J. Bloom, Jose Salvador Rubio Asensio, Lesley Randall, Shimon Rachmilevitch, Asaph B. Cousins, and Eli A. Carlisle

Ecology
http://www.esajournals.org/doi/abs/10.1890/11-0485.1

硝酸吸収はエネルギーコストがかかる。であれば、高CO2環境であれば、Nも足りないことはあまたの研究で報告されているし、硝酸吸収にshiftしてもいいのでは?いや、硝酸のrelative contributionは上がってもいいのでは?という単純な仮説に真っ向から挑戦している結果。
Scienceで発表した論文に続くもの。さて、どうしたものか。

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Do evergreen and deciduous trees have different effects on net N mineralization in soil?
Kevin E. Mueller, Sarah E. Hobbie, Jacek Oleksyn, Peter B. Reich, and David M. Eissenstat

Ecology
http://www.esajournals.org/doi/abs/10.1890/11-1906.1

ちゃんとmg-N/kgとmg-N/m2ベースで比較してたりするところがしぶい。さすがSarah。
net N mineralizationとplant species、そしてavailabilityというそれぞれがあいまいなものについての議論は読めば読む程味がある。よくわかっている人がぎりぎりまで書いているということ。

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Stoichiometric controls of nitrogen and phosphorus cycling in decomposing beech leaf litter
Maria Mooshammer, Wolfgang Wanek, J〓rg Schnecker, Birgit Wild, Sonja Leitner, Florian Hofhansl, Andreas Bl〓chl, Ieda H〓mmerle, Alexander H. Frank, Lucia Fuchslueger, Katharina M. Keiblinger, Sophie Zechmeister-Boltenstern, and Andreas Richter

Ecology
http://www.esajournals.org/doi/abs/10.1890/11-0721.1

ここまでやらねばならないとしたら、今の研究体制は見直さないととても無理だな。
個別の測定について卒論修論レベルの話ができるだろうし、、、やっぱり酵素もからねめなばならないな、と思わせる一本。
さて、どうする?

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Nitrogen niches revealed through species and functional group removal in a boreal shrub community
Michael J. Gundale, Fujio Hyodo, Marie-Charlotte Nilsson, and David A. Wardle

Ecology
http://www.esajournals.org/doi/abs/10.1890/11-1877.1

やっぱり、がんばって生態系を動かさないと見えないんだよ、と思いを新たにさせられる論文。
nicheの議論をしっかりしたいのですよ。であれば、もちろんN sourceを測ることは大事だけれど、systemをずらさなきゃ、、、なんです。しかし、d15Nの議論なんて、ここくらいのところで止めておいた方がいいのかも。つまり、何か起きた!とにかく変わった!でとめて、その先、つまり硝酸だアンモニウムだ、吸収深度だ、菌根菌だ、なんて進むとドツボかも、、、ね。。。
とはいえ、毒を飲まねばわからないから。。。

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Community scale 15N isoscapes: tracing the spatial impact of an exotic N2-fixing invader
Katherine G. Rascher, Christine Hellmann, Cristina M〓guas and Christiane Werner

Ecology Letters
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1461-0248.2012.01761.x/full

あるいみIsoscapesと書こうとしてたらタイトルに入ってましたね。もっと広域をねらってリモセンでねらうのもいいだろうし、
プロセスにつっこむ、、、?まぁ、膜を刺すくらいかな。。。自分がこの手の仕事をやるとしたら。後は葉っぱの硝酸、、、か???

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Nitrogen Isotope Patterns in Alaskan Black Spruce Reflect Organic Nitrogen Sources and the Activity of Ectomycorrhizal Fungi
Jordan R. Mayor, Edward A. G. Schuur, Michelle C. Mack, Terresa N. Hollingsworth and Erland Bååth

Ecosystems
http://www.springerlink.com/content/f4q7h1576562x76x/

うむ、やろうとしているのは全く同じことだなぁ。
細々としたところでいろいろあるけど。たとえばResin NH4+はやっぱり軽いんだよね・・・。あとAAもくっついているだろうしね。で、やっぱりKClのPORは難しいんだな。。。よかったK2SO4にしておいて。

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Excess nitrate loads to coastal waters reduces nitrate removal efficiency: mechanism and implications for coastal eutrophication
Mirko Lunau, Maren Voss, Matthew Erickson, Claudia Dziallas, Karen Casciotti and Hugh Ducklow

Environmental Microbiology
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1462-2920.2012.02773.x/full

systemを動かせ、とさらに強調しながら来年は、実際にやってみようと思うけれど、簡単じゃない。この結果、比較的シンプルに
見えるけれど、果たしてここに至るまでにどれだけの試行錯誤があったのか、、、 、
地下水培養なんて、こういう観点から見ると宝の山になるはずなのだけれど、、、単純に1:1の話だけで終わらせてはもったいない。

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Oxygen isotopic composition of nitrate and nitrite produced by nitrifying cocultures and natural marine assemblages
Buchwald, Carolyn, Alyson E. Santoro, Matthew R. McIlvin, and Karen L. Casciotti

Limnology and Oceanography
http://aslo.org/lo/toc/vol_57/issue_5/1361.html

挙げねばならぬ論文。3歩4歩先を行っているなぁ、、、、
土壌でやると、、というような二番煎じしか僕にはできないが、まぁ、それでも仕方ない。
如何にmolecularと、そしてresilienceといった考え方と組み合わせて行くか、がこれからの勝負で、そのためにどういう実験系をくめるか、、、だ。

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The distinct nitrogen isotopic compositions of low and high molecular weight marine DON
Angela N. Knapp, Daniel M. Sigman, Adam B. Kustka, Sergio A. Saudo-Wilhelmy, Douglas G. Capone

Marine Chemistry
http://dx.doi.org/10.1016/j.marchem.2012.05.001

土壌でやるなんてすごい、、、って、いうののすごいは、OMGってことで、なんというか、、、なんだろうな。ま、これもどれだけ動かせるか、だ。HMWとLMWを。
動くのか???

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Preservation of organic matter in sediments promoted by iron
Karine Lalonde, Alfonso Mucci, Alexandre Ouellet and Yves Gelinas

Nature
http://www.nature.com/nature/journal/v483/n7388/full/nature10855.html

今年は特に土壌と堆積物のことを考える年だった。
Wさんと、siltやclayそして鉄やアルミとNの話ができるようにならねば。

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Unexpected nondenitrifier nitrous oxide reductase gene diversity and abundance in soils
Robert A. Sanford, Darlene D. Wagner, Qingzhong Wu, Joanne C. Chee-Sanford, Sara H. Thomas, Claribel Cruz-Garc}, Gina Rodrеez, Arturo Massol-Dey・ Kishore K. Krishnani, Kirsti M. Ritalahti, Silke Nissen, Konstantinos T. Konstantinidis, and Frank E. Lffler

PNAS
http://www.pnas.org/content/early/2012/11/09/1211238109.abstract

もちろん、プローブで引っかけられるものしか引っかけられない、とはわかってはいるけれど、なかなか驚き。
「脱窒菌」ではないものがnosZをもっていて、N2O還元に何かしら貢献しているとして、、、なぜ??

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Plant regulation of microbial enzyme production in situ
Colin Averill, Adrien Finzi

SBB
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0038071711003348

ツボ。めっちゃつぼ。Finziさん、Allisonさん、Mike、Wanekさん、Hedinさんを良く読んだ一年だったなぁ。。
なんだか出版年がどうなるのかよくわからないけれど、とにかくつぼだわ。
学生の頃に書いた総説に「植物が積極的に炭素を地下部に供給して微生物を飼い慣らしているかもしれない」なんてことを書いたような
削ったような気がするのだけれど、ここにちゃんと示されてる!むっちゃしぶい

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Fluorescent microplate analysis of amino acids and other primary amines in soils
Anthony Darrouzet-Nardi, , Mallory P. Ladd, Michael N. Weintraub

SBB
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0038071712002921#

データベースにいれていなかった!なんということ。
Anthonyのwebsiteでこの話は知っていたけど、そして、これまでのOPAの論文みればさらっとかいてあることだけど、、、OPAでのTFAA測定(HPLCで分離せずにやるほう)は、もっともっとえらいいろんなものが入っている、ということで、、、、ま、だけど、amino sugarはsoil solutionとかないからいいかーってかいてあるけど、そうはいかないんだよ!(涙)
どないしょーTFPA (Total Free Primary Amine)としてかんがえるったって、AAとASでの感度、だいぶちがうだろー!って、AAないでもだいぶちがうし、もうLeu-Based TFPAとしてやるしかないのか!!!うー
論文賞なのか、といわれると大いに疑問ではあるけれども、個人的見解としてはツボでした。

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A Complete Terrestrial Radiocarbon Record for 11.2 to 52.8 kyr B.P.
Christopher Bronk Ramsey,*, Richard A. Staff, Charlotte L. Bryant, Fiona Brock, Hiroyuki Kitagawa, Johannes van der Plicht, Gordon Schlolaut, Michael H. Marshall, Achim Brauer, Henry F. Lamb, Rebecca L. Payne, Pavel E. Tarasov, Tsuyoshi Haraguchi, Katsuya Gotanda, Hitoshi Yonenobu, Yusuke Yokoyama, Ryuji Tada, Takeshi Nakagawa

Science
http://www.sciencemag.org/content/338/6105/370.abstract

すごいの一言。ほんまにすごい!

 

| December 18, 2012 : 最終報告会とお引っ越し

あれよあれよと、遅れてしまった新入生歓迎会が終わったと思っていたらもう、卒論修論の最終報告会です。そして、明日はラボの引っ越し、、、、

ヘリウムが枯渇しているので、色々な分析機器を注意深くみつつ、きちんと軟着陸しないと、、、とおもいつつも、日々ばたばたしていて、ちょっとあぶないですね、、、プロジェクトメンバーがいてくれるから何とかなっていると言うことです。。。

さて、来年はどうなることやら。。。。

 

| November 18, 2012 : 新体制

こば研に分属する3年生が決まり、新体制がスタートします。みんなでおもしろおかしく、でも、きっちり研究ができるといいですね。

4年生がこの頃コーヒーの豆をごりごりミルで挽いて煎れてくれます。やっぱり味が違いますね。そして何よりも香りが。

1年生でも2年生でも、研究室に遊びに来たいという方は常に大歓迎です。12月には蔵書も戻ってきますし、本を探しついでに話でも聞きついでにコーヒーでも飲みに来てくださいませませ。

 

| October 10, 2012 : 分属

こちらに書くのは久しぶりになってしまいました。卒論修論に関係する筑波4地点、京都上賀茂の調査がだいたいめどがついてきたところではあるのですが、学生さんは大変そうです。もうちょっと。頑張ってください!!

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分属説明会がありました。言えることは、どこの研究室に行っても、卒論というのはおもしろく、楽しく、苦しく、やりがいのあるものなので、どこに行っても勉強になると言うこと。一方で、現在入りたいと思った研究室があれば、その思いはとても大事にすべきだと言うことです。両方は大きく矛盾していますけれど、それをわかった上であえて申し上げています。皆さんが希望なさる研究室に分属できるといいですね。

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通信簿を回収しています。色々考え直すべきだと言うことです。うん。

 

| August 23, 2012 : 夏真っ盛り

今週は、学科説明会があり、一日体験教室があり、色々な発表があり、来客があり、とイベント目白押しでした。来週は、大学院の入試があり、特別講義があり、停電があり、工場見学があります。並行して査読が2本、色々な書類があれやこれや、とあります。31日の工場見学が終わるまでは、全く気が抜けません。

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どんな事柄からも、色々なことを学ぶことができる。そんな当たり前のことが、やっぱりわかってもらえないことが多い。 学びたいこと、ということは、自分がわからないことであるから学びたいのであるから、明示的に表明できるはずのないものを、あたかもあるがごとく「学びたいこと」と言うわけである。へんなの。

自分が知らないことがある。自分が知らない、とても大事なことがある。大事なことが、知らない大事なことがあるかもしれない、と思うことが一番大事なのだと言うことを、どうやって気づいてもらえるか、それが大学・大学院で身につけるべき人生の習慣の1つだろうと、やはり思う。

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この頃全く頭を使えずにいる。これでは夏の暑さもあって、本当に腐ってしまう。31日が終わったら、ちょっとリフレッシュして、知的な作業に時間を使えるようにしよう。

もっと真剣に、検証すべき大きな課題は何であるか、その課題にアプローチするために今何が足りないか、を考えねばならない。素材はすでにそろっているのではないだろうか。具材がよくても、料理としておいしいものも、そうでないものも、いくらでも作ることはできてしまう。

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理想の研究室の姿とは何だろうか。「卒業しても何となく訪ねたい場所」「自分を見失ったときに思い出す場所」うーん。

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9月になったら通信簿をつけてもらおう。そのための項目を考えなければ。

 

| July 22, 2012 : 分属説明会も終わりました+今後についてあーだこーだ

先週、分属説明会が終わりました。参加してくださった学生さん、お疲れ様でした。

そこでも言いましたが、こばが言うことなど鵜呑みにせず、是非研究室に遊びに来て、学生さんから生々しい話を聞いてみてください。そちらは真実です。コーヒーくらい出します、とはいえ、あついですよね。。。

あと2週間くらいは授業など、とにかく頑張ります。それが終わったら一気に実験だ。

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今後、まぁ、うっかり10年くらい大学で教育研究活動を続けるとして、何をトピックとして研究活動をしてゆくべき何だろうか、と考えてみているのだが、、、足りないものは何?どこまで「自前」で、どこまで「外部」と?

* もっとしっかり、がっつりmolecular:とはいえ、実際は機能遺伝子のコピー数、くらいで勘弁してほしい。増幅産物読まずに、、だめだろうけど

* 酵素活性: 全く手つかず。

* 炭素: たとえばDOC、たとえば同位体。もっといえばCO2。もっと積極的に取り組んでゆくべきでは?基本をおろそかにしているのではないか?

* モニタリング: 集水域をしっかり考えられるようになることが必要。量的な議論を。そのためには?

* 連続測定: レーザー分光、MIMS、蛍光DOC、硝酸?、マイクロセンサー、、、、、

* リモートセンシング: やればいいのに、、、

* 微小環境測定: 本気でやればいいのに、、、

* シミュレーション: やらないともうだめでは?

 

| June 05, 2012 : 味方から仲間へ、とにかくメタ化を叫び続けること

始発+終電の日々が続いた地学実験も、一応、昨日で終わった、はず。出席者の皆さん、TAのみなさん、そしてATAなみなさん、本当にご苦労さまでした。ありがとうございました。A0の重量を量り忘れていたのが痛かった。。。自分が色々とポジショニングを変えて、なかなかいい感じと思っていたのは間違いだった!!!!ボランチが試合を作っていたはずが試合を壊していたと言うことだ。。。

40を優に過ぎて、意識して偉そうなことを言うようにしている。学生さんにとっては、僕はすでにだいぶ離れた存在であり、延長線上にいるような気がしないというのが正直なところだろうと思う。それは、ロールモデルとして意義をなさないと言うことも意味している。ならば、何を言うべきか、何をするべきか、そんなことを考えている結果。

大学という、どうしても曖昧さが残る場所で、心のおきようとして、学生さんと教員の間を行ったり来たりしている。 してきた。しかし、どちらの立場もわかるという立ち位置から、少しずつ教員側へとシフトしてゆく。学生と教員という対立関係を考えてしまうのがまずいと言うことに常に留意しながら、しかし、ちょっとずらしてみる。あえて。そのことで、味方から、仲間へのシフトへとつなげたい。

自分たちが何を勉強しているのか、それがどんな意味を持つのか、は難しい。しかし、自分の肉声として、どんな広がりがあるのか、については、語ることが少しずつできるようになってきた。それは大事に育てていきたい。つねに、目の前の現象を、広い視野を持って、俯瞰と凝視を自由に扱うことで、いろいろにうららかに観ること、それができるように努力すること。

なんて、実習って、色々考えさせられます。

 

| May 12, 2012 : 地学実験がんばりましょう

本年度からがらっと変える地学実験。もうかれこれ2ヶ月くらい、ほぼ毎日あれにしようかこれにしようか、あれはどうだろうこれはまずいかな、と考えていて、もうたすけて〜〜

今年は金曜日、土曜日、月曜日という強行予定になっているわけで、、、結局日曜日も頑張らないといけないだろうな、ということになっております。はい。頑張ります。

申請書・報告書の集中している時期でなかなか仕事が進まずストレスフルですが、ここはじっと我慢の子。。。。学生さんたちが色々頑張ってくれているのを見ると本当にうれしく思います。自分が動けないだけになおさら。

ああ、今日の環資の集まりにいけなかった、、、研究室の大掃除がかなり大変で時間がとれませんでした、、、みんな元気でやってるかしら?差し入れできず申し訳ないです。。。6月の縦コンでお会いいたしましょう!

| Apr 15, 2012 : まずはもうちょっと辛抱

桜が散り、しかし、若葉の緑に励まされる今日この頃。新年度が始まって、ちょっと息切れしつつある自分に気づいたら、まずは深呼吸。そして自分の生活をちょっと見直して、ちょっと修正、そして何とかGWまで色々試してみましょう。無理は禁物。しかし、自分の揺れる心に気づくチャンスでもあります。

さあ、頑張りましょう。いろいろと。

 

| Mar 29, 2012 : 大学で、大学院で何を学ぶのか

自分自身のことを考えてみても、何を考えて大学に行こうとしていたのか、大学院に行こうとしていたのか正直定かではないところが多々ある。何でもいいからずっと研究めいたことをしたいと思っていたのは確かで、、、まあいいや。今とにかくこんなことを考えています。

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大学で何を学ぶか、なんて考えると難しい。人生をどう生きるか、とほとんど一緒で、何とか一生懸命やっていきたいです、としか言えないし、それで十分な気もする。

高校生、大学生の頃の自分に言い聞かせるとしたらどうだろう。なんてことを、先日の某高校での模擬授業の時にさんざん考える機会をいただいた。

ぼくは、自分と何かしら関係のあった学生さんには、思慮深く、考えると言うことの難しさをかみしめて一緒に生きていってほしいと願っている。生きていってほしい、ではなく、一緒に生きていってほしいというところも大事なのだけれど、「考える」ということをとことん、一緒に考えてほしい、というところが大事。

今の僕の言葉としては、大学で、大学院では、「もんだい」のとらえ方を、「モンダイ」の定義の仕方を、「問題」の発見の仕方を、「mondai」の扱い方を、様々な学問体系での事例研究を通じて学んでほしい、と思っている。

高校までの勉強は、すでに与えられて、整えられた問題、しかも答えが一応ある問題を、「解く」ということに重点を置いてきた。短所をあげればきりがないが、長所だって多大にある。高校までで、試験勉強のような努力を続けてゆくと、試験の成績というようなしっかりとした結果が出るという、そんな関係を信じる姿勢を高校までで身につけておかないと、今後の努力が継続できないのではないかしらと思う。そんな意味でも入試は大事だし、丁寧に取り組むべきものだと思う。変な話、勉強して成績が上がる、なんて単純な枠組みの中でやっている間は楽なのだ。

しかし、実社会ではそういう整えられた問題は皆無だと言っていい。ほとんどが、何が何だかわからないもやもやした状態のもので、それを問題としていいのかすら微妙なものばかり。それをいかに丁寧に定義し直すか、発見するか、解決できる形の問題へと整えてゆくか、それは高校までではあまり訓練されない。強いて言えばクラブ活動や、文化祭、体育祭などの活動では訓練されるかもしれないが。

何度となく書いているけれども、この、問題の整え方、というのは大変大事で、これをどうやったらいいのか、という訓練をするのが、大学であり、大学院であると考えている。問題というものの姿を見定めるためには、色々な方法で診断する必要がある。たとえば、時間軸、空間軸、文化軸、色々な軸で見る必要があるだろう。このような、対象の観察の多様な方法は、文化人類学からでも、情報工学からでも、分子生物学からでも、方法序説からでも、風姿花伝からでも、勉強することができる。生態系生態学であっても、同じ対象を異なる測定法で異なるものに着目してみたときに、同じ対象と思えないほどの異なる姿を見せることは多々あるし、そのような事例研究から勉強することは十二分に可能だ。

これも何度も書いているが、問題らしきものを発見すること、これが一番最初の難関だろうけれども、この点については、科学論文というのは、これ以上ないほどの簡潔さで、情報を与えてくれる。論文の序論というものに、これまでの研究の背景、どこまで問題が解決されていて、何がわかっていないのか、そして当該論文ではどのような戦略で何を明らかにしようとしているのか、質の高い論文であれば必ずしっかりと書いてある。必要なものはすべてそこにある。なので、卒論、修論という事例研究を、過去の研究の遺産に続く形で行うことは、大変よい、初歩段階の訓練になるはずなのである。

何百回でも繰り返し言うが、この訓練は、論文を書くと言うこと以外でも十分可能だ。バットの素振りをしっかり行うだけだって、同じような訓練はできる。問題はどれだけ心を配って行うことができるか、だ。

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なんとまぁ、全くうまく書けなかったけれどども、とにかくputしておきます。残念。。。

 

| Mar 04, 2012 : つらつら思い出すこと、考えること

卒業生と会って話をすると、自分の原点に戻ることができて、うれしい気持ちと怖い気持ちとが交錯する。うまくかけるかわからないが、とにかく書いてみる。何十回と同じことを書いてきているというのに、なかなかうまくかける気がしないが。

 

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大学での活動というのは、研究教育活動、とよく書かれるけれど、僕自身は、教育研究活動、とよく書いているように、僕としては「教育」の方に重きを置いてこれまでやってきたつもりである。かぎ括弧がついているのは、毎日、その、教育、というものが日本の大学、大学院において何であるのか、何であるべきかについて考えていて、自分の考えが未だにまとまる気配がなく、それでもなんとか相手にしなければならないあやふやな総体を、とにかく名付けるため、である。

京大助手や東工大講師だった頃は、基本、学生さんは大学院だけだったので、学部での「教育」については、あまり考えることがなかったと思う。そのことに気づかされたのは、農工大の教育に関する面接での席だった。勢い余って危険な発表内容だったのだけれど、そこでH先生にぴしゃりとやられて、ああ、本当だ、と、しどろもどろになりながら答えたのを今でも思い出す。いまだに学部生に対する「教育」、特に授業で教えることのできることについて、自分の中で明確なものができあがっていない。今年の授業は2年目であり、色々と挑戦、試行錯誤しなければならないのだが、なかなかやるべきことが具体的な形にならない。この教育活動における曖昧さ、煮え切らない感じ、見通しの悪さは、もう一方の軸である研究活動と比較してみれば、その程度の低さに参ってしまうほどの惨憺たるありようなのだが、この状況が自分の今の状態であることには代わりがないので、それを認めて、とにかく少しでも前に進めるようにとあがいてみるしかない。実際のところ今年度一年やってみて、研究以上に授業というのは失敗することのできる機会が少ないので、なかなか難しいと感じているわけだが。

何となくずっと明言することを避けていたけれども、敢えて書いてしまうと、自分は、研究活動を続けたいからではなく、教育活動に何かしら携わりたいと思って大学に残ろうと決めたのであった。

教育活動に関する自分の能力、自分の達成度を見積もることはまずは先延ばしにするとして、自分の中では、大学に残ること、それは教育の現場に携わること、であり、研究は二の次である。この点、おそらく多くの大学教員の先生方とは違うのではないかと思う。僕にとって現在やっている自然科学的な地球環境に関する研究は、ひとつの「教育」を実現するための術でしかない。授業でできること、実習でできること、と同じように、研究でできること、というものがあり、研究はそれを通じて学生さんたちと一緒に考えてゆくこと(この、長ったらしい「学生さんたちと一緒に考えてゆくこと」というものが自分の考える「教育」に今のところ一番手触りとして近いものなのだが)、をなんとかやってゆく、そのための手段に過ぎない。今置かれている状況により正直に即してものをいえば、大学という商店街に店を店子として出させていただくための基準として、「教育」よりも遙かに評価のしやすい研究というものがあり、そちらを何とかそれなりのレベルでやることで、店を出させてもらうということ、また、よりよい「教育」のための研究にはしばしばお金がかかるし、自分以外の考え方を持つ研究者を研究室に招待したり一緒に活動するためにはお金がかかるし、もっと単純に、より高度な研究内容を行うことで、より内容の濃い「教育」を行うことができることがあるために研究費も必要で、研究費を取るためには、研究成果が必要。だから、研究もしっかりやらねばならない、ということになろうか。端的に言えば、首にならないように研究も何とかやりましょう、ということである。そのような考え方なので、商店街の色々な催しや決まり事や仕事のような大学の様々な仕事があるけれど、それを「雑務」と呼ぶ感覚には違和感を覚える。「雑」なんて仕事はないのだ。

2000年に留学していた研究所は私設であり、研究に必要なお金というかもっと直接的に自分の給料と雇用者たちの給料までも、すべて科学研究費から出さねばならないところであって、まさに専門家集団であった(一緒にいた博士研究員ののAさんはここは全然ぬるいわよ、といっていたらしいけれども)。そこで様々なことを学んだけれども、同時に思ったのは、自分の研究者としての明らかな限界と、自分は日本の大学で研究を通じて学生さんと色々一緒に考えてゆきたいのだという、原点のことであった。端的に言えば、研究者として、研究をしたいのであれば、大学ではなく、研究所に行けばいいだろうけれど、僕は行かないだろう、また、大学で教育をしたければ、世界中の大学があるけれども、自分はどうしても日本にこだわるのだろう、そんな事を。

D2の時の就職面接以降、本当に考えはあまり変わっていない。科学研究というものを通じて、どうやって「考える」ということを考えさせるか。言葉は少しずつは変わってきていて、「考えさせるか」ではなく「一緒に考えてゆく」と変わっていたり、多少の変化はあるけれども、本質は変わっていない。陳腐な内容だけれども、簡単ではない。どうしていいのか毎日本当にわからず、色々手を変え品を変え、やってみているが、失敗しているか、やってみていると自分が思っているだけで、実はほとんど変わっていないか、の2つばかり。

様々な学生さんたちがいて、様々な思いがあって、好みがあって、しかしこちらは一人きり。限られた、本当に限られた能力の中で、なんとか対応しようと思うけれども、なかなかできるものではない。「教える」ことのできる事柄なんて本当にわずかしかない。できることは、一緒になって、わからない問題に、その問題の定義すら難しい問題のようなものに、なんとか近づこうと、右往左往しながら努力すること。一人ではないということを言い続けること。自分たちの達成できたことの小ささと、しかしその重要性をしっかりと認識させようとし続けること、そんなことしかできない。

良きにしろ悪きにしろ、教育の評価は曖昧にならざるを得ない。それでも、やっぱり、何かしらの手応えはほしい。何かないと、あまりにも困難な道のりなので、やはりしんどい。そんなとき、卒業生が社会に出て、色々な経験を通じて考えてもがいている様子を垣間見ると、勝手にちょっとほっとする。彼らの営みの中に、僕らがどれだけ効果を現しているかはどうせわからない。話をしてくれる学生はほんの一握りで、問題は話をしてくれずに社会でもがいている学生であることも明確だ。しかし、とにかく、やってきてよかったのではないだろうか、という気持ちを抱かせてくれるのは、卒業生と話しているときである。卒業生とあれやこれやと話すことが、僕にとっては一番の報酬だったりするわけだ。

 

| Mar 03, 2012 : 年度末

師走というよりも、大学教員が走り回るのは2月そして3月です。卒論、修論、D論、入試、来年度の授業カリキュラム、そして予算の締め、報告書、、と。

本当は、3月って本当に物質循環にとっては大事な時期なのですが、、、、大丈夫かなぁ。。。と、このごろぐちっぽいこばでありました。うーん。とりあえず今日はリフレッシュします。

 

| Jan 22, 2012 : 自分で自分をなんとかやってゆくこと

やる気がないと簡単に口にする人が多くて、、、、ちょっと視線を下げて、そんな人とは空間を共有しないようにしたいと思うことがある。時間を守ってもらえなくて、ああ、と小さくため息をつくことがある。そんなときのことをちょっとちゃんと考えてみた。思いついた言葉を断片的に記録していただけなので、うまくつながらないし、何とかしてちゃんとした文章にしたいと思ったのだけれど、、、忘れるよりはましと言うことで、まずはあげておくことに。

 

時間を守るという簡単なこと。それは相手の時間を尊重すること、だとおもう。もしも「なぜ時間を守らないといけないのですか」と聞かれるような不幸な状態になったら、そう答えよう。

五分前にお互い集まって行動に移ることができるときの、ちょっとした高揚感、仲間意識の高まり。お互いを尊重、そして理解すらしている感じ。相手のことを、あなたのことを想っていますよ、ということを、つねに伝えようと思うこと、その態度から自然に派生すること。 大げさに言えばそんなことなのかしら。日常のほんの小さな心の動きをこうやって大げさに言うのはどうなのか、という向きもあるだろうけれど、些細な心の動きの積み重ねが、大きな向上になっていたり、大きな後退になっていたりするのだとおもう。小さなことの積み重ね、小さな、「ああ、これはいいかも」ということの積み重ねは、大きな喜びにつながるはず。積み重ねずに突然大きなものが振ってくるほど人生は甘くない。ほんのちょっとしたことだと思う。本当にちょっとしたこと。2秒もあれば忘れてしまう。でも、その瞬間があるかないか、その瞬間を重ねているかどうか、というのが、本当に大きな違いになるのではないかとこの頃とみに強く思うようになった。「知っている人」と「知らない人」の、差。

 

時間を守ることは、どう考えても、通常、それほどむずかしいことではない。であるならば、時間を守ることが重要なことだと、当たり前のことだと考える人であるか、そうではないか、の違いだ。

やる気がない、とばかり、人ごとのように口にする人は、 時間を守ることが出来ないことが多いように思える。やる気は他人から、外部から与えられるものではない、自ら生み出すしかないものだ、という、当たり前のことに気づいていないクラスター(この言葉なんだかいやだなぁ)と、相手の時間を尊重しないクラスターが重なるには当然の理があるように思えてならない。

やる気を出そう!というのって、考えよう!というのと同じで、ほとんど言葉に意味がないように思える。やる気出すぞーっていってやる気って出るのかしら?考えよう!っていって、考えられるのかしら?

 

自分がない、見えない、だから相手も見えない。見えないものは尊重することはむずかしい。

見えないのではなくて、みようとしていないだけ。見本はいくらだって近くにある。今までだって、何回も、周りの人に指摘されてきたはず、チャンスは星の数ほどあるし、あった、これからもある。

しかし、局所安定なのだ。クラスターの中では、どうしたって、クラスターの特性に引っ張られる。たとえ、集合が半時間遅れて、やるべき作業が貫徹せず、まぁ、仕方ないよね、で終わる。そんな小さな損失が少しずつ重なり、結果デスマーチに落ち行ったって、「まあ、そんなもんだよね」、で終わってしまう。 効率を3%あげることはどれだけ大変なことか、それに対して、効率を10%下げることはどれだけ簡単なことか。1時間の作業時間、打ち合わせに6分遅れるだけでいい。30分早く来たって効率は、仕事は簡単に数%進むわけはない。

 

曖昧な尊重から、曖昧な基準ができて、曖昧な仕事がなされる。仕事じゃなくてもいい。曖昧な言葉が口に出され、互いの間を埋めていってしまう。少しずつ尊重さが削られた仕事や言葉の形は、丁寧に、尊重さを失わないように気を配ってなされたものと比べることができれば、あまりに、あまりにも醜い。しかし、それに気づくこともまたないのだ。局所安定は強力である。 何かとにかくできた、良かったことにしよう、うん、よかった、しんどかった、でもまだ本気だしてないよな、の繰り返し。

 

そういう状況に自分が陥っていること、陥ろうとしていること、それにどうやって気づいたらいいのか、どうやって直したらいいのか、そういうことを教えてくれる人はほとんどいない。明示的には。しかし、再度書くけれど、どこにだってチャンスは落ちているし、今までだって星の数ほど合ったのだ。チャンスは。自分を違う方向へともって行く、その方向転換のチャンスは。

 

やる気が出ない、やる気がない、のであれば、じっとどこかにこもって考え尽くせばいいと思う。実際自分はそうやってきた。やる気がないと口にすること、やる気がないという空気をまとうことが、他の人にどれだけ悪影響を及ぼすのかということを考えたら、自分のうじうじしている状況なんて、自分でなんとかしなきゃいけない、と思うようになる。自分の周りの人に、周りの人の活動に敬意を持っていれば、そうなるのではないかしら。ということからも、「やる気が出ない」と口にする人に対しては、いろいろと考えさせられてしまうのです。どうしたらいいのかしら、と。

 

やる気なんて、実際のところ、そうそうわいてくるものではないし、なにかの拍子で、うっかりやる気になるしかない、そういう状態に自分を持ってゆく、もって行くふりをするしかない、そうやって自分と何とかうまくやって行くのだ、ということに、どうやって気づくか。やる気にしろ、何にしろ、自分で自分を何とかすることがある程度はできるのだと言うことに、どうやって落ち着いてたどり着くのか、そんなことをずっと考えている。やる気にさせる!なんてあほなことは言いません。二十歳を超えた大人に対してそんな簡単に心を動かせるわけはないのです。そんな簡単に心が動くようであれば、それはそれでまた大変な問題で。

 

無理を承知で、しかし、だまされたと思って、他の人との活動において、時間をきっちり守ってみたらいいのです。期間?そうだねぇ、、最低でも1年くらいかな。ああ、やっぱり嫌ですか、、、すぐに結果がほしいか、、、すぐに結果が出るようなことで大事なことってあると思う??入試勉強は一生懸命したよね?あれだって、今勉強していることは3ヶ月後にようやく何とか形になってくるって、色々な人が言ってなかった?自分でもそういう感触はなかった?入試勉強なんて、くだらないというのは簡単だけれど、どうやって勉強するのがいいのか、とか、どうやって自分が考え方を身につけてゆくのか、という、とても大事なことを教えてくれるいいチャンスなんだよ?入試じゃなくたって、スポーツでも音楽でも、とにかく何か一生懸命やることは、色々なことを教えてくれるチャンスだから、点が何点はいったとか、うまく間違えないで弾けたとか、そんなうわべの薄っぺらいことじゃなくて、本質をにおわせてくれる先生さえいれば、色々なことを学べるチャンスがあったんだよ?

 

ま、いろいろありますな(笑)

 

| Jan 06, 2012 : 高く跳ぶために

現在、こばけんには3人の3年生が配属されており、色々本当に考えて、今年の3人には今まで自分が持ってきた教育方針とは異なるやり方で1年間やっていこうと思っている。自分にとってはとても大変な決断だけれど、実はあまりたいしたことはないのかもしれない、という風に思うことにしている。

教育なんて対費用効果は測れない、と、誰もがわかっているけれども、だけれども、実際教育に携わっているものとしては、それなりの手応えがないとやっていられないというのも正直ある。僕には確実にある。そのエゴと、彼らの将来、現在の可能性を、常に天秤にかけながら、ふらふらと何とかやって行くというのが、実際の姿なのだけれども、、、

一番難しいのは「私はこれは嫌いです」といってもらえるようになることなんだよな。。。。

1年後に、3年後に、10年後に高く跳んでいてもらうためには、今、何をすべきなんだろう、何をすべきだよと指し示すべき何だろうか。