Kei Koba's weblog in CER, Kyoto University ~ Are we on the right track ? ~

| Dec 28, 2011 : 全く個人的「この論文がすごかった」2011

さて、せっかくなので、僕もやってみようと思った、、、だって、僕だって他の人の「すごい!」を読みたいものね、、、

のだけれども、あれ?なんだかあまりうまく思い浮かばない、、、ということで焦ってきたところです。順位はあまり意味がないですが、とにかく思うところを。

 

#1 Isotopic Signature of N2O Produced by Marine Ammonia-Oxidizing Archaea
Alyson E. Santoro, Carolyn Buchwald, Matthew R. McIlvin, Karen L. Casciotti
Science 2 September 2011: Vol. 333 no. 6047 pp. 1282-1285 DOI: 10.1126/science.1208239

この論文、色々補完すべきところがあったり、わかりにくいところもあるのですが、長年の謎が解けちゃった、というところ、そして、僕らの解析がすでに使い物にならないこと(とほほ)などもあり、やっぱりどうしてもあげておくべき論文です。

微生物群集を考えるときに「だれ」がいるか、「なに」をやっているか、それが生態系の物質循環にどのように影響を及ぼしているか、というのをどのようにリンクすべきなのか、ということは大変難しいトピックですが(下記にはそのモデル化の論文も挙げるでしょう)、この論文では、Ward 2005 Ann Rev Earth Planet Sci、さらに昔のCasciotti et al. 2003 Geomicrobiol Jで伏線が張られていたことが、きちんと現実になっているという点で大変重要な業績だと思います(これ以上はかきませんが)。N2Oという特別なガスの研究、という狭い範囲の話ではなく、ね。

今後の展開としては、それでもなんとかSPとか、もう一度18Oとか。これらについても色々進展がありましたね。まだまだわからないことも多いですが、同位体分別、ちゃんとやらねば、です。

 

#2 Integrating microbial ecology into ecosystem models: challenges and priorities
Kathleen K. Treseder, Teri C. Balser, Mark A. Bradford, Eoin L. Brodie, Eric A. Dubinsky, Valerie T. Eviner, Kirsten S. Hofmockel, Jay T. Lennon, Uri Y. Levine and Barbara J. MacGregor, et al.
Biogeochemistry DOI: 10.1007/s10533-011-9636-5

えーっと、これが2位、というわけではないけれども、、つながり上ここにおいておくことにします。特段うわうわうわ!ということがかいているわけではないのだけれど、だからといってこういうものがかけるかというと話は別。そして、これが論文として仕上がっているということは、どれだけ先に進んでいるか、ということ。今、某所で立ち上がりつつある計画も、この流れなので、とても参考になる。微生物群集、物質循環解析、シミュレーションを1人でまとめてできる人材が僕らの中からも出てこなければならない。ね!わかってるよね!あなたです、あなた。

今後の展開としては、もちろんメタゲノム的なもの、Spatial distribution的なもの、もうちょっとspecificに落とし込めばAOA vs AOB的なもの(これについても論文を下記に挙げることになるかな?なりました)、などの展開がすでに見えてきてますね。論文を個別に挙げることはしませんが。


#3 Dinosaur Body Temperatures Determined from Isotopic (13C-18O) Ordering in Fossil Biominerals
Robert A. Eagle, Thomas Tütken, Taylor S. Martin, Aradhna K. Tripati, Henry C. Fricke, Melissa Connely, Richard L. Cifelli, John M. Eiler
Science 22 July 2011: Vol. 333 no. 6041 pp. 443-445 DOI: 10.1126/science.1206196

くらんぷと! (とするとアニメっぽい?)には手を出す予定はないものの、同位体って、ほかでは測ることのできないものを測るためのものだよね、と改めて考えさせられるのです。47CO2には。こうでなきゃいけない。

今後の展開は、、、MIFにしろクランプトにしろ、当分基礎的データの蓄積でおもしろいことが出てくるフロンティアなんだろうな、、。と、とにかく目についた論文は眺めることにしましょう、、、

 

#4 Formation of hybrid N2O and hybrid N2 due to codenitrification: First review of a barely considered process of microbially mediated N-nitrosation
Oliver Spott, Rolf Russow, Claus Florian Stange
Soil Biology and Biochemistry Volume 43, Issue 10, October 2011, Pages 1995-2011

この論文が個人的にはもっとも衝撃度が大きかったかもしれない。なにせ全訳しようとしてたから(途中で投げたけど!)。祥雲先生featuring論文と言っても過言ではない内容なのだけれど、とにかくnitrosationについて考えを根本的に変えなきゃと頭をがんと殴られた感じ。

今後の展開は、、、個人的にはBiogeochemistryのBioとChemのバランスをもう一度考え直すこと。この論文に付随している論文がすでに出ているのだけれども、それほどおもしろいわけではない、つまり、やっぱり難しいんですよ。N2O gross productionの測定などいろいろ手法は出てきているし、色々な進展があるだろうけれども、、、うむむ。なのでGC/MSに期待。頑張りましょう。

 

#5 Stoichiogenomics: the evolutionary ecology of macromolecular elemental composition
James J. Elser, Claudia Acquisti, Sudhir Kumar
Trends in Ecology & Evolution, Volume 26, Issue 1, 38-44, 19 November 2010

あれ?2010年?印刷では2011年の1月なので、まぁ、勘弁してください。。。この論文、読めているわけではありません。しかし、Elserさんは、そうか、こういう発展をしてゆくのか、とため息をついた論文です。

どう頑張っても遺伝子データーを僕には生き様に読み直せないことがあります。そんなとき、でも、Nが足りないから、Pがたりないから遺伝子を何とかして耐えている(すごい語弊があるけど)、というような話をされると、すとんと落とせる気になるのです。その何とかするやり方にはいくつかあるのでしょうね、ということで。

今後の展開、、を語れるほどわかっていないですが、単なる遺伝子情報の蓄積と、物質循環データ(こちらは蓄積すらできないか?)とのマッチングではない、さらに進んだ方向へと行かねばならないですね。

 

#6 Ammonium in thermal waters of Yellowstone National Park: Processes affecting speciation and isotope fractionation
JoAnn M. Holloway, D. Kirk Nordstrom, J.K. Böhlke, R. Blaine McCleskey, James W. Ball
Geochimica et Cosmochimica Acta Volume 75, Issue 16, 15 August 2011, Pages 4611-4636 doi:10.1016/j.gca.2011.05.036

なんとなくアンモニウムの同位体比には運があるのですが、この論文みたいにしっかりした議論をしたことはないし、できやしないなぁ、と羨望の眼差しで眺めたJKの論文です(一度お会いしたい、、、)。

昔のアンモニウム・アンモニアについては、今後考えてゆかねばならないことが多いでしょうし、こういう論文を見ておくのは必要かなあとおもいます。今後の展開としては、過去の窒素循環解析でしょうか。

 

#7 Predicting microbial nitrogen pathways from basic principles
Ingrid A. van de Leemput, Annelies J. Veraart, Vasilis Dakos, Jeroen J. M. de Klein, Marc Strous, Marten Scheffer
Environmental Microbiology Volume 13, Issue 6, pages 1477–1487, June 2011, DOI: 10.1111/j.1462-2920.2011.02450.x

感動、という意味ではこの論文は大きな感動でした。ここまで言い切るか、ここまでやるか、ここまでやっちゃうか、、、と羨望の眼差し。

こういうアプローチをしっかりやることで、自分たちがどこまでシステムを理解できているのか、そしてどこが問題なのかを洗い出すことができる、という、自然かつ洗練されたアプローチ(そしてなかなかでき養いアプローチ)の具現化を見せられてしまった、という感があります。いやはや。Takai and Nunoura (2010)にも同様な感動を覚える(そして両方とも読めない!)けれども、すごいです。

今後の展開としては、、、じゃぁ、野外のシステムでどこまで?ということでしょう。微生物学的には今の手法で、生き様をどうとられられるのか、物質循環としては、じゃぁ、フローはどうなのよ?ということでしょう、とりあえず。

 

#8 AOAな論文たち

これについては、色々ありすぎて、、、一つあげるとしたら、、

Niche specialization of terrestrial archaeal ammonia oxidizers
Cécile Gubry-Rangin, Brigitte Hai, Christopher Quince, Marion Engel, Bruce C. Thomson, Phillip James, Michael Schloter, Robert I. Griffiths, James I. Prosser, and Graeme W. Nicol
doi: 10.1073/pnas.1109000108 PNAS December 8, 2011

ということになりましょうか、、、最初に読むとしたらね。でも、本当は

Stimulation of thaumarchaeal ammonia oxidation by ammonia derived from organic nitrogen but not added inorganic nitrogen
Špela Levi?nik-Höfferle, Graeme W. Nicol, Luka Ausec, Ines Mandi?-Mulec, James I. Prosser
DOI: 10.1111/j.1574-6941.2011.01275.x, FEMS Microbiology Ecology, accepted

なんですけどね。これ、まだin pressだし。

今後の展開はAOAはなにをしているのか! です。はい。もちろん。生きてんの?死んでる???アンモニア酸化なんて本当はしてないんじゃないの??

 

#9 Assimilation of upwelled nitrate by small eukaryotes in the Sargasso Sea
Sarah E. Fawcett, Michael W. Lomas, John R. Casey, Bess B. Ward & Daniel M. Sigman
Nature Geoscience 4, 717–722 (2011) doi:10.1038/ngeo1265

あと2つか、、、そうなると、なかなか難しいけれど、さらに見栄を張ってわかっていない、読めていない論文を挙げることに、、、この論文は、先の述べた「見えないものを見えるようにするのが同位体」の違うアプローチ: 見えないんだったら見えるようにしてやろうホトトギス的なやり方で、今まで見えなかったフローを測定したもの。

スーパースター軍団の仕事なので、絶対に読むけれども、じゃぁ、土壌でどうする?となったら途方に暮れる。まぁ、ほとんどの論文がそうなんですけどね。

今後の展開は、、個人的なものに引き寄せるとしたら、ここで使っている微量窒素同位体比測定は、ほかでも使えるし、色々展開がすでに見えてますよね。うん。有孔虫とか。ポルフィリンとか。

 

#10 Strong evidence for terrestrial support of zooplankton in small lakes based on stable isotopes of carbon, nitrogen, and hydrogen
Jonathan J. Cole, Stephen R. Carpenter, Jim Kitchell, Michael L. Pace, Christopher T. Solomon, and Brian Weidel
PNAS February 1, 2011 vol. 108 no. 5 1975-1980

最後か−。反則で2つ、、、と思ったけどやめておくか。これ、とにかく、ああ水素ちゃんとやればいいんだよね、っておもった論文。ベイズにしろなんにしろ、食物網解析、しんどくなってきているけれど、僕らができることはもう1軸増やすこと。それはアミノ酸であり、水素であり、硫黄なんだろう、って。

 

こんなもんかな、、、あまりおもしろくないラインナップになっちゃったけれども、これにて!そして、皆さんも是非!同じ論文を挙げたとしても読み方はそれぞれの人で全然違うから、その視線の違いが勉強になりますので。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください。

 

 

| Dec 17, 2011 : update again

全くまとまらない感触なのだけれども、、、、20代は、とにかく何かしら周りのものを整えようと必死だっただけなような気がする。知らなければならないこと、経験しておくべきことが山のようにあって、とにかくあれもこれもと必死だったのではなかったか。

30代になると、そうはいっても、その中でだいぶ取捨選択ができてくる。ああ、必死だったけど自分に入らないものだったな、とか、これは、もうちょっと頑張らないといけないのではないかしら、とか。その課程で、だいたい自分に必要なものはそろってしまう。たとえば服とかで考えるとわかりやすいか。一通りそろってしまい、冠婚葬祭であっても、対して動じることはなく、とりあえず最低限のセットがそろっているという感じか。

今、40代にはいって、そのセットにほころびが出始めていて、改めて自分の周りのもの(それは、物質的なものに限らず、精神的なもの、そして「環境」のようなものまで)を見つめ直して、updateというかupgradeというか、とにかくもう一度、まさに再考することになってきていると思う。仕事のやり方についても、大事であると思うものについても、今一度立ち止まって、深呼吸を何とかして、見つめ直す、そんな時期なんだと思う。その結果、updateがたとえ他人から見たらdowngradeだったとしても、それはかまわない。これまでのだいたいの決断においてメインストリームからは外れてきているのだし。

そんなことをぼんやりと淡い青い空を見ながら考えてたりいたします。

 

| Nov 05, 2011 : 自信

とある往復書簡より、ちょっとだけ改訂

--

あれが「自信」なのかな、と振り返って気づくことのできるような、ものが自信なんだと思う。必死になって「身につける」ものではなく、ふっと、気づくと、まとっているようなもの。

そんな「自信」の萌芽的なもの、気づけば自信になり得るけれど、まだ気づいていないもの、その存在に気づいてもらうためには、何かを教える、といった足し算ではなく、どんなに大事なものを自分がすでに持っているのか、敢えていえば、自分自身がどれだけ大切な存在であるか、ということに気づくことができるように、いらんプライドや思い込み、しがらみを、今の僕の立場でいうなら「研究」という活動を通じて、ゆっくりとはぎ取ってゆく、溶かしてゆく、という、引き算を自覚的にやって行かねばならないのではないかしら、と思うようになったのです。

--

音にしても、重ねるのはたやすい。気分も楽になる。どこまで引き算を続けてゆけるかが、本当の厳しさなのだと思う。

 

| Sep 26, 2011 : ちょっとまじめに

山下達郎の古いライブ音源を聴いていてしみじみ思った。すごい。

当たり前のことを当たり前にやる、やり続ける。この言葉の持つ広さと深さは尋常ではない。

僕が大学人としてやっていきたいことは、学生さんとともに「人間の可能性」についてしっかりと考えることのできる時間を設けることなのだと思う。「人間の可能性」なんて大げさな言葉ではなく、「人ってすごいんだ」でもいいし、「人の努力の仕方、やり方」や「どれだけ気配りをすることができるのか」でも、「どれだけ真剣に考えることができるのか」でも構わない。すべてほとんど同義であって、学生さん一人一人のステージ、立ち位置で変えてもらったらいいけれど、すべて同じこと。たとえば「どうやって僕らは謙虚になってゆけるか」というのが、自分の言葉としては今は一番ふさわしい。

何度も書いていることだけれども、入試でもスポーツでも音楽でも何でもいい、とにかく一生懸命やってみるという時間を作らないといけないと思う。そこには厳しさもなければならない。どれだけ自分が頑張って、どれだけダメだったのか、そして自分よりも先を走っている人がどれだけの先を走っているのかをまざまざと見せつけられるような状況を作らなければならないと思う。どんなことでも考えてゆけばどこまでも深くまでいける。平たい言い方をすれば、こだわっていける。しかし、では、どれだけの人がそこまで頑張って考えてゆけるのだろうか、こだわってゆけるのだろうか、不覚までゆけるのだろうか、はたして自分はどうだろうか、、、、そういう内省を促すこと、そのような内省を自分の人生の習慣として身につけること、それが社会に出る前にどうしても必要なことなのではないかと思っている。実際には身につける、とまでは行かないまでも、何となくこういうものなのかしら、なんとかやってゆく、ということはこういうことなのかしら、と思うような何か手触りのあるものを持って出て行ってもらわなければと思うのだ。

一つの言葉にしろ、一つの休符にしろ、一つのスパイスにせよ、一つの誤差計算にしろ、そこには大変な意志があるのだ、いや、有るかもしれない、と思うこと、それが一番大切だし、一番難しいと思う。自分の周りの事象に対して、自分が見えているものはこれだけだが、これ以外にもあるかもしれない、自分が見えていないものがあるのかもしれない、とおもって手探りで空を切るのと、これだけに違いないと思ってしまうのとでは、本当のところ、大変な違いがあると思う。あるものだけがあることには違いはないけれども、そのあるものを自分が認識できるかどうかは自分の問題なのだ。世界を規定するのも、世界の限界を、可能性を規定するのも自分の努力次第なのだ、というように、自分に問題を向けられるようになるのか、それとも、自分の周りの世界をできあがったものとしてしまい、自分の認識の範囲外のものをノイズとしてしまうのか、この2つのことなる人生の習慣は、ひとたび進み始めると残念ながらなかなか交わることはない。まさにpositive feedbackの極みであって、より大きな、芳醇な世界とのアクセスを身につけることができるようになる人もいれば、より凝り固まった、自分本位の狭い世界に閉じこもってゆく人もいる。いや、閉じこもってしまえばいいのだ、と覚悟を決めているような人はまだいいけれど、そういう人はほとんどおらず、どちらに行くべきか悩んでいるような顔をして、結局どっちつかずのまま、どちらの考えからも中途半端な認識しか引き出すことができず、しんどい思いをしながら毎日を過ごしている人が多いのだと思う。generaliztとspecialistと話を設定すればわかりやすいかもしれないが、generalistであってもspecialistであっても、極めて行けば別の道を辿るにせよ真実へと近づいてゆけることはできるはずである、ということは歴史が十二分に証明している。問題は、どっちつかずの状態の人間なのだろう。

上手に挫折すること、そんなような言葉をどうやって磨いたらいいのかというのをこの2年くらいずっと考えている。上手に挫折するたった一つのやり方は全力でやることしかない。中途半端に努力したっていくらでも逃げ道を作る言い訳はある。その言い訳のコレクションだけ充実させても、自分の世界は充実しやしない。大学までで上手く挫折したことがある人は、それをもう一度やってみることだ。したことがない人は、良い機会だから、科学研究をそのケーススタディーとしてやってみたらいい。はるか彼方で行われているような最先端の科学研究だって、実際には大したことにないように1年ちょっとすれば思えてくる。そこから、じゃあ、実際に自分でsomething newをやってみようと思って、はじめて、本当のすごさがわかってくる。とてもとても自分ではできやしない、簡単に思えていた問題解決が不可能ではないかと思えてくる。簡単に解決したというように書かれている論文の行間にどれだけの予備実験が、議論が、葛藤が、挫折があったのかがありありと見えてくる。そして自分の持っている技術のつたなさに唖然としてくるはずだ。そこからどうやって上手に抜け出すか。。。勿論僕にだって回答はない。ただ、できることは、いっしょになってそこから一緒に這い出そうと努力すること、それを全力でやると約束すること、そこにごまかしを介入させないように努力し注意すること、それだけだ。魔法の処方箋などない。ただ、自分もこのように苦しいと思っている、あなたはどう苦しいと思っているのか?何を問題と思っているのか?その問題というのは、再定義したらこうなるのではないのか?と質問してゆくだけだ。それしかできない。それでいいと思っている。

テクニックというようなもの、ノウハウというようなものではない。もちろん、何かしら、それらしいことは言えるだろう。コード進行から考えてここではこの音だろうけれどあえてこちらにしてみてみるのだ、とか、一生懸命リサーチを前もってして、どうやらここがニッチらしいと思ったので参入してみた、とか、それらしいことは言えるだろうけれど、そんなうわっぺらの言葉が問題なのではない。なぜ、そう考えるに至ったのか、なぜそうしたいと思ったのか、そんな根元的な態度の問題であって、僕らは、ある問題に対する態度をどのように節度あるものとしてとることができるのか、その可能性、variationについて、科学研究というものを題材として、自然生態系というものを題材として学んでいる、ともういってもいい頃だと思っている。

 

| Sep 8, 2011 : ようやく涼しくなってきましたね

ここではご無沙汰しております。今年の夏は色々な意味で暑かったですが、何とか乗り越えた、、、のでしょうか。ラボで使っている脱窒菌が本当に乗り越えられたのか心配な今日この頃です。

--

何とか眠い目をこすりながら朝、出勤前に仕事をしているのだけれども、特に学生さんへのメイルを書き始めると、あっという間に数時間たってしまう。これは本当にいいのだろうか?後で確認できるように、読み直せるようにと思って一生懸命書くのは自己満足的によいとは思うけれど、実際長文のメイルを読むというのはあまり情報の伝達手段としてよいとは思えない。一方で、口頭で伝えるとどうしてもミスが多くなるので、やはり大事なところについては書面でもフォローしておきたいという気持ちもあるが、本当のところどういうアプローチが可能なのだろうか。。。。

--

この間、どういう学生さんは研究室にあわないと思いますか?と聞かれて、うーん、、、、3階に来るのにエレベーターを使ってくる学生さんは、やめておいた方がお互いのためかなと思ったのでした。体力勝負うんぬんを大げさに言うのではなく、基本的な日常の所作として色々な意味で(前々から電気代のことも掲示されているし、節電中で利用しないようにと書かれているし、ほとんどの人は先生も含めて階段を使っているという状況もわかるはずだし)、感度が鈍いことがそんなちっぽけなところから透けて見えるのです。しかし、そういう質問はなかなかおもしろいですね。色々考えさせられました。皆さんが希望する研究室に分属できますように。心配する必要はないと思うけれど本当にドラフトだけは嫌です。。。。

--

プロジェクトで人を雇用しているのだけれど、僕の置かれている状況なんて本当に本当に楽なものなはずなのに、とてもプレッシャーがある(今回のプロジェクトは僕がいなくなったらそこで打ち切りだし)。知り合いの、自分で会社を興している人、さらに従業員を抱えている人には本当に尊敬を通り越して畏敬の念を抱いてしまう。雇用者だけでなく雇用者の家族がいて、全員に迷惑がかかるということが全然実感として理解でいていなかった。本当にすごい。以前、会社を経営していて修士課程を1年のばした学生さんに、修士号をとるよりも会社を運転する方がとてもすごいことのように思うよと言う話をしたけれど、あのときもまだ全然わかっていなかった。今だってわかっていないけれど。

雇用関係で先日事務方と相談させていただいたけれど、色々知らないことがある。というよりも、知っておかなければ、雇用する人に損をさせることがあるということがわかった。「そこまで考えてくれる教員の方はほとんどいないのです」とおっしゃっていたけれど、なんとかそこまで考慮していけるだけの力をつけたいところだ(今回は力及ばずだけれども、、、、)。うーん。

 

| July 15, 2011 : 苦しい時期を超えて?

ここではご無沙汰しております。6月そして7月は大変に苦しかったですが、何とか乗り越えたというかしのいだというか、低空飛行墜落寸前の状態で何とか過ぎ去ったというところでしょうか。

慌てふためきながら、ちょっとくらいwebsiteを更新せねば、と思ったところです。本日は分属説明会ですので。

 

| May 30, 2011 : デフラグの時期

なんとなく今日は朝から調子が悪かった。朝一番で査読をまさにぎりぎりで何とか終えたのはいいけれど、いろいろ授業の内容をいじっては結局あまりうまく着地できず、悶々としたまま電車に乗り、台風とはいいながらそれほど雨が強くなくてほっとしたけれど、朝早すぎて、何となくコーヒーを飲みたかったのだけれどかなわず。オフィスに着くとメイルがまさに山ほどたまっていて、どれもこれもが日程調整。そういえば、朝、今日10分ほどいただけますか、と日曜日学生さんにチャットで言われて、どれだけ偉そうな人になってしまったんだろうととほほな気分になったのだけれど、今回だって、いろいろな先生方のご都合が飛び交っている中、ぼくみたいなぺーぺーが全然その予定にフィットできず、フィットできないどころか本当に時間が足りなくて、読めなくて、ちょっとした打ち合わせすら躊躇している状態。

色々考えて進めている新しい測定法も、考えれば考えるほど、怪しいところが多々出てきて、技術的なところというよりも、概念的なところで、本当のところどうなのかしら、人的・金銭的リソースをつぎ込むだけの価値があるのかしら、としばし途方に暮れる。

久しくお会いしていなかった方から貴重なデータをお借りすることができ、眺めるだけでテンションがちょっと上がる。しかし、じゃぁ、それをさらに進めようという打ち合わせにひょいと参加することが残念ながらできそうにない。そういえば、北の方へ行くこともままならず、会議はパワーポイントに何とか音声を乗せて、代役にするというていたらくじゃないか。自分でスカイプで話すことすら難しい。。。。

どうも、携帯で打っていたメイルも何となしにどんよりとしていたようで、心配されてしまう。

---

ということで、何度目かはわからないけれど、さあ、ちょっと、自分の時間の使い方を考えよう。FさんやLさんの論文が数週間止まっていたり、自分の危機的な論文に全く時間を使うことができないという状況は、さすがにまずい。まずいのだ。もう一度、プライオリティーをしっかり考え直して、できないことはできないと責任を持って止めようじゃないか。ま、ぴかぴかのてぬあ1年生だし仕方ないってことにしよう。そうしよう。

てなことで、明日の創立記念日は、全力でデフラグです。

---

遠い空の下から小包が届いておりました。なぜ、アームストロングの伝記を読もうとしていたことがわかったのか?!?!、、、いや、その、ぼくは、日本語で読もうとしてたんですけどね(笑)。ありがとうございます!

 

| May 01, 2011 : 螺旋を廻る

すこしは成長しているのだろうか、またこの風景に戻ってきている、ということが何度となくある。螺旋階段を上っているのか、それとも下ってしまっているのか、、、、心を落ち着けて、真摯に見つめなければならない。

 

年を経ることで成長するなんて間違いに容易に陥ってしまう。あぶないあぶない。