Kei Koba's weblog in CER, Kyoto University ~ Are we on the right track ? ~

| December 30, 2008 : 今年もお世話になりました

本年もみなさま、いろいろお世話になりました。31日の23時頃まで原稿と戦っているような、また、ついに年賀状すら書くこともできない(とほほ)、なんともしまらない一年になってしまいました。まぁ、来年は今年があまりにもよくなかっただけに、上に上がることしかありえませんし、気楽に行こうと思います。とりあえず、年が明けたら、「検量線9999飲み会」でもいたしましょう!9日が卒論修論提出なので、それが終わってからですかね。ボート部の同期とも飲みに行かないと!

今年読んだ本の一覧です。

チェンジング・ブルー」(大河内 直彦著)
脳は美をいかに感じるか」(セミール・ゼキ著)
なぜこの方程式は解けないか?」(マリオ・リヴィオ著)
生態系と群集をむすぶ」(大串隆之・近藤倫生・仲岡雅裕 編)
細胞膜のしくみ」(八幡義人著)
ロジカル・ライティング 〜 論理的にわかりやすく書くスキル 〜」(照屋 華子著)
もっとも美しい対称性」(イアン・スチュアート著)
悲しき熱帯」(レヴィ=ストロース著)
考える技術・書く技術」(バーバラ・ミント著)
レヴィ=ストロース講義」(レヴィ=ストロース著)
生命の多様性」(エドワード・O・ウィルソン著)
さようなら、ギャングたち」(高橋源一郎著)
排出権取引とは何か」(北村慶著)
ざっくり分かるファイナンス」(石野雄一著)
フェルマーの最終定理」(サイモン・シン著)
リスク」(ピーター・バーンスタイン著)
憂鬱と官能を教えた学校」(菊地成孔、大谷能生著)
大谷能生のフランス革命」(大谷能生著)
一般システム思考入門」(ジェラルド・ワインバーグ著)
『経験知』を伝える技術」(ドロシー・レナード、ウォルター・スワップ著)
CDは株券ではない」(菊地成孔著)
歌舞伎町のミッドナイト・フットボール」(菊地成孔著)
服は何故音楽を必要とするのか」(菊地成孔著)
スペインの宇宙食」(菊地成孔著)
第一感」(マルコム・グラッドウェル著)
暗号解読」(サイモン・シン著)
聴き飽きない人々」(菊地成孔著)
ロックとフォークのない20世紀」(菊地成孔著)
東京大学のアルバート・アイラー」(菊地成孔、大谷能生著)
」(原研哉著)
M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究」(菊地成孔、大谷 能生著)
知的生産の技術」(梅棹忠夫著)
科学哲学」(サミール・オカーシャ著)
言葉と科学と音楽と」(谷川俊太郎・内田義彦著)
腸内環境学のすすめ」(辨野義己著)
マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック」(イーサン・ラジエル/ポール・フリガ著)
マッキンゼー式世界最強の仕事術」(イーサン・ラジエル著)
ヴィジュアル・アナロジー」(バーバラ・スタフォード著)
世界制作の方法」(ネルソン・グッドマン著)
和力」(松田行正著)
大気の海」(ガブリエル・ウォーカー著)
ミトコンドリアが進化を決めた」(ニック・レーン著)
効率が10倍アップする新・知的生産術」(勝間和代著)
服従実験とは何だったのか: スタンレー・ミルグラムの生涯と遺産」(トーマス・ブラス著)
武満徹対談集」(武満徹著)
名門校には席をおくな!」(講談社校閲局編)
零の発見」(吉田洋一著)
動物農場」(ジョージ・オーウェル著)
クリティカルチェーン」(エリヤフ・ゴールドラット著)
誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義」(松岡正剛著)
社会的共通資本」(宇沢弘文著)
小林秀雄の恵み」(橋本治著)
デザインの深読み」(坂井直樹著)
ねにもつタイプ」(岸本佐知子著)
マイクロソフトでは出会えなかった天職」(ジョン・ウッド著)
デザインのたくらみ」(坂井直樹著)
酸素のはなし」(三村芳和著)
ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」(佐藤克文著)
思考の整理学」(外山滋比古著)
マン・レイ自伝 セルフ・ポートレイト」(マン・レイ著)

、、、今年後半は全くペースがあがらず、年100冊ペースは早々にあきらめてしまいました。まぁ、週1冊本を何とか必死で読み、15本程度新しい文献をデータベースに入れる、というのは、この数年続いているので、これが、身の丈に合うペースなんでしょう。多読できる人はどうやっているんだろう。。。

年末、最後の最後に手に入れて読んだ本は、そうです、我らが大河内さんの「チェンジング・ブルー」です。もう、なんといいましょうか、あの大河内さんですよ、みなさん。もう、正直おもしろいおもしろくないということを考えるよりも、よだれを垂らしながら読んだというのが正直なところでしょうか。すごい人の頭の中をかいま見せてもらえると思っただけで、よだれが、、、ということばが出てきちゃいましたが。

Younger Dryas やDansgaard - Oeschger cycleについて、とても丁寧に書かれていて、わかりやすかったです。その辺の話というのは、分野の違う人間からすると、単発的には聞きかじりはするものの、専門書を読むには敷居が高いし、なかなか難しいので、こういう良書をいくつか読んで、自分なりにフォローするしかないので、とても助かります。

是非、ちょっと古いことをやろうかな、と思う人は、読んでください。必ず読んでください。いつの間にか「古環境っておもしろい!」と同時に「同位体ってすごい!」とも思えてしまうおまけも付いてます。こういう本に「だまされて」研究を始めてしまえるなら、それは絶対に幸福です。最初としては最高でしょう。その先はあなた次第ですが。

人にあまり趣味の本や音楽を勧めたりはしませんが、学業を抜きにして、印象に残った本は、今もう一度リストを見つめてみると、、、上記の中で

悲しき熱帯」(レヴィ=ストロース著)
M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究」(菊地成孔、大谷 能生著)
服従実験とは何だったのか: スタンレー・ミルグラムの生涯と遺産」(トーマス・ブラス著)
小林秀雄の恵み」(橋本治著)
リスク」(ピーター・バーンスタイン著)

くらいでしょうか。順不同で。でも、読みかえすとしたら、いの一番に「憂鬱と官能を教えた学校」(菊地成孔、大谷能生著)です。絶対。しかし、違う分野の本を読むのは難しいですね、、なかなかカテゴリーを超えられません。来年はハプニング的に、無理矢理、絶対読むことのない様な本を手に取ることをしないといけないですね。CDも。。。お金節約してそこに投資しないと。

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さあ、あと24時間と幾ばくかしか残っていません。原稿原稿!年明けたら別の原稿が!みなさまよいお年をお迎えください。

 

| December 14, 2008 : しわすしわしわ

冷や汗でもう体中しわしわ、ってかんじです。なんとか査読を2件、報告書の下書き1件、報告書提出1件。休日ってなに?12/31までとにかく走り続けないと、、、風邪ひくのがとにかく怖い。皆さんもうがい手洗い忘れずに!風邪ひくスケジュールは立てられないですからね。

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明日から今年最後の木崎湖調査です。いろいろ感慨深い。無事に調査を終えることだけ考えて行ってきます。ないちゃうかも。その前に凍っちゃうかも。。。

う!来週の集中講義どうしよう!!ま、まずい!!調査中に考えないと、、、、。

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Windows XPの英語版が必要になったのだけれど、やっぱりなかなか簡単には手に入らないものですね。なんとか見つけ出したので、うまく手に入りますように。。。

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環境経済といえば、の早稲田の栗山先生の新しいご著書、 「図解入門ビジネス 最新環境経済学の基本と仕組みがよーくわかる本」。かなりよいです。と栗山先生のwebsiteをのぞいたら、有斐閣から「環境経済学をつかむ」というのもでていたのですね。読まないと!

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オクターブ奏法?というのはすごいものだ。とっても当たり前だけれど、でも、音が重なることで、どうしてあれほどの緊張感を与えることができるのだろう。

 

| December 10, 2008 : しわす

厳しい日々が続いております。皆様お元気でいらっしゃいますでしょうか?こちらは原稿というか領収書というか、とにかく原稿に追われていて、自分の論文のreviseすらままならぬ状況がもう2週間近く、、、とにかくもうちょっと耐えるしかありません。

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おともだちにあいにいったりしてました。4番は4番の仕事をしろ、というのを覚えてくれていたのは、やっぱり嬉しいですね。4番は4番で居続けなければならない、その苦しみや悲しみは、すべての人が分かったらかえって気持ち悪いものなのでしょう。

どういう過程を経てでも構わないのですが、未知のものが存在する、ということが、骨身にしみて、というか、当たり前のように、人生の習慣、として身にまとうようになってくれば、謙虚になることの意味(のようなもの)や、他人を思いはかることの本当の難しさや、つねに地道に努力し続けている人の強さが、じんわりと、しかし真っ直ぐにわかってきてしまうのでしょう。それは、積極的にわかる、と言うものではなく、ふと木々の芽吹いた香りに目を上げるときのように、気づいたら気づいていた、と言うような性質のものなのだと思います。

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とある写真のレプリカを手に入れたのだが、どうもしっくり来ない。同じものを送った友人も、どうも、、という印象らしく、悔しいので、もともとの展覧会のパンフレットを手に入れてみると、あまりの違いにびっくりする。Duchampが好きだということと矛盾するのかもしれないけれど、写真のdetailでこれだけ伝えてくるものが違うのか、と仰天。同じモチーフなのに、おそらく、1秒くらいしかシャッターを押した時間は違わないはずなのに。ま、しかたない。

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"Environmental Microbiology: From Genomes to Biogeochemistry"と"Introduction to Geomicrobiology"、ものすごく良い本です。前者は、物質循環と微生物群集構造を本気でつなげようとするときにどうしたらいいか、ということが1章を割いて書かれていて感動的です。まずはこれは最低読まないといけません。後者は酸化還元状態で、microbial zonationがどうなるか、という1章があります。これも、堆積物から湖全体まで、常に考えるべきトピックで、大変興味深くまとまってます。

"Microbial Ecology of the Oceans"の2nd editionもでています。あっさりORIの永田先生がどっしりしたことを書かれていてかっこいいのですが、我々としては、その前に、最終章を読まないといけません。2大巨頭が堆積物中の窒素循環について書いています。やっぱりMnとFeだな。

この1ヶ月、25冊くらい本を買ってますが、推薦するのはこの3つです。

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昨日は、静岡大のK先生が、わざわざ東工大まできてくださって、研究の打ち合わせ。同位体なんて、、、、というのと、同位体凄い!!というのを併せ持ちながら進んでいけそうで楽しみです。飲みに行けなくて済みません(書類をみんなで書いておりました、、、)。今月おじゃまするときにいろいろお話聞かせてください!

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とにかく今月は、いろいろな失敗をしつつ、とにかく耐えます。31日締め切りの原稿もあるなぁ、、、うーん、、、うーーーーーん、、、それは別として、NH4+が上手くいって、MIMSが上手くいったら、飲みに行きましょう!皆さん頑張って!

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競輪の選手が、バイクに引っ張ってもらいながら、自分では到達できない、未知のスピードを体感して、そこで自分がどのように動けるかを見定めるトレーニングがありますよね?ボートでいったら、通常Rate38でこぐところを、50で漕いでみたり。165kmの直球を打ってみたり、ピッチャーを近くから投げさせてみたり。

僕は、同位体をやっている先輩が研究室にいたわけでもなかったですし、先生も同位体は誰もご存じなかったこともあってか、まずい、なにかがまずい、あまりにしらない、とおもって、M1のときに、研究室でとっていたOecologiaを70年代からすべて、同位体が使われているものをすべてコピーして、持ってました。正直、あまりにたくさんあって読む気にはなれなかったですが、、、(と言うところで僕の限界が分かってしまいますけれど)。それと、"Stable Isotopes in Ecology And Environmental Science"の1st editionで、とにかくちょっとでも気になった論文を片っ端から集めました。分かったことは、生態学における炭素同位体比のすごさと、いつも出てくる人の名前、食物網解析での「あたりまえ」な使われ方、それに引き替え、窒素循環での窒素同位体比の研究の少なさ、、海や湖の研究の美しさ、土壌の狂おしいほどの難しさ、、、Limnology and Oceanographyという雑誌のすばらしさ、でした。

自分の研究のことがわからない、、、と嘆いている時間があったら、思い切ってとことん調べてみればいいのです。自分に近いことをやっている論文なんて、どう頑張っても100本くらいでしょうし、引用する価値があるのは20くらい、本当に真剣に読むべき、ライバルになりそうなものは、5本くらいしかないはずです。それを教えてもらって読むのも良いかもしれないけれど、どうせなら、思い切って100本すべてに当たってみれば、いろいろなことがわかります。難しいかもしれないけれど、しんどいかもしれないけれど、不可能なことでは全くありません。100本見てみれば、いろいろな論文があること、考えがあること、だけでなく、その奥底に潜む、一般性というか、こういう風に論理は展開してゆくんだな、とか、こういうところでみんな苦しいんだな、と言うことがわかってきます。やってみたらいいのかも、と思ったらやったらいいのです。論文をとにかく手当たり次第集めてみる(読むとはいってませんよ)、なんて、本当に簡単なことです。今や楽に検索できますし。そんなに難しくないです。たとえ失敗したとしても、僕のように挫折したとしても、100本読もうとしたことがある、と言うことで、10本読まなきゃ、と言うときのプレッシャーは格段に小さくなっているはずです。

調べ方が分からない?そりゃそうでしょう。ヒットの打ち方が分からない?そりゃそうでしょう、、というのとかなり近いのですよ。

自分が専門で研究しているのに、その分野について、サーベイする時間もなければ頭も固くなってきている僕よりも知らないってのは、いかがなものか、というようなことを、学生の頃、T教授が論文のコピーをとりながらおっしゃってたのを思い出します。本当に先生方は良く論文を読んでいらっしゃった、、、、新着雑誌を手に取ると既にチェックされたようすがあったものなぁ、、、もちろん個人購読なさっていたから、と言うのもあるでしょうけれど。

どんな名選手だって、素振りは欠かさずやってます。それを努力と思うことがないだけです。当たり前の所作として、、、いや、おそらくそういう段階ではなく、僕のような常人には感じられない、なにか不安のようなものを振り切るために、やらざるを得ない、そんな感じなのかもしれません。意識することなく。